電話する

地図

問い合わせ

メニュー
ヘッダーオファー

指しゃぶりを止めるにはどうすればよいでしょう

2023年3月30日

人間の体の一番敏感な場所が口、その次が指の先です。指しゃぶりは一番敏感な臓器と二番目に敏感な臓器の組み合わせです。赤ちゃんが指をしゃぶるのはこの組み合わせによって自己刺激を求めて行動なのです。この刺激を求めるという行動は人間の宿命的な本能です。

口という最も敏感な組織は触れられているだけで快感が押し寄せてきます。赤ちゃんにとっても口はたまらなく魅力的な場所で手持無沙汰のときには格好の遊び場です。離乳期の乳児期に見られる指しゃぶりは、人間として自然な反応なのです。

えずきやすいですか?

診療にお見えになる方で、器具やレントゲンフィルムを口に入れるとえずく方があり、治療が困難になる方があります。こういう方々は幼い時期に口に対する刺激が少なかったと考えられます。口はとても敏感です。敏感ですから少しでも異物が触れると反応が起こります。

出生後の指しゃぶりは、口という敏感な組織が将来いろいろな食べ物が口に入った時に嘔吐反射や吐き出しなどのパニックを起こさないためのトレーニングと考えてください。この頃の指しゃぶりは、赤ちゃんが外の世界を口という敏感な組織を使って認識するというトレーニングをしているのです。難しくいうと自他の境界を区分する精神発達の課題に取り組んでいるのです。

実は母子関係が一番左右しているのです

幼児期の指しゃぶりは基本的に受け入れてよいと思います。しかしながら留意することがあります。養育者が、指しゃぶりをしているとまとわりつかなくて楽だから、と指しゃぶりを容認していると深みにはまり抜け出せません。指しゃぶりよりも楽しい遊びへのいざない、抱きしめ、語り掛けなど養育者が転換の機会を見誤らないようにしてください。指しゃぶりはだめだと、養育者がきびしい視線を向けると受容されていないという悲哀を育てますます指しゃぶりの世界へと追いやってしまいます。こうなると指しゃぶりそのものの問題は母子関係にあるということになります。

 

養育者の厳しい視線や育てる煩わしさからの手抜き、子どもに与える喜びや楽しさの不足で促進された指しゃぶりは幼児期後期に固着を始めます。親が不機嫌だったり夫婦げんかでピリピリしていたり遊びの仲間に入れなかったり保母が多忙で相手になってくれないなどの悲哀を感じると昼日中でも指をしゃぶり、容易に外そうとしません。指しゃぶりで心のバランスをとろうとします。

爪を噛むことに変化することもあります。

指しゃぶりを強制的にやめさせようとすると、より目立たない代償性の口への固着を起こす可能性があります。下唇を吸ったり噛んだり、舌を前歯の間にはさんで軽く噛んだり吸ったり、爪を噛む、袖口を噛むなどです。口に入れないように目立たないようにやるには爪を噛むのがちょうどいいので特に爪噛みは多く見られます。年齢と共に指しゃぶりが減り、それに伴って爪噛みが増加する傾向にあります。

指しゃぶりで起こりうる弊害

不正咬合(開咬、上顎前突)

指の圧力で上の前歯が突き出てきたり、歯と歯の間が空いてきたりします。また歯並びが狭くなってきます。4歳になって奥歯でしっかり噛んだ時に前歯に子どもの指一本分の隙間があったら、指しゃぶりより楽しい遊びにどんどん誘ってあげてください。大人の歯が生えてもしゃぶっていると大人の歯の前歯も出てきます。子どもの成長を育んで語り掛けてください。少なくても永久歯の前歯が生えてくる6~7歳からも持続する頻繁な指しゃぶりは萌出した歯への直接の外力が加わるので変形も大きく、やめることが望ましいのです。

舌の異常

歯と歯の間が指しゃぶりで空いているとその隙間を埋めようと舌が前方に突出し歯列不正を加速させたり、舌の運動に異常をきたし咀嚼、嚥下、発音に影響します。切歯音と言われる、上顎の前歯のすぐ後方の粘膜を用いる発音を不完全なものにする傾向があり、特にサ行、タ行の障害が出やすいものです。舌の運動の異常によるカ行の不明瞭化が起こることもあります。歯の前方突出があると口元がでます。そうすると唇を閉じるのに力が必要で、半開きのことがあります。すなわち外観障害が起こりえます。心因的障害も引き起こしかねません。

一般的な対策はあるけれど

①口から指を抜く   起きてるときはだめです。寝付いているときに。

②忌避薬の塗布   唐辛子など一時的な解決となっても他にいくかも

③叱る   最も避けてください!

④言い聞かせる   3歳を過ぎて論理的な思考が可能になれば一定の効果があります。

⑤ネイルアート法  指の腹、爪などに親しい人の絵、好きなキャラクターなどを書き込む

⑥口腔防止装置  矯正装置などに少し尖ったものを付けてみる

⑦おしゃぶり  くわえっぱなしは厳禁です。

矯正専門医の女性歯科医師の先生に指しゃぶりの対策をお聞きしたことがあります。その先生のお答えは、“膝を折って子供と同じ高さにしてからしっかり抱きしめて、指しゃぶりをやめてくれたらとってもうれしいと言ってあげてください。”でした。僕もそう思います。養育者が仲睦まじく、子どもにイラつかず寛容な対応をする、を付け加えれば最高です。

宇治市 歯医者 finger bite なかむら歯科医院

洗口液と液体歯磨の違い、わかりますか。

2023年3月23日

同じ液状のため混同されやすく販売店でも並列で売られているため正しい使い方がされていないものに液体歯磨があります。洗口液は歯ブラシを使わずに適量を口に含んですすいでから吐き出すことにより口の中の浄化と口臭予防効果が期待できます。また薬用成分を配合し口腔細菌の殺菌効果も期待できる製品があります。液体歯磨は適量を口に含みブラッシングする、あるいは適量を口に含み吐き出した後ブラッシングするもので、殺菌成分の他に歯周組織健全化を期待して抗炎症成分、組織賦活成分や血流促進成分を配合しています。液体歯磨はブラッシングすることが前提となっています。それぞれの製品に洗口液か液体歯磨か明記されています。使用目的、使用方法が違いますから確認してください。

洗口液と洗口剤の違いは

洗口液はスーパーマーケット、コンビニ、薬局、ドラックストアなどで販売されている化粧品もしくは医薬部外品のことです。これ以外に医薬品として、含嗽剤と洗口剤があります。これらは使用目的も使用法も違うので混同せず正しく理解してください。剤、がつけば医薬品ですね。含嗽剤は医師もしくは歯科医師の処方が必要な医療用医薬品で、その一部は薬局やドラッグストアでも販売されています。ポピドンヨード(イソジンなど)がそれに該当します。洗口剤はフッ素洗口剤などがそれに該当します。

医薬品(含嗽剤、洗口剤)と医薬部外品および化粧品(洗口液)の最も大きな違いは目的と使用法です。医薬品は歯科医師により治療目的で処方されるもののため期間限定の使用に限られます。

洗口液はプロフェッショナルケア後の良好な状態を維持するための補完的役割を担うため継続使用が基本となります。

医薬部外品と化粧品の違いは有効成分(医薬部外品)の有無により分類されています。化粧品に分類される製品は原因を除去するわけではありませんから、その効果は一時的なものです。

洗口液の利点と課題

利点は

抗菌成分配合の洗口液では口全体の細菌数を減らすことができます。口腔疾患の原因となる細菌の塊、バイオフィルムは歯の表面だけでなく舌や咽頭、粘膜にも存在しています。口の中に占める歯の表面積の割合は25%でその他75%は舌や咽頭などの粘膜で占められています。そのため歯の表面のバイオフィルムを除去するだけでは不十分で粘膜に付着する細菌も殺菌しなければなりません。とはいえ口腔内の各部位に付着するバイオフィルムは歯面上が最も多くバイオフィルム1mgあたり約10億個、また歯の上だけでなく粘膜や舌、歯周ポケットにも約1億個の細菌が存在しています。洗口液は漱ぐだけの簡単な用法で口全体の細菌数を減らすことができます。

殺菌効果だけでなく口腔内の保湿や口臭予防に重点を置いた製品もあります。ドライマウスや口臭はその原因をつきとめ治療や症状緩和のための対応を取ったうえで洗口液を使用すると効果が得られます。歯ブラシを使うのが困難な時(外出中や災害時)や妊娠中で歯ブラシを入れると吐き気がある人など歯ブラシを使いたくても使えない時などに口の中を清潔にすることができます。

課題は

洗口液はあくまでもブラッシングやフロッシングを行った上で補助的に使用することで効果を最大限に引き出すことができます。爽快感が得られるためブラッシングしなくてもよいと思いがちですが、それは間違いです。口臭予防の効能表記もありますが、洗口するだけで口臭予防はできません。口臭の原因となっている細菌を機械的に除去しなければ効果はありません。

有効的に洗口液を使うには

様々な研究されているのですが洗口液を有効にするには、ブラッシングしてから5分以上経ってから、有効性が証明されている洗口液を10ml以上用いて1日2回30秒以上の洗口を行う、ことです。あとは長く使い続けることです。プロフェッショナルケア直後から使い続けることで効果を最大限に引き出せます。使い続けなければ意味がありません。長く使うには後味や爽快感、刺激など好みもあります。ライフステージにより使用目的が変わりますから洗口液の種類も変えなければいけません。そのアドバイスは歯科医師や歯科衛生士がさせていただきます。

宇治市 歯医者 oral rinse なかむら歯科医院

ホワイトニング効果はあるのかないのか

2023年3月16日

効果が高いのは、加齢による黄ばみです!

ホワイトニングを希望される方の多くは意外と歯の白い方が多いです。
お仕事柄、あるいはよく鏡を見られることが多いからでしょうか。
そういう方は思ったほど白くならないかもしれません。
限度はあります。新庄監督のようにはならないです。噛んでいくことで加齢するごとに歯にヒビが入っていって、そこから歯が黄ばんでいくのです。
その歯のヒビにホワイトニングの薬を効かせて歯を白くするのです。
(神経のある歯だけ効果があります。)

過去、フッ素が高濃度で水道水に含まれていた時代、時期に生まれてみえた方に
グレーやブラウンの歯の方がいらっしゃいます。
こういう歯に対してはホワイトニングの効果がなかなか出にくいです。かなり根気よく続けても少しよくなるかな、という程度かと思います。

神経の無い歯はホワイトニングで治らない

神経の無い歯の色は赤血球が歯の根の中の細かい管に入り込んで、それが暗く見えるのです。
いわゆるホワイトニングは歯の中から薬を効かせるのですが、神経の無い歯は歯の中から薬を効かせます。
いわゆるホワイトニングの薬とは別の薬で赤血球に作用させるのです。
神経を取ってからの期間が長いと効果が出にくいです。
金属の土台が入っている場合、金属イオンが細かい管に入りこんで黒くなります。
この場合には効果はありません。
残念ながらセラミクスなどの被せ物をするしかありません。

オフィスホワイトニングとホームホワイトニングどちらがよいのか?

オフィスホワイトニングは診療所で1時間くらいかけて行います。
歯の表面をツルツルに綺麗にして、歯肉保護処置を行ってから目的とする歯に薬を作用させます。歯肉保護処置をするのはホームホワイトニング用の薬剤に比べてオフィスホワイトニングの薬剤が強力で、歯肉が火傷起こすからなのです。
ホームホワイトニングはご自宅で行うホワイトニングです。
毎日2時間、カスタマイズしてあるマウスピースにジェル状の薬剤を入れて、それを歯にはめ込んで薬を作用させます。

オフィスホワイトニングは即席なので効果もホームホワイトニングに比べると限定的です。何回か期間をおいて治療しないと満足感が得られないかもしれません。色もホームホワイトニングより後戻りしやすいです。

一方、ホームホワイトニングは毎日行ってもらうものですから、継続は力なりで効果がじわじわと出てきます。基本的には4~6週行っていただきます。
毎日鏡を見ていると効果は分かりづらいですが、写真を撮っていけば効果は実感していただけると思います。

副作用は知覚過敏。

施術中にあったとしても中断してしばらく経てば知覚過敏は消失します。一度よくなっても後戻りしていきます。ヒビがなくなるわけではなく、そこからまた色が入りこんでくるからです。
治療後も月に一度くらいホームホワイトニングを続けていただくことで後戻りを防ぎます。オフィスホワイトニングを行った場合も同様で、オフィスホワイトニング後にホームホワイトニングを月に一度していただくことをお勧めします。

被せ物で色を変えることはイメージできますしお見せできますが、ホワイトニングは歯の色の変化のゴールをお見せできません。個人差があるからです。ご希望された方にはメリットデメリットのお話しをさせていただいてから治療するか否かを決めていただいています。

宇治市 歯医者 whitening なかむら歯科医院

再治療は難易度アップアップ!

2023年3月9日

歯根の治療に成功すれば歯の寿命は短くなりますが、抜歯に至らせない最後の手段です。すべての治療がうまくいくわけではありません。細菌感染がからだの抵抗力を上回ってしまったり一旦成功しても再度むし歯になって再感染した場合には再治療が必要になります。最初の歯根の治療と二度目以降では格段に難易度が上がり成功率が低くなります。

歯根の治療で用いた歯の中の詰め物を、くまなくすべて取り除くことは不可能なのです。詰め物の材料自体は悪さをしません。取り切れない詰め物が塞いでしまっている部分の感染源の除去やそこに殺菌剤を届かせることができないことが問題です。

専門医でも難しい

治療にとって非常に不利で歯内療法の専門医がやっても再治療の成功率はやはり落ちます。治療を重ねるごとに技術的な難易度が高くなってしまう歯根の治療。神経を取った歯の場合よほど進行しないと痛みが出ず発見も遅れがちです。日頃から歯科医院でメンテナンスを受け早期発見を心掛けましょう。

神経を外科的に切除しているのです

歯根の治療では痛みのセンサーである神経をとってしまうので治療を受ければすぐに痛みがなくなると思われがちです。しかしなかなかそうはいきません。歯根の治療は歯の中を通っている神経を切除します。歯根の治療は外科治療です。歯を通る神経は顎の骨を通って三叉神経から脳へと繋がっています。この神経を一部分だけ切り取っているわけです。けがをして縫った時と同様ズーン、ズーンとした痛みが数日続き通常はその後落ち着いてきます。歯の神経が切除されたあとも歯の外側にある神経は残っていますし、歯に加わる力の鋭敏なセンサーである歯根膜はそのままです。感染が強く歯の外側に影響が及ぶと歯に関与する器官の違和感や痛みが生じます。

歯根の治療は細菌を除去して生体が治癒しやすいような環境つくりをするための治療です。細菌をしっかり取り除いても生体の力が立ち上がり炎症を抑え込んで働き始めるには一定の時間が必要です。健康な方でも治療後には痛みは出ますし治癒に向かう期間には個人差があります。

術後疼痛

激烈に腫れて痛んでしまうことがあります。術後疼痛と呼ばれる現象です。原因はいろいろあると言われています。通常どおり治療しても100件に数件こうしたことが起こります。腫れた際には抗菌剤を投与し膿を出せばスーッと数日で落ち着いてきます。こうしたことが起きた場合には連絡していただければと思います。抗生剤と応急処置でだいぶ楽になります。治療過程で出る一時的な炎症で治療が失敗したということではありません。残念ながら不信を持たれて他院受診されても構わないのですが、治療が振り出しに戻りますのでご紹介状を書かせていただきます。歯根の治療と痛みや違和感は切っても切れないものです。しばらくはつらいでしょうが頑張って乗り越え良い治療にしていきたいと思います。

 

宇治市 歯医者 caries なかむら歯科医院

根の治療は時間がかかります!

2023年3月2日

歯の痛みはつらく耐えがたいものですよね。痛みで眠れない、噛めないという患者さんがおみえになります。痛みを止めて欲しい、歯を残したいという思いは切実です。それではどうすれば痛みを止め、深刻な細菌感染を起こした歯を残すことができるでしょうか。

歯の痛みはアラーム

歯が痛いとは、そもそも歯の内部やその周辺で異常事態が起きていると感知した神経のアラームが鳴っている状態のことです。トラブルの発生を脳に伝えて教えてくれるわけですからそれは悪いことではありません。むしろ体内で起きている異常を知らせてくれるありがたい警報です。警報が鳴りっぱなしではよくないですから、なんとか止めないといけません。むし歯が進行し神経の近くまで到達していれば必要とされるのが歯根の治療です。神経のある場合には出来る限り神経を残すようにしたいのですが、その症状、むし歯の深度などからやむを得ず神経を取らなければなりません。

アラームを消す方法

歯根の治療とはアラームが作動してしまう原因をしっかり取り除く治療です。歯の内部で活動している細菌がアラームの鳴る原因を作っているのですから、細菌感染した神経や細菌に汚染された歯質を取り除き、歯の内部を掃除して殺菌ししっかり蓋をします。歯科医師ができるのはここまでです。

歯の治癒力

やれるだけのことを精一杯行いしばらく待っていると、感染源が無くしたことで患者さんのからだの治癒する力によって炎症が収束し、少しづつ痛みが引いていきます。私達歯科医師の仕事は歯の中の細菌を徹底的に除去するということに尽きます。麻酔や痛み止めによって一時的に痛みが緩和しても根本的な解決にはなりません。原因を除去すれば患者さんのからだの治癒力により痛みが止まり、上手くいけば抜歯を回避できてその歯を長く使い続けることができるのです。技術的には大変細かく困難な治療で、しかも治療の結果は患者さん自身の治癒力や全身の健康状態にも影響を受けるため成功するケースばかりではありません。しかし成功すれば歯を残すことができ患者さんにとって多大なメリットがあります。

敗戦処理

歯根の治療はむし歯が大きく広がってしまった歯の治療として行われることが多いです。小さな歯の中の細かく枝分かれしている神経で感染を起こしている細菌を隈なく取り去るということは技術的に困難です。根気よく神経が通る根管の中で繁殖している細菌感染している部分を取り除いていきます。歯を傷めてしまってはいけませんので慎重に行います。

65%

大変なのが神経の通る根管を探し当てることです。根管の本数や枝分かれの仕方は十人十色でとても個性的です。残らず探し出すことが大きなハードルの一つです。そして見つけ出した根管は素直に一筋に伸びているとは限りません。曲がったり、分岐したり、網目状に広がったり複雑な形をしています。私達の用いる器具はこうした根管の一部にしか届きません。無理して入れようとすれば歯を壊してしまうおそれがあります。海外の研究ではメインの太い根管に器具を使っても清掃できるのはせいぜい65%程度だという報告があるくらいです。細かく枝分かれした根管では更に難しいのです。私達は歯根の奥まで可能な限りの技を尽くして清掃しあとは薬剤で消毒するしかないのです。

96%→60%

薬剤も体にマイルドなものしか使えませんから重要になってくるのが患者さんの抵抗力です。細菌を可能な限り取り除いた歯を最終的に治癒に導いていくのは患者さんの抵抗力なのです。患者さんの全身の健康状態によっては治癒するまでに時間がかかる場合もあります。歯根の治療が成功するまでにはこうした様々な要素が絡み合っています。はじめて神経を取る歯根の成功率は96%、歯根の再治療になると60%、炎症が強い場合には更に成功率が下がります。

神経を取ってしまえば歯のもつ力が大きく削がれますから歯の寿命が随分と短くなります。野球でいえば敗戦処理です。痛みが取れて抜歯しなくて済んだとしても歯は弱体化しています。そうならないよう定期的な検診は必要で、普段からむし歯予防に努めてください。

宇治市 歯医者 root treatment なかむら歯科医院

シーラントして大丈夫ですか

2023年2月23日

シーラントという言葉は日本語で小窩裂溝填塞法と言います。むし歯を予防するための柱の一つです。もう一つが言わずと知れたフッ素洗口やフッ素塗布です。今回はシーラントについての私の見解を交えお話ししたいと思います。

シーラントとは

プラスティックに似た樹脂をむし歯のできやすい場所の一つである歯の噛むところにある溝(それを小窩裂溝というのです)に詰めて、その溝にむし歯の原因となる歯垢(プラーク)や細かくなった食片が入り込んで溜まらないようにして、むし歯が発生しないようにする目的に行います。虫歯ではありませんから削ったりはしません。シーラントは進行したむし歯に対して行うものではなく、あくまで健康な歯に対して行うむし歯発生に対する予防処置です。乳歯や永久歯の生えはじめの小窩裂溝は深く複雑な形態をしていて、むし歯発生の危険性の高いからです。主に乳歯、永久歯問わず奥歯の溝に行います。
シーラント処置を行うことでその部分のむし歯の発生を予防する効果が高くなるとされています。

口の中は汚い

シーラントは先程も述べた通り、健康な歯の溝に対して行います。むし歯の治療はむし歯の部分を削り取り、健康な部分に材料を詰めて、簡単に言うと溝の周辺の歯の表面処理をして、溝に樹脂を詰めます。接着剤を使わずに処置しますから外れてくる可能性が少なからずあります。取れたからといってそれを再度行うかどうかは萌出してからの期間によって判断します。歯の萌出から時間が経ち、歯ブラシもきちんと出来、もちろん虫歯もなければ再度シーラントを行う必要はありません。まだそれほど処置して間もないなら、まだ歯ブラシに自信が無いなら、若年で口腔清掃状態がよくないなら、再度シーラントすることも検討します。

生えたての歯は弱い

萌出したての歯は、構造的に少し歯の結晶が歪んだ状態です。その状態が外部からの環境が加わって少しづつ結晶の歪みが正されていきます。口の中というのは生えはじめの歯にとって決して環境がいいわけではありません。唾液1グラムで一億個の細菌がいます。その中にはむし歯菌や歯周病菌など悪玉菌、善玉菌いろいろいます。

酸性になると良くない

食事するたびに口腔内のPHが中性から酸性に傾き、また時間をかけて中性に戻っていきます。おやつなども食事と同じです。水とかお茶とかなら良いですが、糖類の入った飲み物も口に入ると口の中が酸性になります。酸性になると歯を溶かしていきますが、唾液の力でまた中性に戻ります。口腔内が中性に戻る前にまた酸性になると酸性に傾いたままと同じですから虫歯になりやすいのです。ですからダラダラ食べ、ダラダラ飲みはよくありません。
このような環境にだんだん歯は鍛えられむし歯に対する抵抗性を備えていきます。強くなっていきます。ですが、歯垢がいっぱい付いたままとか、歯みがきがきちんとできないとか、環境を悪化させる要因が多いといくらシーラントをしても虫歯は発生してしまいます。

宇治市 歯医者 stefan curve なかむら歯科医院

唾液のちから

唾液の力も遺伝的な要素がありますから人により強い弱いがあります。唾液には口の中を中性に戻そうとする力があります。それを唾液緩衝能と言います。それは何かといえば、酸性に傾いた口腔内を中性に戻すのに、時間がかかるかかからないかということです。力があれば早く中性に戻りますし、力が弱ければ酸性になっている期間が長くなります。先天的な弱点を補いことはできません。食事の後に歯ブラシしていただいくことくらいです。フッ素洗口していただくことはとてもよいのですが、それで唾液の力が強化されるわけではありません。唾液の質を変える洗口液は残念ながらないと思います。後天的な要因を極力取り除いて少しでもむし歯になるリスクを減らしたいものです。

シーラントの弱点

先程述べたように生えた歯は環境に適応して強化されていくのですが、シーラントしている部分はバリアで守られていますからなかなか強化されていきません。例えがうまくないかもしれませんが、ペンだこってご存じでしょうか。(今はキーボードを叩いて文章を書きますからわからない方も多いかもしれません。)絶えず書き物をしているとペンの当たるところの皮膚が強くなって厚くなります。よく擦れるから身体の防御作用で表皮が厚くなります。これと似たように、絶えず刺激を受けているとそれに対して身体は部分的であっても強くなります。でも人工物でバリアされている溝の部分の歯質の強化に時間はかかります。

宇治市 歯医者 sealant なかむら歯科医院

シーラントの必要な方、そうでない方

むし歯への抵抗性があると判断した方は生えはじめでもシーラントは不要と私は考えています。できるだけ自然のまま強化されそうなら人の手を入れない方がいいと思うからです。
では何を診ているのでしょうか。私なりの基準をもって診断をしています。
口腔内の清掃状態(ちゃんと磨けているか)
歯並び
むし歯で治療している歯の本数
かみ合わせ
唾液の性状(さらさらかネバネバか)
溝の深さ(レーザー診断、触診)
口を閉じているか(鼻呼吸か口呼吸か)
歯の一部が白すぎていないか
です。これらを総合的に判断してシーラントするかどうかを決めています。また奥歯の溝を全部するのか、数本だけするのか、特定の歯、特定の部位だけにするのかなども判断します。
シーラントするかどうか微妙な時は、検診の間隔を短くして経過をみて、必要ならその時に行います。

歯ブラシしなくて済むわけではありません。

歯ブラシを怠けても大丈夫にするのがシーラントではありません。前歯に対して行うことは稀ですし、溝の次にむし歯になりやすい歯と歯の間にシーラントはできません。そういったところはフッ素と歯間ブラシを併用して予防を行っていきます。また歯磨きの重要性はいつだろうと変わることはありません。

虫歯になりやすいのは

虫歯になりやすい部位に実は順番があります。一番なりやすいのは下の奥歯。次に上の前歯、その次に上の奥歯です。下の前歯はなかなか虫歯になりにくいと言われています。磨きやすい部位であることと、舌の下から唾液は出るのですが、まず下の前歯の裏に唾液がぶつかるように当たります。唾液の力の効果が発揮されているのです。逆に言えばここが虫歯になっているようでは仕上げ磨きがきちんと出来ていないか、唾液の緩衝能が低いかなど虫歯への抵抗力が無さそうですので予防的処置を積極的にされることを勧めます。と同時に歯間ブラシを含めた仕上げ磨きの徹底、シーラント、フッ素塗布などありとあらゆることを行われると良いでしょう。この時期に、歯のケアはそういうものだと子供さんも思ってくれれば、成長してからの財産にもなると思います。

奥歯の溝も大事だが

シーラントできるのは今まで話してきたように歯の溝の部分です。子供は成長していくと正常であればすきっ歯になります。乳歯の大きさは変わりませんから歯と歯の間は空きます。歯磨きがちゃんと出来ず、歯と歯の間に食片や歯垢が残っているとそこから虫歯になります。仕上げ磨きの時には是非奥歯の歯と歯の間にフロス、糸ようじを通すようにしてみてください。歯と歯の間の歯面は平坦です。ツルツルです。シーラントは溝を埋めることはできますが、歯と歯の間の歯面にシーラントすることはできません。この部分の予防処置はフッ素洗口、フッ素塗布、仕上げ磨き、これ以外にはありません。できるなら親御さんの仕上げみがきでフロスをする時には、フッ素が入った歯磨剤をほんの少しつけてフロスしてください。夜間、唾液の出ない時間にフッ素を歯面に少しでも滞留させたいからです。

あなたの歯磨きは完璧ですよね!

2023年2月16日

バイオフィルムという言葉を聞いたことがありますか

ちょっと難しい話をしますね。
バイオフィルムとは硬い物質と液体の境界との境界に微生物が層状の巣を作っている状態のことをいいます。もともとは工業や建築関係で使われている用語ですが実は歯にもバイオフィルムができるのです。歯も硬い物質で唾液という液体に覆われていますのでその表面にバイオフィルムができやすいのです。歯にできるバイオフィルムはプラークのことなのです。

宇治市 歯医者 biofilm なかむら歯科医院

プラーク

プラークは歯周病菌やむし歯菌をはじめとするさまざまな微生物が強固にくっつきあってできた巣です。プラークは食べ物のカスのように思われがちですが、そうではなくて歯周病菌やむし歯菌をはじめとする様々な微生物のかたまりです。歯周病はその中の歯周病菌が引き起こす病気で、歯周病の予防や治療のためにはこのバイオフィルムを確実に取り除くことが必要です。ですが、バイオフィルムは菌をやっつける薬、すなわち抗菌剤や界面活性剤などに対して抵抗性を持つため、薬だけでバイオフィルムの中に住み着いている微生物を完全に死滅させることは望めません。歯周病の治療では腫れたりしたときに炎症を抑える手段として使われます。薬は補助的に使うと効果的な場合があります。

機械的に取り除くしかない

バイオフィルムを取り除くために最も有効なのはやはり歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどによる歯磨きです。歯ブラシで機械的に掻き出すことによってバイオフィルムを破壊、除去することができます。歯周病の予防、治療にはバイオフィルムを確実に取り除ける歯磨きが一番重要なのです。バイオフィルムの色はうす黄色で、ネバネバ、ヌルヌルした感じで、歯を磨かないでいるとほんの一日で歯の表面を覆う様になります。
このプラークの1/1000gの中には1億を超える細菌が棲みついています。小さなスプーン一杯の砂糖が約1gですので、その1/1000のりょうの中に日本の人口くらいの細菌が棲みついているのです。もともとは口の中の歯肉や粘膜や舌、唾液などに潜んでいたのですが、より棲みやすい環境のプラークを見つけるとプラークへ移り住むのです。

粘りつく

歯ブラシをしても歯の表面にはペリクルという唾液からの成分である糖タンパク質がすぐに薄い皮膜を作ります。この被膜にう蝕などの原因となるストレプトコッカスミュータンス菌などがくっつきます。くっついた菌は食べ物の中のショ糖を使ってグリコカリックスというネバネバした物質を作って自分たちの周りをテントのように覆い始めます。

口腔内は住みやすい

そしてこうなるとしめたもの、細菌たちにとってとても棲みやすい環境となります。ミュータンス菌はう蝕を作り、またこの状態が数日続くと今度はこの棲みやすい環境を狙ってとても凶悪な細菌たちが侵入して増えてきます。この悪玉菌たちからできているプラークは歯周病の原因となり、歯ぐきを腫らし、血や膿を出したり、歯の周りの骨を溶かしたりすることに関係します。またこのプラークは外からの抗生剤や唾液の中の抗菌成分の攻撃が内部に及ぶのを防御するいわゆるバリアとなります。

バイオフィルムは毎日作られている

このプラークの脅威を取り除く方法で一番簡単な方法は何か?
歯ブラシの毛先で細菌たちの巣を破壊し掻き取ること、すなわちブラッシングです。
甘い物の入っているやわらかい食べ物はプラークができるのを手助けするので、繊維質の野菜などを積極的に食べ、プラークを付きにくくする方法もあります。
いずれにしても、プラークがついたら速やかに取り除くこと、これがお口の健康を保つ秘訣です。

完璧にできているか

自分の歯ブラシでバイオフィルム、プラークが完璧に毎日除去できているとあなたは思いますか?
歯垢染色液という歯垢のみを染め出す液を歯に付けると、どんなにきれいに磨けているつもりでも歯垢が残っていることがほとんどです。書いている私もそうです。自信をもって磨けている人でも、うっすらとバイオフィルムは残っていると思ってもらってちょうどよいです。しっかりブラッシング出来ていますから炎症、すなわち歯周病を引き起こすレベルにはありませんがそれでも新たな足掛かりとなるバイオフィルムの付着を極力少なくする環境を整えるため、定期的に歯科医院にて歯石除去、歯面を滑沢にしておくことが大切です。誰にでも磨きづらい箇所はありますから、プロによるクリーにングは定期的に必要です。

宇治市 歯医者 Polishing なかむら歯科医院

プロのクリーニング

それをPMTC あるいはPTCと言います。Professinal  (mechanical) Technical Cleaninng の略です。当院では定期健診、歯のクリーニングに来ていただいた方全員にお話しさせていただいた上で染め出しをさせていただきます。歯に付着している歯垢、歯石にだけ色の付く特殊な液体を歯に塗って、歯垢の付き具合を確認します。歯石の視認は比較的しやすいですが歯垢は歯と同じ色をしていますので視認しづらいのです。来院される前にほとんどの方はブラッシングされています。自分のベストの歯磨きをされているはずです。

こちらで磨きます

染め出された部位はその方にとって磨きづらいところということです。その部分を確認してもらい、衛生士さんがその部分を磨き、きれいにします。その磨き方を体感していただき同じようにご自宅でブラッシングしていただきたいのです。ご自身で磨いていただき、指導だけ行ってもより良い力の入れ具合、歯ブラシの角度はわかりづらいからです。

宇治市 歯医者 plaque check なかむら歯科医院

体感して覚えてください

ブラッシングを体感していただいて、歯垢を除去します。それから歯石を除去します。歯石は、歯茎の上に付く歯石と歯茎の中にある歯石があります。歯茎の上にある歯石は目視出来ますから除去しやすいです。歯茎の中にある歯石はわかりづらいです。なるべく除去しますが痛みを伴うこともあります。その場合は無理をしません。安心してください。歯茎が腫れている場合、適切なブラッシングで歯茎の腫れは改善します。歯茎の腫れが無くなると痛みを感じることも少なくなります。また見えなかった歯茎に隠れていた歯石も見えるようになります。

知覚過敏は一時的

歯石を除去することで一時的に歯が滲みることもあります。炎症がなくなり、歯石が取り除かれると知覚過敏のような症状はなくなりますので、心配せずブラッシングを続けてください。治療中に滲みるようであれば知覚過敏の処置をします。

それで歯の表面はきれいに、ツルツルになります。ツルツルにすることでバイオフィルムが歯面に付きにくくするのです。更に、フッ素の配合されたペーストで歯面を強化しつつもっとツルツルにしていきます。特に磨きづらかったところ、染め出し液で色の付いたところ、歯と歯の境目、歯と歯茎の境目、一番奥の歯の後ろ側です。

歯質の強化

何のためにPMTCを行うかと言えば、バイオフィルムが少しでも付着しづらいようにするためです。その他に、研磨材の入っていないフッ素配合のペーストで歯面を磨くことで歯質の強化を行い、虫歯予防のためということもあります。とはいえ何よりも一番大事なのは家でのセルフケアです。足らないところを補うのが医院でのプロフェッショナルケアです。一日1回のブラッシングの方は2回のブラッシングを。その次はなるだけ歯間ブラシやフロスを使うようにする。その次は日に3回ブラッシングをする、などどんどんセルフケアの質を高めてもらえると嬉しいです。

生えはじめの永久歯は未完成なのです。

2023年2月9日

永久歯の歯の芽は顎の中で時間をかけて成長し、6歳くらいになると顔を出し始めます。最初に生える奥歯の永久歯は一番後ろの乳歯の後ろに生えてくる第一大臼歯(6歳臼歯)で、13歳ごろまで永久歯の生え代わりが続きます。6歳臼歯は噛み合わせの要で、「歯の王様」ともいわれています。生えはじめは歯ぐきが歯に覆いかぶさって奥に生えていることから汚れがつきやすくむし歯になりやすいのです。6歳臼歯を早期に失ってしまうと食べる機能にとって大きなダメージです。その他の歯の寿命にも影響してきます。

生え代わり時期の歯磨き

ポイント1

歯の生え代わり時期は乳歯と永久歯が混在するため歯みがきが難しくなります。乳歯期用の歯ブラシは毛が短いものが多いため永久歯の溝に届きにくく、磨き残しが起きやすくなります。生えたての永久歯の表面は未熟で酸に弱くむし歯になりやすいのです。より丁寧に磨くことを心掛けましょう。

ポイント2

歯と歯の間の汚れを落とすための補助としてデンタルフロスを使いましょう。歯と歯の間にフロスを入れスライドさせながらゆっくり下ろしていきます。そのあと歯に沿わせて上下に、歯ぐきに触れないようしながら上下に数回動かす。これらは仕上げ磨きとして保護者がしてあげるとよいでしょう。

ポイント3

生えたての6歳臼歯は他の乳歯より背丈が低いので歯ブラシを口の横から入れて磨くようにするとよいでしょう。

ポイント4

6歳以上ではフッ素配合歯磨剤を子供用歯ブラシの半分くらい乗せて歯みがきをしてもらいます。ぶくぶくうがいは練習してすすぎ過ぎないようにして口の中にフッ素を滞留するようにします。歯磨き直後の飲食は避けるようにしてください。

ポイント5

自分で磨けるようになっても仕上げ磨きは9歳頃まで続けてください。

よく噛んで何でも食べることが健康の元

歯と心を育む食事の体験が大切です。最近の若い人たちは柔らかい料理や食品を好む傾向にあります。その結果脂質を摂りすぎ必要なビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足するためやがて生活習慣病を招きかねません。自分自身で健康を守り豊かな食生活を送る力を身に付けるためには食に触れる体験や思い出を増やしてあげましょう。

歯並び、かみ合わせに注意する。歯並びや噛み合わせが悪い状態を不正咬合といい、乱杭歯、受け口、出っ歯などがあります。

かみ合わせが悪いと噛む力が弱くなる傾向があり、むし歯や歯周病になりやすい、発音障害が起こるなど多くのデメリットが生じ、身体全体の発育にも影響を及ぼしますから、早めに受診していつから治療すべきか相談されるとよいでしょう。

予防意識を高めて永久歯を大切にしてください。

12~13歳頃には第二大臼歯が生え(12歳臼歯)上下合わせて28本の永久歯が生え揃います。永久歯は第三大臼歯(親知らず)を入れると32本ですが親知らずが生えてこないこともあります。早めに抜歯した方がよい場合もありますのでお聞きください。

青春期(思春期)はホルモンバランスの変化により歯ぐきに炎症が起こりやすくなります。更に受験などの精神的なストレスの影響によって歯肉炎から若年性の歯周病に進行することがあります。歯磨きのときに歯ぐきを観察し、赤くなっている、痛みがある、ぶよぶよしているなどの症状があれば早めに受診され歯みがき指導を受けられた方がよいかとおもいます。

思春期の口臭があります。

この時期には生理的な口臭があります。歯垢によることもありますがむし歯や舌苔(舌の表面に付着した細菌の塊)などが原因であることもあります。その他ストレスなどによる心理的な口臭もあります。そのような場合は相談してみてください。

青年期のお口のケア

青年期はすべての歯が永久歯に生え代わり、8020に向けてのスタートラインです。この時期は学校や部活の帰りなど飲食の機会が増え食生活が不規則になり、むし歯と歯周病のリスクが高くなるので、生活習慣を整えてこれまでの歯磨き習慣が途絶えてしまわないようにすることが何より大切です。

疲れて歯みがきせずに寝てしまったり、夜食を食べてそのまま寝たりしないようにしてください、

むし歯になりやすい場所として、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、奥歯の噛み合わせの面の溝、があげられます。

プレゼント

お口の中に1本でもむし歯があればむし歯ができるリスクが高くなることは明らかになっています。これからは、生まれる前から子供の歯を大切に育てるという考え方に変わりつつあります。丈夫な歯と綺麗な歯並びをお子様にプレゼントしてあげましょう!

歯並び育ては0歳から始まります。

2023年2月2日

歯並びの土台は授乳の時につくられます。

歯が生えてくるころに赤ちゃんの顎の発育が遅いと、歯の生えるスペースが狭くなりため、ねじれたり、重なって生えてしまいます。そのためまず大切なのが授乳の仕方です。歯が生える前に赤ちゃんがおっぱいを吸う行為が唇や舌を使う筋肉を発達させ、その刺激で顎の骨も発達させます。正しく授乳させることが大切です。正しい授乳が正しい舌や唇の筋肉の使い方を教えることになります。その教えが無いと顎の発達に影響するのです。将来にわたって影響を及ぼすことになるのです。そのコツはなんでしょう。

乳首をしっかり口に含ませて、口全体を使えるようにさせる。

赤ちゃんの目を見て授乳する。

哺乳瓶の場合はその吸入部が劣化すると筋肉を使わず楽に飲めてしまうのでよくないです。

まめに取り換えるようにしましょう。

卒乳は1歳から1歳半が望ましいです。離乳食が始まると糖質を摂ることになりますからむし歯のリスクが高まるからです。

乳歯は3歳頃までに生えそろいます。

生後7~8か月頃になると初めての歯が生えてきます。1歳頃には上4本、下4本の前歯が生え、2歳半から3歳くらいまでに20本の乳歯が生えそろいます。ちなみに大人は親知らずを除くと28本です。2つの歯が1つになった癒合歯も見かけることがあります。その場合は歯の本数は減ります。永久歯も少ないことがあるので永久歯に生え変わる頃にチェックされるとよいです。

乳歯は永久歯に比べてエナメル質と呼ばれる歯の一番外側に当たる部分が軟らかく薄いため、むし歯になりやすいです。痛みも感じにくいため、気づいたときはかなり進行していることもよくあります。乳歯のむし歯を放置しておくと永久歯にも影響を及ぼすこともあります。

歯の生える時期や順番には個人差があります。人と違うからとか、生えるのが遅いとか、気になるかもしれませんが、めちゃめちゃ心配なさらなくてよいです。心配な場合は診せていただきますからご遠慮なく受診されてください。

3歳までに習慣つけるのがとても大切です。

むし歯はミュータンス菌によって引き起こされることをご存じの方はおられると思います。胎児期の羊水の中には細菌はいません。産道を通ってくるとき、あるいは生まれてから感染するのです。ミュータンス菌の多くは母親の口の中から入ってくることがわかっています。ぜひとも出産前にお母さんのむし歯をゼロにしておくことをお勧めします。少しでも感染のリスクを減らしておくのも親の務めではないでしょうか。

赤ちゃんの口にキスしたり、大人が口に入れたスプーンやフォークを赤ちゃんの口に入れる、(フーフーと冷ますのもできれば)など出来る限り避けるとよいでしょう。

仕上げ磨きは絶対しましょう!

下の前歯が生えてきたら保護者による仕上げ磨きのスタートです。まずはガーゼを指に巻き、ぬるま湯に浸してから赤ちゃんの歯をやさしくぬぐいます。上の前歯が生えてきたら歯ブラシを使って磨いてみましょう。特に上の前歯はむし歯になりやすいので歯と歯の間、歯と歯茎の境目を丁寧にみがきましょう。歯ブラシはヘッドと呼ばれる頭の部分が小さいものを選んでください。子供のあごに手で支えてください。歯ブラシは鉛筆を持つようにして歯ブラシの毛先を歯に対して垂直に当て、軽い力で横に小刻みに動かしてください。上唇の裏側にある歯茎の筋に歯ブラシが当たると痛いので人差し指でガードしてあげてください。嫌がられるとその後苦労しますから。

一旦習慣づけるとあとが楽です。ここが勝負ところと頑張ってください。奥歯が生えてきたら溝に汚れが溜まりやすくむし歯になりやすいので念入りに仕上げ磨きをしてあげてください。

歯が生えはじめたら歯医者さんデビュー

まずは歯医者さんに慣れましょう。初めのうちは歯医者さんは怖くないことを印象づけましょう。定期健診で行くところ、というイメージを持つように。ですから、いきなり治療台に座るとかでなく、お母さんの定期健診に一緒に来ていただくだけでよいです。横で見てもらってるだけでよいです。雰囲気に慣れてもらいましょう。3歳になったら自分で磨く習慣づけができていれば最高です。幼児用の歯ブラシを使い自分で磨く練習を始めましょう。全体をまんべんなく磨けているようだったらほめてあげてください。最初はきちんとできなくてもよいです。自分で歯ブラシすることを褒めてあげてください。仕上げ磨きは必ず行ってもらうのですから。グチュグチュペッができるようになったら、フッ素配合の歯磨剤を使うとむし歯予防になります。無理に使わなくてよいです。

3歳から噛む力をつける食事を

近年子供にも生活習慣病が増えていますが、よく噛んで食べることで生活習慣病の危険因子である肥満を防ぐことができます。噛む回数が増える食材を選びましょう。肉や食物繊維の多い食材(ごぼう、生キャベツ、きのこ、海藻)など歯ごたえがあり、よく噛まなければ食べられない食材を選びましょう。

薄味を心掛けましょう。料理の味が濃いとあまり噛まずに飲み込んでしまいます。噛む力をつけ素材の味を感じられる舌に育てるためにも薄味を心掛けてください。

食材は一口サイズよりも大きめにすると食べる力が鍛えられます。かぶりつくような大きさがおすすめです。煮込み過ぎると軟らかくなりますからそれもあまりよくありません。

食事中に水などの飲み物があるとよく噛まずに流し込んでしまいます。よく噛んで唾液を出して食べる習慣をつけるようにしてください。

妊娠中はお口のトラブルが起こりやすいのです。

2023年1月26日

妊娠中は女性ホルモンの作用で唾液がネバネバして、口の中を洗い流す自浄作用が低下し口腔内細菌が増殖してむし歯や歯肉炎になりやすいです。つわりのために歯みがきができなかったり、食事の回数が増えたり口腔内環境を悪化させる要因が増えます。

早産、低体重児出産のリスクを高めるのは

歯肉炎になりやすいのはそうなのですが、それは適切なブラッシングで改善されます。改善できない状況が進んでいくと歯周病になります。歯周病が怖いのは重症化するとおなかの赤ちゃんに影響が及ぶことです。炎症状態が続くと早産や低体重児出産(体重2500グラム未満で生まれること)のリスクが高くなります。適切なセルフケア、歯垢の除去を確実に行い歯科医院などで歯石を除去することで歯周病を予防、改善していくことが大切です。

親知らずの抜歯は妊娠前に

妊娠前に歯科を受診した際、親知らずの状態を確認した方がよいです。定期的に歯科検診されるのが一番よいのですけれど。むし歯や親知らずの周囲の歯茎の炎症を起こす可能性が高い場合は事前に抜歯することをお勧めします。

奥にありすぎて適切な治療をすることができないことが多いですし、その手前の歯が親知らずのせいでむし歯になること、なっていることもあります。

歯ぐきに炎症がおき、口を開けたり、唾液を飲み込んだりするときの痛み、などがおこると抗菌剤を服用することが多いです。安全な薬剤ではありますが、特に妊娠初期に薬は飲みたくないですよね。できれば妊娠の可能性のない時に抜歯しておくとよいです。

妊娠中のケア

妊娠初期(0~15週)

つわりのために歯ブラシを口に入れられない時は無理せず洗口液などですすぎましょう。それだけで歯垢が取れませんが、できることをしていくことが大切です。気分の良いときは歯ブラシのヘッドが小さいものを使い、出来る範囲で磨きましょう。歯磨剤などのにおいが気になるようなら使わなくてもよいです。

安定期(16~27週)

つわりがおさまり安定期に入ったらマタニティー歯科検診を受けましょう。宇治市、城陽市、久御山町の2市1町の妊婦健診を是非ご利用ください。歯肉の腫れや出血、むし歯などによる歯痛などの異常がある場合はこの時期に受診します。もちろん何の症状がなくても受診されるとよいと思います。歯科で用いる麻酔の使用量は僅かなので胎児には影響はありませんが、出産後まで治療が待てるようならそのようにします。必要なら暫間的な治療を行います。痛みが相当なら治療を行います。

妊娠後期(28~39週)

正しい歯磨きをしっかり行ってください。強い痛みなどの緊急性がない場合の歯科治療は産後に行うことも考えます。

妊娠中は体調不良などで日常生活での制約が多くなりお口のケアが不十分になりがちです。一旦完成した歯からカルシウムが流出することはありません。子供にカルシウムが取られる、ということはありません。この時期のケア不足が原因でむし歯になったり、歯周病が進行するので歯が悪くなるのです。つらい時期ではありますがこの先何十年も使う大事な歯ですからできる範囲でケアすることを心掛けてください。

赤ちゃんの歯は妊娠中から育っています。

妊娠初期には歯の芽ができ始めています。乳歯だけでなく永久歯の芽もでき始めているのです。

妊娠7週目ころから乳歯の芽ができ始めます。妊娠4か月の後半から乳歯が形作られ永久歯の芽もできはじめます。誕生を迎える頃、永久歯もかたち作られ始めます。

妊娠中の食事がポイントです。丈夫な歯をつくるにはお母さんが健康であることはもちろん、バランスのとれた食生活を通してお腹の赤ちゃんに栄養を補給することが大切です。

積極的にとりたい栄養

カルシウム

カルシウムは赤ちゃんの骨や歯、血液、神経組織などを作る上で大事な栄養素です。豊富に含まれている食品は、乳製品、小魚、豆類や大豆製品、海藻類、緑黄色野菜です。

タンパク質

赤ちゃんの歯の芽をつくるにはタンパク質も欠かせません。肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などをバランスよく摂りましょう。

リン

歯の石灰化(硬くなること)のために必要です。米、牛肉、豚肉、卵などに多く含まれています。

ビタミン

ビタミンAは歯の表面のエナメル質の重要な栄養素になります。豚肉、レバー、ほうれん草、にんじんなどに含まれます。

ビタミンCはエナメル質の下の象牙質の重要な栄養素になります。ほうれん草、みかん、さつまいもなどに含まれます。

ビタミンDはカルシウムの代謝や歯の石灰化に関係しています。バター、卵黄、牛乳に含まれています。

鉄分

妊娠中は貧血になりやすくなります。貧血が続くとお腹の赤ちゃんの成長に影響しますので鉄分は妊娠前の3倍以上を目安に摂りましょう。小松菜、ほうれん草、ひじき、レバー、赤身肉、カツオ、ブリなどに多く含まれています。

大変な時期ではありますが、偏りのない食生活を心掛けてください。

あなたの味覚は正常ですか

2023年1月19日

基本5味

味覚とは、甘味(ショ糖)、塩味(塩化ナトリウム)、酸味(酒石酸)、苦味(塩酸キニーネ)、うま味(グルコン酸ナトリウム)これらが基本5味と言われます。最近では脂肪味と言われるものが追加されるようで、第6の基本味となるかもしれません。食べ物でイチゴ味、チョコレート味などありますが、これは風味であって嗅覚に属するものになります。

味覚異常

味覚異常と一口に言いますが、その異常にはいろいろあるのです。口が渇くのは口腔乾燥症、何を食べても苦く感じる、いつもと味が違うのは異味症、何を食べていないのに口の中が苦いのは自発性異常味覚、塩味と酸味を間違えるのは錯味症、舌がピリピリするのは舌痛症、味がしないのは味覚消失・脱失、何を食べてもまずくて吐き出したくなるのは悪味症、甘味だけがわからないのは解離性味覚障害、口がねばねばするのは口腔内異常乾燥症、味が薄いのは味覚低下・減退、塩味がきついのは味覚過敏、コーヒー・お茶・紅茶の味がしない、お湯みたい・カレーもわかりにくいのは風味障害 などなどこれらの味覚異常でも、量的味覚異常、質的味覚異常に分けられます。前者には味覚低下、味覚脱失、解離性部分的味覚障害が、後者には自発性異常味覚、悪味症、異味症、味覚過敏などになります。高齢者の場合、口腔・咽喉頭真菌症が原因であることが多いです。症状として舌痛、違和感、味覚異常、口渇感などがあります。他に扁桃癌、舌根腺様嚢胞癌、紅板症などからもおこることもあります。

ストレスも原因になります

どこに障害があるかを考えると、味覚を受け入れる器官の障害か、そこから脳に伝達する神経の問題か、味覚を司る脳の問題か、心因性の問題か、味覚を受け入れる器官そのものに伝わっていないのが問題か(唾液が少ないとか)何が原因であるかを考えないといけませんから、味覚障害はただ口の中だけに原因があるわけではありません。脳の問題であればCTやMRIなどの検査が必要ですし、何かしらのストレスが原因であれば十分な問診の上、向精神薬の投与の可能性もあります。全身疾患として捉えないといけません。味覚を受け入れる器官の障害を起こす原因として服用薬剤によるものがあります。抗腫瘍薬、降圧剤、抗真菌薬、抗菌剤、経口血糖下降剤、ステロイド、抗リウマチ薬などなど。全身疾患として肝炎、肝硬変、腎不全、透析、悪性腫瘍、ベーチェット病、シェーグレン症候群、甲状腺機能低下症など。亜鉛、微量元素、ビタミン欠乏症により起こるハンター舌炎、プランマービンソン症候群もあります。先にのべた口腔粘膜障害があります。これらはそれぞれ、使用薬の中止・減量・変更、原因疾患の治療、欠乏物質の補充、抗真菌薬・舌炎などで対処していきます。

亜鉛服用がすべてではありません

味覚障害で亜鉛や微量元素の接種が有効とされていますが、他の全身疾患や薬剤性のものが原因であれば効果はありません。また市販のタブレットでは含有量が投薬されるものとは違いますから、医療機関の受診を勧めます。歯科医院を受診され味覚障害の原因が特定されない場合には近隣の口腔外科をご紹介いただけると思います。

口腔がんの発見率は0.09%(胃がんは0.10%)

2023年1月12日

定期健診にお越しいただくと、むしばのチェック、歯周病のチェック 歯周ポケットの測定 歯の動揺度測定、かみ合わせのチェックなどとともに軟組織、舌、舌の下、唇の内側、頬の内側、上あごの粘膜、歯ぐきの色などに問題がないかを診ています。

紫か紅か白か黒か。

黒はわかりますよね。何かの拍子に噛んでしまい内出血していることもあります。その場合は消えますが、ずっとあって逆に広がっているのはあまりよくありません。その場合は至急口腔外科での精査をお勧めします。紫も色が段々周りの色と変わりないようになれば問題はありません。

赤色、白色、の場合にはその性状を診ていかないとわかりません。凹んでいるのか、出てきているのか、周りが赤くて中が白いのか、隆起しているのか、境界明瞭なのか、そうでないのか、痛いのか痛くないのか、きれいな色かそうでないか。健常な状態から大きくかけ離れているようであれば早めに口腔外科の受診を勧めます。健常な色に近い場合は経過を見てもよい場合もあります。その場合は2週間程度を目安にしています。痛みもない場合には受診を勧めてもなかなか受診していただけないのですが、その場合には当院で口腔内写真を撮り2~3か月毎の経過観察を続けていくことがよいと思います。本当は口腔外科を受診していただきこちらも安心したいのですけれど。

舌の上の色は見ますか

舌の上が白い、あるいは黒い

軟食が多いと舌の上が白くなったり、抗生物質を長期に服用するといわゆる口に常在する真菌いわゆるカビが優勢になり舌の上が黒くなります。これらは原因がはっきりしているので原因が解消されるとよくなります。舌の上に白い模様ができることがあります。また舌に深い溝ができていることがあります。これは原因不明なのでどうしようもありません。でも問題はありませんから経過観察していけばよいです。

大変なのは舌がんです。

口腔がんの6割は舌がんです。そのほとんどは舌の端、舌縁に発生します。危険因子として、1、喫煙、飲酒 2、慢性の機械的な刺激 3、口腔の不衛生 4、加齢

これらの刺激が長期間繰り返されることによって正常な細胞が通常の細胞のサイクルから外れて増殖し続ける がん細胞へ変化していくことにより がんが発生するとされています。

慢性的な機械的刺激として、舌側に倒れこんでいる歯、虫歯、歯ぎしりなどで歯が尖っている、合っていない詰め物や義歯 があります。包丁状に鋭く薄くなった部分があればそこを研磨は重要で、来院時にチェックはしています。必要であれば定期健診時にお話しして調整をしています。アフタ、いわゆる口内炎は7~10日で消失することが通常です。長く消失しないようであれば受診をお勧めします。また、入れ歯の当たるところも放っておくのもよくありません。慢性的な刺激ですから口内炎の薬を塗ってもよくなりません。義歯の調整は必ずしてください。特に義歯が新しくなった場合はいわゆる当たりが出てきますから遠慮は不要です。

0.09%の意味

頬や歯ぐきに薄い白いまだら模様があるとものが当たったり、しみたりする場合、あるいは舌や歯ぐきに境界明瞭な白い部分がこすっても取れず、長くへばりついている場合があります。これはがんになる前兆となることがあるので要注意です。細胞を取って組織検査して病名を特定した方がよいです。口腔外科で検査して切除することもありますが経過観察することも多いです。定期健診に来ていただくと共に口腔がんの検診も当院では行っているつもりです。尖っているところがないか、義歯と擦れているところはないか、粘膜の異常はないか、などなど。むしばや歯周病だけではないことをご理解ください。

集団検診におけるがんの発見率は

胃がん 0.10% 大腸がん 0.16% 子宮がん 0.10% 乳がん 0.06% 肺がん 0.03%

口腔がん 0.09% です。

宇治市 歯医者 shiga dental assosiation なかむら歯科医院

インプラントは抜歯の逆の治療です。

2023年1月5日

そう言われるとそうですよね。

麻酔をして抜歯をする。抜いたところは出血をします。そこにかさぶたが出来ます。そこの表層が歯肉、いわゆる歯茎ができます。内側は骨が少しずつ出来てきます。歯肉と骨の治り方、でき方は歯肉の方が圧倒的に早いです。骨はなかなかできてきません。特に歯周病や歯の破折で抜歯した場合、骨はなかなかできません。身体は早く骨の露出している部分を埋めて感染を防ごうとするからです。ですから骨は二の次なのです。

タップを切る

インプラントは歯茎を直径4㎜ほど切開し、直径4㎜、長さ10㎜ほどの骨を削り取らせてもらい、そこにインプラントを入れていきます。

インプラントの形態はネジのようになっています。またインプラントとの表面を電子顕微鏡でみると粗造になっています。

骨を削ったところにタップを切り、そこにインプラントを少しずつ回転しながら少しずつ骨の中に埋め込みます。このように機械的に結合させるのですが、先程記載したようにインプラント表面が粗造になっていることでインプラントの表面面積を増やして骨と結合する面積を多くします。

インプラント周囲が全て骨であれば歯茎の入り込む余地はないのでインプラントの周囲に骨が直接ひっつくのです。

抜歯と同時にインプラントする、という手立て

周りに骨の無い場合、例えば前歯が割れて、抜歯した後すぐにインプラントする場合などはインプラント周囲がすべて骨ではありませんから歯茎で覆われる可能性があります。

そのような時、自分の骨と同時に人工の骨をインプラント周囲に敷設し、インプラント周囲すべてを骨になるようにします。

でもそれだけでは問題がでます。自分の骨ならそのようなことはありませんが、人工の骨は顆粒状であることがほとんどで、その顆粒の僅かな隙間に自分の骨が入っていく前に歯茎が入り込もうとしてきます。

人工の骨の顆粒の隙間に自分の骨が入って前に歯茎が入らないようにするためインプラント術と同時に特殊な膜を用います。

人工の骨が自分の骨と同じようになるのには自分の骨だけより時間がやはりかかります。だいたい半年を一つの目安とお考えください。自分の骨だけでも骨がやわらかい場合、かたい場合、抜歯して期間がまだ間もない場合、などによってもインプラントと骨の結合度合いが異なるので上物に取り掛かる時期が異なります。

骨のかたさはわかりません

骨が硬い場合、上物に取り掛かる時期は早まり、骨がやわらかいと遅くなります。骨のかたさはCTなどで術前診査してもわかりません。

あまりに骨がやわらかい場合インプラントを骨の中に設置することを断念します。そこまでではないがやわらかい場合、骨の中にインプラントは設置しますが歯茎の中に完全に埋めてしまい、3か月から半年くらい骨とくっつくのを待ちます。その後インプラントと骨の結合状態を知るために歯茎を少し切開して検査をします。結合状態に問題無ければ上物に取り掛かりますが、よくなければもう少し待つことになります。

最初から骨との結合状態がよければ3か月から半年くらいで上物に取り掛かります。

骨のかたさ、骨のボリュームに問題なければ事前に繊細に準備をしないといけませんが、全身麻酔が必要な治療ではありません。抜歯と同じく局所麻酔で行いますし、インプラント一本の設置であれば麻酔や術後の経過観察の時間を除けば30分くらいで済むことが多いです。

難しい抜歯と易しいインプラント、いろいろあります。

抜歯でも骨の中に完全に埋もれている場合など難しいケースもあります。インプラントも骨の無い場合など難しいケースがあります。

抜歯もインプラントも難しい、易しいがあるのです。インプラントの治療は今では特別な治療ではないと思っていただいてよいかと思います。

 

宇治市 歯医者 implant plus abutment なかむら歯科医院

歯の黒いところは虫歯とは限らない

2022年12月29日

予約をお取りする際に何が気になっていらっしゃるかお聞きするのですが、黒くなっている、とおっしゃる中には実は虫歯でない場合も多くあります。

詰め物の劣化もあります

先のコラムにも記載しましたが、白い詰め物を随分前に治療し詰めている場合、材料そのものの経年劣化で色が少しずつ茶色くなっていきます。健全な歯質に比べると色が違いますからそのように思われるのは無理もありません。気になるようであれば材料を削って新たに詰め治すことになります。詰め物全体の色の劣化ですから元の材料を全て取って詰め治すことになります。

詰め物との段差もあります

同じく白い材料で詰めた場合、その材料と自分の健全な歯質との境目に段差がついて茶色い線が歯の表面に現れることがあります。段差をなくすようにフラットに削っていけばよいのですが、その部位が凹んでいる場合には詰め治す必要があります。凹んでいなければ比較的簡単に改善します。

金属の詰め物が透けていることもあります。

金属の詰め物がしてある場合、残っている自分の歯が薄いと金属が透けて黒く見えることがあります。虫歯のことも考えられますから診断が必要ですが、虫歯でなければ白い詰め物か、被せ物にするかなどしないと改善しません。金属が透けるくらいに歯質が薄いので白い詰め物でやりかえても歯が欠けてくる可能性が高いですから、被せ物にした方がよいと思います。

神経の無い歯は茶色くなっていきます

神経を取っている歯は経年的に茶色くなっていきます。神経を除去するとその時に赤血球が根の中に少なからず残留します。その赤血球が酸化していき歯自体が少しずつ茶色くなっていくのです。被せ物をせずに詰め物がしてあると歯の色が特に際立ちます。被せ物をしてあっても歯茎が下がると根っこの部分が出てきて、そこが茶色く見えます。この場合、やはり歯を削って被せ物をしていくことになります。

神経を取ってからの期間などにもよりますが、歯の根っこの中に根管漂白用の薬を入れて神経のない歯を白くすることができることがあります。一般的なホワイトニングではありません。ホワイトニングは神経のある歯の自分の歯の部分だけに作用します。詰め物の部分は白くはなりません。なるべく歯を削らずに白くすることを検討してみてもよいとおもいます。但し根管内の漂白もホワイトニングと同じく保険外診療となります。

奥歯の溝の黒い筋はどうしようか

奥歯の歯の溝が黒くなっているとおっしゃることがあります。この場合は虫歯のこともあります。ダイアグノデントという診断機器などを用いてその深さを調べます。黒くても深くない場合には前回に記載したように経過観察していきます。虫歯の進行が停止していれば積極的に治療しなくてもよいですし、必要ならば虫歯の進行止めの薬剤を用います。進行止めの薬は銀の成分が入っているので黒くなりますが。黒いところが黒くなっても変化はありません。進行が止まれば削らなくてよいのです。前歯と違って見た目をさほど気にしなくてよいからです。でもやっぱり黒いのが気になるということであれば削って詰めればよいですが、可能ならあまり削らずに済ませたいと思っています。

いずれにしても定期健診で経過観察を続けていくことがとても大切です。

宇治市 歯医者 初期う蝕 なかむら歯科医院

歯の黒いのは気になりますよね

2022年12月22日

診療の予約をお受けするときに、気になっている点、痛みの有無、などをお聞きするのですが、痛みはないが歯が黒くなっているのが気になるので見て欲しい、という旨をお聞きすることがよくあります。

初期う蝕かも

虫歯の初期は痛みがありません。エナメル質というところに限局している場合には歯の神経と直接つながっていないからです。前歯の表面ならよくみればわかるかな、というほどで、歯と歯の間や内側にあると自分ではほとんど見えないと思います。奥歯であればなおのことご自身ではわからないと思います。C1といわれる状態です。
それくらいですから、治療する側の私も対応に苦慮します。
虫歯にたどり着くまでの健全な歯質を削合しなければならないからです。取り切るべき虫歯の量と比べて健全な部分の方を削ることが多いと本末転倒ではないか、と考えるのです。
北欧では初期う蝕の場合、経過観察をして必要になればその時治療に介入するというスタンスです。虫歯の進行が停止することもあるからです。レントゲン撮影やその方の持つう蝕抵抗性や年齢、定期的な受診に応じていただけるかどうか、私の臨床経験なども加味して経過観察にするか、治療に踏み切るかを私の判断基準にしています。
ですからC1程度であれば必ず治療、ということにはしていません。

どうしても白くしたいですか

虫歯を取り除いた後に詰め物をしていくことになります。前歯はほとんど白い詰め物で埋めていくことになります。平たく言えばプラスティック系の合成樹脂なのですが、経年的に劣化していきます。簡単に言えば少しずつ色が茶色くなっていきます。白く詰めることのできる材料は今のところ種類はあれど大きな範疇ではこれしかありません。ですから前歯の治療はなるべく避けたいのです。どうしても必要な場合には内側から虫歯を取っていき表側のご自身の歯をなるべく残すように診療しています。そうすることで歯の色が自然に近い状態で過ごしていけるのです。

経過観察は必ずチェックが必要ですよ

初期う蝕が見つかったら、歯を削らなくてもよいように定期健診にきていただくことが重要です。それだけでなくご自身によるケアも重要です。歯と歯の間の虫歯に関しては歯ブラシの他、補助的清掃具である歯間ブラシやフロスを使っていただきたいです。その清掃具に当院で販売している、歯間ジェル、という高濃度のフッ素が配合されているジェルをつけていただくとよいと思います。
歯と歯茎の境目近くの部分がC1、あるいは周りの歯に比べて白くなりすぎている場合には通常の歯ブラシに加えて、当院で販売されている、MIペースト、を歯ブラシ後にその部分に塗り付けるようにしてもらうとよいです。歯にミネラルを供給し歯質の強化につながります。
経過観察する小さな虫歯には経過を見るだけでなく充分なケアが必要です。
宇治市 歯医者 歯間ジェル なかむら歯科医院

口臭はみんなあります

2022年12月15日

口臭を気にされて来院されることがあります。口臭の原因には何があるでしょうか。

生理的な口臭があります

問題の無い口臭があります。それは生理的口臭といわれるものです。
それは誰にでもあるものです。
起床時の口臭
空腹時の口臭
口腔内の乾燥時の口臭
ニンニク臭、ネギ臭、アルコール臭などの呼気臭
などはいわゆる口臭に含まれません。ですからそれは気にしなくてよいものです。
あと思春期性の口臭もあります。
日中は唾液の分泌が盛んなのですが、就寝中は唾液の分泌がありません。そのため細菌が繁殖し口臭の原因となる物質が産生されます。そういうこともありますから就寝前の念入りな歯ブラシは口臭だけでなく、歯周病、虫歯の予防の観点からも大切なのです。
ですから朝の歯ブラシ、水分摂取で口臭は収まります。
口呼吸の習慣があるとそれで口臭も起こります。癖や習慣、歯並び、鼻炎などでも口呼吸になりがちです。お子さんの口は開いていませんか。思春期性の口臭は口呼吸するのを止め、歯ブラシをしっかり習慣づけて歯垢を落とすことで対処できると思います。
ストレスによってでも口が乾燥して、その乾燥が原因で口臭が発生することもあります。
仕事などが原因であるとそれをすべて取り除くことはできないでしょうから、口の中を潤すように水分補給に努めるなどで対応していただくほかにはないです。

思い込んでいませんか

人に言われたわけではないのに自分で口臭と思い込んでいることがあります。おそらくどなたかに過去に言われたことがあったのだろうと思われます。それがどこか頭の片隅に残っていて、気にし続けているのだろうと思います。診療中にお口の近くに顔を近づけても臭いはしません。
それでも気になる場合には呼気を測定して口臭の原因とされる3大物質、硫化水素、メチルメルカブタン、ジメチルメルサルファイドを測定できる機器がありますからそれを常置している施設で測定、検査していただき確認していただければと思います。そうすることで自信を取り戻せるのではないでしょうか。

歯垢の除去できていない状態

いわゆる歯周病の方は上手く歯垢が除去できず、歯に歯垢がべったりと付着しその状態が続くと歯垢のにおいが口臭の原因になります。この場合は歯垢独特のにおいがします。
歯ブラシだけでなく、補助的清掃具フロスや歯間ブラシなども用いて歯垢の除去に努めれば口臭は減少していきます。今までしていない習慣を取り入れるのですから難しくはありますが、口臭と歯周病の予防をすることになりますから、気長に地道に続けていきましょう。
家族の方も長い目で見てあげてください。
それとともに舌の上の清掃も週に一度くらいはしてください。専用の舌ブラシもありますから是非用いてみてください。

内臓の病気

口は鼻、食道、胃とつながっています。歯の治療をしても口臭が治らない場合には他の臓器に原因があるかもしれません。
糖尿病
尿毒症
肝硬変、肝癌
などが代表的な疾患です。そのような場合には内科受診していただき、検査するのもよいと考えます。

宇治市 歯医者 舌ブラシ なかむら歯科医院 宇治市 歯医者 舌ブラシ2 なかむら歯科医院

使わなくなった義歯は捨てずに保管してください

2022年12月8日

義歯に何か不具合があった場合に義歯を新しく作成することはよくあります。新しい義歯が慣れるまでそれまでの義歯を保管し、新しい義歯を問題なく使えるようになったら前の義歯を処分していただくのが通例です。

訪問診療の現場では

団塊の世代が順次後期高齢者にせり上がっていく状況を鑑み、診療の合間に訪問診療の勉強を少しづつ行っています。現在訪問診療を行っていらっしゃる歯科医師から実情をお聞きすると、訪問診療では診療所内と同じように診療することはできないと推察します。ポータブルの診療器具、歯を削ったりする道具、レントゲン撮影する道具などはあります。

オーラルフレイルといってお口自体の老化が進んでいて、長く口を開けてられない、口の中に水を出すと溜めてられない、誤嚥、誤飲してむせてしまう、など直接口腔内の処置をすることが難しくなっていることが多いのです。

新しい義歯はなじみにくいです

患者さんの診療を受ける姿勢の問題もあります。ちゃんと起きれて背筋がピンと張ってくれるのであればよいのですが、腰が曲がって前傾姿勢になったり、ベットの上でほぼ寝たような状態で診療することはとても困難です。診療所の治療台は寝た状態になりますが、頭の上側に施術者が陣取りするので診療ができます。寝具用や病院のベットではそのような位置に陣取りできないのです。型取りされた方は何となくお分かりと思いますが、型取りの材料が喉の奥に垂れていくような経験をされたことはないでしょうか。それを舌などで奥に行かせないように自然とするのですが、オーラルフレイルといって舌などの機能も低下していますから誤嚥してしまう危険性があります。また上下の噛み合わせを決めないと義歯は作れません。歯が多く残っていれば比較的上下の関係は想定しやすいのですが、ほとんど歯が残っていない場合には、通常の診療でも決めることは難しいです。どの位置が正しいかを決めることが訪問診療だともっと難しいです。ですから訪問診療で新たに義歯を作るのはとても難しいことなのです。特に歯の少ない場合には。

老後に備えて使わなくなった義歯は保管しましょう。

使わなくなった義歯があると新たに作ることなく、うまく行けば義歯修理で対応することができます。型取りしなくてはならないとなっても局部的な型取りで済むかもしれません。これだと負担も少なくて済みます。ですから以前使っていた義歯があるととても助かります。ただし長期にわたり乾燥状態だとよくありません。水に漬けるか、湿った状態で保管してください。一週間くらいで水の交換や義歯の清掃をしないと水が淀んでカビだらけになってしまうかもしれません。手間がかかりますが、上手く管理してください。後々のためです。

親知らずが生えてきた!

2022年12月1日

親知らずが生えてきたので見て欲しい、というご予約をお受けすることがあります。

以前よりお越しになっていて、年齢を考えるとまだ親知らずではないと思うことがあります。小学生高学年、中学生くらいであれば親知らずの一本手前、第二大臼歯が生えてきている可能性があります。生えてくるときの状態は親知らずも、第二大臼歯もそう変わりませんから、診察させていただいて処置、投薬させていただきます。

成人して、しばらく経ってから生えてくることもあります。

多くの場合若年期が萌出しようとする力がありますから、その時期を過ぎると生えてこないことが多いのですが、50近くになって生えてくる方もいます。これは噛む面に垂直方向に歯が向いている場合であって、横や斜めに生えている方は、手前の第二大臼歯に親知らずの一部がぶつかるので、それ以上生えることがありません。親知らずの一部だけが口腔内に見えている場合、歯ぐきが腫れやすい状態になっています。

歯ぐきの腫れが何度も繰り返す場合には抜歯した方がよいでしょう。

斜めに生えていたり、真横を向いている場合は神経との兼ね合いがあって口腔外科で抜歯していただく方がよいことが多いです。通常は年齢が高くなると歯と骨が癒着していくことが多いので難抜歯になることが多いのですが、50を過ぎても真っすぐ生えていて、それも少しづつ生えてきているということであれば抜歯するのも意外と困難でないかもしれません。ただしそれは上あごであって、下あごは難しいと思います。下あごは上あごに比べて骨が硬く、通常の抜歯でも下あごの方が抜きにくいのです。噛み合わせに参加していないのであれば抜歯をお勧めします。親知らずが生えない人もいます。

親知らずが生まれつき全く無い人は100人のうち5人程度です。

周囲に親知らずが生えていない人がもっといるように感じている方がほとんどだと思います。実は親知らずがあるのに、噛める位置まで生えない人がたくさんいます。先程も少し記載しましたが、生える方向や位置が少しでもずれると、骨の中や歯ぐきの中で止まってしまうことが多いからです。歯科医院でエックス線写真を撮ると、実は親知らずがありました、知らなかった、という方がいらっしゃるのではないでしょうか。中には生えていないのに親知らずが痛くなって、抜いた方がよいと言われた方もおられると思います。見た目だけでは親知らずがあるかないかはわかりません。私の親知らずはどうなっているんだろう、抜かなくても大丈夫かな、と思われた方はご相談ください。

歯をぶつけた!どうしよう

2022年11月24日

学校からの電話はご用心

たまに学校から連絡があり、ぶつけて歯がぐらついているので見て欲しい、という電話連絡が入ることがあります。当院に定期的に通院されていれば、お名前でお口の状態が頭に浮かびます。来院歴がない時はまず学年を聞きます。小学校低学年であれば乳歯が元から揺れている場合もありますし、永久歯であれば歯がどの程度揺れているのか、半分飛び出ているのか、めり込んでいるのか、欠けているのか、固定できそうか、口腔外科へ送らないといけないか、それぞれに対して処置できるよう準備します。
乳歯で、ほとんど根っこが吸収している場合は歯の永久歯への交換時期ですから、よほどでなければ経過観察することがほとんどで、どうしても噛んで痛いなら噛み合わせの調整をします。
永久歯の場合で、前歯が揺れているとなると出っ歯であることが考えられます。
めり込んだり、出たりしたなら元の位置に戻さないといけませんが、それくらいだと出血もあり麻酔も難しく口腔外科へ紹介状をお書きして行ってもらうことになります。
欠けている場合でも、少しなのか、大きく欠けているのか、神経が出ているのか、出そうなくらいなのか、欠けたのはあるのか無いのかにもより処置は変わります。
できるだけ神経を残すように努めますが、思ったようにならないこともあります。
ぶつけて揺れていても、固定が必要な場合、そうでない場合があります。健常な歯と比べて揺れがきつかったり、食事がつらいそうなら固定します。その後約一か月くらいで固定はやめます。ずっと松葉杖という訳にはいきません。自然に戻さなくてはなりません。

予防できるの?

出っ歯、あるいは出っ歯傾向であることが多いので、小さいうちにそのように感じたり、学校検診などで指摘されたら治療に
取り組まれる方がよいと思います。小学校の学校歯科医も拝命していますが意外とそう思わせる子供たちは多いです。
小学校の時期は永久歯と乳歯が混在していますから、いわゆる本格矯正には向かないと思います。例外は受け口ですがそれは遺伝的傾向のある方になります。
出っ歯は上あごが前に出ている、下あごが引っ込んでいる、あるいはその両方のいずれかです。上あごが出ている場合はその成長を抑制する必要があります。難しいケースです。
それ以外の場合、小学生低学年までであれば夜間に使用するとり外しの矯正装置を適応症であるかどうかを診断した上で導入するのがよいと考えています。

上あごと下あごの関係を良くするのが唯一無二の予防

取り外しの装置は歯を並べる装置ではなく、上あごと下あごの前後関係を正常にするものです。多少の歯のガタガタもよくなりますが本来の目的ではありません。
装置を用いることで唇が閉じて歯が前に出ることを防ぎ、上の前歯だけが突出することもありません。顔貌も改善し鼻呼吸にも一役買います。この装置は成長の見込める時期だけに使えます。
上下の顎の関係を改善し、歯の外傷の予防にもなります。期間限定にはなりますが適応症であれば是非検討する価値のある治療法だと思います。

自分の癖がわかりますか

2022年11月17日

癖でかみ合わせが変わります

学童期の歯並びについては気を付けて拝見するようにしています。正常咬合といわれる非の打ちどころのない噛み合わせがよいに決まっていますが、そんな人はかなり限られます。その人その人にとって、問題のない噛み合わせであればよいと思っています。顎の関節に問題なく、歯垢を除去しやすい歯並びで虫歯や歯周病になりにくい歯並び、噛み合わせがあり、これを個性咬合といいます。
遺伝もありますから、受け口傾向や出っ歯傾向にある人もいます。そのような状態でも顎に負担がかかってなくて、歯垢除去しやすい環境なら健康の維持がしやすいのです。
唾液の性状、歯みがきの習慣、ブラッシングの仕方、歯ぎしりの傾向の有無、などもありますからそれだけで健康維持できるものではありません。それは成長してみないとわからないのです。ですから個性咬合があるから大丈夫、と思わないでください。子供のうちにできることをやってあげることは価値のあることです。

後天的原因が癖です

指しゃぶりが長く続くと、奥歯が噛んでいても前歯が噛まずに上と下の歯の間に隙間ができてしまいます。こうなってしまうと食べ物や飲み物を飲む時に、その隙間に舌先を入れないと飲み込むことができません。常にそういう状況になりますから永久歯になっても前歯が閉じることはありません。根気強く専門医のところで舌の位置を覚える訓練をし、毎日自宅で30分ほどその訓練を何年も続けていかなくてはなりません。初歩の段階から5~7ステップ進んでいかなくてはなりません。
ストレスもありますからあまりにも小さいうちは無理ですが、3歳から4歳の間には辞めるよう仕向けないといけません。爪や指先に食品添加物の苦み材料を塗るなどの方法もありますが、保護者の愛情で止めることがなによりです。
うつぶせ寝もよくありません。頭はかなり重くて大人でボーリングの重さがあります。
子供はそれほどではありませんが、体重に占める頭の重さはそれなりです。うつぶせ寝すると下あごが奥に押しやられますから、いわゆる出っ歯状態になります。顎にも負担がかかりますからよいことは一つもありません。あおむけ寝はなかなか難しいですが、せめて横向き寝になるように見てあげてください。毎日の持続的な悪習慣が不正咬合への一歩になるのです。

口ポカンもよくありません。一番よくないです。

人は本来鼻呼吸する生き物です。口は食べる、発音する器官であって、呼吸する器官ではありません。鼻で外気を取り入れますが、同時に細かい異物を排除するようにできています。フィルター機能ですね。
でも口にはフィルター機能はありません。細菌やウィルスをダイレクトに体内に取り込んでしまいます。感染対策の機能が鼻ほど備わっていないのです。
歯は口、唇、頬、舌の筋肉の間に並んでいます。ですから口を開けっぱなしにすると唇の力が働きませんから舌の圧力に押されて前歯が前に出てきます。また唇の厚みが強調される顔貌になります。また唇は乾燥します。乾燥すると歯の表面が着色しやすくなります。

何に気を付ける?

これらのことから、小さいうちに家庭でできることは、うつぶせ寝をしない、常に口は閉じる、指しゃぶりは早くやめる、などです。寝る時に布団を少し咥えるとか、下唇を上と下の歯で咥えるというのも一種の指しゃぶりです。ゲームしているときの顔みてください、口が開いていませんか。寝ているとき手を頬に当てていませんか。他の病気で鼻が詰まっていませんか。
改善できることは早く改善した方があとで困りません。

診療スケジュール

当院へのお電話からの問い合わせは0774-41-3461へ

診療時間
9:00〜12:30
14:00〜18:00
/
/
▲※
▲※
日・祝
/
/
休診日 / 木曜・土曜午後・日・祝日
▲※ 土曜日 9:00〜13:00 / 14:00〜17:00
お問い合わせはこちら
なかむら歯科医院
画像のタイトル
フッターオファー
© なかむら歯科医院