外傷から口を守る
口のケガのもいろいろあります。難しく感じられますが、字をみてもらえればなんとなく想像できると思います。
口腔外傷の部位と種類
- 軟組織:口唇裂傷 歯肉出血 頬舌咬傷
- 歯牙:動揺 歯冠破折 歯の脱臼
- 顎骨:骨折
- 顎関節:捻挫 脱臼
- 筋肉:挫傷
圧倒的に多いのが軟組織の損傷で、次に歯の動揺、歯の損傷になります。
もし現場に出くわしたら、口腔内を清掃して止血した上で、早めに医療機関へお越しください。歯を探して見つけて、牛乳とかなければ最悪、水でもよいので脱落した乾燥させずに一緒にお持ちください。
※口腔外傷が見られる場合、他の顔面部も合わせて受傷していることがあります。特に鼻や耳からサラサラした血液が出ている場合はすぐに救急車を呼んでください。
※スポーツによる頭部外傷には急性硬膜下血種というものがあります。脳内に出血が起こり、短いときには受傷後10分~数日後に血液で脳が圧迫され意識が混濁し始めることがあります。
少なくとも受傷後24時間は誰かが付き添い経過観察されることを勧めます。
スポーツによる外傷を防ぐためにマウスピースを使用します。
市販のものはお勧めしません。
市販のマウスピースは既成の形の物を熱湯などに入れて軟らかくして口の中に入れて、だいたいの形に合わせるようです。噛み合わせのズレを起こしたり、フィッティングがよくないことが多く使用されない方がよいでしょう。
スポーツ用のマウスピースはスポーツガード
スポーツガードは
・口にかかる外力の衝撃を吸収する
・鋭利な歯を無害化する
・揺れた歯、抜けた歯をその場に保持する
機能が備わってなければなりません。
ヘルメットをしていると必要はないのか、という疑問
アメフト、モトクロス、アイスホッケーなどヘルメット被って競技します。スポーツガード必要ないのかといえば、答えは必要です。ヘルメットの下の空隙から下顎に直接打撃が加わるからです。ヘルメット自体の回転で前歯に力がかからないとも限りません。ですからヘルメットを被っていても完璧とは言えません。
スポーツガードの装着が必要なスポーツ
格闘技
ボクシング キックボクシング 空手 相撲 柔道 レスリング など
コンタクト系
アメリカンフットボール アイスホッケー ラグビー 水球 ラクロス など
非コンタクト系
ハンドボール バスケットボール サッカー スキー スケート 野球 自転車 乗馬 など
スポーツガードを推奨します。
矯正治療中、出っ歯や八重歯など歯並びが悪い場合はスポーツの種類にかかわらずスポーツガードが必要です。口元から出ていたり、歯の並びから出ていると外傷を受けやすいのです。できたら矯正治療されるとよいでしょう。
このように安全に競技スポーツを行うには、スポーツガードを用いることを推奨します。当院ではご依頼があれば作成していますが、保険診療ではスポーツガードは認められていません。自費診療になります。
ちなみですが、スポーツにより色を指定されている競技があります。アメリカンフットボールでは透明や白は認められていません。色はある程度選んでいただけます。
下記に一般的なスポーツガードの写真を載せます。
運動能力(パフォーマンス)が上がるスポーツガードがある
現代人は噛み合わせに問題のある場合が多く、それが顎のズレ、姿勢のズレを引き起こす原因になっていることがあります。綱引きでも、綱が一直線になっていると力が一方向に伝わります。同じ力を加えても綱が波打っているのと一直線になっているのでは、一直線になっている方が勝ちます。
前後左右上下の面から顎が最も正しいだろうという位置(頸椎に負担のかからない位置)で噛み合わせを採ったスポーツガードを作成すると、口の防護と共に、運動のパフォーマンスの上がるスポーツガードがあります。(zone piece)脳の位置を刻々と体勢の変わる中でも適切な位置に戻し、瞬時の判断力の向上、情報の処理、筋機能向上に役立たせます。
運動能力の向上を簡易的に確認できてから作製に取り掛かります。また噛み合わせの採り方、型取りなど特許が含まれているので費用は一般的なスポーツガードよりも費用はかかります。競技により左右2ピースの場合もあります。外形はやや小ぶりになっていることもあります。一般的なスポーツガードでは外傷予防が目的ですので運動能力の向上には対応できません。
ご希望の方はご相談ください。
スポーツガードのメンテナンス
- 使用後は流水で洗って清潔に保管する
- 温度の高いところに放置すると保管容器に入れていても変形するので注意する
内面に着色汚れが付いてしまったら、義歯洗浄剤、矯正装置洗浄剤を使用するとよいでしょう。
長期間使用すると、劣化や変形することがあるので、チェックしてもらいましょう。
場合によっては再製の可能性もあります。