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人間が直立歩行になったことによるメリットデメリット
手を自由に使うことでサルからヒトへ進化してきた訳ですが、4本足のメリットは心臓と頭の高さが一緒であることです。2本足になると頭が心臓から離れ、また高いところへ血液を送らないといけないので心臓の負担が増えます。それなりの負担ですから、人間の心臓の機能だけでは脳に送れません。もう一輪のポンプ機能を持っているのが毛細血管です。
毛細血管の役割
人間の血管の長さは9万6千キロ 地球の2週半あります。毛細血管は人間の血管の90%を占めています。一番細い毛細血管の直径は8ミクロンで、アルミホイルの厚みより小さいのです。運動することでその血管が細いから少しの振れなどで圧がかけやすくなるのです。その圧で心臓のポンプ機能を補っています。
脳の重さは
脳は800g あります。(頭全部は5㎏)身体の2%くらいですが、脳に必要なのは血液総量の20%が必要です。脳は活動すると熱を産生します。脳は冷めていた方がよく働きます。熱を下げるのに大きく寄与しているのは血液そのものです。が、鼻から通る空気でも脳を冷ましています。視床下部や脳幹と言われる部分に近いので直接冷ますことに寄与します。鼻の通りが悪いとその機能が働かないです。鼻腔が小さいと通りが悪いです。鼻腔の成長は鼻閉などの疾患を成長期にきちんと治しておくことが肝要です。
頭の重さはボーリング玉と同じくらい
頭全体の重さは5㎏と言いました。だいたいボーリング玉くらいとお考え下さい。ボーリング玉を掌の上に乗せたとしましょう。その位置を少し傾けるとボーリング球は下に落ちます。落ちないようにしようとすると、バランスを崩した筋肉の使い方をしないといけません。筋肉が攣りそうになりますよね。それを維持していくには間違った筋肉の使い方になります。それをずっと続けないと球が落ちてしまいます。そうすると筋肉のバランスが崩れ、身体にも歪みが出てきます。その状態を長く続くと、血液の流れにも影響がでます。縮んだ方は流れが悪くなり、伸びた方は血管が細くなります。正しい位置に乗っていないと、(ズレていると)脳に流れていく血流量に左右差ができます。右脳、左脳の働きは同じではありません。脳が100%の働きをすることができないことになります。
高層ビルの免振構造と下顎
台北101という高層ビルをご存じですか?台北にある中高層ビルで高さは509.2m 101階建てです。タワー上部に660トンの鋼球がぶら下げられています。(チューンドマスダンパー)振動を最大40%抑制するのだそうです。何のためかといえば地震でなく、風による振動を緩和するためです。ビルにかかる力と反対の方に球は揺れてバランスを取っているのだそうです。下顎も同じで頭の傾きのバランスを取っています。頭蓋に対して下あごは筋肉を使ってぶら下がっている状態です。下顎の位置がズレるとそれを是正するために筋肉や背骨を使ってバランスを取ろうとします。
バランスを取るために歪みが出ると
頭の平衡感覚を保つために背骨、筋肉をありとあらゆる方法を使って身体はバランスを保とうとします。そのために起こっていることでわかりやすいのが
左右の足の長さの違い
顎先が真ん中にない
視力の左右差
左右どちらかの肩が前に出る
左右で肩の高さが違う
靴のかかと部分のすり減り方が左右で違う
猫背
腰痛
肩こり
このようなことを、バランスをとるため知らないうちに骨と筋肉を使って身体が行っているのです。
視力と肩こり
左右の肩の前後的な位置がズレていると、肩が前に出ている方に頭が回転しています。そうすると左右の眼球の位置が左右で前後的なズレが生じます。焦点までの位置が左右で異なります。首の後ろの筋肉に左右の指を当ててください。そのまま眼球を動かしてみてください。筋肉がほんの少しですが動くのがわかると思います。眼球の動きに左右差があると後頭部の筋肉の動きに左右差が出ます。疲れ方も左右異なります。使い方に左右差が出てきます。使う方、使わない方よく使う方が疲れます。偏頭痛の原因になったりします。
肩の高さと足の長さ
肩の高さが上がっている方に首が傾いていることが多いです。そうすると背骨が反対側に曲がります。そのズレを骨盤の傾きと足の長さをずらすことで身体は調整します。骨盤も足も前から見た方向だけでなく三次元的に傾きます。前後左右上下という意味です。仰向きで床に寝てみてください。その時に足底を見てください。かかとは床に着いています。そのかかとから足の指への角度は左右対称ですか?その左右差は身体が勝手にズレを是正している証拠なのです。
下顎のズレには左右と前後とその複合のタイプがある
左右のズレ
左右のズレがあると顎関節に症状が現れます。顎を開ける時に、カクっと鳴ったり痛みが出ます。最近では若い方にもそういう症状が多く見られます。噛み合わせが良くないと下顎の位置がズレることが多いです。出っ歯、受け口、歯並びガタガタ、八重歯、クロスバイト、など。どこか一部の歯が先に当たって、噛むために顎がズレることもあります。症状が無くてもレントゲン写真を撮るとわかることもあります。顎全体のレントゲン写真を撮影すると左右の顎の関節の形が対称でなかったり、とても細くなっていたり、本来丸い形が角ばった形になっています。顎の関節が正しい動きをしていなくて変形しています。顎のズレが起こっている指標です。
前後のズレ
下顎が本来の位置から奥の方に押しやられていることがあります。これも噛み合わせがよくないことから起こります。出っ歯、開咬(前歯が噛んでいない状態)、噛み合わせの高さが低くなっている、などが原因です。顎関節が後ろにいくと、顎関節の後ろを走行している神経、血管を圧迫します。関節の後ろには脳に行く動脈が走行しています。圧迫すると脳に行く血流量が減ります。両方でなければ左右で血流に差が出ます。また舌が奥に行きますから気道が狭くなります。息しやすいように下顎を前に突き出すようにします。その姿勢は猫背です。呼吸するために猫背になります。顎の位置のズレが骨格のズレを引き起こすことのわかりやすい典型例です。
脳にしっかり血液を送る
話は少し脱線しますが、脳に入る血管には頸椎に沿って脳に入る椎骨動脈があり、脳に入ってから名前を変えて脳底動脈になります。頸椎のズレがあると、血流に左右差がでます。頸椎にずれが出ないような顎の位置をキープしなければなりません。また関節の後ろを走行している神経が圧迫されると偏頭痛の原因にもなります。
年を重ねると噛み合わせの高さが低くなります。
高さが低くなると顎は後ろに下がります。咬耗と言って、ずっと歯を使っていると同じ硬さの歯はすり減っていくからです。勿論歯を失うことでも、特に奥歯ですが、高さは低くなります。入れ歯などを入れても歯よりも硬くないのですり減りはきつくなります。高さが低くなると顎は後ろに行きます。そうすると舌も後ろに行き気道が狭くなります。呼吸するために猫背になります。いびきをかきます。脳に酸素が行きづらくなるので脳の活動が衰えていきます。血管も圧迫されるので脳への血流も減ります。その結果どうなるかはおわかりでしょう。
8020達成者とそうでない方の介護施設に入ってらっしゃる方の割合は統計学上有意に差がある。
嚙み合わせが低くなったら高くしましょう。少しでも低くなることを防ぐため、歯を失わないようにしなければなりません。歯を失ったら歯周病に対する予防をしながら、インプラントを利用して義歯にならないよう努めましょう。年齢を重ねて噛み合わせが低くなったらアンチエイジングのために高径を挙げるようにすることを考えましょう。誰かにお世話になる時期は誰にでも必ず訪れますが、出来る限り短くしたいと思いませんか。
健康寿命をなるべく延ばす。
身体の歪みを引き起こす噛み合わせの不調を出来る限り是正しておくことは究極のアンチエイジングです。自分では何ともなくても身体はサインを出しています。費用はかかるかもしれませんが、なるべく人様に迷惑をかけない人生を送るための健康への投資ではないでしょうか。