顎関節症とは

口を動かすと顎の関節から音がする、顎の骨に痛みが出る、口が開けにくいといった症状はありませんか。
心当たりがあれば、顎関節症を患っている可能性があります。
実は顎関節症はとても一般的な病気で、軽度の症状を含め2人に1人は発症するといわれています。
女性が発症しやすく、男性と比べ患者数が2~3倍になるのも特徴です。
顎関節症の原因
顎関節症の原因は咬み合わせの異常によるものが多いです。
多くの場合、生活習慣や癖によって咬み合わせは悪化しやすくなります。うつぶせ寝や歯ぎしり、食いしばり、頬杖、噛み癖などさまざまな要因があり、姿勢の悪さやストレスなども咬み合わせに悪影響を及ぼします。
顎関節症の主な原因の例
- 精神的な緊張・ストレスによる表情筋の強張り
- 歯ギシリ
- 歯を強くくいしばる(冷房が寒くて歯をくいしばった、特別な行事で緊張してくいしばった。一日中スポーツをした。)
- 頬の内側や唇をかむ癖がある
- 頬杖・日常生活や就寝時での悪い姿勢 (例 : 猫背)
- 事故による外傷や顔面打撲
- 入れ歯や歯のかぶせものや入れ歯が体にあっていない(悪い噛み合わせ)
- 口を大きく開ける、硬いものを噛む(アゴの酷使)
- 噛む歯が左右どちらかにかたよっている、片側の歯が悪いため食べ物を反対の歯だけで噛む
- 不安因子がある、うつ、睡眠障害(ストレスで夜よく眠れない)
顎関節症のセルフチェック
顎関節症は初期状態だと自覚できない場合もあるため、まずはセルフチェックしてみてください。
次にあげる症状に覚えがあれば、顎関節症を疑いましょう。
- 食事の際顎関節が痛む
- 口をあけると「カクッ」という音がする
- 顎が外れてしまうことがある
- 口を大きくあけることができない
- 顎まわりの筋肉に痛みがある
- 頭痛やめまい、耳鳴り、肩こりといった体の症状がある
- 充血、目の疲れ、涙が出るといった目の症状がある
当院での顎関節症の治療の流れ
- 1.検査や診察などで顎関節について調べ、日常習慣や姿勢をチェックします
- 2.レントゲンで顎の骨の状態を確認します
- 3.噛み合わせのチェックをします、かみあわせによる可能性があればマウスピースを製作します。顎関節が楽な位置とかみあわせのズレがどの程度あるかマウスピースの調整を行い経過を観察します
- 4.自宅で行う顎関節ストレッチの指導を行います
- 5.TCH(くいしばり)の癖がある方に改善に向けた指導を行います
- 6.マウスピースやかみあわせの調整を行いながら経過を観察し、改善が認められない場合、口腔外科での加療をおすすめします
根本治療
筋肉をほぐし関節の動きをよくする運動
顎の筋肉をほぐしたり、関節の動きをよくしたりする運動を続けて、顎関節の位置や動きを改善する方法もあります。
主な運動としては、大きく口を開けてあごの筋肉をほぐす大開口練習、ずれた関節内の組織を元に戻す円板整位運動、顎の関節の動きをよくする下顎頭可動化訓練などがあります。
マッサージ
最近は、マッサージによって顎関節症を改善させる治療が普及してきました。顎の周辺にある筋肉を覆う組織「筋膜」に着目し、マッサージでほぐす方法です。
顎関節症になると、顎の周辺の筋膜が癒着してこわばり、痛みが生じます。
自宅で簡単にできるマッサージもあります。
治療の際の注意点
顎関節症の根本的な原因は、多くの場合、噛み合わせの不良によると言われていますです。対処療法のみでは根本的な治療にならず、たいていのケースで再発を繰り返します。このため、一時的に症状が改善しても、歯科医師による定期的な経過観察が必要です。
またかみあわせが根本的な原因である場合、多くは咬合の再構築や矯正治療などが必要となります。
なかなか根本的な治療が難しいのが実情です。
噛み合わせが原因でない場合もあり、その場合詳細な検査が必要で、口腔外科での加療となります。