虫歯治療よりも重要な「予防歯科」
今ある歯を大切に、歯を残す治療を行います
多くの患者さんは、歯の痛みを感じてから「歯医者に行かなくては」と思われるかと思います。
しかし、痛みが出てからの治療では治療にかかる費用も大きく、治療期間も当然長引くため、患者様ご自身の負担が増えてしまいます。
何より、一回削ってしまった歯はもう二度と戻ってこないのです。
普段からお口のケアを行うことで虫歯や歯周病を未然に防いで、歯や口を健康に保つ治療が「予防歯科」です。「治すための治療」ではなく、 虫歯や歯周病に「しないための治療」です。
お口のケアを行うことで治療する必要もなく、たとえ症状が出ても早期発見・早期治療できます。
人生は100年時代
令和元年の平均寿命は男性で81、4歳 女性は87、45歳です。年々平均寿命は延びていて、これまでの伸び率から男性は62年後、女性は33年後に平均寿命が100歳になると推定されています。100歳まであと何年ありますか?歯を失わずに100歳まで楽しく食事できる自信はありますか。
健康寿命と平均寿命の差は何かといえば、人様にお世話になる期間です。その期間をできるだけ少なくするための秘訣の一つが食べる機能を失わないことです。
治療の終わり(健康の確立)は健康を維持する始まり
治した状態を100歳まで維持していくためにもセルフケアと、プロフェッショナルケアを行ってください。個人個人で健診の期間は異なります。セルフケアに自信がある方でも行き届かない場所もありますから、長くても半年以内にはお越しいただことを勧めます。治す期間は短いですが、維持する期間は100歳までです。
ホームケアとプロフェッショナルケア
虫歯や歯周病の予防には、患者様がご自宅で毎日行うお口へのケア(ホームケア)と、歯科医院での定期的な予防処置(プロフェッショナルケア)を両立することが重要です。
ホームケア
ホームケアとは、ご自宅で日々行う歯磨きや食生活のことです。 正しいブラッシングや適切な食生活を行うことで、口内環境を適切に保つことができます。
正しいブラッシング法
虫歯や歯周病の予防には「プラークコントロール」が必要となります。
プラーク(歯垢)を調整(コントロール)するための鍵がブラッシングです。
ブラッシングの効果に即効性はありませんが唯一の治療でもあります。毎日コツコツと行うことで歯を長持ちさせることができます。
当院では患者様1人ひとりに合わせて、正しいブラッシング方法を指導いたします。
ブラッシング指導の重要性
虫歯や歯周病を予防するために最も大切なのは、毎日のブラッシングや歯の状態チェックといった自宅でのケアを徹底することによって菌の感染リスクを減らすことです。もし虫歯ができてしまっても、歯周病になっても早期発見に努めることが重要です。
虫歯による痛みや腫れなどを治療するのは確かに歯科医院の仕事ですが、患者様が虫歯や歯周病にならないようにするにはどうしたらいいのか、日々どのようにご自分の歯をケアすればよいのかを指導することも大切な仕事なのです。
一人一人に合わせたブラッシング方法
歯並びや歯の形状は患者様一人一人によって異なるため、インターネットなどで紹介されるような一般的なブラッシング方法ではご自分の歯に合っているとは限りません。歯科医院では患者様の歯の状態を確認した上で、どのようにブラッシングをすればしっかりと汚れを落とせるかを指導することができます。
自己流のブラッシングには限界がある
歯磨きをした後、ご自分で鏡を見ながらしっかりと磨けたかチェックをする方もいらっしゃるかと思いますが、ご自宅にある鏡では歯の表側や咬み合う面までは見えますが奥歯や歯の裏側までチェックすることができません。
歯科医院では器具を用いて歯の裏側を含めさまざまな角度から歯の状態を確認することで、ブラッシングの足りない部分を細かく指導しています。
定期的なブラッシングの効果のチェック
歯科医院でブラッシングの指導を受けて自宅で実践してみても、どうしても磨き残してしまう部分ができてしまうので、指導を受けた後、きちんと自分でブラッシングができているかどうか歯科医院で定期的にチェックしてもらうことが大切です。定期的に歯科医院に通うことが面倒、通うことに対して抵抗がある方もいつかもしれませんが、ブラッシングが的確でないままだと、虫歯や歯周病が進んでしまう可能性があります。
指導を無駄にせずしっかりと虫歯を予防するためにも、ぜひ歯科医院と二人三脚で健康な歯を守っていきましょう。
プロフェッショナルケア
歯科医院ではPMTC(歯の専門家によるお口のクリーニング)を行い、普段の歯磨きだけでは取り除くことのできない歯石やバイオフィルムを除去することで口内環境の維持をサポートします。
PMTCには歯の着色や口臭を改善・予防する効果もあり、虫歯や歯周病を未然に防いでいく最も有効な手段のひとつとなっています。
磨き残しのでる場所
どんな歯の形や歯並びの人がブラッシングをしても、歯と歯の間と歯の溝は磨き残しがよくあります。
自分ではしっかり磨けていると思っている人でも、実は磨けている部分は虫歯になりにくい箇所が多く、奥まっていたり歯ブラシの毛先が届きにくい箇所まで磨けている人は少ないのです。
そのため磨きにくい箇所をいかにきれいにするかがポイントであり、歯垢のつきづらい箇所は若干ブラッシングがおろそかになっても虫歯や歯周病になるリスクはあまりありません。
しかしながら、この「歯と歯の間」と「歯の溝」はどんなに丁寧に磨いても毛先が届きにくいため、汚れを落とすことが難しく虫歯になりやすい傾向にあります。
歯と歯の間の汚れは歯間ブラシなどでケアすれば、虫歯や歯周病のリスクを抑えやすくなります。
虫歯と歯周病以外の予防、それが予防矯正(正しい口腔機能の獲得)
口腔機能が適切に働くために不正咬合は若いうちに正しておくことが大切です。
後になっても正しい口腔機能を獲得することはできますが、適応能力の高い若年者のうちに不正咬合を治しておくべきです。成長期に成長を阻害する、内外的な力を取り除いておくことが100年の健康維持のために大きな力になります。15~16歳までの柔軟な時期までに確立する。口腔機能、姿勢、形態を整えましょう。
機能的な問題
・口呼吸(口ぽかん)
・舌癖、舌小帯異常
・指しゃぶり
・片噛み
・爪噛み
姿勢的問題
・うつぶせ寝
・頬杖
・肘杖
・側弯
・猫背
鼻の問題が考えられる場合は、まず耳鼻科にてその治療を行ってください。
口呼吸は哺乳、離乳食の問題もあります。食育や筋機能両方で長く対応していかなければなりません。姿勢の問題の多くは態癖というもので、本人の自覚がありませんから指摘の上、是正していってください。
側弯、猫背はその姿勢が、呼吸していくのに身体が楽だからその姿勢になっています。噛み合わせに問題のあることが多く、若年のうちに矯正治療を行うことで改善することが見込めます。100年を生きていくのに、スタートで躓かないよう導いてあげることが保護者には求められるのではないでしょうか。
予防歯科のQ&A
8020達成率は今どれくらいですか?
厚生労働省の「令和4年歯科疾患実態調査」の結果8020達成者(75歳以上85歳未満の数値から推計)は51.6%で、前回平成28年の調査結果(51.2%)と同程度、ということです。
出っ歯の方は10%程度、受け口の方はほぼ0%とかなり低く、噛み合わせがかなり影響しています。
どれくらいの間隔でメンテナンスするとよいですか?
当院では一律何カ月と決めていません。セルフケアの状態、咬合状態、残存歯数、虫歯リスクの高低、などから個人差を考慮して来院間隔を決めています。3~4か月、6か月間隔の方が多いです。続けてメンテナンスしていくことが大切です。1年だと期間が空きすぎです。
歯の数と認知症に関係はありますか?
歯の数と死亡リスクに強く関連していることが報告されています。(東京医科歯科大学、東北大学、千葉大学、ボストン大学、国立保健医療科学院 共同研究) 歯の数が少なくなってもしっかり噛めていると良いのですが、義歯など入れず噛みづらくなっていくと噛むという刺激が脳に伝わらなくなります。脳に適度な刺激がないと脳にはよくありません。