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乳歯に隙間があると、永久歯はきれいに並ぶ
見た目が隙間のない、きれいな乳歯の歯並びでも隙間がなければガタガタの歯並びになります。乳歯に隙間があると永久歯はきれいに並びます。子供の成長にはゴールデンタイムが存在します。それが感受性期です。感受性期は一生に一度しかありません。これを絶対期間といいます。脳や身体が最も成長する期間になります。
熱中症を考えてみましょう。
熱中症は脳のオーバーヒートです。
熱中症予防には
1 汗腺(能動汗腺)を3歳までに作る
2 鼻呼吸促進
汗腺にも感受性期が存在します。それは0~3歳です。汗の気化熱で皮膚の下の血管が冷却されます。冷えた血液が脳を冷却します。汗腺の感受性期は早くて3歳以降は発達しません。3歳までの感受性期に汗腺をたくさん作る。2~3歳の夏がカギです。遺伝情報で元来もっている機能でも、正常に機能するためには感受性期までに一度も使われなかった機能は脳が一生必要ないと判断し、感受性期を超えると消滅してしまします。それを作用させる刺激がないと消えてなくなるのです。エアコンの普及率を考えるとやむをえませんかね。
口呼吸だと脳を冷却することができません。
上顎の成長不足により鼻呼吸できず脳をクールダウンできない。人類が熱さや寒さから生き延びれたのは、発汗と鼻呼吸により体温調節できたからです。鼻呼吸で熱中症を予防しましょう。口呼吸は熱中症の危険因子です。生まれたばかりの子猫の片目を2週間ほど眼帯で覆ったままにすると視力を失うという実験があります。アメリカの神経生理学者デヴィット・ハンター・ヒューベルは大切な時期、感受性期に視覚刺激がないと脳が一生必要ないと判断し視力が失われる、と言っています。
人間にも様々な感受性期が存在します。
先程の視力は0~2歳、絶対音感は0~4歳弱視(眼鏡で矯正できない視力低下)の子供を集めて病歴を調査すると乳幼児期に目の病気や手術のために一時的に眼帯をかけていたそうです。感受性期に獲得できなかったものはもともと備わった機能であっても後から獲得することはできません。人間は生理的早産の状態で産まれてきます。生理的早産とは様々な環境に適応できるように未完成の状態で産まれてくるということです。刺激(環境要因)に応じて必要な神経細胞だけが用いられることになります。脳や歯並びも感受性期での適正な刺激の有無で多様に変化していきます。それの刺激とは何か?ズバリ噛む哺乳です!
頭は3歳で9割完成する
頭位は出生時33㎝、1歳で45㎝、3歳で49㎝、6歳で50㎝、成人54~56㎝です。3歳で成人の9割が完成します。脳頭蓋や顔面頭蓋の感受性期はとっても早いのです。脳や顔の骨の80%は乳幼児期までに完成します。ものすごい速度で成長発達します。哺乳や食環境が悪いと顎が小さくなり歯が並びません。6歳までにすでに良い歯並びになるかどうかが決まっています。
発育空隙 隙間の有無は口腔の発育の目安の一つです。
乳歯の上の前歯の4本足した幅は平均24,3㎜ 永久歯の前歯4本は31,96㎜です。その差は7,66㎜です。その差を埋めるのに隙間が必要なのです。概ね6歳くらいで乳歯と乳歯の間に隙間が十分ないと永久歯が並びません。(下の前歯4本分の乳歯と永久歯の幅の差は5㎜超)
乳前歯部の隙間の有り無しは、上あごの成長量の差とも言えます。
上あごの成長は6歳くらいで終わります。6歳の時に乳歯に隙間のある子どもは3歳の時にすでに隙間があります。逆に3歳の時に隙間がないと6歳になっても隙間がないことがほとんどです。ですから3歳で将来の歯並びがよいか悪いかがほぼ決まっているのです。上あごを含めた顔の骨の成長は出生から2歳までが最も顕著です。ですから歯が生えるまでの数か月間が子供の歯並びを決めているといえます。その時期は食べ物を食べていません。何をしていますか?そう、哺乳です。哺乳が大切で哺乳が歯並びを決めているのです。
もう哺乳の時期が終わってしまっていたら、歯が生えてしまってからでは、手遅れでしょうか?
乳歯の歯並びで、噛んで下の前歯が見えないのはよくありません。本来は上と下の前歯の先端同士が噛んでる、その状態で奥歯も噛んでる状態が乳歯の噛み合わせのベストです。アデノイドや口蓋扁桃は鼻腔の未発達に対する防御反応です。鼻呼吸していないと外気の汚れを鼻腔で除去できません。外気の汚れをのどで防御するので腫れるのです。
口呼吸の原因
低位舌、口唇閉鎖不全、鼻腔の劣成長、アデノイド、狭い口腔、口蓋扁桃肥大
これらは不十分な哺乳で鼻腔が成長せず狭いままだからです。
狭い鼻腔というのは、鼻腔を形成している骨の成長不足が原因です。
鼻腔を構成する骨は
前頭骨、鼻骨、篩骨、蝶形骨、鋤骨、口蓋骨、上顎骨(下鼻甲介)があります。
鼻腔の部分は5歳で85%、9歳で90%、12歳で95%が完成します。鼻腔の上部は哺乳や咀嚼での上顎骨からの負荷(刺激)で成長します。鼻腔を正常に成長させるには感受性期での乳前歯への負荷が大切です。噛む力と舌の力で前方に成長します。前方に成長することで鼻腔が拡大します。その力がないと前でなくて下に成長します。舌の力は、飲み込む時の力、舌圧です。
食育
感受性期に獲得できなかったものは後から自然に獲得できません。では哺乳期を過ぎた子供へはどのように対処すればよいのでしょうか?ずばり食育です。それしかありません。哺乳期の刺激には及びませんけれど、噛むという刺激を適切な方法であたえることでリカバリーしましょう。
よく噛むための食育3つのポイント
1 前歯で噛めるよう、食材を大きく
一口量ではありません。それなら前歯に適切な刺激になりません。一口大です。前歯で噛みきらないといけない大きさです。同じ食べ物でも、前歯がぶり、して食べるのと包丁で切って食べるのでは大きな違いです。前歯を使って、前歯で小さくするということです。一口量では前歯を使わず飲み込んでしまえます。中途な大きさでは丸飲みです。小さくし過ぎると噛まなくてよいと脳が判断して飲み込んでしまいます。幼児期は脳が一口量を覚える大切な時期なのです。
前歯がぶり、で一口量を覚えないと窒息する危険性が増すのです。スプーン食べは一口量を狂わせます。丸飲みします。口唇のセンサーや舌の機能の成長が見込めません。スプーン食べしたらダメということではないです。きちんとした仕方でこの時期を乗り越えましょう。
ではどうするのか?スプーンを奥まで突っ込まず、唇のところで止めるのです。そうすると子供は唇を閉じて、舌を使って食べ物を奥に運んでいきます。唇、舌、上あごを使うことを覚えるのです。そして舌を上あごに押し当てて飲み込みます。その舌の上顎への押し当てが刺激となり上顎を成長させ、鼻腔を広げるのです。
前歯がぶり、するにはどうするか
軟食化が進んでいるのはもはや止められません。なんとか工夫する他ないです。きずしは前歯を使いますよね。こういうのがいいです。ハンバーグ、柔らかいですね。どうしましょう。ハンバーガーにしましょう。野菜も挟んでください。ハンバーグ単品と違って、食感も違いますよね。おやつも一口では口に入らないものを用意してあげてください。フレンチドッグそのままとか。小さい食材は春巻きにしましょう。混ぜご飯もよいでしょう。ごぼうとか鶏肉とかニンジンとかきのことか入っていると複数の食感になり噛む回数が増えます。ちくわにウィンナーを入れて海苔で巻いて天ぷらにするとか。
かみごたえ早見表
そのあたりはかみごたえ早見表を参考に色々と工夫してみてください。生野菜はよく噛む食材の代表です。30回噛みなさい、ではなく噛まないと飲み込めない食材を提供してあげてください。ほうれん草やごはんも硬い、と感じている子供がいます。早いうちから取り組んでください。栄養や歯ごたえを考えても子供たちに食べてもらわないとどうしようもありません。運動したり、一緒に調理したりしておなかを透かすのが一番の調味料です。
2 足を床に着けて食べるか、正座で食べる
3 水やお茶は食後に
お茶は食後にお茶碗で、が日本の伝統でした。お茶で流し込む習慣は歯並びに影響します。水分の多い食物は容易に飲み込めて十分な舌圧が働きません。一方水分の少ない食べ物は十分な舌の力がないと飲み込めません。
一日に何回唾液を飲んでいるか
子供は一日に何回飲み込んでいるでしょうか?600~2000回です。飲み込むたびに舌圧が上あごにかかっています。それが刺激になり顎を大きくするのですが、お口ぽかんでは十分な力がかかりません。よく噛み、しっかり飲み込むとお口が育ち、鼻腔が育ちます。水分で流し込む食事では口腔機能を取り戻せません。特にストローのある飲み物を横に置いた食事では。食育と平行しておこなわないといけないのがMFTです。これはまた別の機会にお話しします。