Author Archives: nakamura-dc

光を使った歯科診療が増えています。

2023年10月26日

当院では3か月から半年くらいの周期での歯科検診をおすすめしています。歯科検診にお越しいただくことでお口の健康状態を維持していただきたいと考えているからです。私の考えるお口の健康は

虫歯がない状態

歯周病がない、あるいはあっても適切なブラッシングができていてプラークコントロールができている状態

歯ぐきに炎症のない状態

歯ぎしりや噛みしめがない、あるいはあってもマウスピースなどで歯に負担がかからないようにされている状態

歯ぐき、舌、上あご、頬の内側などの粘膜に問題のない状態

顎がカクカク鳴らない、口の開け閉めに痛みのない状態

がそれぞれキープされているとお口は健康だと言えます。

検診期間

検診に来ていただく間隔は人により異なります。遺伝的な傾向、例えば虫歯や歯周病になりやすい家系があります。虫歯や歯周病は細菌感染により引き起こされます。口腔内には多種多様な細菌が存在しています。口腔内にいる菌を絶えずいる菌を口腔常在菌と言います。すべてがすべて悪い菌ではなくて有益な細菌もあります。すべての常在菌を例えばいわゆる抗生物質を用いて死滅させても、口から食事などする以上、色々な物質が入ってきて、そこに付着している菌が住み着いてしまいます。(長期の入院で長く抗生剤を服用していると、その影響でまれに無菌化されてしまうこともあります。)ですから完全に口腔内を無菌化することは不可能です。

プラークコントロール

身体にとって良い菌、悪い菌ありますが、できるだけ悪い菌の活動を抑えるようにしていかないといけません。細菌の活動はそれ単独では成り立ちません。栄養源が必要です。その栄養源になるのが歯垢です。ちょっと語呂はよくないですが、歯糞です。一般的には食べかすです。細菌の栄養源となる食べかすを、歯ブラシを上手に使い極力除去することが虫歯や歯周病の予防になります。みんながみんな同じ細菌ではなく、人によって異なります。虫歯になりやすいが歯周病にはなりにくいとか、その逆もありますし、またその両方もあります。もちろんその両方なりにくい方もいらっしゃいます。母体の中では細菌感染はしていませんが、産道を通って産まれてくるときに常在菌が感染すると言われています。母から子へ移るのです。それだけでなく親や祖父母がつかっているお箸などで子供に食事を与える光景があります。そういったことでも感染すると言われています。

無菌化

先ほども述べたように口腔内の細菌を無菌化することはほぼ不可能です。ですからその栄養源である歯垢のコントロール除去することがとても大切なのです。歯垢が固まり歯石になります。歯石は表面が粗造で歯垢が付着しやすいので、これも除去する必要があります。歯石は硬くて歯ブラシでは落とせませんので歯科医院で除去します。家ではプラークコントロール、診療所では歯石除去することで歯周病をコントロールしていきます。

歯周病

歯周病はお越しいただいた時に、歯の揺れ、歯周ポケット、歯茎の炎症などを拝見します。

噛んだ時の痛みや歯の揺れから必要ならレントゲンやCTを撮影することもあります。歯周病の治療は難しいです。歯周病単独が原因であれば基本的に歯垢、歯石の除去がその治療になります。歯周ポケットの奥深いところにある歯石の除去が難しければ、麻酔をして奥深いところにある歯石を除去するために歯茎を切開し見えやすい状況にします。いわゆる歯周外科手術をします。歯石の除去とプラークコントロールで歯周病はよくなります。

タバコと歯ぎしり

ただしたばこを呑んでいる方はその影響で歯茎の毛細血管が狭小化していて、治りが悪いです。また歯周病と歯ぎしり、噛みしめの両方が原因だと歯周病治療だけではよくなりません。噛みしめのコントロール、具体的には夜間のマウスピースの使用とともに継続してプラークコントロール、定期的な歯石除去、日中の噛みしめしない自己暗示が必要です。

虫歯のチェック

虫歯のチェック方法は色々できるようになっています。一つはお察しの通りレントゲンです。怪しいかなと思われるところ、明らかな虫歯でも深さを知るためにレントゲン撮影します。レントゲンでは硬いところは白く、柔らかいところは黒く映ります。虫歯や歯の神経は黒く映ります。金属は白く、セラミックはその種類により白かったり黒かったりします。

宇宙

局部的なレントゲン写真は、外を歩いている時に宇宙から降ってくる宇宙放射線よりも低量ですのでご安心ください。ちなみに全体的なレントゲン、CTでも飛行機に搭乗しているときに被ばくしている量とさほど変わりません。かといってお見えになるたびにレントゲンを撮影するわけにもいきません。

五感

視診、触診、など五感を総動員して虫歯は無いか私はチェックしています。その上で必要と思えば必要なところだけレントゲン撮影するようにしています。ただレントゲン撮影も弱点があり、先ほど述べた金属など白く映るところの中などは虫歯かどうかわかりません。当院での治療履歴があるところなら以前にどのような状態だったかを把握できているので判断材料が増えます。ここは経験にものをいわせて診察しています。

新しい器材

従来はレントゲンと術者の経験で虫歯のチェックをしていたのですが、当院では2つの光学機器を必要に応じて使用するようにしています。

ダイアグノデントペン

光学式う蝕検出装置です。レーザー光で虫歯の状態を数値で示すものです。655nmの低出力のレーザー光を歯の溝や歯と歯の間に照射します。もし虫歯があればそこに含まれる代謝産物、ポルフィリンというのですがそれがレーザーに蛍光反射するのでそれを読み取り数値化するものです。痛みもありませんし、子供や妊婦さんにも用います。当然麻酔もしません。音が鳴るくらいです。測定された数値で虫歯の進行状態を判断します。角度を変えたり数回測定して平均値を取ります。その結果から必要ないか、経過観察すべきか、治療を行うかなど判断します。私はそれに加えその方のプラークコントロールの良し悪し、今までの虫歯の治療履歴などを加味して治療か経過観察かを判断しています。虫歯になりやすい方は検診期間を短くしたりして、様子をみることもあります。

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口腔内スキャナー

マウスピース矯正の診断、治療、インプラント治療、補綴治療に用いる口腔内スキャナー、連続して口腔内を小さなカメラで撮影し立体画像を組み立てるのですが、その装置にう蝕検知機能がついています。簡単に言えばフラッシュを焚いて口腔内を撮影するのですが、撮影した陰影を読み取ります。虫歯のところは明らかに周囲と違って白く映ります。レントゲンと違い被ばくしませんから患者さんにとって朗報です。ただし保険診療で虫歯を見つけるためにレントゲンの代わりに使用することは認められていません。またどの種類の口腔内スキャナーに備わった機能ではありません。幸い当院に導入している口腔内スキャナーにはその機能が備わっています。インプラント治療、矯正治療を行う際、前処置として虫歯がないかどうか、再度チェックのために用いています。どちらの治療も事前に通常のレントゲンによる診断をしていますので再チェックするという使い方です。

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妊婦さん

スキャン撮影はレントゲンではありませんから妊婦さんの検診で虫歯のチェックに本当は使いたいのですけれど。保険診療外になりますが、ご興味があればお声掛けください。その場で3Dの自分自身の口腔内が画面上に出てきます!

ゴールと途中経過がわかる矯正治療

2023年10月19日

模型

型取りすることがすべて無くなることはありません。PC上での3Dと手元で確認できる実物はやはり違います。かなり技術が進化してきていますが実物にかなうにはさらなる技術革新が求められるのではないかと、個人的には思います。とはいえ、型取りすると口の中に異物が入って、それが口の中に押し付けられたまま数分間保持されます。

型取りすると苦しい

特に口でいつも呼吸している方はその時ばかりは鼻で呼吸しなければなりませんから苦しいと思います。唾液もよく出てきます。歯ぎしり対策用のマウスピースや小児矯正で用いるマウスピースを初めて口にいれると唾液がよく出ます。それらのものを口の中に装着するとかみ合わせの高さが少し高くなりますから、口を閉じると上下の歯並びが入れてないときよりも当たりやすくなります。

唾液がついつい

噛むという刺激で唾液が出てくるのです。よく噛んで食べましょうと言われます。噛むことによって唾液が出て、食材をすりつぶしてそれを飲み込みやすいような形、食塊というのですが、そのかたちにするのにパサパサでは一つの形にまとまりませんし、のどを通っていくときにつっかりやすくなります。唾液の効能は他にも抗菌作用、免疫作用、などもありますが以前にコラムに書かせていただいていますからご参照ください。

マウスピースは噛まないで

本来、義歯以外のマウスピースはすすんで噛むものではありません。特に小児矯正で用いるマウスピースはシリコンでできていますから、毎日約8時間体重分の力をかけていると破れてしまいます。破れると交換しなくてはなりませんから費用もかかってしまいます。お子さんにはよく言い聞かせてください。

歯ぎしり用でも

歯ぎしり対策用のマウスピースはそれより硬いですが、強度を持たせようとすると厚みが出て違和感が大きくなります。なるべく薄くしているので歯ぎしりの強い方やかみ合わせの深い方(かみ合わせると下の前歯が見えなくなる方)はマウスピースの穴が開いたり、破れてきます。穴が開く人、開かない人、すぐ開く人、全然大丈夫な人、いろいろいらっしゃいます。歯同士を直接当てない、特定の歯に力がかからないようにすることを目的にしていますから、穴が開くくらいはさほど気にされなくてよいです。早くに歯ぎしり用のマウスピースに穴が開くような方は普段作業に没頭されている時に噛みしめている癖があることが多いので気をつけてください。そういうことをしないよう常に気をつけてください。

口腔内スキャナーは楽です。

口腔内スキャナーで型取りすると、口は大きく開けていただかないといけませんが口の中の異物感はかなり軽減されます。柔らかいものが固まるのを待ちません。その材料がのどの方に落ちて、飲み込むということもありません。細かい連続した写真を小さなカメラで撮影しているのですから。それをとてもたくさん撮影して、合成して立体画像にしていきますから少し時間はかかります。上あごと下あごの撮影とかみ合わせの撮影で約5分くらいとみてください。

不得意な場所はあります

ただし撮影しづらい場所(特に奥歯)や、口の開きずらい方、唾液が多く出る方(唾液で光が跳ね返される)などありますから一概にそうとは言えず、撮影時間が延びることがあります。撮影をしなおすことになっても部分的に取り直せますし、すべて取り直しても従来の型取りよりも苦しさはほとんどないです。口を大きく開けていただかないといけませんけれど。

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資料はいっぱい要ります

矯正治療ではレントゲン撮影、CT撮影、口腔内スキャン(型取り)顔貌撮影、口腔内撮影(従来のカメラでの撮影)など資料を沢山採取させていただきます。その上で診断、治療計画を立案します。これはワイヤーでの矯正も、マウスピースでの矯正も同じです。ただ従来のワイヤー矯正と違ってマウスピース矯正(インビザライン矯正)は、そのゴールがどうなるかを目視化してその手順を決めていくことができます。

ゴールが見える

ニッケルチタン製の形状記憶のワイヤーを用いる矯正は、歯が正しく並んでいる位置を元に(正常歯列)歯の種類毎にワイヤーの通り道を歯に設定し、ブラケットを歯に接着します。ゴールは通常の型取りをした模型を分割してそれらを再構成してゴールの歯並びをつくって一つの模型に戻します。それをセットアップ模型といいます。歯並びのよくない歯に、正しい歯並びにあったワイヤーを付けて、ワイヤーの元に戻ろうとする力を利用して歯を移動させていきます。

ワイヤー矯正

顎の大きさは決まっていますからその中にすべての歯が収まらなければ抜歯ということになります。収まったとしても歯を動かす移動量が大きければ時間はかかります。ワイヤーの戻る力が強いと歯は大きく引っ張られますから痛みを感じます。ワイヤーも太さや形状がいろいろあります。細いワイヤーは軟らかいですし、太いと硬くなります。軟らかいとかかる力は小さいですし、太いと大きくなります。かかる力の大小で移動量は変わりますし痛みも違います。ですからワイヤーによる矯正はワイヤーと歯に付けるブラケットの位置がとても重要です。ある程度ワイヤーの形がゴールと言えます。

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マウスピースの治療計画

マウスピース矯正は3Dに収まっている模型でゴールを決めます。シュミレーションをPCの中で行います。ゴールを幾種類か考えてその比較検討をして最善と思われるものを選択します。ゴールが決まったらそのゴールを達成するのにどのように歯を動かすのか、を検討します。歯には色々な種類があります。前歯、奥歯、それぞれ大きさ、形が違います。上と下でも違います。それぞれの歯の周りの骨の厚さも違います。動かせる力、動く量も違います。それらを検討し更に動かす順番なども決めていきます。

抜歯すると難しいです

抜歯が組み込まれた計画になると、それはワイヤーであっても同じなのですが難易度は上がります。抜歯したところは骨が一時的になくなっていますからそこへ向かって歯は移動しやすくなります。でもそれは倒れていくのです。歯の軸を変えずに、平行に歯を移動させるのはとても難しいのです。それは抜歯していなくても同じなのですが、特に抜歯して矯正治療を行うときには難しいです。それらをいかに計画通りに動かすか、動かすためにどのような力をどのような方向からかけるか、なるべく矯正治療の期間を短くするためにできることは何か、効率的に行うにはどうするかを考えます。

親知らず

親知らずはできる限り、年齢にもよるかとは思いますが矯正治療を行う際には抜いておく方がよいです。親知らずは生えようとする力、真っすぐ生えていても顎が小さいところに生えているのですからきゅうくつになって、歯を押してしまい歯並びを崩してしまう原因になっていくことがほとんどだからです。若年であれば少し先になってもよいのですが、早めに越したことはないです。

自分で管理

ワイヤー矯正と違って24時間装着ではありません。食事や歯ブラシなどの時に外してもらうので口腔内を清潔に保ちやすいという利点がありますが半面、歯を動かす時間がワイヤー矯正に劣ります。22時間装着していただいても2時間外しているので20時間しか歯に力がかかりません。ワイヤーは外せませんから24時間しっかり力がかかります。自分で外せますから自ら律していただかなくてはなりません。また所定の位置までしっかり装着していただかないとこちらの意図する方向に歯が動かないということも起こりえます。チューイーというものを装着時にはしっかり噛んでもらいしっかり装着することが大切です。

作用反作用

みなさん、過去に作用反作用を習ったことがあると思います。例えば小舟から水の中に落ちて舟に反動を使って乗り込もうとすると自分は上へ起き上がりますが、舟は下の沈む方向に行こうとします。同じだけの力がかかります。歯も同じで前に出る力をかけると隣や他の歯に後ろへ押す力が同じだけかかります。それをできるだけ分散させて影響のないように考えた治療計画を立てるのですがマウスピースだけでは難しいこともあって、上と下のマウスピースに小さな輪ゴムみたいなのをマウスピース装着時に使ってもらうことがあります。

共同作業

歯を目的地まで動かすために患者さん自身に行ってもらうことがあり、それらをしっかりしていただくことを前提にして治療計画を立てることが多いです。歯科医と患者さんのまさに共同作業で矯正治療は行われるのです。口腔内スキャナーを用いることで患者さんは苦しい型取りがほぼ無くなり、治療計画を立てるのにより精密に設計できるようになりました。技術の進歩はすごいですね。

苦しくない型取りができるようになりました

2023年10月12日

粘土のような

型取りをされた経験がみなさんあるでしょうか。不幸にして虫歯になってしまいその部分を金属で詰めたり、神経処置をして金属やセラミックのかぶせ物を装着したり、歯を失ったところを補うためにその両隣の歯を土台にして固定式のかぶせ物(ブリッジといわれるもの)を作ったり、部分入れ歯、総入れ歯を作ったり、顎関節症や歯ぎしり用のマウスピース、スポーツによる歯の外傷(歯が折れたりするのを防ぐ)防止用のマウスピース、を作ったりするために型取りをします。直接口の中ですべてを作ることができれば一番良いのですが時間もかかりますし、何よりずっと拘束させていただかないといけません。そんなことはできません。製作物を作るのに顎を置いていってもらえばよいのですがそうわけにもいきません。顎というか口の中の状態を再現するものを作製し、それを元に製作物を作っていきます。型取りをして出来るのが石膏の模型です。

石膏

昔だと骨折したときに腕や足を正常な位置に戻してぐらぐら動かないようにするのに使われてもいました。文字通り石のように硬いのですがその硬さも種類によって様々です。通常は粉末で保存されていて、水と混ぜることで固まります。水の量が多いと硬さは軟らかく、水の量が少なければ少ないほど固まったあと硬くなります。元の粉にも種類があり柔らかめの石膏の粉末に少量の水を入れて固めても形を作れる塊になりません。それぞれにあった適切な水の量というのがあります。型取りしたところに適切な硬さの石膏を注入して、それを固めて作業するための模型を作ります。

印象材料

型取りする材料にも数種類あって海藻系の材料とシリコン系のものがあります。口の中は唾液があります。海藻系のものは水と親和性があります。シリコン系のものは水を弾くので親和性はありません。海藻系の材料は経時的に変形していきますが、シリコン系の材料は経時的な変形はあまりありません。海藻系の材料は固まるのに2分くらい、シリコン系の材料は5分くらいかかります。それぞれ特徴があります。製作物の種類、治療履歴などから型取りの耐性、他にも色々なことを考えた上でどちらにするかを決めています。

誤差0なんて

石膏も、型取りの材料も誤差0ということはありません。口腔内と全く同じかといえばズレはあります。石膏も適切な粉と水の量を選んで混和しても膨張します。型取りの材料も2種類の材料を適切な量で混ぜるのですが、収縮します。それぞれあわせて誤差0になればよいのですがそうはならないのです。出来る限り0に近づけようと企業も術者も努力していますが難しいのです。そのようにしてできた模型を元に詰め物、かぶせ物、入れ歯を作製していきます。

新たな型取りがある

歯科の中の大きなパラダイムシフトというのはなかなかないのですが、それでもCTの普及、デジタルレントゲン、マイクロスコープ、CADデザイン など進んできています。その中の一つが口腔内スキャナーです。口腔内スキャナーとは歯科で使用される光学センサーが内臓されたハンドピース、いわば小型カメラを用いて口の中をスキャン、精密なデジタル画像を撮影しそれを三次元画像にしていきます。

口腔内スキャナーのメリットは

患者さんの負担の軽減(不快感や嘔吐感の軽減)

精度の高い歯科技工物の作製が可能になる

より正確な診査、診断、治療計画の立案ができる

模型作成の必要がなくなり環境負荷がなくなる

データはクラウド上で保存できる。

などがあげられます。

口腔内スキャナー

口腔内スキャナーは、まだ普及が進んでいないものの、そのメリットから今後ますます広く使われるようになると考えられています。既にマウスピース矯正において治療計画の立案や装置の製造、インプラント手術のプラニング、インプラント埋入に用いる材料や上部構造の作製、少数歯の詰め物やかぶせ物の作製に用いられています。残念ながら入れ歯作成にはまだ至っていませんがアメリカでは治験がされており遠くない将来に入れ歯の作製までできることになるでしょう。フォームの始まりただし現在ではまだ保険適応にはなっておらず自費診療に限られているのが実情です。

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既にインプラントに使っている

インプラントをするのにそれが可能かどうか。出来るとしたなら、どの部位にどの方向にどの深さにインプラントができるのか。それが反対側の歯とかみ合わせるのに適切な位置かどうかを調べてなければなりません。レントゲン撮影で、ある程度は骨の量や大きな下あごの中を通る神経までの距離、鼻腔までの距離はわかるのですが、ざっくりとしたことしかわかりません。そこでCT撮影を行います。また口腔内スキャナーで口の中を撮影しCTのデータとスキャンしたデータを融合させて立体画像を組み立てます。そうすることで骨の量、大きな神経までの距離、鼻腔までの距離が確認でき、安全にインプラントを埋め込める位置を確認します。

インプラントは最終的にかぶせ物をしてかみ合わせていくのですが、安全にインプラントを埋め込んで、なおかつかみ合わせに適切な位置を決めていきます。埋め込んでいく位置が決まれば、その場所に正確にインプラントを埋め込まなければなりません。骨の中はどの骨でも基本的に神経は通っていないので痛みを感じません。ただし下あごの中には例外的に大きな神経が通っています。逆に言えばその部分を除くと痛みは感じません。痛さを感じるのは術後に歯茎に炎症がおこるからです。切開をすると身体により侵襲がかかるのでその傾向が高まります。当院ではよほど問題がなければ切開をせずにインプラント埋入手術するようにしています。

ガイド

口腔内スキャナーを用いて取得したデータを元にインプラントを正確に埋入するため、インプラント手術に用いる材料を3Dプリンターを用いて作製します。こうしてインプラントを埋入する方向、深さをコントロールして安全にインプラント治療を行っています。

宇治市 歯医者 guide なかむら歯科医院

unkwon

これらの機器を駆使しても唯一わからないのは骨の硬さです。こればかりは今のところ何ともしようがありません。実際に触ってみないとわかりません。骨の硬さがインプラントと骨が結合する時間に大きく関わってきます。しっかりと骨とインプラントが引っ付いていないとかぶせ物を作っていけません。噛む力というのは、体重分くらいかかると言われています。骨とインプラントの結合がゆるいといくらよいかぶせ物を入れてもインプラントごと抜けてしまう可能性が高くなります。

かぶせ物

インプラント手術が上手くいき、しっかり骨とインプラントが結合したことを確認できたならかぶせ物を作製していきます。インプラント本体にスキャニングを行うために規格化された材料を装着して、口腔内スキャナーでスキャンします。型取りをするのです。粘土みたいな材料は使いません。歯茎と規格化された材料、Hスキャンボディーというのですが、正確にその位置関係を読み込んで、インプラント本体に装着する土台を上物を作っていきます。かみ合わせの反対側の歯もスキャニングし、またかみ合わせた状態でもスキャニングして、上あごと下あごの関係もデータ化してデジタルを元に作っていきます。

精度アップ

粘土みたいな型取りと模型という間接的な材料を2種類使いませんからより精密に作製できます。インプラントのプラニングするのと同時に、埋め込んだインプラントに取り付ける土台と上物を先回りして作ることもできます。前歯など歯抜けの状態のないようにするために、歯を抜くのと同時にインプラントを埋め込みと土台と仮歯の装着まで一気に行うことも可能です。歯茎の治りは個人差あるので最終のものにはならないのですが。このようにインプラントでは普通に口腔内スキャナーは用いられるようになってきています。

次回は口腔内スキャナーと矯正治療についてお話したいと思います。

子どもの歯並びを治すのはいつから始めるのか

2023年10月5日

子どもの歯並びをいつから治すのかは個人差もありますから一概に言えません。ただ放っておいてよくなることは一部であってたいていはよくならないです。学校健診でかみ合わせのところに治療を要するもの、経過を診るものの分類はあるにせよ校医の先生が変わらなければ年齢が上がっていってもチェックが無くなることはないと思います。乳歯から永久歯に生え変わるにつれて改善するのではないか、永久歯になってから考えればよいか、男の子だから多少歯並び悪くても構わないか、などと考えますよね。

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乳歯<永久歯

乳歯に比べて永久歯の方が大きいです。顎も成長していきますから乳歯のうちは様子をみればよいかと思いがちですが、乳歯で歯並びが悪いと大きくなってもなかなか改善しません。成長は第一次成長、第二次成長と成長の波はありますが当然そればかりではなく、毎日成長しています。基本的にどんどんすきっぱになっていくのが普通なのにきちきちに生えているということは普通より顎が大きくなっていないということです。受け口の場合は上あごが小さいということです。遺伝ということも考えられます。

硬いものを食べればよいのか

顎が大きくならないのは噛む回数が少ないからとか、軟食が多くなっているからとか、食に関することに頭がいきますが、それだけではありません。以前にも記していますが、哺乳、離乳食などからすべてが始まっているのです。すなわち適切な哺乳、離乳食の与え方ができていないと適切な舌、唇の動かし方、機能のさせ方を覚えられないのです。それらの筋肉を適切に動かすことが顎の骨を大きくするサポートになっているのです。きちんと機能できていないと顎は大きくなりません。唇を閉めて鼻呼吸をすることができていないと上あごがうまく成長しません。

舌の定位置

唇を閉じていると舌先は通常、上の前歯の歯と歯茎の境目のところに付きます。舌はどちらかと言えば上あごに付きます。上あごを舌で外側に押しているイメージがつくでしょうか。外側、前側、上側に向かって拡げているのです。一方口を開けていると舌は下側に落ちるか奥にひっこみます。上あごを大きくする力がありません、口が開いているから外側の頬あたりの筋肉が歯を内側に押すように働きます。ということは中から外へ押す力がなく外から中に押す力だけが働きますから顎は大きくなりません。ですから八重歯とか歯並びガタガタになるのです。顎は上下一対です。基本的に上が少し大きく舌が少し小さいかみ合わせです。上が小さいと下もそれに合わせて小さくなります。ですから下あごの歯並びもガタガタします。

成長のピーク

成長する期間は限られています。頭の成長は6~9歳くらいがピークです。上あごは頭の一部なのでほぼ同じです。下あごは背の延びる時期とほぼ同じなので9~12歳くらいがピークと考えていただくとよいでしょう。それらはまだ乳歯と永久歯が混在して生えている時期、乳歯が抜けている時期です。それらのうちに顎を大きくしなくてはなりません。ただ顎を大きくするだけではなく鼻呼吸できるような訓練をしなくてはなりません。鼻の病気があればそれを治さないといけません。食材を考えた食の提供を保護者は考えないといけません。

様子をみてよくならない

様子を見ているだけでは顎は大きくなりません。食育というのがあります。ぜひ保護者の方は勉強してください。私もそれほど詳しくはありませんがHPに口腔育成のページを収載していますのでご覧いただけると一助になると思います。口呼吸しているかどうかはテレビや動画を見ているときなど何気なくお子さんの口元をみていただくとすぐにわかります。口閉じて!と言って叱ってもそのときだけです。学校などに行っている時に注意はできません。

口を酸っぱくしても口は閉じない

さあどうしましょうか。いわゆる取り外しできる矯正装置 可撤式床装置と呼ばれるものが乳歯の歯並びから乳歯と永久歯の混じっている時期に使うことで鼻呼吸へ戻す一助になると考えています。鼻の通りに問題がないことも大切なので耳鼻科に行っていただいて問題があればそちらの治療も当然必要です。その装置を使うことで鼻呼吸することを覚えてもらいます。主な目的として鼻呼吸、副次的に歯列不正の改善になります。必ず歯並びがよくなるわけではありません。不要な力を排除することで本来の歯並びに戻ろうとします。ある程度の改善は見込めますがすべて解決までは至らないかもしれません。でも鼻呼吸の獲得はこの時期にしておかなければなりません。

鼻呼吸は大事

受け口の場合は特に初期のうちから改善をしていく必要があります。早ければ3~4歳からです。ですが取り外しの装置は自分で外せますからきちんと使えることが条件です。きちんと言い聞かせられる年齢からになります。早く上あごを大きくして上下の関係を正常にしてあげて、正しい成長に戻してあげることが大切です。

時期をのがしてしまったら

永久歯の歯並びになって成長のピークを越えてしまってもスパンと成長が止まるわけではありません。少しづつ成長率が落ちていきゼロになります。ティーンの間は、特に低年齢のティーンであればまだ成長がわずかですが残っているので顎を大きくすることに取り組むことはできます。ただし夜間使用だけの取り外しの装置では効果はでません。本格的な矯正装置を使うことになります。成長は18歳まで続きますから経過はみていかないといけません。特に受け口の遺伝的傾向のある方はどんどん下あごが前に出てしまうことがあります。成長は誰も止められませんから、外科的処置を伴う矯正治療が必要となります。

外科的処置とは何か

上あごは一かたまりがどんどん大きくなるのではなくて、大きくは3つの骨が真ん中に向かって成長していき一つのかたまりになっていきます。それぞれの境目が時間を経ることに融合していきその跡形は無くなっていくのですが、それでもその痕跡はあります。簡単にいうと前と奥左、奥右なのですがそのつなぎ目はYの字みたいになると考えてください。その跡形を基準にして切れ込みを入れ左右、あるいは左右と前に力を加えて引っ付いていた骨を広げていくのです。広げると真ん中が空間になるのではないか、と思われるでしょうが、開いた分だけ骨は埋めようとします。身体の生理的な反応です。

骨が折れても骨は再生しますよね。

それと同じです。一気に全身麻酔をして力ずくで骨を広げるのではありません。上あごのところに固定式の装置を取り付けて一日〇,何ミリづつ広げていきます。この固定式装置を取り付けるときに麻酔はしますが、虫歯治療をする時の麻酔と同じ局所麻酔で取り付けます。左右に拡げると真ん中の歯がすきっぱになってきます。また前に出すと犬歯あたりがすきっぱになってきます。そうすることで顎自体を大きくすることができ、歯をならべるスペースを確保します。これですべてが解決できるわけではありません。ですが治療の選択肢を増やすことができます。

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上と下は違う

下あごが小さいこともあるのですが、下あごは上あごと違って一つの骨が大きくなっているので接合している部分の跡形はありません。ですから骨を大きくすることはできません。大きくできませんが前に出すことはできます。顎を大きくすることには限界があります。適切な時期に鼻呼吸を獲得でき、鼻の疾患、鼻づまりのないようにお子様の成長の時期の健康管理には十分気を配ってあげることに保護者の方は努めていただけるとありがたいです。外科的な処置は誰も望みませんから。

詰めた物が取れてもすぐ着けられないのは何故なのか

2023年9月28日

取れたから来たんだけど

診療所を訪れてくださる理由に詰め物、かぶせ物が取れた、ということがあります。定期的にお口のメインテナンスをしていただいていても、残念ながらそのようなことは起こりえます。詰めたものが取れただけなので、セメント着けて戻せばいいだけだから時間はかからないだろうし、すぐ診てもらえるだろうとお考えのことかと思います。

付け直すにも手順とチェック事項がありますから、1分2分で終わりません。連絡なくお見えいただく方もあるのですが、事前にご予約していただいている方の治療の時間を削る訳にいきません。お待ちいただくことになります。時間を取って治療に当たらないといけない診療が続く予約だった場合、当然待ち時間が長くなります。待ち時間が比較的少なくなる日時を提案してお帰りいただくこともあります。

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横入りされて気分いいですか

詰め物やかぶせ物がとれて不便であることは承知しておりますが、皆さんも横入りされるのは嫌ですよね。自分の予約した治療時間が少なくなるのは気分のよいものではないと思います。なるべく早く対処はしたいと思いますが、早くを希望されれば早いほど、ご希望の時間になりにくいことをご承知おきくださると助かります。

事前に電話一本

また事前に電話で、当院にかかられている方であれば、上か下か右か左か、詰め物かかぶせ物か、などわかる範囲でご連絡いただくと、カルテやレントゲンからどんなものが取れたかを類推し、着け直すだけですむなら、その治療時間の見当をある程度つけることも可能です。もちろん着け直すことができない場合も多々あります。当院へかかられたことのない方も同様になるべく詳しくご連絡いただけると診療の一助になります。

着け直すことができない場合、限られた時間で拝見させていただいていますので、改めて後日時間をお取りして治療させていただくことになります。不便の解消にはできるだけ早く対処できるよう取り組んでいます。なるべく早く折り合える日時を提案しますのでご協力ください。

なんで時間が必要なのか

取れたには理由があります。その原因を確認します。

虫歯

詰め物やかぶせ物は歯と材料との間にセメントを言われる接着剤で引っ付けています。歯と詰め物は硬く、硬いもの同士を接着剤でとめています。虫歯が出来るとその部分の歯は軟らかくなります。硬いものが軟らかくなるのでそこに隙間ができて接着剤の効力が失われるのです。なかなか上手く例えられないのですが、木片と木片を接着剤でくっつけたら付きます。片方の木片が腐敗してぼろぼろになってくると外れてくる、みたいにイメージしてもらえるとよいかと思います。

虫歯治療のページへ

虫歯を取り除く

軟らかい虫歯の部分を取り去り、硬い健全な歯質と詰める材料で修復するようにします。被せるのも同じです。詰めたり、かぶせてあるものが取れるくらいですから虫歯は進行しています。ですから神経を残す材料を補填したり、神経が無い場合は土台を補強したりしなければなりません。神経のない場合は痛みがありませんからかぶせ物が取れた時には元に戻すことができなくなっている、なんてこともあります。それは抜歯を意味します。一番極端なことまで述べていますが、これらのことを僅かな時間で処置することはできません。合間の時間ではとても対応できません。

レントゲンで映らない虫歯もある

定期的にメンテナンスに来ていただいていても虫歯のチェックをしきれないことがあります。レントゲンで金属は真っ白に映ります。金属でないところはその陰影で虫歯かどうか診断することはできます。金属の中、かぶせ物のなかを確認することは難しいです。メンテナンスにお越しいただいたときにはかぶせ物の金属やセラミックの境目のチェックは密に行っています。それくらいしかできませんが、怪しいときには角度を考えてレントゲン撮影することもあります。

残っているセメントの除去

取れた、外れた時にはこのように、まず虫歯があるかないかのチェックを行います。次に歯に残っているセメントをすべて除去します。セメントの下に虫歯がないかを診ることと、幸い何も問題がなくて詰め物を再装着した時にセメントの厚みが増えてしまって高さが変わらないようにするためです。神経が残っている場合にはセメントを取り除く時に歯がしみることもあります。

適合はよいのか

歯の方に問題がないと確認できたら取れたものを歯に合わせてみます。噛みしめのきつい方は歯が欠けていたり、金属の薄いところが変形しているかもしれないからです。

歯の薄い部分がかけていたり、金属の薄いところが欠けていたりしているとその部分からセメントが溶解しやすくなるので再治療が必要となります。特に噛みしめの力の強い方はその傾向が高いです。また外れた時に詰め物が薄いと変形することがあります。そうするとやはり再装着はできません。

外れやすい詰め物かぶせ物

薄い詰め物、背丈の低いかぶせ物は接着する面積が、厚みのある詰め物、丈のあるかぶせ物に比べると少なくなりますから外れやすいです。外れにくくするには接着面積を増やす必要があります。それが難しい場合には力学構造を考えた形態を設計します。それでも歯ぎしり、噛みしめの強い方はどうしても外れやすいです。

噛み合わせのチェック

歯やインプラントは縦方向にかかる力には強いのですが、横揺れにはそれほど強くないのです。奥歯を守るために犬歯は存在しています。犬歯がちゃんと機能していると歯は横揺れから守られます。詰め物、かぶせ物も同じで、横からの力がかかりすぎると外れる原因になります。ですから、取れた詰め物やかぶせ物を再度装着した後、必ず噛み合わせのチェック、必要なら調整を行います。セメントも僅かですがその厚みがありますから噛み合わせのチェックは必要になります。

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土台ごと取れた場合

被せが土台ごと取れてくることがあります。土台がついているので神経が無いことがほとんどです。その場合まずチェックするのは歯がわれていないか、ヒビが入っていないかを確認します。割れていたり、ヒビが入っていたらその部分からセメントが壊れていきますから外れやすいです。というかそのヒビ、割れている部分から細菌感染を引き起こし腫れたりします。そんな状態ですから、もちろん外れたかぶせものと歯の適合がよいことはあまりありません。無理に付けてもすぐに取れることが多いです。長くもてばそれはラッキーです。神経のない歯は神経のある歯に比べて栄養供給が絶たれるのでいわゆる“しなり”が無くなり、割れるのです。そこへもってきて噛みしめが強いと更に割れるリスクが高まります。

歯が割れたままだと骨に影響する

割れたりヒビが入っていたら基本的には抜歯です。今まで痛くないから付けてくれればいい、とおっしゃる方が大半です。長く割れている状態のままだと歯を支える周りの骨が少しずつ失われます。痛みはありませんが、腫れたり痛んだらおそらく完全に割れています。そうなると先ほど述べたように抜歯なのですが、骨が失われているのでインプラント希望されてもできない、あるいは人工の骨を使ってある程度骨を修復する、あるいはどこからか骨を持ってきて移植するなどすることになります。一旦失われた骨は容易に回復しません。

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隣の歯が虫歯

取れた歯の隣の歯が虫歯になっていることもあります。その治療を行うと、外れた詰めものをきちんと合うように調整しないといけなくなりますから時間がかかります。外れた詰め物を先に付け後日治療となると、治療範囲が広げないといけなくなることもあります。取れたものが付けられたとしても、それを活かすために後日の治療になることもあります。

虫歯治療のページへ

ちなみにですが

もう何年も経ってるから詰め物、かぶせ物をやり替えた方がよいですか。と聞かれることがあります。保険診療で用いている金属には多くの銀、銅、ニッケルなどが含まれています。唾液の性状もありますが、口腔内は湿っていますから銀や銅は錆びやすい環境にあります。錆びてくるとセメントが崩壊しやすく外れたり、隙間から虫歯になりやすいのです。やり替えせずに済ませるには貴金属、すなわちゴールドとかセラミックを用いたものを使用されることをお勧めします。

いや、保険で、

ということでも構わないのですが、やり替える度にご自身の健全は歯が少しずつ失われる、虫歯になるリスクは変わらないということは頭の片隅に入れておいてください。長い目でみれば体に為害性のない材料を用いて健康を保持する方がよいとは思います。

なるべく早く対処するよう努力します

詰め物、かぶせ物が取れてもすぐ着けられるだろうと思われても、虫歯のチェック、セメントの除去、歯の欠けが無いか、詰め物、かぶせ物の適合具合、歯にヒビが入っていないか、噛み合わせのチェック、装着後のセメントの取り残しはないか、隣の歯の虫歯はないか、セメントの硬化時間待ち、などなどいろいろ医院側ですることがあります。簡単そうに思われるかもしれませんがきちんとした時間が必要な治療なのです。

 

人類史上最大の感染症はコロナではなく歯周病です

2023年9月21日

こう書くと、そりゃ歯科に関係があるものだろうと思いますよね。だとしたら虫歯か歯周病の二択になりますよね。治りにくいのはどちらかと考えると、そうです、歯周病なんです。ギネスブックで歯周病について人類史上最大の感染症と紹介しています。歯周病は予備軍含めて日本国民の約80%、20代でも約半分が罹患しているとされています。口腔内に常在している歯周病菌によって歯を支える歯槽骨が溶けて歯を失う病気です。歯槽骨が失われていくにつれそれに合わせてその上に乗っている歯肉が下がっていきます。歯茎にも骨にも血管から栄養が供給されています。小さく細いものですから血管内の血液の色が透けているので歯茎はピンク色に見えます。それくらい薄いものですから歯周病菌は炎症部の毛細血管に入り込み、そこから体全体に回り免疫力を下げて様々な生活習慣病の発生を助長します。

疾病リスクを引き上げる口腔内細菌

長らく口腔内のトラブルとして認識されてきた歯周病ですが、最近の研究で歯周病が心臓疾患、脳卒中、糖尿病などと関係していることがわかっています。歯周病菌が血管を通して全身にひろがることで全身疾患を引き上げています。歯周病が引き起こす病気として他に動脈硬化、肺炎、がん、骨粗しょう症、認知症、早産低体重児があります。

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メタボリックドミノ

メタボリックドミノとは河川の上流で放流される汚染物質が下流域の汚染原因になっていることを、上流に歯学、下流の医学としてドミノで例えたものです。歯周病になると生活習慣病が知らない間にドミノ倒しのように進み人命に関わるような疾病を引き起こします。ですから、上流の口腔でケアすることで多くの生活習慣病を未然に防ぐことができます。

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低体重児、早産のリスク

歯周病はそうでない人に比べ低体重児や早産のリスクを高めます。早産は2,27倍、低体重児は4,03倍にも上るというデータがあります。妊娠前から口腔ケアを行うことがとても重要です。

歯の残存歯数と医療費の関係

65歳の人12000人を対象に行われた調査で一回当たりの医科での医療費で

残っている歯の数

20本以上   19750円

0~4本   29350円

(この途中の本数もあるのですが割愛します。)

歯の残存歯数が少ないほど医療費が高くなっています。口腔内の健康が全身の生活習慣病に関係していることがわかります。

このようなことがわかってきて政府も医療費削減のために国民皆歯科検診で口腔の健康増進を図ろうとしているのです。そりゃそうですよね。人口は減り、歳入を増やすのが難しいのですから。国民にとっても死ぬまでおいしく食事できる確率が高くなるのですからそれに越したことはありません。

1本の歯の価値

永久歯は一度失ってしまうと二度と生えてきません。日本では一本の歯の価値は100万と言われていますが、アメリカでは何と一本500万!とされています。親知らずを除いて全部で28本ありますから日本では2800万、アメリカでは1億4000万が歯の価値とされています。大事にしないといけませんよね。口腔ケアの意識を高めて一本でも歯を残していきましょう。

口腔ケアは健康への投資

口の中だけの問題と思われがちな歯周病ですが様々な感染症とも密接に関係しています。

歯周病のない人に比べてある人のリスク

新型コロナウィルスの重症化リスク  5倍強

人工呼吸器使用の可能性  4,57倍

集中治療室に入院する可能性 3,54倍

合併症発症の可能性  3,67倍

(Journal of clinical periodontology 2021 2 より)

インフルエンザウィルスによる学級閉鎖率が学校での歯磨き習慣をしたことで半分くらいになったという報告もあります。細菌感染、ウィルス感染とも効果的な歯磨きや医院でのプロフェッショナルケアすることで清潔な口腔環境を維持していくことで感染予防にもなります。生活の質も上がりますし長く健康的な生活を送っていくコツかと私は考えます。

4人に1人が知覚過敏

2023年9月14日

食事中に前触れもなく起こる“ズキン”としみるような痛みの原因は知覚過敏であることが多く、日本人の4人に1人が悩まされていると言われています。

口の中に風が吹き込むと痛みを感じる

硬いものを噛むと刺すような痛みがある。

酸っぱいものが滲みる

冷たいもの、熱いものが滲みる  などなど こんなことが知覚過敏の症状です。

象牙

歯の一番外側はエナメル質、その下が象牙質、更にその下が歯の神経すなわち歯髄になっています。3層構造です。一番ボリュームがあるのが象牙質、エナメル質はそんなに厚みはありません。歯の根の部分の一番外側はエナメル質でなく、エナメル質に相当する部分はセメント質になります。セメント質はエナメル質よりも更に厚みが薄く、エナメル質とセメント質は組織構造が違います。象牙質は通常口の中に露出することはありません。加齢と共に、あるいは歯ぎしりなどで同じ硬さの歯をすり合わせているとエナメル質が削れてきます。

歯は硬い、だけど

歯より硬いセラミックや金属とエナメル質の組み合わせでもエナメル質は削れてきます。削れてくるとエナメル質で覆われていた象牙質が口の中に出てきます。象牙質は象牙細管と呼ばれるとても細かい管でできていて、その管は歯髄すなわち歯の神経とダイレクトにつながっています。その管を通して刺激が歯髄に伝わります。しみるのはそのせいです。それが滲みる痛みとなります。エナメル質にはそのような管は無く、外からの刺激をブロックしています。エナメル質は骨よりも硬く、ダイヤモンドでなければ削れません。セメント質はエナメル質に比べると硬さはぐっと落ちます。

適度の力

研磨剤のいっぱい入った歯磨剤で歯と歯の境目を歯ブラシの毛先が2、3週ほどで開いてくるくらい力いっぱいゴシゴシ磨き続けていると、セメント質が削れて象牙質が露出してくることがあります。噛みしめ、磨きすぎの他に食習慣、というのもあります。柑橘類や酢の物、などの酸性の強い食品、炭酸飲料などを頻繁に、あるいは長時間にわたって飲食すると歯の表面のエナメル質が溶けることがあり象牙質が口腔内に露出することがあります。飲食だけでなく洗口液の中にも酸性の強いものがあります。そういったものでもエナメル質の構造は弱まっていきますから用心してください。なるべく中性に近いものを選択するとよいでしょう。

虫歯とどう違う

虫歯と知覚過敏は似て非なるものです。エナメル質が失われて口腔内に象牙質が露出して滲みるのは同じですが、虫歯はいわゆるミュータンス菌が糖分を元に強酸の分泌物を出してエナメル質を溶かすのです。脱灰というのですが、知覚過敏の場合はエナメル質が溶けるのではなく削れていく、という認識でよいと思います。虫歯を予防するには糖分の摂取を控える、あるいは食事の後にブラッシングしてミュータンス菌の活動の足掛かりとなる糖分を一掃することが大切です。

唾液のチカラ

すこし話は逸れますが唾液の中にはリン酸やカルシウムなどエナメル質を再石灰化する成分が含まれています。市販の歯磨剤に含まれるフッ素に比べて濃度は低いものの口の中で24時間ケアできているということでもあります。そのためにもエナメル質表面が清潔でなければなりません

自然に治ることは、、

知覚過敏や初期の虫歯は条件が整えば自然治癒することがあります。

 正しい歯の手入れ

できるだけ毎食後に歯を磨く 無理なら口をすすぐ

力を抜いて磨く

適切な歯磨き法で磨く

 歯磨剤を選ぶ

研磨剤を含まないもの

洗浄力の高いもの(バイオフィルム、歯の表面に付いているヌメリのようなものを除去できる   もの薬効成分のあるもの酢酸トコフェロール、IPMP LSSなど

アルカリ系のもの(口腔内は酸性に傾きがちなので、中性になるように)

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 日常生活

酸性の食品を摂取したら、なるべくそれが長く残らないようにする。歯磨きできなければゆすぐのも一法です。酸性の食品のダラダラ食いをしない(ウメボシ、酢の物、柑橘系果実など)

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ストレス

セルフケアや歯磨剤で改善することもありますが、先に述べた原因が一つでなく色々混ざって症状が出ていることもあります。その場合は一つの原因の除去だけでは改善しません。歯ぎしりもストレスが原因になって起こっていることがあります。ストレスは現代人誰もが抱えていて一朝一夕に解決するものでもないのではと思います。歯ぎしりを止めるものではないですが夜間にマウスピースをすることで上下の歯同士をすり合わせないようにしてエナメル質が削れることを防ぐことも有効な治療です。スポーツ用ではありませんからとても薄いものです。セルフケア、削れた部分の修復、マウスピースの使用などで知覚過敏の改善を目指すのですが、治す、治るのが難しい疾病であるのは確かです。

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前歯がガタガタになるのは何故でしょう

2023年9月7日

若い頃は

高齢の方から時折、前歯がガタガタになってきているので治してほしいと言われることがあります。若いときはきれいに並んでいたんだけれど、と言われます。程度は様々でしょうけれどおそらくそうだったんだと思います。

歯は動く

歯を一本失うとその両側の歯と向かい合う反対側の歯が、失われた部分に向かって歯は倒れたり、伸びたりします。倒れた歯を元のように傾けて起こすとなると元々生えていた位置より高くなりますから骨の中にめり込ませるような力をかけないといけません。伸びている歯も元に戻すのも骨の中にめり込ませないといけません。歯をめり込ませる力を加えるのはとても難しいのです。また歯を骨の中にめり込ませるには相当の力が要りますから歯にダメージを与えることになります。自然に元の位置に戻ることはありませんし、矯正すれば出来なくもありませんがそれ相当な時間と費用がかかります。

失われたら早く処置をしましょう

ですから歯を不幸にして失うことになったら必ずその部分をどのような方法でもよいので早期に治してください。具体的には入れ歯、ブリッジ、インプラントなどです。残っている歯を守るという観点からはブリッジはあまりお勧めはしません。入れ歯もいわゆる金具のかかっている歯に、昔あった栓抜きのような力が毎日かかりますから揺れてくる可能性が高くなります。いろいろな条件が合致しないとできないこともありますが可能ならインプラントがベターなのかと思います。

骨は減る

前歯がガタガタしてくるのは加齢により歯を支える骨が減ってくるから歯が動きやすくなるのです。歯周病なら加齢は関係ありません。歯を支える骨が加齢でなく、歯垢の付着による炎症で減っていくのです。歯周病になればより歯は動きやすくなります。歯は身体の真ん中、前歯の真ん中に向かって寄りかかっていると考えてください。後ろによりかかっていくことはありません。歯が動きやすくなっている状況で歯が真ん中に寄りかかろうとするから前歯がガタガタになってくるのです。加齢や歯周病で歯を支える骨が少なくなっていても歯茎の炎症がなければ歯の揺れは最小限に抑えられますからぜひ効果的な歯ブラシをしていただきたく思います。

親知らず

もうひとつ大きな原因と考えられるのは親知らずです。親知らずが横を向いていて、それが生えようとするとその前の歯を前の方に押そうとする力が働きます。それが順繰りに力が伝わり前歯を動かす力になります。前歯だけにかかわらず奥歯も傾いたり回転したり倒れたりします。真っすぐ生えていてもすべての歯が並ぶだけの顎の大きさがなければやはり親知らずより前にある歯を前に動かすことになるのです。ですから矯正治療を行うにおいて親知らずを抜くのですが、わずかな歯列不正、ちょっと傾いているとか倒れているのも親知らずの抜歯でよくなる可能性もあります。矯正治療における親知らずの抜歯はそれだけでなくて、歯を後ろに移動していくことになったときに親知らずがあると後ろに動かないから、ということでもあります。

抜くか抜かないか

歯を移植するときに必要となる親知らずではありますが、矯正治療には不要であることが多いです。矯正治療で歯並びだけでなく噛む力や健康が取り戻せるようになれば、歯を失うことも少なくなると考えられますから親知らずの抜歯は身体への侵襲もそれなりにありますが、特に若いうちに検討されるとよいかと思います、もちろん年齢は関係ありません。若いうちの方が腫れることは多いですが、抜いた後に治りがよいのです。年齢が高くなると歯と骨が癒着してなかなか抜きずらくなっていくからです。特に噛むという機能を果たしていないと癒着する傾向にあります。

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よい出っ歯があるって本当?

2023年8月31日

乳歯は20本

人間は産まれてから大きくなるのですが、顎も同じように大きくなります。そこに歯が生えてきます。前歯から順に後ろに向かって上10本、下10本計20本の乳歯が生えてきます。 永久歯でもそうなのですが、乳歯でも歯の数の足らないこともあります。2つの歯が一つになった癒合歯というのがあります。前歯に多いです。前歯は通常4本ありますが2本や3本のこともあります。乳歯の前歯が1本ないというケースもあります。乳歯の奥歯はそういうことは少ないです。

上と下の顎の発育はピークが違う

顎は上あごと下あごで成長するピークが違います。上あごは頭と同じ成長曲線になります。6歳でおよそ80%成長が終わっています。下あごは身体と同じような成長をしていくので遅ければ18歳くらいまで続きます。

歯の大きさは変わりませんから、成長途中、永久歯が生え揃うまでどんどんすきっ歯になっていくのが通常です。霊長空隙、成長空隙と呼ばれる空隙ができてくるのがノーマルですが、乳歯なのにキチキチに生えている、あるいは歯並びがよくない、のはよくありません。前歯は乳歯より永久歯の方が大きいですから、乳歯がキチキチに生えていると永久歯の歯並びは悪くなります。成長につれ顎が大きくなるので歯も並ぶだろうと思われるかもしれませんが、そんなことはないと言われています。歯の数が少ないと、それにおおよそ合った分しか顎は大きくなることがないので、永久歯になっても歯が並ばないことが多いです。乳歯の歯並びがキチキチになるのは、哺乳の仕方の誤りや離乳食の仕方、が原因とされています。それについては以前のコラムにありますのでご参照ください。

受け口は早く キチキチも早く

受け口については気づいたら早めに治療しないといけません。先ほど述べたように上あごの成長が先に終わり、下あごの成長が続くので、取り掛かるのが後になればなるほど治療に時間がかかり、負担も大きくなっていきます。早くに下あごよりも上あごを大きくしなければなりません。顎を拡大するのです。

乳歯の歯並び、永久歯に生え変わりつつある歯並びで、キチキチに生えている、あるいはガタガタに生えている、あるいは生えそう、八重歯になりそう、という感じ、雰囲気、家族に歯並びの悪い人がいる、場合にも上あごを大きくしてあげないといけません。それも早く。頭の成長、上あごの成長は6歳で80%、12歳でほぼ100%終わるからです。その間に歯が並ぶだけの大きさにしなければなりません。ちょっと難しくなりますが12歳を過ぎていても個人差がありますから諦めないでトライした方がよいです。

出っ歯の良し悪し

その意味で歯がガタガタでない多少の出っ歯で、下あごの成長が考えられる年齢であればあまりナーバスにならなくてもよいです。もちろん程度もありますけれど。今は出っ歯でも後から下あごが大きくなると前後的な関係がよくなる可能性が高いからです。下あごの成長が思うほどでなくても、あとから比較的対応しやすいです。下あごを前に出したり成長が終わったら抜歯して並べるという手立てもあるからです。顎を大きくすることは成人でもできるといえばできますが、成長期に比べると制限もあります。時期を逃さず取り組むのが大事です。6歳からお子さんの歯並びは特に注視してあげてください。

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歯がキィーンとする原因は知覚過敏だけではありません

2023年8月24日

歯ブラシをしていると歯がしみる、キィーンとする時がある。甘いものを食べるとしみる。歯ブラシをして口をゆすぐときにしみる、などが気になって受診される方が少なからずいらっしゃいます。いわゆる知覚過敏の症状なのですが、原因がなんだろうといろいろ考えます。

虫歯?

一番わかりやすいのが虫歯です。虫歯になると歯の神経までの距離が短くなっていくのでしみるのです。歯の神経はエナメル質、象牙質という硬い組織の内部にあります。硬い組織で覆われていますからその組織が崩れていくと知覚が反応しやすくなっていきます。はじめは一過性に感じていたものが、抗組織の崩壊が進むと、常時感じるようになっていき、ズキズキするというふうになります。レントゲンなどで確認して虫歯を除去して詰めればよくなります。ただ虫歯が大きくて、すべて取り切ったときの神経までの距離が短いとしばらくしみることが続くこともよくあります。お一人お一人の神経のバイタリティーも違いますから全くしみない人、しみるのがよくなるのに長くかかる方、いろいろです。あまりにしみるようなら神経処置しないといけない場合もあります。

虫歯のできる位置によってもよくなり方が違います。噛むところの虫歯は比較的治りやすく、歯の付け根や歯と歯の間の虫歯は治りにくい傾向にあります。定期健診で虫歯のチェックはマメにされるとよいかと思います。

歯周病?

歯周病で歯茎がやせて、歯の根っこが出てくることで歯がしみることもあります。歯の根っこはエナメル質と呼ばれる組織がなくてセメント質に変わります。知覚を神経に伝えやすくなるからです。歯の根っこが出ているだけでなく歯周病の原因である歯垢が付着している、または付着し続けていると歯垢の中、表面にいる歯周病菌により知覚過敏を引き起こします。この場合には歯垢を除去することが原因を取り除くことになりますから、私共の治療と共に毎日のブラッシングというご自身によるケアが大切です。ただ歯ブラシするだけでなく歯間ブラシなどで、歯茎の下がった歯と歯の間の清掃が重要です。歯と歯の間の隙間は場所により異なることが多いので複数の歯間ブラシが必要なことが多いのですが、道具が増えると面倒になり続かなることもよくあります。そうなってほしくないので、衛生士さんから少ない清掃器具を上手に使いこなせるようになってもらいたいと思います。

噛みしめでは?

一番難しいのが噛みしめ、歯ぎしりによるものです。歯の付け根がすり減っている場合も、すり減りのない場合もあります。歯にヒビが入っている場合もあります。そのヒビも目視できるものもあればできないものもあります。ヒビくらいではレントゲンには映りません。歯が割れていれば映りますし、診てもわかります。もちろん本人も噛むと痛いとか、ぐらぐらするとか、わかります。

その中でも対応しやすいのは歯の付け根が削れている場合です。強い力でゴシゴシ付け根を磨いて歯が削れるケースもありますが、そういうことはあまりなくて噛む力が強いとその力が付け根に集中して削れます。歯は骨より硬いですが自分の噛む力で歯を削り取っているのです。原因は噛む力ですからそちらをコントロールすることが重要なのですが、それはとても難しいです。仕事している時、作業している時に噛みしめていることはありませんか。起きている時にそういうことのないよう意識することで寝ているときの噛みしめをコントロールできるという論文があります。起きている時より寝ている時の噛みしめ、歯ぎしりが歯を削っているのです。

対症療法として歯ぎしり用のマウスピースがあります。これで歯ぎしり、噛みしめが良くなる訳でなく、歯同士の接触を無くすということで力を少なくできないかということです。すり減った歯の部分を樹脂で埋めて直接歯に刺激がいかないようにすることもします。ただ自分の歯も削れるくらいの力がかかるのですから詰めた樹脂も取れやすいです。

ひびは困るのです

いままで述べてきたいずれでもなく、歯にヒビが入っていることが原因であると考えられる場合が一番困ります。何かで埋められればよいのですがそれも難しく、知覚過敏用の薬剤の塗布とマウスピースの使用になります。虫歯などと違って即効性がないのが実情です。年齢が上がると歯の色が黄ばみますが、歯にヒビが入ることで黄ばんでいきます。加齢と共に歯にヒビが入っていきます。だからといって高齢者が皆さんしみているわけではありません。

磨き過ぎで歯茎に傷があってしみているのなら自然に治りますし、塗り薬で早く治りますから簡単でよいのですけれど

 

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下あごを前に出すには訳がある

2023年8月17日

すり減るもの

人間は年齢を重ねると少しずつかみ合わせの高さが低くなっていきます。同じ硬さの歯で噛んでいるからすり減ってくるからです。そうすると下顎がだんだん後ろの方に下がっていきます。後ろへ下がっていくと顎の関節も後ろへ押しやられますから、そのせいで変形が起こっていきます。それは少しずつ起こりますから気づかないうちにおこります。加齢によるものですからやむを得ないことではあります。治療を行った歯は金属やセラミックに置き換わることが多いです。歯でない材料ではありますが歯とすり合わせていくと削れて行きます。

加齢でなくてもかみ合わせが原因で顎が奥に押しやられることもあります。両方のことも片方のこともあります。症状として出るときもあるときもあれば出ない時もあります。

噛み癖もあります。よく使う側のかみ合わせの高さも減りやすいです。減っていくとそちら側の顎の関節が奥に押しやられて、関節の変形などを起こしやすいです。顎を開け閉めするときにカクカクなったり、痛みが出たりします。いびきをかいたりするのもその一つです。それは顎が後ろにいくことで舌も後ろにいき、気道が狭くなるから口で呼吸するのでいびきになるのです。かみ合わせの高さが低くなることでよくなることはありません。元の高さに戻すには色々な手立てがあるのですが、なかなか症状がないとそうしない方が多いのです。

さあどうしよう

すり減ったかみ合わせを元に戻していく手順として、まず元々あったであろう位置を探すことになります。たいていは前方にあります。そうすると顎を前に出すことになるのですが、奥歯が噛まなくなりますよね。2つの手立てが考えられます。一つは空いたところにかぶせ物をしていく方法、もう一つは矯正で歯を浮き上がらせていく方法です。

2つに1つ

歯のほとんどがかぶせてあれば、かぶせ物のやり代えをしていけばよいのです。ただ治療していない歯を削るのには抵抗があります。この方法はほとんどの歯が治療している場合に用いるとよいでしょう。

ほとんどの歯を治療していない場合には矯正治療で上下の歯を噛ませるようにするのがよいと考えます。いわゆるハリガネを使った矯正ではなく、マウスピースを使った矯正で対応することが可能です。というかそちらの方がよいです。

マウスピースを使うと歯にはめることでかみ合わせると高さは当然上がります。あがることで奥に押しやられていた顎が前に出やすくなるからです。顎が楽な、元の位置を決めやすくなるからです。長年押しやられていると元に戻ることができなかったり、顎の変形が戻らないこともありますがこれはやってみないとわからないところでもあります。マウスピースで治ります、とは言い切れませんが、よくなる傾向にあると言われています。かぶせ物が多い状態でもマウスピースによる治療は可能です。その治療するのにかぶせ物を外さないといけないこともありますのでご留意ください。

骨に埋まっている歯と骨から出ている歯の比率を大きく変えることはしない方がよいです。歯を浮き上がらせると、それにつれ骨もついてくると言われています。かぶせ物ではそうはなりません。その点を考えるとどちらがよいかはご理解いただけるのではないでしょうか。

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顎先に、にきびはできませんか

2023年8月10日

下唇の下の部分が化粧のノリが悪いとか、顎先にニキビができやすい、ほうれい線に左右差があるなど、女性の方はよくお顔をみられるので気になったことはありませんか。これにはかみ合わせが影響していることがあります。本当?って思われますよね。

顎関節

人間の歯は骨よりも硬く、むしばの治療の時に歯を削るときに切削器具につける材料は、ダイヤモンドを細かく砕いたものを成形したものです。ざっくり言えばダイヤモンドで歯を削っています。そればかりではありませんが、たいていはそうです。それくらい歯は硬いです。上下の歯をかみ合わせると接触面積が最大になるところでかみ合わせていきます。しっかり噛もうとすると体重分くらいの力がかかります。前歯だけでしっかり嚙み切ることはできません。やっぱり最大接触面積になるところで噛みます。その最大接触面積でかんでいるところの顎の関節の位置と、噛んでないときの顎の関節の位置がずれていると、関節に負担がかかります。一番良いのは一致していることです。その状態だと関節に負担はかからないので問題は起きることは少ないです。一致していないとどうなるのか、ということですが最初のうち問題はないのです。特に若年者には適応能力が高く症状はなかなかでません。でませんがレントゲンなどにその兆候が表れてきます。症状としては口を開けるときに顎がカクカク鳴る、とか口を長く開けてられないとか、口を開けると痛みを感じるとかです。噛んだ時と噛んでない時の顎の関節の位置にズレがあると顎の関節に一部が変形してきます。通常は手の親指のような形ですが足の小指くらい小さくなったり、尖ったりしてきます。

血流量

噛んだ時と噛んでない時の顎の関節の位置を一致させるようにすると顎の関節は少しずつ元の形に戻っていくことが多いです。年齢やダメージを受けた期間、個人差などもあるのですべてではありません。顎の位置のずれがあると関節内のどこかが押されます。押されたところの血管は流れが悪くなります。わずかながらも左右対称でなくなります。末梢の部分の血流ではありますが、心臓から送り出される血流量にも左右差が表れます。血管の走行は必ず左右対称ではありませんからの顔の中を流れる血流量も左右で変わってきます。わずかな顎の関節の血流ですがこのことで他の部分の血流量に影響を及ぼし、顎先の血流の悪いところにニキビができます。顎の関節のことがすべてではありません。顎の関節に問題がある場合にそれを改善するとよくなることがある、ということです。

噛み癖

顎の関節に問題があると噛み癖が顕著になってきます。誰にでも噛み癖はあります。痛くない方、あるいは逆のこともあります。噛み癖のある方の歯のすり減りがきつくなっていきますからかみ合わせの高さに左右差が出てきます。そうすると顔をみると目の開き具合に左右で違っていたり、肩の上がり方が左右で違っていたりします。写真撮るときにカメラマンからどちらかの肩を上げてくださいと言われたことはありませんか?自分では普通にしているつもりなのに。噛み癖があると癖のある方の筋肉が発達してきますから正面から見たときに首の太さに左右差が出てきます。そうです。ほうれい線にも左右差がでてきます。上唇に付着している筋肉は鼻の横あたりにまでつながっているのです。

どう治す

顎の関節をかみ合わせで治したり、かみ合わせのズレを治すことで顔の感じが変わることがあります。治し方には2つあって、一つはかぶせ物をやりなおすことでかみ合わせをよくすることです。ほとんどの歯がかぶせてあると適応になります。ほとんど治療していない歯だと歯を削ることになりますからお勧めできません。もう一つが矯正治療でかみ合わせをよくすることです。治療していない歯が多い場合にはこちらを選択することになります。特にマウスピースによる矯正だとかみ合わせの高さが一時的に高くなるので治療効果が比較的得やすいとされています。

プライスレス

どちらになるにせよ、顎の関節にとってどの位置が負担が少ないかをある程度知ることからになります。また治療の期間や費用はそれなりにかかります。でもそれに対して得られる恩恵、健康は何にも代えがたいのではないでしょうか。

宇治市 歯医者 nikibi なかむら歯科医院

マウスピース矯正の3つの掟

2023年8月3日

昨今よく耳にするマウスピース矯正ですが、世に出た当初は賛否両論ありました。ワイヤーに比べると適応症が限られるとされていましたが、今では適応される症例はワイヤーによる矯正とほぼ変わらないくらいになっています。どんな治療でもそうですが長所短所があります。ワイヤー矯正と違いマウスピースを取り外して口腔内を清掃することができるので虫歯になりにくいです。見た目もパッと見では付けているのか付けていないのかがわからないほどです。半面ワイヤーに比べ歯面との密着度が劣ります。自分で取り外しができるくらいですから。素材の特性もあって歯の軸を回転させるのが比較的苦手とされています。

後ろや前に動かすことはワイヤーと比べても遜色ありません。

時間厳守

ワイヤー矯正は自分で取り外すことはできません。つまり24時間歯に力がかかっています。24時間力をかけることができます。マウスピース矯正は先ほど述べたように自分で外すことができます。24時間装着していればもちろん24時間力をかけられます。

20-4=16

20時間装着し、食事や歯ブラシなどで4時間外していると歯にかかる力は16時間ということになります。12時間装着して12時間外していると12時間分力がかかって動きますが12時間分元に戻ろうとします。ですからほとんど動かないのと等しいのです。マウスピースによる矯正を行うにはせめて日に20時間できれば22時間装着することが大前提なのです。それが一つ目の掟です。

きっちり嵌める

ワイヤー矯正は

ワイヤー矯正(ハリガネによるもの)は歯にブラケットと呼ばれる装置を付けてワイヤーと歯を一体化させます。今のワイヤーは形状記憶のものが多く、理想的な歯のならびになっています。ブラケットは歯の軸に対して垂直に付け、ワイヤーはそれに対して十字の方向に収まります。ワイヤーが元の形に戻ろうとする力が矯正力になります。ワイヤーとブラケットが外れないようにゴムかものすごく細いワイヤーでとめます。ワイヤーによる矯正は概ね一か月毎に交換することが多いです。ブラケットにワイヤーを通す空間、それをスロットルというのですがスロットルに対してワイヤーの接触面が多いと強い力を歯にかけられます。少ないと力が伝わりにくいです。

ワイヤーの形

スロットルは断面にするとコの字になっていて、ハリガネの断面が丸型より方型の方が、接触面が多くなります。はじめからスロットルに対してキチキチのワイヤーだとすごい力が歯にかかりますからとても痛いです。通常はスロットルに対して余裕のある細めの丸型ワイヤーからはじめていき、少しずつ大きくし、更に方型ワイヤーに変えていきます。ワイヤーをはじめて入れたり、形状の変わったものに交換すると歯に力がかかるので痛みを感じます。時間が経つにつれ歯が動きが少なくなるので痛みが軽減されていきます。歯の動きを見ながらワイヤーのサイズ交換やブラケットとワイヤーの一体化具合の確認のため、月に一回診療所へ来ていただくことになります。

マウスピース矯正

マウスピースの矯正は歯の形そのものでは歯に力をかけづらいので、歯の表面に様々な形の出っ張りを付けます。虫歯の治療で詰め物をするときに用いる白い材料があるのですが、それを設置し歯とマウスピースを一体化させます。適当につけるのではなくてどの方向に歯を動かしたいかを考えて一番力のかかる形と方向を1歯ずつ考えてつけていきます。1歯ずつ方向、形の違う出っ張りがあることでマウスピースと歯を一体化します。マウスピースの着脱にかなり苦労するくらいです。

痛みは少ない

マウスピースは最終の位置、ゴールの歯並びまで最初に作ります。一つのマウスピースで動かせる移動量は最大0.25㎜とされています。最初のマウスピースと次のマウスピースで同じ歯でも0.25㎜ずれたマウスピースになっています。1枚のマウスピースで移動させる歯は、すべてか、1本か、何本かは治療計画で異なります。5~7日毎に交換することが多いのです。交換するマウスピースの枚数も治療により異なります。ワイヤーよりも交換時の痛みは少ないとされています。

チューイー

マウスピース矯正ではマウスピースと歯の適合がぴったりしていることが前提で治療計画が策定されていますからマウスピースが浮き上がっていたり、出っ張りが外れていると予定通りの動きになりませんから治療がうまく進みません。悪い方向に進むこともあります。しっかり嵌めていただくために、噛み噛みしていただく材料があるのですが、マウスピースを装着していただくときにそれを必ず用いていただかなくてはなりません。

脱着には気をつけて

また出っ張りが取れていないかの確認も必要です。マウスピースを外した時にその内面についていないかを確認してください。特に外しにくい場合には。ワイヤー矯正でも歯からブラケットが外れていれば力はかかりませんし、ワイヤーが外れていたら力はかかりません。これは同じことです。しっかり装着する、これが2つ目の掟です。

 

ゴムの使用があれば必ず使う

歯を効率的に動かすため、力をかけると必ず出る反作用を打ち消すために小さなゴムを口の中で使っていただくことがあります。これはワイヤーでもマウスピースでも同じです。

力をかけると必ず同じだけの反作用の力が出ます。それを打ち消すために用います。

ワイヤーやマウスピースの力だけでは動かせない場合に用いることもあります。

治療計画上必要とされたら必ず使ってもらわないと上手く治療が進みません。

これが3つ目の掟です。

3つの掟

もちろん定期的に受診していただかなければなりませんが、マウスピース矯正の場合3つの掟を守っていただき、マウスピース交換毎にお口の写真を撮影していただき専用のアプリでこちらへ送信していただく遠隔のモニタリングをしていただければ2か月くらいの受診になることもあります。治療していることがわかりにくい矯正治療は歯でお悩みの方にとっては大きな福音であることは間違いないと思います。宇治市 歯医者 mouth piece なかむら歯科医院

歯は浮いてるものです。

2023年7月27日

歯は動きます

歯は顎の中に植わっているのですが、骨と一体化しているわけではありません。乳歯はぐらぐらして抜けてきます。永久歯も歯周病になるとぐらぐらしてきますよね。歯をかみ合わせてグッと噛むと歯が沈み込むのがわかると思います。また指で歯を掴んでゆすると動くのがわかると思います。炎症などが起きていなければ歯根膜という組織を介して骨と歯が強固に結合しています。歯の周りの骨が少なくなってきたり、歯に力が強くかかると歯がゆれてきます。

インプラントは動かない

インプラントには歯根膜がなく骨と直接結合させているので、グッと噛んでも沈み込みはありません。ですからかみ合わせの調整はインプラントと天然の歯で違ってきます。天然の歯は同じ硬さ同士の上下で噛んでいるとすり減ってきます。毎日研いでいるようなものです。インプラントの部分はセラミクスなどでかぶせ物がしてあります。ほとんどが歯より硬い材質であることがほとんどになりますから噛む相手が天然の歯であれ別の材質のものであれ、すり減り方が天然の歯同士の場所とは異なってきます。ですからインプラントされていると、長く使っていただくためには定期的なかみ合わせの調整が必要です。全部が自分の歯であっても顎の関節に近いところと離れているところでも歯のすり減り方は変わってきますから、定期健診でかみ合わせのチェックは必ず必要になります。

歯は伸びる、倒れる

歯が一本抜けてそのままにしておくと、後ろ側の歯が前に倒れてきます。前の歯が後ろに倒れていきます。反対側の歯が伸びてきます。骨とがっちり結合しているとそのようなことはありません。インプラントはそのようなことはありません。歯は連続してきちんと並ぶことで均衡を保っています。一本抜けると歯並びに大きな影響を及ぼします。歯並びは唇、頬、舌の筋肉の均衡のとれるところに並んでいます。舌の力が強ければ歯並びは外に大きくなります。唇や頬の力が強いと歯並びは小さくなります。弱いと外に広がります。仮に頬がなくなると舌の力で歯並びは外へ広がっていきます。

無くて七癖

このように歯はわずかな力だけでも動きます。生活習慣でも歯並びは崩れます。わかりやすいのは頬杖や横向き寝、うつぶせ寝です。左に手を当て書き物するとか、左向きに寝るときに枕を顔全体に当てて寝る習慣があると奥歯の歯の軸が舌側に倒れてきます。頭の重さはボーリングの玉くらいの重さがあります。その反作用として同じ力が加わるのです。うつぶせ寝は下あごに奥に押しやる力が加わります。人工的に出っ歯を作るようなものです。弱い力であっても慢性的に何年も続けば元に戻ることはありません。上あごと下あごの中に舌は収まっています。歯が内側に倒れてきたり下あごが後ろに押しやられることで舌が下や奥に押しやられます。そうすることで気道が狭くなり寝るときにいびきをかく原因になったり歯ぎしりする原因になります。普段の生活でも歯並びを悪くする習慣がそこここにあります。無くて七癖、自分では気づくことがなかなかありません。家族の方に注意してみて指摘してもらうことも大事なことです。

宇治市 歯医者 cheek habit なかむら歯科医院

 

くちゃくちゃ音の出る食事には訳がある

2023年7月20日

食事は危険

小さく切れば安心と思っていませんか。嚥下に関してはある意味そうですが口腔機能を獲得させる食形態になっていないことが多いのです。高齢者の嚥下困難者の食事と子どもの離乳食、似ていると思いませんか。口腔機能に合わせた食形態の調理は大変です。

訓練できましたか

離乳食を進めていくには口腔機能が順を追って上手く獲得できなければ進みません。上唇が上手く使えないと自分の一口量がわからず口に詰め込んだり、舌を突出させて食べたりします。子どもに問題があるわけではありません。経験が足りていないのです。離乳食の時に唇を機能させる訓練ができていないのです。

ねこまんま

噛まなくて飲み込める食事ばかりでは咀嚼機能が育ちません。丸飲みの習慣がついてしまい誤嚥や窒息をおこしやすくなります。機能の落ちた高齢者はとろみが必要です。とろみをつけることで噛めない、食材をまとめれない、ことを助け高齢者が食べることができます。機能を上げていきたい子どもにこれではいけません。周りにいる大人が子供の機能獲得を妨げているのかもしれません。

流し込みはだめです

飲み込みづらいときにお茶で流し込む習慣をつけてしまうとよく噛まない習慣がみについてしまいます。ねこまんまの習慣はつけない方がよいです。ただし汁物は離乳食や幼児食に適している面もあります。すすり飲みは上口唇をしっかり使わないとできません。口を閉じてきちんと噛んで食べる習慣が育まれます。また口の周りの筋肉を鍛えるのに効果的です。与えるにしても時期を考えましょう。

よく噛ませる食材を考える

具材も手づかみできるもの、食感の違うものを入れると噛む回数もアップします。30回噛まないと飲み込めない食材を提供しましょう。そうすることで口を閉じて舌や口の周りの筋肉を上手に動かすことを覚えたり、よく噛んだ食べ物を唾液とからめ、飲み込みやすい食塊形成することを覚えます。それができないと食事の時にくちゃくちゃ音をたてたり、飲み込めない、ため込んでしまう、食べ物が口からこぼれてしまうなど口唇閉鎖不全の症状がでます。食事のトラブルの多い子供はよく噛める口に発達していません。前の段階に戻って機能獲得出来るよう大人がサポートしてあげてください。

宇治市 歯医者 eat time なかむら歯科医院

よく噛むための3つのポイント

前歯でがぶりとできる食材を提供する
自分の前歯を使わす。具体的には包丁で切る回数を減らす。一口では口に入らないものを一品入れる。やわらかい食材はなるべくやめる。前歯でかぶりつくのは親がやってみせてあげましょう。きっと真似します。
飲み物は食後に提供する
しっかり噛んで食べる習慣につながります。
足は正座か、足がしっかり床に着く椅子で
噛む力がアップ

こ食

核家族化、共働き家庭の増加など社会の変化もありますが、家族が減ることで食が乱れているようです。この、こ食という言葉、何という漢字を当てますか?
孤食 子食 家族不在、一人で食事
個食 家族一人一人が別々に違うものを食べる
粉食 パン、パスタ、ピザなど粉を使う高カロリーの主食を好んで食べること
濃食 加工食品や外食など塩分糖分過多なものを食べる
固食 決まったもの、好きなものしか食べない
小食 1回の食事量が少ない、少量しか食べない

子どもの食事環境に問題が起こっています。子どもは環境を選ぶことはできません。出された物を食べ、用意された環境で生活しています。できることで構わないので感受性期を越えてしばらく経つまでは子どもの食事には気を配ってみてあげてください。

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0歳でも歯医者は行くところです

2023年7月13日

その前に妊婦健診で来院していただくのです。むし歯や歯周病のチェックさせていただくのですが哺乳の大切さ、哺乳指導させていただくようにしています。哺乳は栄養を与えるだけでなくその子供の口腔機能を獲得させる基礎となる行為となりますから、正しい知識を得て実践していただかなければなりません。哺乳の負荷や噛む刺激が赤ちゃんの正常な成長をけん引し、口のみならず全身の健康につながり健康寿命を延ばすことにもなります。すごい行為なのです。哺乳の指導はなかなか言葉で伝えることは難しいので当院にてお話させていただきます。

指しゃぶりとおしゃぶり

赤ちゃんが手を口にもっていくのは大事な過程で、本能的にストレスや不安だと指しゃぶりをします。大人へのシグナルです。大きな意味があります。一方おしゃぶりは意図的なものです。発達に合わせたいろいろな学習の機会が失われるのでやむを得ない場合以外は長時間の使用は避けるようにしましょう。

離乳食はいつからか

支えがなくて座れるか

背筋を伸ばして座れるか

手を出して何か取ろうとするか

首が座り、ヘッドコントロールができているか

スプーンを舌で押し出す状態がみられるのはよくないです。

立ち直り反応があるか、パラシュート反射はできるか

これらを確認して進めるようにしましょう

これらがクリアされて離乳食へ進めます。生まれてからこれこれの期間が経っているから、と時間で決めるのでなく、成長の度合いで進みましょう。進めないときは、口に入れても安全なおもちゃをなめさせたり、かんだりさせて唾液を飲む練習をする。ずりはいやハイハイなどの経験をさせる。などなど一歩進んで二歩進む、の心持でいてください。

食事介助 食事の提供の仕方

スプーンを舌中央、舌奥に入れていませんか、

スプーンを上唇につけたり斜め上に引き抜いていませんか。

そういうことだと舌を鍛えることはできません。お口育てに大きな差がでます。丸飲みや吸い飲み、チュチュ食べの原因になります。スプーンを下唇に触れさせて上唇が閉じるのを待ちましょう。手前で食べ物を取り込んで舌の運動を促しましょう。介助側のペースではなく子供のペースに合わせましょう。

離乳食の始まり、どちらを選ぶ

手づかみ食べ 自ら身体を使い自ら意欲をもって食べる食事

スプーン食べ 周りの大人が口にはこんであげる食事

手づかみ食べは汚れるし掃除も大変ですが今しかしません。保護者が子供の食事を見守ることが大切です。

自分で食べたいという意欲の表れです。手、口、脳の協調運動が発達。手は突き出た脳と言われ脳の発達に良い影響を与えます。また食べるときは感覚器官、目耳鼻舌脳口手が働いています。それにより本来持っている機能を使えるようにしてあげてください。

離乳食が進まない時は

9~11か月で離乳食摂取時の口唇の動きを確認し、左右への舌と口角の偏位がみられない場合、すりつぶし機能の獲得が遅れていると判断し、離乳食の形状(量、固さ)を調整してください。

12~18か月では離乳食摂食時の口唇閉鎖、舌の動きを観察し、前歯でのかじりとりや側方でのすりつぶしが行えているか確認し、食形態の修正を行う。などよく見てあげてください。

正しい哺乳を身に付けさせる

舌の前後運動

口唇の動きが出てくる

舌の上下運動、口唇が左右に伸びる

舌の左右運動、口唇が左右交互に伸びる

自ら食べる

手づかみ食べ

と順番に子どもは機能を獲得していきます。飛ばして発達はしません。ストローもマグマグもよくありません。コップ飲みの習慣を身に付けさせてください。便利なのはわかるのですけれど。家での離乳食の様子、前歯がぶりしている動画をみせていただければ、少しのアドバイスができるかと思います。

 

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正しい離乳食をできていますか

2023年7月6日

食事の基礎は哺乳している時期に作られています。3時間おきに起こされるから大変なのはわかりますが、この時期を逃すと取り返すのは大変なのです。正しい知識でその時期を乗り切ればその子供はかけがえのないみえない財産を手に入れることができるのです。その時期に機能をそなえられなかった子供たちはどうしたものでしょうか。食育をしていくしかありません。

口腔機能発達不全の子どもと保護者に伝えたい食育とは

  • 前歯がぶり
  • 水分コントロール
  • 食材と噛む回数
  • 一口量
  • おやつ
  • 離乳食
  • 正座か足の着く椅子で食事
  • 寝る3時間前には食事

です。それぞれについて簡単にまとめてみます。

水分コントロール

プリンなどやわらかくて水分の多い食べ物は弱い嚥下になり、舌は上あごをわずかに押す程度。食パンなど水分の少ないものを飲み込む時は強い力が舌から上あごにかかります。どちらがよいかはわかりますよね。

食材と噛む回数

子供たちにたくさん噛んでもらう秘訣は、30回かまないと飲み込めないものを提供することです。硬いものばかり食べるわけにはいきませんので、複数の食感のあるものを食べるよう心掛けると自然と噛む回数が増えます。

一口量

幼児期は一口量を覚える大事な時期です。この時の一口量が高齢になっても続きますので、将来年を重ねたときに誤嚥性肺炎を起こさないためにも、前歯がぶり で一口量を覚えましょう。

おやつ

おやつには砂糖を使わない自然な甘みのものや、スティック状のごぼうやきゅうりなど前歯がぶり できるものにしましょう。おやつはお菓子でなくてよいのです。

離乳食

離乳食にも大事な掟があります。

スプーンを上唇につける

スプーンを舌奥に置く

スプーンを斜め上に引き抜く

離乳食をやるときに絶対やめるべきです。時間はかかりますが、スプーンを下唇に触れさせて上唇が閉じるのを待ちます。ついつい早く終わらせたいですから保護者の方が待てないことが多いのですが、上唇を使って捕食する習慣が 前歯がぶり の基礎になるので、頑張りましょう!

正座か足の着く椅子で食事

同じ食材でも床に足をつけるか正座で食事すると噛む力が増します。足がぶらぶらした状態で食事することはやめましょう。小さな台でもよいので足元に何か置いてください。

取り返す訓練をしましょう

哺乳期、離乳食の時期に正しいことができていないと、幼児期に食育で取り返すようにしていく他にありません。感受性期の観点からも脳や顔の骨の80%は乳幼児期までに完成します。哺乳、離乳期より幼児期の期間は長いです。その長い期間に正しい食育を根気よくしていかないと取り返せないのですが、取り返せます。

歯科医院でもその補助となる訓練を指導していきます。たとえば あいうべ体操 ベロタッチ ガム膨らまし、ストロングぴろぴろ、風船膨らましなどなど。小さいうちから歯科医院に虫歯の治療でなく、機能回復のためのお手伝いはできるだけさせていただきたいと思います。

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構音障害を知っていますか

2023年6月29日

外国語は6歳までに

言葉の感受性期(臨界期)は0歳~9歳です。9歳までにどれだけ言語刺激を受けたかで言葉に関する神経が発達するかどうかが決まります。でも言葉を爆発的に覚えられるのは6歳がピークです。中学生で英語を覚え勉強を始めてももう遅いのです。どんなに頑張っても。

日本にいて日本語だけの生活を続けていればそれは相当に困難です。ジャン・イタールというフランス人医師が1800年代初頭に行っていたことを記載している書籍アヴェロンの野生児、という本があります。映画にもなったそうです。11歳くらいで発見された野生児に言語教育を行ったが、いくつかの言葉を発するだけで生涯人間の言葉を話すことはなかった、というのが大筋です。他にも野生のエルザなどもあります。言葉の習得には人間的接触は欠かせないのです。ですから前回のコラムに記載したことからもターザンはアニメのお話なのです。言葉を習得してから野生人になることはできます。

構音障害を知っていますか

周りの子どもや大人が話している音を聞いてその音を忠実に作り出すことができないことを構音障害といいます。例えば、きりんがきじん、さかながたかな、らっぱがなっぱ、ぱんだがぱんが、たいこがかいこ など

年長になってもうまく言えていないとこれは問題です。顎の骨や口腔関連筋の劣成長が原因となっている可能性があります。マスクしているから真似できない昨今の状況もあります。自然に治らないので様々な訓練をしなければなりません。場合によっては言語聴覚士さんの指導を受けなければなりません。ちゃんと発音できていないといじめなどの原因にもなりかねません。子どもは平気で残酷なことを言いますよね。

この構音障害の多くは脳の発達障害の症状として捉えられています。構音障害の前兆として

歯と歯の間の隙間がない

言葉の習得が遅い

お口ぽかん

を見逃さないようにしてください。脳の発達は6歳までに急激に成長します。就学までにこれらがあるなら早期に対策していかなければなりません。少なくとも赤ちゃん言葉はやめましょう。

どうやって音を出しているのか

簡単にいうと耳から入った情報を脳が理解して音を作り出す器官、声帯、唇、舌、軟口蓋(のどちんこ)、顎、歯、口蓋(うわあご)に指令を出して発語するのです。これらのうち指令の届かない器官が歯と口蓋(うわあご)です。

動く器官がちゃんと成長していても、動くことのない歯が無かったり、口蓋(上顎骨)の成長が不十分なら構音に問題がでます。また動く器官がきちんと動いてくれないとこれも問題がでます。

母音の、あいうえお は声帯の動きだけなのでそこが正常であれば問題であることはないです。

子音を作っていくのに、簡単な動きと上手く舌や歯やうわあごを使わないと動きがあります。

破裂音(ぱ ば た だ か が) これは比較的習得しやすい

摩擦音(サ行 ハ行)習得が難しい

破擦音(ち つ ちゃ ちゅ ちょ)

弾音 はじきおん、と言います。(ら行) 難しい

鼻音(ま行 にゃ行)

母親は子どもの発音に責任がある

言葉を覚えるのにも順序があって、簡単なものから順々に覚えていくのですが順番飛ばしするときちんと発音できません。マ行、パ行は早いがサ行やラ行は遅いです。

子どもがすべての音を正確に構音できる年齢は概ね5歳くらいです。サ行が言えないのは成長発達に問題があります。年長になっても さかな らっぱ パンダ キリン たいこ が上手く言えない場合は顎骨や口腔関連筋の劣成長の可能性があります。

哺乳の時期や離乳期に適切な対応をしておけばきちんと成長していきます。正しい哺乳、正しい離乳ができていないと後々子供の成長に影響を及ぼしていきます。母親になる方はその知識とその実践がとても大切なのです。0歳から2歳までの発育が構音障害の有無を決めている可能性があると心していてください。

宇治市 歯医者 sound なかむら歯科医院宇治市 歯医者 speak japanese なかむら歯科医院

学ぶは真似ること

2023年6月22日

マスク社会は子どもにどれだけ悪影響を及ぼしているか

ソーシャルディスタンスは人との接触を避けなさい、ということです。正面から顔を見ない、できるだけ話さない、心の中で歌う、というのが子供の育つ環境でしょうか。子供の言葉や脳の発達は会話や人間的接触によって培われているのです。
赤ちゃんは相手の顔から色々な事を学んで母親などの特定の人を理解できるようになります。人見知りは赤ちゃんが、馴染みのある人とそうでない人を区別できるようになった証なのです。成長と賢さの表れなのです。マスクはそのような学ぶ機会を激減させているのです。
赤ちゃんは口元の動きを見ながら同時に口元から発せられる発声を聞きながら自分自身で表情や口の形を、まね、しながら言葉を獲得していきます。発展途上の脳を持つ子どもは目や発声だけでなく豊かに動く口元や表情の情報から言葉を習得していくのです。

人類最初の言葉

過去にフリードリッヒ2世という皇帝がいました。この皇帝はある時考えました。
人間の言葉を一切聞かずに育った子供は人類の根元の言葉を話すに違いない、聞いてみたい、と50人の赤ちゃんを集めました。入浴や食事など生命維持に必要なことは許しましたが、話しかけてはいけない、目を見てはいけない、笑いかけてはいけない、スキンシップしてはいけない、という指示をしました。その結果は、、、
3歳までに49人が死亡、残りの1人は6歳に亡くなりました。今では考えられないことです。

近代でも

でも第二次世界大戦後アメリカの精神分析家がスイスで55人の戦争孤児に同じ実験を行ったそうです。78年前です。ある種すごいですよね。
乳幼児27人が2年以内に死亡、17人が成人までに死亡。11人は成人後も生き続けたが言語障害、知的障害、情緒障害がみられたそうです。
これらの実験からわかることは乳幼児期の言葉と人間的接触が命を育んでいる、ということなのです。子どもの成長において人との顔を見て声掛けやスキンシップが重要なのです。
イギリスの発達心理学者ジョン・ボウルビィは乳幼児期の他者との愛着の有無がその後の子どもの脳の発達に大きく影響する、と言っています。

ソーシャルディスタンスは壮大な実験なのかも

子どもは人の顔を最も見続けています。乳幼児は人の顔に集中的に注意を向け続け、視線の先の顔を手掛かりに人間の感情を認識し言葉を覚えることを学んでいます。
ずいぶん前に一世を風靡した脳を鍛える大人のトレーニングというDSのソフトを開発した東北大学の川島教授によると誰かの顔を見て話をすると脳の前頭前野という部位が大いに働くが、テレビ電話では前頭前野は全く働かない、実際に誰かの顔を見ないコミュニケーションは健常児の言語知能や脳の発達に悪影響を及ぼす、と発表しています。

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おでこ体操

2023年6月15日

皆さんは舌を動かさずに咀嚼できますか。唇を閉じずに嚥下できますか。頑張ればできるかもしれません。でもそれをそのあとずっと続けていきたいと思いますか。舌も唇も筋肉です。筋肉動かして食べるという行為を行っています。その加齢と共に筋肉の動きは落ちていきます。走ったり歩いたりスポーツをする筋肉だけでなく、口の周りの筋肉の動きもその能力が落ちていきます。オーラルフレイルと言います。フレイルは衰えという意味です。口の衰え、ですね。そんなことまだまだ先の話、自分はそんなことないと思っていませんか。一気に衰えることはありません。

49.2%

平均50歳(±16歳)で口腔の機能低下症の罹患率は49.2%です。約半分の人がオーラルフレイル、機能低下が始まっているのです。平均80歳(±7歳)では77%の方が機能低下しているのです。

何を診ているか

口腔衛生状態   舌の上の汚れ具合

口腔乾燥     口腔水分計で舌の上を計測します。

咬合力低下の評価 しっかりした歯がどれほど残っているか

舌・口唇運動機能低下の評価 パ、タ、カ、それぞれを1秒間で何回言えるか

舌圧の評価  舌の押す力を測ります。

咀嚼機能低下評価 グミを食べてどれくらいグルコースが溶け出しているかを測定する

嚥下機能低下評価 飲み込むときの不具合とか何項目か聞き取ります。

これらから3項目以上該当した場合に口腔機能低下症と診断します。さあ、これに該当したらどうしましょうか。改善すべく行動を起こさなくてはなりません。リハビリテーションですね。何をしていかないといけないでしょうか。それぞれでやることは違います。でも簡単でないと続きませんよね。

口腔衛生不良には

口腔清掃、すなわち歯ブラシをしっかりするということです。してる!とおっしゃるでしょうが、出来てないからひっかかっているのです。ご来院いただいて、衛生士による歯ブラシ指導を受けてご家庭で同様にしていただければと思います。どうしても自分では管理できない部分がでてきますから定期的に医院にてクリーニングすることが肝要です。

また舌の上の刷掃も大事です。専用の舌ブラシがありますから普通の歯ブラシでなく、それを用いるとよいでしょう。数日に1回でよいです。力一杯しなくてよいです。適切な力加減でお願いします。

口腔乾燥には

脱水や薬剤の副作用があります。それには水分管理や補給の見直し、服薬の検討などが考えられます。医科へ照会する必要があります。

自分でできるのは唾液腺マッサージとあいうべ体操です。唾液腺マッサージに関しては文章で伝えるのは難しいので、youtubeのみんなの介護チャンネル内に唾液腺マッサージのやり方がありますのでご参照ください。効果があるのは食事前です。食前に毎回行うのが効果的です。

総義歯は唾液により吸着していることもありますから、乾燥しているとその場に維持することが難しいことがあります。その場合には義歯安定剤を用いるとよいです。使い慣れたものがあればそれでよいですが、比較的おすすめできるものもありますからご相談ください。

咬合力低下には

義歯を入れたり、歯周病治療を行い噛めるようにしていきましょう。

舌口唇運動機能低下には

舌、口唇の筋力の低下ですから、あいうべ体操を行いましょう。おおげさな口の動きをするのがポイントです。声は出さなくてよいです。

低舌圧には

舌の筋力低下ですから、あいうべ体操を、それに加えておでこ体操をするとよいでしょう。

おでこ体操は、

  • 椅子に座りおでこに手のひらの下部(手根部)を当て、
  • 顔はおへそをのぞき込むようの下を向け
  • 手のひらは上に向かっておでこを押し戻すようにして5秒キープしてください。

喉ぼとけあたりに力が入っていることが意識しましょう。

誰でも齢を重ねます。例外はないです。

ご自身でできることはこのあたりかと思います。加齢による衰え、フレイルは誰にでも起こります。少しでも機能低下を遅らせていき、コロリといくまで美味しく食事したいと思いませんか。

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