現代人はほとんどの人が歪みを抱えている
ご自身を含めて、皆さんの周りにこのような方はいらっしゃいませんか?
- 猫背
- 巻き肩
- O脚・X脚
- スマホネック など
またご自身で以下のような自覚症状はありませんか?
- 左右どちらかの噛みやすさに偏りがある
- 顔や頭の傾きがある
- 肩の高さが左右で違う
- 靴底の減り方が左右で違う
- 姿勢が悪く、猫背・反り腰がある
- 視力に左右差がある、または眼精疲労が出やすい
- 足のアーチが崩れて偏平足気味になっている
- 歩くときにガニ股・内股になる
- 口呼吸が多く、舌がいつも下にある
- 深呼吸がしづらく、呼吸が浅い
- 片側ばかりに体重をかけて立っている
これらは一例ですが、身体のバランスが崩れていることが原因で現れる状態です。身体に出るだけではなく顔にもバランスが崩れているサインが出ます。ショルダーバッグをかける時にどちらか一方にしかかけない、とか写真を撮った時にいつも頭がどちらか一方に傾いていないか、とか左右で視力が違う、とかありませんか?
歪みの原因は態癖と加齢
それらも身体のバランスが崩れて起きているサインです。では顔の歪みはなぜ起こるのでしょうか?普段のよくない生活習慣で下顎が後ろや左右にズレていきます。また歯を失ってそのままにしておいたり、部分義歯になっていると、左右どちらかが噛みやすくなり片側での噛み癖が付いたりします。加齢と共に歯はすり減っていくので、かみ合わせの高さが低くなっていきます。そして下顎が後ろに下がっていきます。そうなると顎の関節に負担がかかり、関節の後ろを走行する血管を圧迫して脳への血流量も減ります。左右どちらかの噛み癖でも噛み締めのある側の噛み合わせの高さが低くなっていくので同じようになっていきます。
噛み癖があるとそちら側の筋肉をたくさん使うので、左右均等に筋肉は使われません。よく使う側の筋肉はより収縮します。そうするとそちら側に頭が傾いてしまいます。また肩も挙がります。
人は頭が傾いたままではいられない
頭が傾いた状態では平衡感覚が保てないので、身体は目線を正しそうとします。そのため身体の歪みが更に増してしまいます。その是正をするために背骨、骨盤がズレます。骨盤がズレると元々の足の長さは同じでも左右差がでます。立った時には同じになりますが、左右差の分ズレて立つことになります。靴底のすり減りが左右で違うのは身体の歪みがるということの証左です。足だけでなく、骨盤も左右、前後、に傾きます。偏平足やO脚なども骨盤の歪みを含め、上下左右差を是正するため起こっています。
正面だけでなく、真上から見た時に左右で前後にズレることもあります。
噛みしめの強い側の筋肉が優勢になると身体が前後にズレます。視点を捉える距離が変わりますから視力に左右差が出ます。
歯並び・噛み合わせが、全身のバランスに大きな影響を与えています
歯並びや噛み合わせが悪くても、単に「食べづらい」「歯や顎の関節に負担がかかる」といった問題だけでなく、このように全身のバランスや姿勢、筋肉の使い方にまで深く影響を及ぼします。
例えば、噛む位置が片側に偏っていると、顎関節の左右バランスが崩れ、それを支える首の筋肉が一方向に引っ張られ、背骨が傾き、骨盤がねじれ、最終的には足の長さに差が出ることさえあります。
さらに、頭位のズレは目の位置や使い方にも影響を与え、視力の左右差を助長することがあります。
また、足元のアーチの崩れ(偏平足)や足の向き(ガニ股・内股)も、上半身の歪みが下半身に現れた結果であることが少なくありません。つまり、お口の中の小さなズレが、視覚・姿勢・骨盤・下肢にまで影響する、全身の歪みにつながっていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
全身はつながっている(ディープフロントラインを通じて広がる全身のゆがみ)
身体の歪みは「全身での適応」の結果であり、単一の部位だけでなく連鎖的に歪みが起きているのです。
全身は筋膜でつながっています。ストッキングやタイツを穿かれた方はお分かりかと思いますが、どこかで一か所ズレが出ると気持ち悪いですよね。その近くだけでズレを治そうとするとなかなか治せません。極端を言えばもう一度穿き直さないとズレを修正できないことがありますよね。イメージとして身体は全身タイツを纏っているようなものと言えます。一か所ズレが出て修正しようとすると全体が見えていないといけません。
歯科治療を行うにあたり、全身を診て治療する
治療を行う前に、身体のバランスが崩れているかどうかを診て、口腔内に問題があるのであれば、歯科治療を行うにおいてそれを考慮した治療を行わなければなりません。どんなに精密な咬合治療や矯正治療を行っても、その基礎となる身体がゆがんだままでは、結果が安定しづらくなってしまいます。バランスが崩れたまま局所の治療を行うこともできますが、特に矯正治療など口腔全体の治療を行うのであれば身体の歪みを取った状態で治療することがベターと言えるでしょう。この考えは“シン中心位®”と呼ばれ、全身の構造と機能の調和が一番取れる最適な顎の関節の位置を基準に歯科治療を行いましょう、という考え方です。
従来から中心位という考えはありました。その考えは、顎関節の解剖学的な安定位(関節円板が正しい位置にあり、筋の緊張がない状態)を基準にしていますが、シン中心位®は身体のバランスを加味した考えと言えます。
咬み合わせが良くなくてシン中心位®が崩れていると、身体だけ整えても、身体はまた歪んでいきます。(身体のバランスが崩れたままで治療をしても、)再発を繰り返すリスクが高まると考えています。
せっかく治療するなら歪みを整えて、整った状態を目標に治療したいと思っています。皆さんはどう思いますか?
特に、お子さまの矯正や成人の咬合再構築においては、整えながら行うことが、長期的な安定と健康の鍵になっていると考えています。
留意事項
マウスピース矯正ではシン中心位®を取り入れた治療を行います。全身の歪みを取った状態で噛み合わせを整えていくことを目的に頭部、後頚部、鎖骨、肋骨、膝、足首、腰、など治療上必要となるので有資格者が男女問わず施術します。ご容赦ください。
治療例
この方は上下のマウスピース矯正を行いました。治療を行う前に身体の歪みを取った状態で噛み合わせを決め、その位置を目標にマウスピース矯正を行いました。元々の位置より下顎が奥に後退していたので、前に少し出た位置が身体の歪みが無くなる位置でした。治療前に比べて気道の大きさが拡がっています。
また頸椎の角度が少し緩やかに改善されています。シン中心位®は絶対的な位置がある、ということではありません。車のハンドルにも遊びがありますよね。生体も同じで身体が楽な位置もある程度の幅があります。加齢と共に変化もします。


お口と全身のバランスを整えて治療する新しい咬合の考え方がシン中心位®です
全身のバランスを良い状態で保つ咬み合わせを得ることで、身体のパフォーマンスや健康状態が自然に整っていきます。
- 顎の位置が正中にある
- 舌が上顎に正しく収まっている
- 鼻呼吸ができ、横隔膜がよく動く
- 骨盤と背骨がまっすぐに保たれている
- 足元が安定し、左右差が少ない
- 歩行や視線が自然でバランスが取れている
シン中心位®をベースにした治療を通してこれらの結果が出るのではないかと考えています。しかしながら鼻の通りが悪ければ口呼吸になります。哺乳・離乳が適切に行われていなくて正しい舌の使い方が出来ていない場合舌はなかなか上に挙がりません。先天的に足の長さに左右差のある方、股関節に問題のある方は足の長さは揃いません。生活習慣の変えられない方は咬み合わせの位置がすぐに崩れます。
これら他の素因をお持ちの方は、シン中心位®で身体を整えて咬み合わせの治療を単独で行っても結果は出ません。鼻の治療、整形外科の治療、舌の機能訓練、態癖指導などその他必要な治療に取り組まなければなりません。
自分はどの姿勢だと思いますか?
咬み合わせの治療で身体の歪みを是正できる可能性があります。身体の歪みをできるだけ整えてからバランスのよい位置を目標にした咬み合わせの治療は、大きな福音をもたらすと思っています。
よくあるご質問
シン中心位®は普通のかみ合わせとどう違うのですか?
どうして足の長さや歩き方が噛み合わせと関係するのですか?
視力にも影響するというのは本当ですか?
子どもにも関係ありますか?
どんな人におすすめですか?
治療にはどのくらい費用がかかりますか?
頭を触るそうですが何のためですか?
鎖骨や肋骨で何をするのですか?
足を触るそうですが、何のためですか?
腰を触るそうですが何のためですか?
歯や口は独立した器官ではなく、身体を構成する一部です。口腔に不具合があれば、身体のどこかに歪みとなって表れます。口腔内の治療を行う前に全身のバランスを見て身体に歪みがあれば、それを整えてから口腔内の治療を行いたいと考えています。全身を診て歯科治療を行う “シン中心位®”、という概念を取り入れた治療に取り組んでいます。