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子どもの歯並びを治すのはいつから始めるのか

2023年10月5日

子どもの歯並びをいつから治すのかは個人差もありますから一概に言えません。ただ放っておいてよくなることは一部であってたいていはよくならないです。学校健診でかみ合わせのところに治療を要するもの、経過を診るものの分類はあるにせよ校医の先生が変わらなければ年齢が上がっていってもチェックが無くなることはないと思います。乳歯から永久歯に生え変わるにつれて改善するのではないか、永久歯になってから考えればよいか、男の子だから多少歯並び悪くても構わないか、などと考えますよね。

宇治市 歯医者 growth なかむら歯科医院

乳歯<永久歯

乳歯に比べて永久歯の方が大きいです。顎も成長していきますから乳歯のうちは様子をみればよいかと思いがちですが、乳歯で歯並びが悪いと大きくなってもなかなか改善しません。成長は第一次成長、第二次成長と成長の波はありますが当然そればかりではなく、毎日成長しています。基本的にどんどんすきっぱになっていくのが普通なのにきちきちに生えているということは普通より顎が大きくなっていないということです。受け口の場合は上あごが小さいということです。遺伝ということも考えられます。

硬いものを食べればよいのか

顎が大きくならないのは噛む回数が少ないからとか、軟食が多くなっているからとか、食に関することに頭がいきますが、それだけではありません。以前にも記していますが、哺乳、離乳食などからすべてが始まっているのです。すなわち適切な哺乳、離乳食の与え方ができていないと適切な舌、唇の動かし方、機能のさせ方を覚えられないのです。それらの筋肉を適切に動かすことが顎の骨を大きくするサポートになっているのです。きちんと機能できていないと顎は大きくなりません。唇を閉めて鼻呼吸をすることができていないと上あごがうまく成長しません。

舌の定位置

唇を閉じていると舌先は通常、上の前歯の歯と歯茎の境目のところに付きます。舌はどちらかと言えば上あごに付きます。上あごを舌で外側に押しているイメージがつくでしょうか。外側、前側、上側に向かって拡げているのです。一方口を開けていると舌は下側に落ちるか奥にひっこみます。上あごを大きくする力がありません、口が開いているから外側の頬あたりの筋肉が歯を内側に押すように働きます。ということは中から外へ押す力がなく外から中に押す力だけが働きますから顎は大きくなりません。ですから八重歯とか歯並びガタガタになるのです。顎は上下一対です。基本的に上が少し大きく舌が少し小さいかみ合わせです。上が小さいと下もそれに合わせて小さくなります。ですから下あごの歯並びもガタガタします。

成長のピーク

成長する期間は限られています。頭の成長は6~9歳くらいがピークです。上あごは頭の一部なのでほぼ同じです。下あごは背の延びる時期とほぼ同じなので9~12歳くらいがピークと考えていただくとよいでしょう。それらはまだ乳歯と永久歯が混在して生えている時期、乳歯が抜けている時期です。それらのうちに顎を大きくしなくてはなりません。ただ顎を大きくするだけではなく鼻呼吸できるような訓練をしなくてはなりません。鼻の病気があればそれを治さないといけません。食材を考えた食の提供を保護者は考えないといけません。

様子をみてよくならない

様子を見ているだけでは顎は大きくなりません。食育というのがあります。ぜひ保護者の方は勉強してください。私もそれほど詳しくはありませんがHPに口腔育成のページを収載していますのでご覧いただけると一助になると思います。口呼吸しているかどうかはテレビや動画を見ているときなど何気なくお子さんの口元をみていただくとすぐにわかります。口閉じて!と言って叱ってもそのときだけです。学校などに行っている時に注意はできません。

口を酸っぱくしても口は閉じない

さあどうしましょうか。いわゆる取り外しできる矯正装置 可撤式床装置と呼ばれるものが乳歯の歯並びから乳歯と永久歯の混じっている時期に使うことで鼻呼吸へ戻す一助になると考えています。鼻の通りに問題がないことも大切なので耳鼻科に行っていただいて問題があればそちらの治療も当然必要です。その装置を使うことで鼻呼吸することを覚えてもらいます。主な目的として鼻呼吸、副次的に歯列不正の改善になります。必ず歯並びがよくなるわけではありません。不要な力を排除することで本来の歯並びに戻ろうとします。ある程度の改善は見込めますがすべて解決までは至らないかもしれません。でも鼻呼吸の獲得はこの時期にしておかなければなりません。

鼻呼吸は大事

受け口の場合は特に初期のうちから改善をしていく必要があります。早ければ3~4歳からです。ですが取り外しの装置は自分で外せますからきちんと使えることが条件です。きちんと言い聞かせられる年齢からになります。早く上あごを大きくして上下の関係を正常にしてあげて、正しい成長に戻してあげることが大切です。

時期をのがしてしまったら

永久歯の歯並びになって成長のピークを越えてしまってもスパンと成長が止まるわけではありません。少しづつ成長率が落ちていきゼロになります。ティーンの間は、特に低年齢のティーンであればまだ成長がわずかですが残っているので顎を大きくすることに取り組むことはできます。ただし夜間使用だけの取り外しの装置では効果はでません。本格的な矯正装置を使うことになります。成長は18歳まで続きますから経過はみていかないといけません。特に受け口の遺伝的傾向のある方はどんどん下あごが前に出てしまうことがあります。成長は誰も止められませんから、外科的処置を伴う矯正治療が必要となります。

外科的処置とは何か

上あごは一かたまりがどんどん大きくなるのではなくて、大きくは3つの骨が真ん中に向かって成長していき一つのかたまりになっていきます。それぞれの境目が時間を経ることに融合していきその跡形は無くなっていくのですが、それでもその痕跡はあります。簡単にいうと前と奥左、奥右なのですがそのつなぎ目はYの字みたいになると考えてください。その跡形を基準にして切れ込みを入れ左右、あるいは左右と前に力を加えて引っ付いていた骨を広げていくのです。広げると真ん中が空間になるのではないか、と思われるでしょうが、開いた分だけ骨は埋めようとします。身体の生理的な反応です。

骨が折れても骨は再生しますよね。

それと同じです。一気に全身麻酔をして力ずくで骨を広げるのではありません。上あごのところに固定式の装置を取り付けて一日〇,何ミリづつ広げていきます。この固定式装置を取り付けるときに麻酔はしますが、虫歯治療をする時の麻酔と同じ局所麻酔で取り付けます。左右に拡げると真ん中の歯がすきっぱになってきます。また前に出すと犬歯あたりがすきっぱになってきます。そうすることで顎自体を大きくすることができ、歯をならべるスペースを確保します。これですべてが解決できるわけではありません。ですが治療の選択肢を増やすことができます。

宇治市 歯医者 mse なかむら歯科医院

上と下は違う

下あごが小さいこともあるのですが、下あごは上あごと違って一つの骨が大きくなっているので接合している部分の跡形はありません。ですから骨を大きくすることはできません。大きくできませんが前に出すことはできます。顎を大きくすることには限界があります。適切な時期に鼻呼吸を獲得でき、鼻の疾患、鼻づまりのないようにお子様の成長の時期の健康管理には十分気を配ってあげることに保護者の方は努めていただけるとありがたいです。外科的な処置は誰も望みませんから。

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