Author Archives: nakamura-dc

歯科でできるアトピー対策

2023年6月8日

3人に1人にアトピーと言われています。食品添加物、農薬、化学物質、花粉、食物などいろいろ原因があります。自己防衛のために活性酸素がミトコンドリアで生成されるのですが、それが過剰に産生されることで肥満細胞が傷つきヒスタミンが発生されます。それがアレルギーを起こします。(ちなみに細胞のDNAが傷つくとがんになります。)それゆえ余分な活性酸素をなくすことが大切です。

アレルギー対策

行き過ぎた衛生管理をやめる

小児期の細菌暴露は大切です。衛生面から砂場遊びはなくなっているようですが、芋ほりや体験農園などで土いじりなどはいいのではないでしょうか。

化学物質を避ける

砂糖、食品添加物などは活性酸素が出やすい

腸内環境を整える

食物繊維の多いもの、発酵食品、生鮮食品、伝統的和食

1975年アメリカのマクガバンレポートで、地球上でもっとも理想的な食事は元禄時代以前の日本人の食事と発表されました。確かに発酵食品も多く、食物繊維も多いですよね。免疫力も上がります。

よく噛む

唾液で活性酸素を除去する。よく噛むと唾液が出ます。唾液の役割には

虫歯、歯周病予防になる

消化を助ける

消毒、抗がん、抗アレルギー作用

食塊形成

感染症予防(免疫グロブリン)

アレルギー対策を述べてきましたが、難しいですよね。でも今からでもできることはありますよね。そう、よく噛むことです。唾液には活性酸素を消去する能力もあるとされています。食育で感受性期に獲得できなかった機能を少しでも取り戻すようにしたいですが、元をたどればやはり哺乳が大事なのです。

子供の食生活への提案

飲み物は水か麦茶かほうじ茶

成長期の子どもは水分の入れ替えが激しいため水分の欲求が大きいです。飲み物は水分を補給するものでカロリーを摂るものではありません。飲み物は熱量のない水、麦茶、ほうじ茶にしましょう。飲み物の選択は量が量だけにとても大切です。

朝ごはんをしっかり食べる

朝ごはんには必ずご飯とみそ汁を食べさせてください。前夜の残りのご飯とみそ汁でよいのです。それに焼きのり、納豆、佃煮、梅干し、ふりかけでよいです。手を掛けなくて全然構わないのです。どうしても時間がなければパンでもよいのですがお菓子を食べているのと変わりません。よくないですよね。常食はよくありません。

カタカナ食品は控える

ラーメン、パン、パスタ、シリアル、ピザ、ハンバーガー等々せいぜい週1~2回程度

おやつの菓子はやめる

簡単な食事という考えに切り替えてください。おにぎり、のり巻き、うどん、そば、さつまいも、とうもろこし、せんべいなど、穀類やイモ類にしましょう。砂糖や油はだめです。(清涼飲料水、スナック菓子)

おやつのおすすめ

おにぎり、水、麦茶、ほうじ茶

もち、うどん、そば、さつまいも、じゃがいも、とうもろこし、せんべい

たまには

季節のくだもの、ドライフルーツ、緑茶、和菓子

特別な日に

ケーキ、クッキー、アイスクリーム、揚げせんべい

買わないもの

スナック菓子、清涼飲料水、炭酸飲料水、乳酸菌飲料、スポーツ飲料

 

なかなかハードル高く感じますよね。それでもできることから行っていきましょう。大人でもたいせつなことです。

余談です。

ファイトケミカル(トマト、ピーマン、パプリカなど)色鮮やかな野菜にはポリフェノール、βカロチン、リコピンなどが含まれています。抗酸化作用、(がんやアレルギー予防)、解毒作用、免疫力アップなどの効果があります。ただし熱に弱いですから電子レンジにかけると97%破壊されます。生か、蒸すか、ぬかづけにするかなどして上手に摂り入れましょう。

 

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あなたの一口量はどれくらいか知っていますか

2023年6月1日

哺乳期に上手く口腔機能を獲得できなかったらどうすればよいのでしょうか。じゃあ諦めるのか、といえばそうもいきません。では何をすればよいのでしょうか。自然に獲得できるのは難しいわけですから教育していかなくてはならないのです。食育です。噛む食育です。

前歯でかぶりつく食材を

乳幼児期は脳が一口量を覚える時期です。一口大ではありません。調理する人の考える一口大は大き過ぎます。大き過ぎると噛まずに飲み込む可能性があります。処理できない大きさのものを子どもは丸飲みをしてしまいます。小さすぎても飲み込んでしまいます。

スプーンを子供の口にもっていって食べさせているシーンがありますが、ダメです!飲み込んでしまいます。スプーンが大きいと噛みません。食塊ができず水で流し込みます。

一口量を自分で覚える時期ですから自分で食べさせてください。手やテーブルが汚れるからといってやめさせないでください。手づかみOKで。口に入れて大丈夫なものを与えてください。食べられなくてもいいのです。口の機能を発達させるためです。スティック野菜、きゅうりやセロリ、ニンジンなど。リンゴ丸かじりもよいです。

巻きずし、アスパラベーコン、ちくわの中にウインナー、混ぜご飯、ハンバーグでなくトマトやレタスを入れたハンバーガー、細かいものなら春巻き状にするなど、複数の食感が味わえるようにすると噛む回数も増えます。これらを食べることで自分の一口量を覚えていきます。一口大ではありません。奥歯はなくても奥歯の歯茎で食べます。前歯しかなくても心配無用。たまに義歯を入れずそのまま食べている方がいらっしゃるくらいですから大丈夫です。

足底接地

足を床に着けるか、正座して食べましょう。2歳からでも。噛む力が増します。これを覚えることで誤嚥予防ができると言われています。足ぶらぶらはダメです。

水やお茶は食後に

飲み物があると噛まずに流し込んでしまいます。噛まないと飲み込めない食材を出してください。噛み応えのある食材はかみごたえ食材表などを検索していただければ出てくると思います。よくかまないといけない食材の代表は生野菜です。栄養価だけでいけばスムージーも同じじゃないかと思われますが、それは大人になってからでもいいのです。食育の一環と考えれば子供にとってどちらがよいかは自明ですよね。私は古い人間かもしれませんが、食事が終わった後にお茶碗にお茶を入れて一服します。洗い物しやすくする面もありますが、途中でお茶を飲まないという日本の伝統ですよね。

しっかりした嚥下をしていくことで歯並び(歯列)が改善します。舌が上あごを押して飲み込むのですが、水分があると舌を使わなくても飲み込めてしまい、上顎骨の前上方への成長を阻害してしまいます。

子供は1日何回飲み込んでいるか

600~2000回とされています。飲み込むたびに舌圧が上あごにかかっているということです。口ぽかんでは十分な舌圧がかかりません。よく噛み、しっかり飲み込む。そうして口と鼻腔を含めたその周りが育っていきます。水分で流し込む食事では感受性期で獲得できなかった口腔機能の回復が見込めません。ストローは特にダメです。

 

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鳥が生まれて初めて見たものは親と認識する

2023年5月25日

テレビなどで見たことはありませんか。親鳥でなく人間が卵から孵化させ、世話をすると人間を親鳥と思い込んで後ろをついて回るというシーンです。他の動物でも似たようなことがあります。これをインプリンティングと言います。

アメリカ人でノーベル生理医学賞を受賞した科学者のした実験です。生まれたての猫の目を片方だけ2週間縫合して両目を見えるようにしたところ縫合した目の視力が失われたそうです。脳が少しでも脳の負担を軽くするためにそこに割くパワーは必要ないと判断するのです。

人間は生理的に早産で産まれます。そして様々な環境に適応するため外部からの刺激を受けて多様に変化しようとします。つまり脳や体が最も成長するのです。この成長著しい期間のことを感受性期(臨界期)といいます。人間では0~9歳になります。

短期間で覚えたことが一生涯にわたり持続します。

頭位は産まれたばかりで33㎝、1歳で45㎝、3歳で49㎝、6歳で50㎝、成人男子56㎝、成人女子54㎝ 3歳で成人の9割が完成しています。脳頭蓋、顔面頭蓋はどこよりも成長が早いのです。

視力は0~2歳、絶対音感や運動能力は0~4歳で完成されるそうです。それ以降ではどんなに頑張っても身に付きません。

感受性期は脳や身体が最も成長する期間で、一生に一度しかありません。

フィギュアスケートの羽生結弦選手は自転車に乗れないそうです。自転車に乗る訓練を小さいときにしていなかったのでしょう。まだ若いから練習すれば乗れるようになるかもしれませんが、道のりは長くなりそうです。

では口の感受性期はいつでしょうか。

口は顔面頭蓋にありますから、3歳までなのです。6歳ではもう決まっていて12歳になっても変わりません。口はこの時期に何を覚えるのでしょうか。

一口量は一口大とは違う

産まれたばかりの赤ちゃんの口は何をしているでしょうか。生きていくために哺乳が必要です。母親の乳首から栄養を取らなければなりません。どうにかこうにかしなければ生きていけませんから必死です。母乳を得るために必死に口を動かし唇と舌を使います。噛むように哺乳しています。吸った母乳を胃に送り込む嚥下の仕方も覚えます。

吸っている時にも息はしなければなりませんから鼻呼吸も覚えます。舌を上あごにひっつけないと鼻呼吸できません。そうするための筋肉、骨格になっていきます。

母乳の出が悪いこともあると思うのですが、柔らかい哺乳瓶の乳首では簡単に哺乳できるので、これらの機能を獲得するための訓練が不十分となり、口の機能が不完全なまま一生を過ごすことになるのです。ですから哺乳瓶を使わないといけない場合にはちゃんと噛まないと出てこない、かむ筋力が必要な乳首が必要です。

哺乳期は栄養を摂るだけの時期ではありません。食べるための機能、鼻呼吸する機能を獲得しているのです。

WHOやユニセフでは2歳までの母乳育児を推奨しています。

江戸時代6~7歳まで哺乳していた、なんて文献もあります。哺乳を早く打ち切る必要はないようです。半年経ったから早く離乳食にしなくてはならない、なんてことはありません。

ではいつまで?

発達には順序がある。獲得した機能を足掛かりにして次の発達をしていきます。飛ばしたり、早くしてはいけません。食べる機能は十分に哺乳機能が完成してからです。不十分な哺乳は舌の機能不全、狭くて小さな口になったり、常に口がぽかんと開いていたり、鼻腔を狭くしたりします。

鼻に影響する

哺乳期に舌を上あごに押し当てる刺激が少ないと鼻腔が大きくなりません。噛む力がないと上顎に刺激がないので成長しません。嚥下するときの飲み込む舌圧が足らないなどの感受性期における口腔への負荷が足らないと鼻腔や上顎の成長にまで影響が及びます。

歯並びが悪くなる、年を取ってからの誤嚥、扁桃腺の肥大、免疫力の低下など一生の問題の原因が哺乳期にあるのです。

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哺乳が上手くいってないと歯ならびが悪くなる

2023年5月18日

自分の食事している姿勢を見たことがありますか。その姿勢は子ども、いや幼児の時に形作られていくのです。お子さんの食事している姿を注意してみてください。口腔の機能がきちんと発達しているかそうでないかをうかがい知ることができます。

 足がちゃんと床に着いているか。

足がぶらぶらしていると噛む力が減少します。きちんと床に着いていると噛む力が15%しま す。正座でもよいです。きちんと体が支えられているので噛む力はしっかりしています。

 くちゃくちゃ音が出ていないか

食べている時に口が開いているから音が出ます。通常は口を閉じて食事しますよね。口呼吸や          いつも口がぽかんと開いていることはよくないことは鼻呼吸ができていないということです。

 箸が使えているか

薬指と小指のグリップするパワー不足だと親指と人差し指、中指が上手く使えなくて、箸が             上手く使えないのです。指の器用さがないということです。最近の子どもの握力、ボール投げ             は過去最低を更新しているそうです。またある小学校では入学時に4Bの鉛筆を指定してい               るそうです。筆圧が弱く上手く鉛筆を握れない子供が増えているそうです。(薄くて見えな               いからだそうです。) 噛む力が無くなっていることが原因の一つです。

スイスの生物学者アドルフ・ポルトマンという人が成長は上から下にいく、上(頭)の成長              が上手くいかないと下(体幹、上肢、下肢)の成長が上手くいかないと論じています。成長の起点の口や顎の成長発育が悪いと全身の成長発育や関節に影響します。

子供はどんどん不器用になっています。箸を正しく使えないだけでなく、次のようなことは         ありませんか。

マッチで火をつけられない

正しく包丁をもてない、使えない

定規を使って真っすぐ線を引けない

針に糸を通せない

生卵を上手に割れない

ガスコンロの火を上手く調節できない

ひもを結べない

などなど

 食べこぼし

箸が上手く使えていない、口唇閉鎖ができておらず、口呼吸していることを示しています。

 食べ残し(偏食)

味覚が育っていない。神奈川県大磯市で食育の一環で塩分を控えた給食にしたところ。大量の食べ残しが出たそうです。子どもの味覚異常は今や3人に1人だそうです。味の濃いものを欲しがる子どもはすでにその兆候があるのです。味覚は3歳までに決まります。味覚は生きていくために必要なものを識別する能力です。

甘味(糖 エネルギー源)

塩味(ミネラル)

うま味(タンパク質)

苦味(毒)

酸味(腐敗)です。

味を知る細胞、味蕾細胞というのですが、唾液で湿されることで機能します。噛まないと唾液が分泌されません。よく噛んでいないと味覚障害が起こす可能性が高まるのです。

 むせ

食べたものをのどに送り込むことに問題があるとむせます。送り込みに舌を上手く後ろに使えていないからです。舌が前にあったままでは嚥下機能は正常とはいえません。

これらのことがいろいろなことがわかってくるのです。これからすることも。

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猫背と噛み合わせは関係大です

2023年5月11日

シエスタ

交通事故のニュースで、運転手の事故前後の意識がなかった、ということを聞くことがあります。少し前から昼間に眠くなる、頭痛、睡眠が浅い、疲労、イライラ、集中力の欠如、などが主症状の睡眠時無呼吸症候群との関連が取り沙汰されています。睡眠時無呼吸症候群は重症だと乳がんの10年生存率よりも低いそうです。高血圧で2倍、心筋梗塞、脳血管障害で4倍、無呼吸症候群が素因にあると罹患しやすくなります。無呼吸症では血中の酸素不足により心肺機能に多大な負担がかかります。また脳に酸素が一時的とはいえ酸素が行かなくなりますから脳や心臓の梗塞を起こしやすくするのです。だから睡眠中や朝方に死亡することが多いそうです。

自然界の動物には起こらない、どの人間も患う病気

鼾が突然止まり30秒から1分ほどの呼吸停止による沈黙の後、窒息を回避しようと人間の本能が働きいびきとともに呼吸を再開します。一晩に何回も呼吸停止を繰り返します。そりゃ充分な睡眠がとれないわけです。日本人の2割が不眠で悩んでいるそうです。でも睡眠時無呼吸症は遅かれ早かれ誰でもなります。

みんななるのです

えっ!と驚かれることでしょう。そうです、誰でもなるのです。簡単にいえば老化もあります。原因は何でしょうか。それは舌の筋肉の力が衰えて前にとどめておくことができなくて、舌自体が気道を塞いで息ができなくなるのです。加齢による舌の筋力の衰えは誰にでもきます。ちまたで言われているオーラルフレイルです。それが早く来るか遅く来るかで寿命が変わります。でも、若い人でもなりますよね。何故なんでしょうか。先ほども申しましたが舌が気道を塞ぐのですが、これは筋力が落ちるだけでなく口が狭いと、もう少し言うと歯の並んでいる歯列が狭いとそれだけで舌が咽頭方向に押し込まれるのです。そのせいで睡眠時無呼吸症候群の発症が早くなるのです。

適度の運動、適度の食事

歯の並びが狭くなったのは何故でしょうか。歩かなくなりましたよね。噛まなくなりましたよね。一度の食事の回数ですが、飛鳥時代は4000回、鎌倉時代2600回、江戸時代1500回、現代では620回だそうです。現代人の食生活を鑑みると理想は1食1500回と言われています。はそのため骨格の発育不全が起こって顎が小さく、歯がきれいに並ばない、歯が完全に生えてこない、下顎が前に出て来れないことが起こり、舌も前に出て来れなくなっています。それが睡眠にも影響しているのです。

取り合えずすることは何

寝ているときに舌が奥に引っ込まないようにしなければなりません。鼻に酸素を強制的に送り込むCPAPありますが、気道を確保することも大切です。狭いより広いほうが空気はたくさん入ります。

無呼吸症候群用のマウスピース

自然のままだと寝ていると下がりますから、下あごが奥に下がらないようにマウスピースを作成するのがよいです。保険診療では難しいのですが、上下にマウスピースを作り下あごが後ろにいかないように噛みこむポイントを下あごを前にもって行ったところで設定します。前に出して苦しくないかというと、人命救助の際気道確保のため寝かせた状態で下あごを突き出すようにさせますよね。そうすることが一番気道を広がるように体ができているのです。

健康のためには何よりも呼吸の改善と良質な睡眠、これが一番!

冒頭で話しているように加齢による筋力の衰えはやむを得ないですが、少しでもそうなることを先送りするためには小さいうちから、顎を大きくして歯の並びをよくして、舌が後ろに下がらないようにしておかなければなりません。これについてはまた機会をみつけてお話します。

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肥満と食事の関係はご存じですよね

2023年5月4日

イルカ

イルカの歯の数は、種類によりますがバンドウイルカで約80本あるそうです。主食となる小魚を捕まえやすいように犬歯のように先の尖った小さな歯がたくさん生えています。丸飲みするそうですから捕らえることが主眼で(身を守る、という機能もあります。)、生まれた時から生え変わることはないそうです。飼育技術も向上し水族館生まれのイルカも珍しくはないそうです。外洋から連れてきたイルカと水族館生まれのイルカでは歯に違いがあるといいます。それは何か。外洋では小魚は当然生きていますから自分で捕食しなければなりません。摂食できる時もあるでしょうし出来ないときもある。アクシデントもありますから歯が欠けていたり無くなっている歯もあるそうです。

養殖イルカ

一方水族館では捕食するのに苦労はありませんから歯はきれいだそうです。野生のイルカは歯が無くなるとそれは死に直結します。逆に水族館のイルカを外洋に戻して生きていけるでしょうか。動く小魚を捕食する練習をしてからでないと無理ですよね。若年であれば訓練すればできるようになりそうですが、ある程度年齢が進んでいる場合にその能力は身につくでしょうか。個体差もありますがなかなか難しそうですよね。

今の子供たちは自分たちに比べてバイタリティーがあると思ったことはありますか。

親として子供たちが育っていくのに様々な環境を整えてあげたいと思うのは当然のことです。よい教育を受けさせたい、ひもじい思いはさせたくない、人並みの生活環境を整えてあげたいなどなど。どれも切実な思いです。私は思うのです、子供の生命力が落ちているのではないかと。そうさせているのは大人だと。

新聞記事は物語る

小4の1割 肝機能、血糖値、脂質に異常値(四国新聞 2017、1)

小5 採血検査したところ約3割が糖尿病の診断基準になるHbA1cの基準値を超えていた(西日本新聞 2018、8)

色々な原因が考えられます。食生活の変化、コンビニエンスストアの増加、清涼飲料水自動販売機の増加、日常の活動性、運動の低下など。幼児期の肥満25% 学童期肥満40% 思春期肥満70~80% と日本小児内分泌学会で発表されています。思春期に肥満になっていると体格が形成されたり生活習慣が決まってしまうため改善していくのは難しくなります。そのため早めに、幼児期から肥満治療に取り組むことが大切です。

世界でも肥満は問題になっています。

各国の成人に占める肥満者の割合はフランス約16%、イギリス約25%、アメリカ約32%、エジプト約35%だそうです。糖尿病率11%のシンガポールでは甘い飲み物の広告は全面禁止、砂糖の含有量が一定量以上の飲料にはパッケージに、“不健康”と記さないといけないそうです。徹底的にやるのはシンガポールらしいですね。

清涼飲料水には見えないですがかなりの砂糖が含有されています。他の食品もそうですけれど美味しいものには見えない砂糖が含まれています。子供には糖質ゼロで、くらいの意気込みは欲しいところです。気持ちです!

・食べ物なるべく薄味で。

・水、お茶中心。

・間食はなるべくしない。

・前歯でかみ切らないといけないくらいの大きさの食べ物にする

・汚れるからといって手で食べ物をつかんで口に入れることを禁止しない。親がスプーンで突っ込まない

・小さいうちから野菜に慣れさせる(食べなくても口に入れれたらOK 煮て柔らかくして)

などなど

ちなみにヨーロッパでは離乳食はなく大人と同じものを食べるそうです。日本人からするとスパルタですが、それが世界のスタンダードのようです。得意なOMOTENASHI?ですかね!

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鼻は天然のマスクです。口を閉じましょう

2023年4月27日

鼻は何故あるのでしょうか。

それは息をするため、と答えますよね。全くその通りです。呼吸をするためです。その通りなのですが、みなさんはちゃんと鼻で呼吸していますか。出来ていますか。目はものを見る。耳は音を聞く、胃は消化をする、腸は栄養を吸収する、とその役割はだいたい一つです。呼吸は鼻だけしかできない、ことはないですよね。そう、口でも呼吸はできるのです。

口の機能は何でしょうか。

本来は消化器系の一部ですよね。食べ物を摂取し栄養を取り入れるため、消化しやすいようにある程度小さく粉砕する、というのが本来の役割です。動物が歯を失うとどうなるでしょうか。食べ物を摂取しづらい、あるいはできなくなる。消化もしにくくなる、十分な栄養を取れなくなり、すなわちそれは死に直結します。マウスの実験で噛めなくすると、普通に噛めるマウスに比べると十分発育しないばかりか脳の機能に影響を及ぼし認知機能がかなり低下することがわかっています。審美的な側面ももちろんありますが、これは極端に言えば人間だけです。

鼻は呼吸のためにある。

鼻の役割は

  • ゴミや塵、アレルゲンなどの除去、ろ過
  • 加温、加湿、など外気の調節、調整
  • 細菌やウィルスを不活化する
  • 肺の水分調節

大きくはこれらです。取り入れる空気をきれいにするいわば加湿機能付き空気清浄機ですね。これらを口で代行できません。口から入った空気はダイレクトに咽頭、喉頭、気管支、肺に行きます。身体に悪い汚れた空気を丸のみです。

一日の呼吸回数は2万回

オリンピックに出ている選手のぜんそくの割合はわかりますか?一般人は4%です。協議によって差はもちろんあります。スピードスケートで12%、競泳や自転車競技で17%、トライアスロンではなんと25%です。メダリストになると更にその割合は高くなります。理由はわかりますよね。いっぱい空気をとり入れたいからです。鼻だけでは追いつかないからです。射撃やアーチェリーなどは口を閉めていますからその割合は低下します。何が言いたいかというと口呼吸だとぜんそくになりやすい、ということです。

読解力と算数

口呼吸している子供は、鼻呼吸している子供に比べて読解力と算数が劣ると2014年の研究で明らかになりました。7歳児5000人を対象にして習慣的にいびきしている割合は6%、口呼吸している割合は18%でした。いびきの常習者のうち80%は口呼吸しています。口呼吸している子供は耳感染症や副鼻腔炎になる頻度が鼻呼吸している子供に比べて約2倍になっています。その治療に抗生剤を用いますから、その使用も2倍になります。よくはないですよね。

あいうべ体操

口呼吸がよくないことはおわかりいただけたかと思います。ではどうするのか。お金をかけずに手軽にできるのが、あいうべ体操です。テレビなどのメディアでもよく取り上げられています。あいうべ体操の詳細については当院に名刺サイズのリーフレットを置いていますし、以前にもコラムに記載していますのでご一読ください。一日、あ、い、う、べ と口回りの筋肉をおおげさに使いながら30回音を立てなくてよいので動かすだけです。マスクの中でもできます。べ、だけはマスクの中でできませんから、上唇、下唇と歯の間の隙間に舌を入れて左右から一周ずつ10回ずつ舌を回してください。最新のやりかたです。また、い、の時は歯と歯を合わせないようにしてください。

マウステープ

起きている時は何とか意識をすれば口を閉めておくことができます。では寝ている時のいびき対策は?と思われることでしょう。原始的ではありますが、口にテープを貼ってねてください。何だか原始的ですよね。でもそれだけに誰にでもできることです。皮膚の弱い方にはハードルが高いですけれどトライしてみてください。アトピー性皮膚炎などに対しても効果があるかもしれません。世界一簡単な驚きの健康法 マウステーピング という本があります。あいうべ体操を考案された今井一彰先生が書かれています。お時間のある方は是非。

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ガムを膨らませられますか

2023年4月20日

少し大きなお子さんが初めて来院、診療できた場合にご褒美としてフーセンガムをお渡しすることにしています。2個入りの小さなガム、オレンジ、グレープなどありますよね。

皆さんはガムをふくらませることができますか。

最近ではガムを嚙む人はずいぶん減ってきているようです。噛み続けるのが面倒くさいのでしょう。柔らかくて食べやすいものが増えて、よく噛むことが無くなっているのでしょう。

子供さんに渡すのにも訳があって当院ではご褒美にしています。

口呼吸の予防になる

口呼吸は歯並びだけでなく、全身の健康に悪影響があります。今の子供の半分は口呼吸をしています。ガムを噛む時はしっかり口を閉じて鼻で呼吸しなければなりません。味がしなくなるまでの5分でも鼻呼吸の良い訓練になります。

くちゃくちゃ音がしているのは口のどこかが開いているのでしょう。マナー的にもよくありませんよね。口の周りの筋肉も鍛えられます。

バランスよく嚙む

利き手があるように、片側で噛む傾向にありますができるだけ左右均等に使うことが望ましいので、ガムを噛む時にその訓練をするとよいでしょう。具体的にはよく噛まない方を意識して噛んでみてください。

ちなみにですが人間のあごは少し右にずれていることが多いそうです。

筋機能訓練になる

歯は筋肉の均衡の上に並んでいます。外は唇、頬、内は舌です。それらの均衡が崩れて歯並びは悪くなっているのです。もちろん歯と顎の大きさの不均衡もありますから全てではありありません。

舌で前歯を押していたり、常に口が開いて口呼吸になっている人は歯並びが悪くなります。バランスを少しでも改善するのにガムを使うトレーニングは有効とされています。一回2粒くらいがよいので、フーセンガムがちょうどよいのです。

そのトレーニング方法とは

1 必ず口を閉じて噛む

ガムのあじがしなくなるまで口を閉じて噛み続けてください。クチャクチャと音は立てないように気を付けてください。左右交代させるのがポイントです。少なくとも3分は続けてください。

2 ガムを舌で丸めてください。

ある程度やわらかくなっていたらガムを舌で丸めてください。お子さんにはある程度丸めるの に集中するように仕向けてください。舌を上手く使う練習になります。

3 ガムをうわあごに押し付けて押しつぶします。

丸くしたガムを上の前歯の付け根からうわあごに舌でもっていき、その場所で一気に押しつぶしてください。べたっと広げるような感じです。一発でできるようにしてください。舌を上方へ持ち上げる筋力を鍛える訓練になります。舌がきちんと持ち上がらないとガムがくっつけられなかったり、前歯の裏にくっつきます。

4 ガムをつけたまま唾液を飲み込んでください。

舌を持ち上げたまま溜まっている唾液をそのまま飲み込んでください。その時必ず姿勢を正して顎を引くように筋肉を使ってください。難しいかもしれませんがこれが訓練です。

トレーニングはこれだけですが、子供さんはできるようになったらフーセンガムをふくらませるよう遊び感覚で誘導してみてください。それに関しては色々と検索などしてみてください。舌や唇を複雑に使わないとできません。子供も頑張るでしょうし、楽しくトレーニングもしてくれるでしょう。そして舌を上方に置くという習慣が付き、鼻呼吸ときれいな歯並びを獲得できる権利を勝ち得るのです。当院でのご褒美には訳があるのです。

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歯の治療のごほうびに

2023年4月13日

はじめて当院にお越しの小さいお子さんで、ぐずらず泣かずにちゃんと診療できたら(笑)ご褒美に、ぴろぴろを渡すようにしています。渡しそびれることもありますのでそれはご容赦くださいね。(笑)小さい子供が喜ぶのももちろんですが、実は健康に役立つと思うので、一石二鳥なのです。

息を吹き込むと、ピーッ、という音とともに紙筒が伸び、吹くのを止めるとクルクル元に戻る「ぴろぴろ(吹き戻し)」。子供のころに一度は遊んだ経験があるのではないでしょうか?使い方はいたって簡単ですよね。吹くだけです。1日10~30回を目安に吹き続けるだけで病気予防、脂肪燃焼などの健康効果が手に入るのです。

ストロングぴろぴろ

お渡しするぴろぴろは言わば導入と思ってください。普通のぴろぴろは伸ばすのにさほど吹く力は要りませんよね。この伸ばすのに吹く力が必要なぴろぴろがあります。名付けてストロングぴろぴろ。通常のぴろぴろと違って、吹き伸ばすのに呼吸負荷がかかるので10回吹くだけでも一苦労します。おもちゃじゃないの、と思っている人は一度吹いてみれば驚くと思います。吹き続けることで複式呼吸が自然に身に付き、代謝・血流が改善します。さらに口回りの表情筋が鍛えられ、口角が上がり見た目が若々しくなります。同時に口輪筋も刺激されるので中高年の方々が悩む飲み込みづらさや誤嚥も予防できます。実は子供さんの遊びに使うだけでなく大人の健康維持にも使える優れモノなのです!県立広島大学、広島県、(株)ルピナスの産学公の連携によって生まれた健康器具なのです。医療機関でこのぴろぴろを使ったトレーニングが推奨されその効果が実証されています。なんと特許が取得されているのです。

トレーニング法

1.どこでも簡単にできます。まずは腹式呼吸で準備運動です。

背筋を伸ばし肩幅程度に足を開きます。おなかをへこましながら空気をすべて鼻から吐き出します。風船をふくらませるイメージで鼻からゆっくり息を吸い込み、おなかをふくらませる。これを10回繰り返してください。

はじめに腹式呼吸をしっかり行うことが大切です。胸の下の横隔膜を上下させるイメージで呼吸しましょう。吸うときの倍の時間をかけゆっくり空気を吐き出します。これだけでも腹筋運動になりぽっこりおなかの解消につながります。横から見て耳・肩・股関節・ひざ関節・外くるぶしが一直線になる姿勢が理想です。

2.口にくわえて一気に吹く。吹き伸ばしたまま5~10秒キープ

吹き伸ばした袋状部が戻らないようおなかにちからを入れて最小の息で5~10秒吹き続けます。これを10~30回繰り返します。無理せずできる範囲で行います。朝昼晩など小分けにしても構いません。口の周りの口輪筋(口を閉じる筋肉)や咀嚼筋(噛む時に使う筋肉)などのトレーニングになります。

応用編として

30秒間ロングブレス

ストロングぴろぴろを吹いたまま30秒間キープ。吹き戻しもできるだけ時間をかけてゆっくりと。長めに呼吸することで負荷を増します。

2本を口にくわえてダブルブレス、というのもあります(笑)

30秒リピートブレス

ストロングぴろぴろの吹き戻しを30秒間に何回できるかチャレンジするのも遊び感覚でするのもよいですね。

フレイル予防

口やのどの機能は早ければ30代から衰え始めます。食事中にむせたり、食べこぼしたりするのは口の衰え、すなわちオーラルフレイルのサインなのです。高齢者だけの問題でなく若いうちから口やのどを鍛え、衰えを防ぐことが大切です。遊び感覚で続けることが大切です。子供のうちから慣れておけば抵抗なく受け入れてくれるだろうと考え、ストロングではありませんがぴろぴろを渡すようにしています。泣かずにぐずらずがんばってくれたら一人一本渡します(笑)そこからストロングぴろぴろに移行してくれたらと思います。

子供さんと一緒に遊ぶということにして、密かに自分を鍛えるのはどうでしょうか。子供さんが小さいうちなら始めやすいですよね。ストロングぴろぴろが必要であれば取り寄せて販売いたしますので受付に申し付けください。

宇治市 歯医者 piropiro なかむら歯科医院

マグネット義歯、いいです!

2023年4月6日

合わない入れ歯を入れていると体によくありません!

合わない入れ歯だとよく噛むことができません。噛むことは体にとても大切です。よく噛むことで唾液が多く分泌され消化がよくなります。唾液には細菌や発がん物質を抑える成分も含まれています。また、よく噛むと脳が活性化されて認知症や寝たきりを防げるというデータがたくさん報告されています。抜けた歯がある方にとってしっかりした入れ歯治療は若々しい口元を取り戻し歯科アンチエイジングとしても優れた効果を発揮します。合わない入れ歯ではよく噛めないばかりでなく、入れ歯が気になって会話も弾みません。食べる楽しみも奪ってしまい、人生にとっても大きなマイナスです。早めに治療するほうがよいのです。

マグネットデンチャーとは

バネで維持する従来と違って磁石で入れ歯を吸着させる入れ歯のことです。バネを使わないのでぴったり口に合います。その磁石は日本の最先端の技術を駆使して作製されています。歯に用いるのですから小さくなくてはなりません。小さくなると磁力も落ちます。小さくてもそれなりの磁力を、しかも体に害を及ぼさないように作るのはとても困難なのです。大きさは米粒よりも小さくて、中には800g以上の強力な吸引力を持つものもあります。優れた安全性と耐久性を兼ね備えた磁石を用いた義歯をマグネット義歯(デンチャー)と呼びます。

特徴は3つ

  • 歯に優しいこと

磁石は強い吸着力を持っていますが歯に悪い横からの無理な力がかかったときには義歯が外れるので、歯に無理な力がかかりません。

  • バネがありませんから口を開けても見栄えがよく、自然で若々しい口元になります。アンチエイジング効果といえますね。バネがないので残っている歯に負担をかけません。
  • バネがないので取り付け、取り外しが楽です。シンプルな形になりますからお手入れも簡単です。手の不自由な人や高齢者、介護者にも喜ばれます。

良いところは何か。

従来のバネによる入れ歯はバネがかかっている歯に負担をかけます。そのせいでバネのかかっている歯がグラグラしたり汚れが付きやすく虫歯にさせやすいです。またバネが目立つので見た目もよくありません。マグネット義歯にするとそうした傷んだ歯を抜かずに歯根を利用して安定した優れた入れ歯にすることができます。このように自分の歯を有効活用できるうえにバネが要らなくなるので手入れも楽で自然で美しい口元を取り戻せます。

残っている1~2本の歯でもできます。

歯根しか残っていない場合やどんな状況か診てみないとわかりませんが多少状態がよくない歯でも抜かずに利用することができます。(インプラントにマグネットをつけることもできます。)上あごで、総入れ歯の形だと嘔吐感があり義歯をいれるのが苦痛という方にはマグネットを使うことで上あごの部分をくりぬき、その義歯の形を小さくすることができます。

お手入れは歯もしてください

シンプルな構造になりますから清掃しやすいです。長く快適に使うには毎日のお手入れが大切です。入れ歯洗浄剤などの併用が必要です。マグネットの部分は軟らかい歯ブラシや綿棒など用いてください。歯が歯周病などで抜けてしまうとマグネットの力が無くなりますから義歯は安定を失います。マグネットの入っている歯のブラッシングは義歯のお手入れよりももっと大切です。

宇治市 歯医者 magnet-tooth1 なかむら歯科医院

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指しゃぶりを止めるにはどうすればよいでしょう

2023年3月30日

人間の体の一番敏感な場所が口、その次が指の先です。指しゃぶりは一番敏感な臓器と二番目に敏感な臓器の組み合わせです。赤ちゃんが指をしゃぶるのはこの組み合わせによって自己刺激を求めて行動なのです。この刺激を求めるという行動は人間の宿命的な本能です。

口という最も敏感な組織は触れられているだけで快感が押し寄せてきます。赤ちゃんにとっても口はたまらなく魅力的な場所で手持無沙汰のときには格好の遊び場です。離乳期の乳児期に見られる指しゃぶりは、人間として自然な反応なのです。

えずきやすいですか?

診療にお見えになる方で、器具やレントゲンフィルムを口に入れるとえずく方があり、治療が困難になる方があります。こういう方々は幼い時期に口に対する刺激が少なかったと考えられます。口はとても敏感です。敏感ですから少しでも異物が触れると反応が起こります。

出生後の指しゃぶりは、口という敏感な組織が将来いろいろな食べ物が口に入った時に嘔吐反射や吐き出しなどのパニックを起こさないためのトレーニングと考えてください。この頃の指しゃぶりは、赤ちゃんが外の世界を口という敏感な組織を使って認識するというトレーニングをしているのです。難しくいうと自他の境界を区分する精神発達の課題に取り組んでいるのです。

実は母子関係が一番左右しているのです

幼児期の指しゃぶりは基本的に受け入れてよいと思います。しかしながら留意することがあります。養育者が、指しゃぶりをしているとまとわりつかなくて楽だから、と指しゃぶりを容認していると深みにはまり抜け出せません。指しゃぶりよりも楽しい遊びへのいざない、抱きしめ、語り掛けなど養育者が転換の機会を見誤らないようにしてください。指しゃぶりはだめだと、養育者がきびしい視線を向けると受容されていないという悲哀を育てますます指しゃぶりの世界へと追いやってしまいます。こうなると指しゃぶりそのものの問題は母子関係にあるということになります。

 

養育者の厳しい視線や育てる煩わしさからの手抜き、子どもに与える喜びや楽しさの不足で促進された指しゃぶりは幼児期後期に固着を始めます。親が不機嫌だったり夫婦げんかでピリピリしていたり遊びの仲間に入れなかったり保母が多忙で相手になってくれないなどの悲哀を感じると昼日中でも指をしゃぶり、容易に外そうとしません。指しゃぶりで心のバランスをとろうとします。

爪を噛むことに変化することもあります。

指しゃぶりを強制的にやめさせようとすると、より目立たない代償性の口への固着を起こす可能性があります。下唇を吸ったり噛んだり、舌を前歯の間にはさんで軽く噛んだり吸ったり、爪を噛む、袖口を噛むなどです。口に入れないように目立たないようにやるには爪を噛むのがちょうどいいので特に爪噛みは多く見られます。年齢と共に指しゃぶりが減り、それに伴って爪噛みが増加する傾向にあります。

指しゃぶりで起こりうる弊害

不正咬合(開咬、上顎前突)

指の圧力で上の前歯が突き出てきたり、歯と歯の間が空いてきたりします。また歯並びが狭くなってきます。4歳になって奥歯でしっかり噛んだ時に前歯に子どもの指一本分の隙間があったら、指しゃぶりより楽しい遊びにどんどん誘ってあげてください。大人の歯が生えてもしゃぶっていると大人の歯の前歯も出てきます。子どもの成長を育んで語り掛けてください。少なくても永久歯の前歯が生えてくる6~7歳からも持続する頻繁な指しゃぶりは萌出した歯への直接の外力が加わるので変形も大きく、やめることが望ましいのです。

舌の異常

歯と歯の間が指しゃぶりで空いているとその隙間を埋めようと舌が前方に突出し歯列不正を加速させたり、舌の運動に異常をきたし咀嚼、嚥下、発音に影響します。切歯音と言われる、上顎の前歯のすぐ後方の粘膜を用いる発音を不完全なものにする傾向があり、特にサ行、タ行の障害が出やすいものです。舌の運動の異常によるカ行の不明瞭化が起こることもあります。歯の前方突出があると口元がでます。そうすると唇を閉じるのに力が必要で、半開きのことがあります。すなわち外観障害が起こりえます。心因的障害も引き起こしかねません。

一般的な対策はあるけれど

①口から指を抜く   起きてるときはだめです。寝付いているときに。

②忌避薬の塗布   唐辛子など一時的な解決となっても他にいくかも

③叱る   最も避けてください!

④言い聞かせる   3歳を過ぎて論理的な思考が可能になれば一定の効果があります。

⑤ネイルアート法  指の腹、爪などに親しい人の絵、好きなキャラクターなどを書き込む

⑥口腔防止装置  矯正装置などに少し尖ったものを付けてみる

⑦おしゃぶり  くわえっぱなしは厳禁です。

矯正専門医の女性歯科医師の先生に指しゃぶりの対策をお聞きしたことがあります。その先生のお答えは、“膝を折って子供と同じ高さにしてからしっかり抱きしめて、指しゃぶりをやめてくれたらとってもうれしいと言ってあげてください。”でした。僕もそう思います。養育者が仲睦まじく、子どもにイラつかず寛容な対応をする、を付け加えれば最高です。

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洗口液と液体歯磨の違い、わかりますか。

2023年3月23日

同じ液状のため混同されやすく販売店でも並列で売られているため正しい使い方がされていないものに液体歯磨があります。洗口液は歯ブラシを使わずに適量を口に含んですすいでから吐き出すことにより口の中の浄化と口臭予防効果が期待できます。また薬用成分を配合し口腔細菌の殺菌効果も期待できる製品があります。液体歯磨は適量を口に含みブラッシングする、あるいは適量を口に含み吐き出した後ブラッシングするもので、殺菌成分の他に歯周組織健全化を期待して抗炎症成分、組織賦活成分や血流促進成分を配合しています。液体歯磨はブラッシングすることが前提となっています。それぞれの製品に洗口液か液体歯磨か明記されています。使用目的、使用方法が違いますから確認してください。

洗口液と洗口剤の違いは

洗口液はスーパーマーケット、コンビニ、薬局、ドラックストアなどで販売されている化粧品もしくは医薬部外品のことです。これ以外に医薬品として、含嗽剤と洗口剤があります。これらは使用目的も使用法も違うので混同せず正しく理解してください。剤、がつけば医薬品ですね。含嗽剤は医師もしくは歯科医師の処方が必要な医療用医薬品で、その一部は薬局やドラッグストアでも販売されています。ポピドンヨード(イソジンなど)がそれに該当します。洗口剤はフッ素洗口剤などがそれに該当します。

医薬品(含嗽剤、洗口剤)と医薬部外品および化粧品(洗口液)の最も大きな違いは目的と使用法です。医薬品は歯科医師により治療目的で処方されるもののため期間限定の使用に限られます。

洗口液はプロフェッショナルケア後の良好な状態を維持するための補完的役割を担うため継続使用が基本となります。

医薬部外品と化粧品の違いは有効成分(医薬部外品)の有無により分類されています。化粧品に分類される製品は原因を除去するわけではありませんから、その効果は一時的なものです。

洗口液の利点と課題

利点は

抗菌成分配合の洗口液では口全体の細菌数を減らすことができます。口腔疾患の原因となる細菌の塊、バイオフィルムは歯の表面だけでなく舌や咽頭、粘膜にも存在しています。口の中に占める歯の表面積の割合は25%でその他75%は舌や咽頭などの粘膜で占められています。そのため歯の表面のバイオフィルムを除去するだけでは不十分で粘膜に付着する細菌も殺菌しなければなりません。とはいえ口腔内の各部位に付着するバイオフィルムは歯面上が最も多くバイオフィルム1mgあたり約10億個、また歯の上だけでなく粘膜や舌、歯周ポケットにも約1億個の細菌が存在しています。洗口液は漱ぐだけの簡単な用法で口全体の細菌数を減らすことができます。

殺菌効果だけでなく口腔内の保湿や口臭予防に重点を置いた製品もあります。ドライマウスや口臭はその原因をつきとめ治療や症状緩和のための対応を取ったうえで洗口液を使用すると効果が得られます。歯ブラシを使うのが困難な時(外出中や災害時)や妊娠中で歯ブラシを入れると吐き気がある人など歯ブラシを使いたくても使えない時などに口の中を清潔にすることができます。

課題は

洗口液はあくまでもブラッシングやフロッシングを行った上で補助的に使用することで効果を最大限に引き出すことができます。爽快感が得られるためブラッシングしなくてもよいと思いがちですが、それは間違いです。口臭予防の効能表記もありますが、洗口するだけで口臭予防はできません。口臭の原因となっている細菌を機械的に除去しなければ効果はありません。

有効的に洗口液を使うには

様々な研究されているのですが洗口液を有効にするには、ブラッシングしてから5分以上経ってから、有効性が証明されている洗口液を10ml以上用いて1日2回30秒以上の洗口を行う、ことです。あとは長く使い続けることです。プロフェッショナルケア直後から使い続けることで効果を最大限に引き出せます。使い続けなければ意味がありません。長く使うには後味や爽快感、刺激など好みもあります。ライフステージにより使用目的が変わりますから洗口液の種類も変えなければいけません。そのアドバイスは歯科医師や歯科衛生士がさせていただきます。

宇治市 歯医者 oral rinse なかむら歯科医院

ホワイトニング効果はあるのかないのか

2023年3月16日

効果が高いのは、加齢による黄ばみです!

ホワイトニングを希望される方の多くは意外と歯の白い方が多いです。
お仕事柄、あるいはよく鏡を見られることが多いからでしょうか。
そういう方は思ったほど白くならないかもしれません。
限度はあります。新庄監督のようにはならないです。噛んでいくことで加齢するごとに歯にヒビが入っていって、そこから歯が黄ばんでいくのです。
その歯のヒビにホワイトニングの薬を効かせて歯を白くするのです。
(神経のある歯だけ効果があります。)

過去、フッ素が高濃度で水道水に含まれていた時代、時期に生まれてみえた方に
グレーやブラウンの歯の方がいらっしゃいます。
こういう歯に対してはホワイトニングの効果がなかなか出にくいです。かなり根気よく続けても少しよくなるかな、という程度かと思います。

神経の無い歯はホワイトニングで治らない

神経の無い歯の色は赤血球が歯の根の中の細かい管に入り込んで、それが暗く見えるのです。
いわゆるホワイトニングは歯の中から薬を効かせるのですが、神経の無い歯は歯の中から薬を効かせます。
いわゆるホワイトニングの薬とは別の薬で赤血球に作用させるのです。
神経を取ってからの期間が長いと効果が出にくいです。
金属の土台が入っている場合、金属イオンが細かい管に入りこんで黒くなります。
この場合には効果はありません。
残念ながらセラミクスなどの被せ物をするしかありません。

オフィスホワイトニングとホームホワイトニングどちらがよいのか?

オフィスホワイトニングは診療所で1時間くらいかけて行います。
歯の表面をツルツルに綺麗にして、歯肉保護処置を行ってから目的とする歯に薬を作用させます。歯肉保護処置をするのはホームホワイトニング用の薬剤に比べてオフィスホワイトニングの薬剤が強力で、歯肉が火傷起こすからなのです。
ホームホワイトニングはご自宅で行うホワイトニングです。
毎日2時間、カスタマイズしてあるマウスピースにジェル状の薬剤を入れて、それを歯にはめ込んで薬を作用させます。

オフィスホワイトニングは即席なので効果もホームホワイトニングに比べると限定的です。何回か期間をおいて治療しないと満足感が得られないかもしれません。色もホームホワイトニングより後戻りしやすいです。

一方、ホームホワイトニングは毎日行ってもらうものですから、継続は力なりで効果がじわじわと出てきます。基本的には4~6週行っていただきます。
毎日鏡を見ていると効果は分かりづらいですが、写真を撮っていけば効果は実感していただけると思います。

副作用は知覚過敏。

施術中にあったとしても中断してしばらく経てば知覚過敏は消失します。一度よくなっても後戻りしていきます。ヒビがなくなるわけではなく、そこからまた色が入りこんでくるからです。
治療後も月に一度くらいホームホワイトニングを続けていただくことで後戻りを防ぎます。オフィスホワイトニングを行った場合も同様で、オフィスホワイトニング後にホームホワイトニングを月に一度していただくことをお勧めします。

被せ物で色を変えることはイメージできますしお見せできますが、ホワイトニングは歯の色の変化のゴールをお見せできません。個人差があるからです。ご希望された方にはメリットデメリットのお話しをさせていただいてから治療するか否かを決めていただいています。

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再治療は難易度アップアップ!

2023年3月9日

歯根の治療に成功すれば歯の寿命は短くなりますが、抜歯に至らせない最後の手段です。すべての治療がうまくいくわけではありません。細菌感染がからだの抵抗力を上回ってしまったり一旦成功しても再度むし歯になって再感染した場合には再治療が必要になります。最初の歯根の治療と二度目以降では格段に難易度が上がり成功率が低くなります。

歯根の治療で用いた歯の中の詰め物を、くまなくすべて取り除くことは不可能なのです。詰め物の材料自体は悪さをしません。取り切れない詰め物が塞いでしまっている部分の感染源の除去やそこに殺菌剤を届かせることができないことが問題です。

専門医でも難しい

治療にとって非常に不利で歯内療法の専門医がやっても再治療の成功率はやはり落ちます。治療を重ねるごとに技術的な難易度が高くなってしまう歯根の治療。神経を取った歯の場合よほど進行しないと痛みが出ず発見も遅れがちです。日頃から歯科医院でメンテナンスを受け早期発見を心掛けましょう。

神経を外科的に切除しているのです

歯根の治療では痛みのセンサーである神経をとってしまうので治療を受ければすぐに痛みがなくなると思われがちです。しかしなかなかそうはいきません。歯根の治療は歯の中を通っている神経を切除します。歯根の治療は外科治療です。歯を通る神経は顎の骨を通って三叉神経から脳へと繋がっています。この神経を一部分だけ切り取っているわけです。けがをして縫った時と同様ズーン、ズーンとした痛みが数日続き通常はその後落ち着いてきます。歯の神経が切除されたあとも歯の外側にある神経は残っていますし、歯に加わる力の鋭敏なセンサーである歯根膜はそのままです。感染が強く歯の外側に影響が及ぶと歯に関与する器官の違和感や痛みが生じます。

歯根の治療は細菌を除去して生体が治癒しやすいような環境つくりをするための治療です。細菌をしっかり取り除いても生体の力が立ち上がり炎症を抑え込んで働き始めるには一定の時間が必要です。健康な方でも治療後には痛みは出ますし治癒に向かう期間には個人差があります。

術後疼痛

激烈に腫れて痛んでしまうことがあります。術後疼痛と呼ばれる現象です。原因はいろいろあると言われています。通常どおり治療しても100件に数件こうしたことが起こります。腫れた際には抗菌剤を投与し膿を出せばスーッと数日で落ち着いてきます。こうしたことが起きた場合には連絡していただければと思います。抗生剤と応急処置でだいぶ楽になります。治療過程で出る一時的な炎症で治療が失敗したということではありません。残念ながら不信を持たれて他院受診されても構わないのですが、治療が振り出しに戻りますのでご紹介状を書かせていただきます。歯根の治療と痛みや違和感は切っても切れないものです。しばらくはつらいでしょうが頑張って乗り越え良い治療にしていきたいと思います。

 

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根の治療は時間がかかります!

2023年3月2日

歯の痛みはつらく耐えがたいものですよね。痛みで眠れない、噛めないという患者さんがおみえになります。痛みを止めて欲しい、歯を残したいという思いは切実です。それではどうすれば痛みを止め、深刻な細菌感染を起こした歯を残すことができるでしょうか。

歯の痛みはアラーム

歯が痛いとは、そもそも歯の内部やその周辺で異常事態が起きていると感知した神経のアラームが鳴っている状態のことです。トラブルの発生を脳に伝えて教えてくれるわけですからそれは悪いことではありません。むしろ体内で起きている異常を知らせてくれるありがたい警報です。警報が鳴りっぱなしではよくないですから、なんとか止めないといけません。むし歯が進行し神経の近くまで到達していれば必要とされるのが歯根の治療です。神経のある場合には出来る限り神経を残すようにしたいのですが、その症状、むし歯の深度などからやむを得ず神経を取らなければなりません。

アラームを消す方法

歯根の治療とはアラームが作動してしまう原因をしっかり取り除く治療です。歯の内部で活動している細菌がアラームの鳴る原因を作っているのですから、細菌感染した神経や細菌に汚染された歯質を取り除き、歯の内部を掃除して殺菌ししっかり蓋をします。歯科医師ができるのはここまでです。

歯の治癒力

やれるだけのことを精一杯行いしばらく待っていると、感染源が無くしたことで患者さんのからだの治癒する力によって炎症が収束し、少しづつ痛みが引いていきます。私達歯科医師の仕事は歯の中の細菌を徹底的に除去するということに尽きます。麻酔や痛み止めによって一時的に痛みが緩和しても根本的な解決にはなりません。原因を除去すれば患者さんのからだの治癒力により痛みが止まり、上手くいけば抜歯を回避できてその歯を長く使い続けることができるのです。技術的には大変細かく困難な治療で、しかも治療の結果は患者さん自身の治癒力や全身の健康状態にも影響を受けるため成功するケースばかりではありません。しかし成功すれば歯を残すことができ患者さんにとって多大なメリットがあります。

敗戦処理

歯根の治療はむし歯が大きく広がってしまった歯の治療として行われることが多いです。小さな歯の中の細かく枝分かれしている神経で感染を起こしている細菌を隈なく取り去るということは技術的に困難です。根気よく神経が通る根管の中で繁殖している細菌感染している部分を取り除いていきます。歯を傷めてしまってはいけませんので慎重に行います。

65%

大変なのが神経の通る根管を探し当てることです。根管の本数や枝分かれの仕方は十人十色でとても個性的です。残らず探し出すことが大きなハードルの一つです。そして見つけ出した根管は素直に一筋に伸びているとは限りません。曲がったり、分岐したり、網目状に広がったり複雑な形をしています。私達の用いる器具はこうした根管の一部にしか届きません。無理して入れようとすれば歯を壊してしまうおそれがあります。海外の研究ではメインの太い根管に器具を使っても清掃できるのはせいぜい65%程度だという報告があるくらいです。細かく枝分かれした根管では更に難しいのです。私達は歯根の奥まで可能な限りの技を尽くして清掃しあとは薬剤で消毒するしかないのです。

96%→60%

薬剤も体にマイルドなものしか使えませんから重要になってくるのが患者さんの抵抗力です。細菌を可能な限り取り除いた歯を最終的に治癒に導いていくのは患者さんの抵抗力なのです。患者さんの全身の健康状態によっては治癒するまでに時間がかかる場合もあります。歯根の治療が成功するまでにはこうした様々な要素が絡み合っています。はじめて神経を取る歯根の成功率は96%、歯根の再治療になると60%、炎症が強い場合には更に成功率が下がります。

神経を取ってしまえば歯のもつ力が大きく削がれますから歯の寿命が随分と短くなります。野球でいえば敗戦処理です。痛みが取れて抜歯しなくて済んだとしても歯は弱体化しています。そうならないよう定期的な検診は必要で、普段からむし歯予防に努めてください。

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シーラントして大丈夫ですか

2023年2月23日

シーラントという言葉は日本語で小窩裂溝填塞法と言います。むし歯を予防するための柱の一つです。もう一つが言わずと知れたフッ素洗口やフッ素塗布です。今回はシーラントについての私の見解を交えお話ししたいと思います。

シーラントとは

プラスティックに似た樹脂をむし歯のできやすい場所の一つである歯の噛むところにある溝(それを小窩裂溝というのです)に詰めて、その溝にむし歯の原因となる歯垢(プラーク)や細かくなった食片が入り込んで溜まらないようにして、むし歯が発生しないようにする目的に行います。虫歯ではありませんから削ったりはしません。シーラントは進行したむし歯に対して行うものではなく、あくまで健康な歯に対して行うむし歯発生に対する予防処置です。乳歯や永久歯の生えはじめの小窩裂溝は深く複雑な形態をしていて、むし歯発生の危険性の高いからです。主に乳歯、永久歯問わず奥歯の溝に行います。
シーラント処置を行うことでその部分のむし歯の発生を予防する効果が高くなるとされています。

口の中は汚い

シーラントは先程も述べた通り、健康な歯の溝に対して行います。むし歯の治療はむし歯の部分を削り取り、健康な部分に材料を詰めて、簡単に言うと溝の周辺の歯の表面処理をして、溝に樹脂を詰めます。接着剤を使わずに処置しますから外れてくる可能性が少なからずあります。取れたからといってそれを再度行うかどうかは萌出してからの期間によって判断します。歯の萌出から時間が経ち、歯ブラシもきちんと出来、もちろん虫歯もなければ再度シーラントを行う必要はありません。まだそれほど処置して間もないなら、まだ歯ブラシに自信が無いなら、若年で口腔清掃状態がよくないなら、再度シーラントすることも検討します。

生えたての歯は弱い

萌出したての歯は、構造的に少し歯の結晶が歪んだ状態です。その状態が外部からの環境が加わって少しづつ結晶の歪みが正されていきます。口の中というのは生えはじめの歯にとって決して環境がいいわけではありません。唾液1グラムで一億個の細菌がいます。その中にはむし歯菌や歯周病菌など悪玉菌、善玉菌いろいろいます。

酸性になると良くない

食事するたびに口腔内のPHが中性から酸性に傾き、また時間をかけて中性に戻っていきます。おやつなども食事と同じです。水とかお茶とかなら良いですが、糖類の入った飲み物も口に入ると口の中が酸性になります。酸性になると歯を溶かしていきますが、唾液の力でまた中性に戻ります。口腔内が中性に戻る前にまた酸性になると酸性に傾いたままと同じですから虫歯になりやすいのです。ですからダラダラ食べ、ダラダラ飲みはよくありません。
このような環境にだんだん歯は鍛えられむし歯に対する抵抗性を備えていきます。強くなっていきます。ですが、歯垢がいっぱい付いたままとか、歯みがきがきちんとできないとか、環境を悪化させる要因が多いといくらシーラントをしても虫歯は発生してしまいます。

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唾液のちから

唾液の力も遺伝的な要素がありますから人により強い弱いがあります。唾液には口の中を中性に戻そうとする力があります。それを唾液緩衝能と言います。それは何かといえば、酸性に傾いた口腔内を中性に戻すのに、時間がかかるかかからないかということです。力があれば早く中性に戻りますし、力が弱ければ酸性になっている期間が長くなります。先天的な弱点を補いことはできません。食事の後に歯ブラシしていただいくことくらいです。フッ素洗口していただくことはとてもよいのですが、それで唾液の力が強化されるわけではありません。唾液の質を変える洗口液は残念ながらないと思います。後天的な要因を極力取り除いて少しでもむし歯になるリスクを減らしたいものです。

シーラントの弱点

先程述べたように生えた歯は環境に適応して強化されていくのですが、シーラントしている部分はバリアで守られていますからなかなか強化されていきません。例えがうまくないかもしれませんが、ペンだこってご存じでしょうか。(今はキーボードを叩いて文章を書きますからわからない方も多いかもしれません。)絶えず書き物をしているとペンの当たるところの皮膚が強くなって厚くなります。よく擦れるから身体の防御作用で表皮が厚くなります。これと似たように、絶えず刺激を受けているとそれに対して身体は部分的であっても強くなります。でも人工物でバリアされている溝の部分の歯質の強化に時間はかかります。

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シーラントの必要な方、そうでない方

むし歯への抵抗性があると判断した方は生えはじめでもシーラントは不要と私は考えています。できるだけ自然のまま強化されそうなら人の手を入れない方がいいと思うからです。
では何を診ているのでしょうか。私なりの基準をもって診断をしています。
口腔内の清掃状態(ちゃんと磨けているか)
歯並び
むし歯で治療している歯の本数
かみ合わせ
唾液の性状(さらさらかネバネバか)
溝の深さ(レーザー診断、触診)
口を閉じているか(鼻呼吸か口呼吸か)
歯の一部が白すぎていないか
です。これらを総合的に判断してシーラントするかどうかを決めています。また奥歯の溝を全部するのか、数本だけするのか、特定の歯、特定の部位だけにするのかなども判断します。
シーラントするかどうか微妙な時は、検診の間隔を短くして経過をみて、必要ならその時に行います。

歯ブラシしなくて済むわけではありません。

歯ブラシを怠けても大丈夫にするのがシーラントではありません。前歯に対して行うことは稀ですし、溝の次にむし歯になりやすい歯と歯の間にシーラントはできません。そういったところはフッ素と歯間ブラシを併用して予防を行っていきます。また歯磨きの重要性はいつだろうと変わることはありません。

虫歯になりやすいのは

虫歯になりやすい部位に実は順番があります。一番なりやすいのは下の奥歯。次に上の前歯、その次に上の奥歯です。下の前歯はなかなか虫歯になりにくいと言われています。磨きやすい部位であることと、舌の下から唾液は出るのですが、まず下の前歯の裏に唾液がぶつかるように当たります。唾液の力の効果が発揮されているのです。逆に言えばここが虫歯になっているようでは仕上げ磨きがきちんと出来ていないか、唾液の緩衝能が低いかなど虫歯への抵抗力が無さそうですので予防的処置を積極的にされることを勧めます。と同時に歯間ブラシを含めた仕上げ磨きの徹底、シーラント、フッ素塗布などありとあらゆることを行われると良いでしょう。この時期に、歯のケアはそういうものだと子供さんも思ってくれれば、成長してからの財産にもなると思います。

奥歯の溝も大事だが

シーラントできるのは今まで話してきたように歯の溝の部分です。子供は成長していくと正常であればすきっ歯になります。乳歯の大きさは変わりませんから歯と歯の間は空きます。歯磨きがちゃんと出来ず、歯と歯の間に食片や歯垢が残っているとそこから虫歯になります。仕上げ磨きの時には是非奥歯の歯と歯の間にフロス、糸ようじを通すようにしてみてください。歯と歯の間の歯面は平坦です。ツルツルです。シーラントは溝を埋めることはできますが、歯と歯の間の歯面にシーラントすることはできません。この部分の予防処置はフッ素洗口、フッ素塗布、仕上げ磨き、これ以外にはありません。できるなら親御さんの仕上げみがきでフロスをする時には、フッ素が入った歯磨剤をほんの少しつけてフロスしてください。夜間、唾液の出ない時間にフッ素を歯面に少しでも滞留させたいからです。

あなたの歯磨きは完璧ですよね!

2023年2月16日

バイオフィルムという言葉を聞いたことがありますか

ちょっと難しい話をしますね。
バイオフィルムとは硬い物質と液体の境界との境界に微生物が層状の巣を作っている状態のことをいいます。もともとは工業や建築関係で使われている用語ですが実は歯にもバイオフィルムができるのです。歯も硬い物質で唾液という液体に覆われていますのでその表面にバイオフィルムができやすいのです。歯にできるバイオフィルムはプラークのことなのです。

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プラーク

プラークは歯周病菌やむし歯菌をはじめとするさまざまな微生物が強固にくっつきあってできた巣です。プラークは食べ物のカスのように思われがちですが、そうではなくて歯周病菌やむし歯菌をはじめとする様々な微生物のかたまりです。歯周病はその中の歯周病菌が引き起こす病気で、歯周病の予防や治療のためにはこのバイオフィルムを確実に取り除くことが必要です。ですが、バイオフィルムは菌をやっつける薬、すなわち抗菌剤や界面活性剤などに対して抵抗性を持つため、薬だけでバイオフィルムの中に住み着いている微生物を完全に死滅させることは望めません。歯周病の治療では腫れたりしたときに炎症を抑える手段として使われます。薬は補助的に使うと効果的な場合があります。

機械的に取り除くしかない

バイオフィルムを取り除くために最も有効なのはやはり歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどによる歯磨きです。歯ブラシで機械的に掻き出すことによってバイオフィルムを破壊、除去することができます。歯周病の予防、治療にはバイオフィルムを確実に取り除ける歯磨きが一番重要なのです。バイオフィルムの色はうす黄色で、ネバネバ、ヌルヌルした感じで、歯を磨かないでいるとほんの一日で歯の表面を覆う様になります。
このプラークの1/1000gの中には1億を超える細菌が棲みついています。小さなスプーン一杯の砂糖が約1gですので、その1/1000のりょうの中に日本の人口くらいの細菌が棲みついているのです。もともとは口の中の歯肉や粘膜や舌、唾液などに潜んでいたのですが、より棲みやすい環境のプラークを見つけるとプラークへ移り住むのです。

粘りつく

歯ブラシをしても歯の表面にはペリクルという唾液からの成分である糖タンパク質がすぐに薄い皮膜を作ります。この被膜にう蝕などの原因となるストレプトコッカスミュータンス菌などがくっつきます。くっついた菌は食べ物の中のショ糖を使ってグリコカリックスというネバネバした物質を作って自分たちの周りをテントのように覆い始めます。

口腔内は住みやすい

そしてこうなるとしめたもの、細菌たちにとってとても棲みやすい環境となります。ミュータンス菌はう蝕を作り、またこの状態が数日続くと今度はこの棲みやすい環境を狙ってとても凶悪な細菌たちが侵入して増えてきます。この悪玉菌たちからできているプラークは歯周病の原因となり、歯ぐきを腫らし、血や膿を出したり、歯の周りの骨を溶かしたりすることに関係します。またこのプラークは外からの抗生剤や唾液の中の抗菌成分の攻撃が内部に及ぶのを防御するいわゆるバリアとなります。

バイオフィルムは毎日作られている

このプラークの脅威を取り除く方法で一番簡単な方法は何か?
歯ブラシの毛先で細菌たちの巣を破壊し掻き取ること、すなわちブラッシングです。
甘い物の入っているやわらかい食べ物はプラークができるのを手助けするので、繊維質の野菜などを積極的に食べ、プラークを付きにくくする方法もあります。
いずれにしても、プラークがついたら速やかに取り除くこと、これがお口の健康を保つ秘訣です。

完璧にできているか

自分の歯ブラシでバイオフィルム、プラークが完璧に毎日除去できているとあなたは思いますか?
歯垢染色液という歯垢のみを染め出す液を歯に付けると、どんなにきれいに磨けているつもりでも歯垢が残っていることがほとんどです。書いている私もそうです。自信をもって磨けている人でも、うっすらとバイオフィルムは残っていると思ってもらってちょうどよいです。しっかりブラッシング出来ていますから炎症、すなわち歯周病を引き起こすレベルにはありませんがそれでも新たな足掛かりとなるバイオフィルムの付着を極力少なくする環境を整えるため、定期的に歯科医院にて歯石除去、歯面を滑沢にしておくことが大切です。誰にでも磨きづらい箇所はありますから、プロによるクリーにングは定期的に必要です。

宇治市 歯医者 Polishing なかむら歯科医院

プロのクリーニング

それをPMTC あるいはPTCと言います。Professinal  (mechanical) Technical Cleaninng の略です。当院では定期健診、歯のクリーニングに来ていただいた方全員にお話しさせていただいた上で染め出しをさせていただきます。歯に付着している歯垢、歯石にだけ色の付く特殊な液体を歯に塗って、歯垢の付き具合を確認します。歯石の視認は比較的しやすいですが歯垢は歯と同じ色をしていますので視認しづらいのです。来院される前にほとんどの方はブラッシングされています。自分のベストの歯磨きをされているはずです。

こちらで磨きます

染め出された部位はその方にとって磨きづらいところということです。その部分を確認してもらい、衛生士さんがその部分を磨き、きれいにします。その磨き方を体感していただき同じようにご自宅でブラッシングしていただきたいのです。ご自身で磨いていただき、指導だけ行ってもより良い力の入れ具合、歯ブラシの角度はわかりづらいからです。

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体感して覚えてください

ブラッシングを体感していただいて、歯垢を除去します。それから歯石を除去します。歯石は、歯茎の上に付く歯石と歯茎の中にある歯石があります。歯茎の上にある歯石は目視出来ますから除去しやすいです。歯茎の中にある歯石はわかりづらいです。なるべく除去しますが痛みを伴うこともあります。その場合は無理をしません。安心してください。歯茎が腫れている場合、適切なブラッシングで歯茎の腫れは改善します。歯茎の腫れが無くなると痛みを感じることも少なくなります。また見えなかった歯茎に隠れていた歯石も見えるようになります。

知覚過敏は一時的

歯石を除去することで一時的に歯が滲みることもあります。炎症がなくなり、歯石が取り除かれると知覚過敏のような症状はなくなりますので、心配せずブラッシングを続けてください。治療中に滲みるようであれば知覚過敏の処置をします。

それで歯の表面はきれいに、ツルツルになります。ツルツルにすることでバイオフィルムが歯面に付きにくくするのです。更に、フッ素の配合されたペーストで歯面を強化しつつもっとツルツルにしていきます。特に磨きづらかったところ、染め出し液で色の付いたところ、歯と歯の境目、歯と歯茎の境目、一番奥の歯の後ろ側です。

歯質の強化

何のためにPMTCを行うかと言えば、バイオフィルムが少しでも付着しづらいようにするためです。その他に、研磨材の入っていないフッ素配合のペーストで歯面を磨くことで歯質の強化を行い、虫歯予防のためということもあります。とはいえ何よりも一番大事なのは家でのセルフケアです。足らないところを補うのが医院でのプロフェッショナルケアです。一日1回のブラッシングの方は2回のブラッシングを。その次はなるだけ歯間ブラシやフロスを使うようにする。その次は日に3回ブラッシングをする、などどんどんセルフケアの質を高めてもらえると嬉しいです。

生えはじめの永久歯は未完成なのです。

2023年2月9日

永久歯の歯の芽は顎の中で時間をかけて成長し、6歳くらいになると顔を出し始めます。最初に生える奥歯の永久歯は一番後ろの乳歯の後ろに生えてくる第一大臼歯(6歳臼歯)で、13歳ごろまで永久歯の生え代わりが続きます。6歳臼歯は噛み合わせの要で、「歯の王様」ともいわれています。生えはじめは歯ぐきが歯に覆いかぶさって奥に生えていることから汚れがつきやすくむし歯になりやすいのです。6歳臼歯を早期に失ってしまうと食べる機能にとって大きなダメージです。その他の歯の寿命にも影響してきます。

生え代わり時期の歯磨き

ポイント1

歯の生え代わり時期は乳歯と永久歯が混在するため歯みがきが難しくなります。乳歯期用の歯ブラシは毛が短いものが多いため永久歯の溝に届きにくく、磨き残しが起きやすくなります。生えたての永久歯の表面は未熟で酸に弱くむし歯になりやすいのです。より丁寧に磨くことを心掛けましょう。

ポイント2

歯と歯の間の汚れを落とすための補助としてデンタルフロスを使いましょう。歯と歯の間にフロスを入れスライドさせながらゆっくり下ろしていきます。そのあと歯に沿わせて上下に、歯ぐきに触れないようしながら上下に数回動かす。これらは仕上げ磨きとして保護者がしてあげるとよいでしょう。

ポイント3

生えたての6歳臼歯は他の乳歯より背丈が低いので歯ブラシを口の横から入れて磨くようにするとよいでしょう。

ポイント4

6歳以上ではフッ素配合歯磨剤を子供用歯ブラシの半分くらい乗せて歯みがきをしてもらいます。ぶくぶくうがいは練習してすすぎ過ぎないようにして口の中にフッ素を滞留するようにします。歯磨き直後の飲食は避けるようにしてください。

ポイント5

自分で磨けるようになっても仕上げ磨きは9歳頃まで続けてください。

よく噛んで何でも食べることが健康の元

歯と心を育む食事の体験が大切です。最近の若い人たちは柔らかい料理や食品を好む傾向にあります。その結果脂質を摂りすぎ必要なビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足するためやがて生活習慣病を招きかねません。自分自身で健康を守り豊かな食生活を送る力を身に付けるためには食に触れる体験や思い出を増やしてあげましょう。

歯並び、かみ合わせに注意する。歯並びや噛み合わせが悪い状態を不正咬合といい、乱杭歯、受け口、出っ歯などがあります。

かみ合わせが悪いと噛む力が弱くなる傾向があり、むし歯や歯周病になりやすい、発音障害が起こるなど多くのデメリットが生じ、身体全体の発育にも影響を及ぼしますから、早めに受診していつから治療すべきか相談されるとよいでしょう。

予防意識を高めて永久歯を大切にしてください。

12~13歳頃には第二大臼歯が生え(12歳臼歯)上下合わせて28本の永久歯が生え揃います。永久歯は第三大臼歯(親知らず)を入れると32本ですが親知らずが生えてこないこともあります。早めに抜歯した方がよい場合もありますのでお聞きください。

青春期(思春期)はホルモンバランスの変化により歯ぐきに炎症が起こりやすくなります。更に受験などの精神的なストレスの影響によって歯肉炎から若年性の歯周病に進行することがあります。歯磨きのときに歯ぐきを観察し、赤くなっている、痛みがある、ぶよぶよしているなどの症状があれば早めに受診され歯みがき指導を受けられた方がよいかとおもいます。

思春期の口臭があります。

この時期には生理的な口臭があります。歯垢によることもありますがむし歯や舌苔(舌の表面に付着した細菌の塊)などが原因であることもあります。その他ストレスなどによる心理的な口臭もあります。そのような場合は相談してみてください。

青年期のお口のケア

青年期はすべての歯が永久歯に生え代わり、8020に向けてのスタートラインです。この時期は学校や部活の帰りなど飲食の機会が増え食生活が不規則になり、むし歯と歯周病のリスクが高くなるので、生活習慣を整えてこれまでの歯磨き習慣が途絶えてしまわないようにすることが何より大切です。

疲れて歯みがきせずに寝てしまったり、夜食を食べてそのまま寝たりしないようにしてください、

むし歯になりやすい場所として、歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、奥歯の噛み合わせの面の溝、があげられます。

プレゼント

お口の中に1本でもむし歯があればむし歯ができるリスクが高くなることは明らかになっています。これからは、生まれる前から子供の歯を大切に育てるという考え方に変わりつつあります。丈夫な歯と綺麗な歯並びをお子様にプレゼントしてあげましょう!

歯並び育ては0歳から始まります。

2023年2月2日

歯並びの土台は授乳の時につくられます。

歯が生えてくるころに赤ちゃんの顎の発育が遅いと、歯の生えるスペースが狭くなりため、ねじれたり、重なって生えてしまいます。そのためまず大切なのが授乳の仕方です。歯が生える前に赤ちゃんがおっぱいを吸う行為が唇や舌を使う筋肉を発達させ、その刺激で顎の骨も発達させます。正しく授乳させることが大切です。正しい授乳が正しい舌や唇の筋肉の使い方を教えることになります。その教えが無いと顎の発達に影響するのです。将来にわたって影響を及ぼすことになるのです。そのコツはなんでしょう。

乳首をしっかり口に含ませて、口全体を使えるようにさせる。

赤ちゃんの目を見て授乳する。

哺乳瓶の場合はその吸入部が劣化すると筋肉を使わず楽に飲めてしまうのでよくないです。

まめに取り換えるようにしましょう。

卒乳は1歳から1歳半が望ましいです。離乳食が始まると糖質を摂ることになりますからむし歯のリスクが高まるからです。

乳歯は3歳頃までに生えそろいます。

生後7~8か月頃になると初めての歯が生えてきます。1歳頃には上4本、下4本の前歯が生え、2歳半から3歳くらいまでに20本の乳歯が生えそろいます。ちなみに大人は親知らずを除くと28本です。2つの歯が1つになった癒合歯も見かけることがあります。その場合は歯の本数は減ります。永久歯も少ないことがあるので永久歯に生え変わる頃にチェックされるとよいです。

乳歯は永久歯に比べてエナメル質と呼ばれる歯の一番外側に当たる部分が軟らかく薄いため、むし歯になりやすいです。痛みも感じにくいため、気づいたときはかなり進行していることもよくあります。乳歯のむし歯を放置しておくと永久歯にも影響を及ぼすこともあります。

歯の生える時期や順番には個人差があります。人と違うからとか、生えるのが遅いとか、気になるかもしれませんが、めちゃめちゃ心配なさらなくてよいです。心配な場合は診せていただきますからご遠慮なく受診されてください。

3歳までに習慣つけるのがとても大切です。

むし歯はミュータンス菌によって引き起こされることをご存じの方はおられると思います。胎児期の羊水の中には細菌はいません。産道を通ってくるとき、あるいは生まれてから感染するのです。ミュータンス菌の多くは母親の口の中から入ってくることがわかっています。ぜひとも出産前にお母さんのむし歯をゼロにしておくことをお勧めします。少しでも感染のリスクを減らしておくのも親の務めではないでしょうか。

赤ちゃんの口にキスしたり、大人が口に入れたスプーンやフォークを赤ちゃんの口に入れる、(フーフーと冷ますのもできれば)など出来る限り避けるとよいでしょう。

仕上げ磨きは絶対しましょう!

下の前歯が生えてきたら保護者による仕上げ磨きのスタートです。まずはガーゼを指に巻き、ぬるま湯に浸してから赤ちゃんの歯をやさしくぬぐいます。上の前歯が生えてきたら歯ブラシを使って磨いてみましょう。特に上の前歯はむし歯になりやすいので歯と歯の間、歯と歯茎の境目を丁寧にみがきましょう。歯ブラシはヘッドと呼ばれる頭の部分が小さいものを選んでください。子供のあごに手で支えてください。歯ブラシは鉛筆を持つようにして歯ブラシの毛先を歯に対して垂直に当て、軽い力で横に小刻みに動かしてください。上唇の裏側にある歯茎の筋に歯ブラシが当たると痛いので人差し指でガードしてあげてください。嫌がられるとその後苦労しますから。

一旦習慣づけるとあとが楽です。ここが勝負ところと頑張ってください。奥歯が生えてきたら溝に汚れが溜まりやすくむし歯になりやすいので念入りに仕上げ磨きをしてあげてください。

歯が生えはじめたら歯医者さんデビュー

まずは歯医者さんに慣れましょう。初めのうちは歯医者さんは怖くないことを印象づけましょう。定期健診で行くところ、というイメージを持つように。ですから、いきなり治療台に座るとかでなく、お母さんの定期健診に一緒に来ていただくだけでよいです。横で見てもらってるだけでよいです。雰囲気に慣れてもらいましょう。3歳になったら自分で磨く習慣づけができていれば最高です。幼児用の歯ブラシを使い自分で磨く練習を始めましょう。全体をまんべんなく磨けているようだったらほめてあげてください。最初はきちんとできなくてもよいです。自分で歯ブラシすることを褒めてあげてください。仕上げ磨きは必ず行ってもらうのですから。グチュグチュペッができるようになったら、フッ素配合の歯磨剤を使うとむし歯予防になります。無理に使わなくてよいです。

3歳から噛む力をつける食事を

近年子供にも生活習慣病が増えていますが、よく噛んで食べることで生活習慣病の危険因子である肥満を防ぐことができます。噛む回数が増える食材を選びましょう。肉や食物繊維の多い食材(ごぼう、生キャベツ、きのこ、海藻)など歯ごたえがあり、よく噛まなければ食べられない食材を選びましょう。

薄味を心掛けましょう。料理の味が濃いとあまり噛まずに飲み込んでしまいます。噛む力をつけ素材の味を感じられる舌に育てるためにも薄味を心掛けてください。

食材は一口サイズよりも大きめにすると食べる力が鍛えられます。かぶりつくような大きさがおすすめです。煮込み過ぎると軟らかくなりますからそれもあまりよくありません。

食事中に水などの飲み物があるとよく噛まずに流し込んでしまいます。よく噛んで唾液を出して食べる習慣をつけるようにしてください。

妊娠中はお口のトラブルが起こりやすいのです。

2023年1月26日

妊娠中は女性ホルモンの作用で唾液がネバネバして、口の中を洗い流す自浄作用が低下し口腔内細菌が増殖してむし歯や歯肉炎になりやすいです。つわりのために歯みがきができなかったり、食事の回数が増えたり口腔内環境を悪化させる要因が増えます。

早産、低体重児出産のリスクを高めるのは

歯肉炎になりやすいのはそうなのですが、それは適切なブラッシングで改善されます。改善できない状況が進んでいくと歯周病になります。歯周病が怖いのは重症化するとおなかの赤ちゃんに影響が及ぶことです。炎症状態が続くと早産や低体重児出産(体重2500グラム未満で生まれること)のリスクが高くなります。適切なセルフケア、歯垢の除去を確実に行い歯科医院などで歯石を除去することで歯周病を予防、改善していくことが大切です。

親知らずの抜歯は妊娠前に

妊娠前に歯科を受診した際、親知らずの状態を確認した方がよいです。定期的に歯科検診されるのが一番よいのですけれど。むし歯や親知らずの周囲の歯茎の炎症を起こす可能性が高い場合は事前に抜歯することをお勧めします。

奥にありすぎて適切な治療をすることができないことが多いですし、その手前の歯が親知らずのせいでむし歯になること、なっていることもあります。

歯ぐきに炎症がおき、口を開けたり、唾液を飲み込んだりするときの痛み、などがおこると抗菌剤を服用することが多いです。安全な薬剤ではありますが、特に妊娠初期に薬は飲みたくないですよね。できれば妊娠の可能性のない時に抜歯しておくとよいです。

妊娠中のケア

妊娠初期(0~15週)

つわりのために歯ブラシを口に入れられない時は無理せず洗口液などですすぎましょう。それだけで歯垢が取れませんが、できることをしていくことが大切です。気分の良いときは歯ブラシのヘッドが小さいものを使い、出来る範囲で磨きましょう。歯磨剤などのにおいが気になるようなら使わなくてもよいです。

安定期(16~27週)

つわりがおさまり安定期に入ったらマタニティー歯科検診を受けましょう。宇治市、城陽市、久御山町の2市1町の妊婦健診を是非ご利用ください。歯肉の腫れや出血、むし歯などによる歯痛などの異常がある場合はこの時期に受診します。もちろん何の症状がなくても受診されるとよいと思います。歯科で用いる麻酔の使用量は僅かなので胎児には影響はありませんが、出産後まで治療が待てるようならそのようにします。必要なら暫間的な治療を行います。痛みが相当なら治療を行います。

妊娠後期(28~39週)

正しい歯磨きをしっかり行ってください。強い痛みなどの緊急性がない場合の歯科治療は産後に行うことも考えます。

妊娠中は体調不良などで日常生活での制約が多くなりお口のケアが不十分になりがちです。一旦完成した歯からカルシウムが流出することはありません。子供にカルシウムが取られる、ということはありません。この時期のケア不足が原因でむし歯になったり、歯周病が進行するので歯が悪くなるのです。つらい時期ではありますがこの先何十年も使う大事な歯ですからできる範囲でケアすることを心掛けてください。

赤ちゃんの歯は妊娠中から育っています。

妊娠初期には歯の芽ができ始めています。乳歯だけでなく永久歯の芽もでき始めているのです。

妊娠7週目ころから乳歯の芽ができ始めます。妊娠4か月の後半から乳歯が形作られ永久歯の芽もできはじめます。誕生を迎える頃、永久歯もかたち作られ始めます。

妊娠中の食事がポイントです。丈夫な歯をつくるにはお母さんが健康であることはもちろん、バランスのとれた食生活を通してお腹の赤ちゃんに栄養を補給することが大切です。

積極的にとりたい栄養

カルシウム

カルシウムは赤ちゃんの骨や歯、血液、神経組織などを作る上で大事な栄養素です。豊富に含まれている食品は、乳製品、小魚、豆類や大豆製品、海藻類、緑黄色野菜です。

タンパク質

赤ちゃんの歯の芽をつくるにはタンパク質も欠かせません。肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などをバランスよく摂りましょう。

リン

歯の石灰化(硬くなること)のために必要です。米、牛肉、豚肉、卵などに多く含まれています。

ビタミン

ビタミンAは歯の表面のエナメル質の重要な栄養素になります。豚肉、レバー、ほうれん草、にんじんなどに含まれます。

ビタミンCはエナメル質の下の象牙質の重要な栄養素になります。ほうれん草、みかん、さつまいもなどに含まれます。

ビタミンDはカルシウムの代謝や歯の石灰化に関係しています。バター、卵黄、牛乳に含まれています。

鉄分

妊娠中は貧血になりやすくなります。貧血が続くとお腹の赤ちゃんの成長に影響しますので鉄分は妊娠前の3倍以上を目安に摂りましょう。小松菜、ほうれん草、ひじき、レバー、赤身肉、カツオ、ブリなどに多く含まれています。

大変な時期ではありますが、偏りのない食生活を心掛けてください。