食事の基礎は哺乳している時期に作られています。3時間おきに起こされるから大変なのはわかりますが、この時期を逃すと取り返すのは大変なのです。正しい知識でその時期を乗り切ればその子供はかけがえのないみえない財産を手に入れることができるのです。その時期に機能をそなえられなかった子供たちはどうしたものでしょうか。食育をしていくしかありません。
目次
口腔機能発達不全の子どもと保護者に伝えたい食育とは
- 前歯がぶり
- 水分コントロール
- 食材と噛む回数
- 一口量
- おやつ
- 離乳食
- 正座か足の着く椅子で食事
- 寝る3時間前には食事
です。それぞれについて簡単にまとめてみます。
水分コントロール
プリンなどやわらかくて水分の多い食べ物は弱い嚥下になり、舌は上あごをわずかに押す程度。食パンなど水分の少ないものを飲み込む時は強い力が舌から上あごにかかります。どちらがよいかはわかりますよね。
食材と噛む回数
子供たちにたくさん噛んでもらう秘訣は、30回かまないと飲み込めないものを提供することです。硬いものばかり食べるわけにはいきませんので、複数の食感のあるものを食べるよう心掛けると自然と噛む回数が増えます。
一口量
幼児期は一口量を覚える大事な時期です。この時の一口量が高齢になっても続きますので、将来年を重ねたときに誤嚥性肺炎を起こさないためにも、前歯がぶり で一口量を覚えましょう。
おやつ
おやつには砂糖を使わない自然な甘みのものや、スティック状のごぼうやきゅうりなど前歯がぶり できるものにしましょう。おやつはお菓子でなくてよいのです。
離乳食
離乳食にも大事な掟があります。
スプーンを上唇につける
スプーンを舌奥に置く
スプーンを斜め上に引き抜く
離乳食をやるときに絶対やめるべきです。時間はかかりますが、スプーンを下唇に触れさせて上唇が閉じるのを待ちます。ついつい早く終わらせたいですから保護者の方が待てないことが多いのですが、上唇を使って捕食する習慣が 前歯がぶり の基礎になるので、頑張りましょう!
正座か足の着く椅子で食事
同じ食材でも床に足をつけるか正座で食事すると噛む力が増します。足がぶらぶらした状態で食事することはやめましょう。小さな台でもよいので足元に何か置いてください。
取り返す訓練をしましょう
哺乳期、離乳食の時期に正しいことができていないと、幼児期に食育で取り返すようにしていく他にありません。感受性期の観点からも脳や顔の骨の80%は乳幼児期までに完成します。哺乳、離乳期より幼児期の期間は長いです。その長い期間に正しい食育を根気よくしていかないと取り返せないのですが、取り返せます。
歯科医院でもその補助となる訓練を指導していきます。たとえば あいうべ体操 ベロタッチ ガム膨らまし、ストロングぴろぴろ、風船膨らましなどなど。小さいうちから歯科医院に虫歯の治療でなく、機能回復のためのお手伝いはできるだけさせていただきたいと思います。