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ゴールと途中経過がわかる矯正治療

2023年10月19日

模型

型取りすることがすべて無くなることはありません。PC上での3Dと手元で確認できる実物はやはり違います。かなり技術が進化してきていますが実物にかなうにはさらなる技術革新が求められるのではないかと、個人的には思います。とはいえ、型取りすると口の中に異物が入って、それが口の中に押し付けられたまま数分間保持されます。

型取りすると苦しい

特に口でいつも呼吸している方はその時ばかりは鼻で呼吸しなければなりませんから苦しいと思います。唾液もよく出てきます。歯ぎしり対策用のマウスピースや小児矯正で用いるマウスピースを初めて口にいれると唾液がよく出ます。それらのものを口の中に装着するとかみ合わせの高さが少し高くなりますから、口を閉じると上下の歯並びが入れてないときよりも当たりやすくなります。

唾液がついつい

噛むという刺激で唾液が出てくるのです。よく噛んで食べましょうと言われます。噛むことによって唾液が出て、食材をすりつぶしてそれを飲み込みやすいような形、食塊というのですが、そのかたちにするのにパサパサでは一つの形にまとまりませんし、のどを通っていくときにつっかりやすくなります。唾液の効能は他にも抗菌作用、免疫作用、などもありますが以前にコラムに書かせていただいていますからご参照ください。

マウスピースは噛まないで

本来、義歯以外のマウスピースはすすんで噛むものではありません。特に小児矯正で用いるマウスピースはシリコンでできていますから、毎日約8時間体重分の力をかけていると破れてしまいます。破れると交換しなくてはなりませんから費用もかかってしまいます。お子さんにはよく言い聞かせてください。

歯ぎしり用でも

歯ぎしり対策用のマウスピースはそれより硬いですが、強度を持たせようとすると厚みが出て違和感が大きくなります。なるべく薄くしているので歯ぎしりの強い方やかみ合わせの深い方(かみ合わせると下の前歯が見えなくなる方)はマウスピースの穴が開いたり、破れてきます。穴が開く人、開かない人、すぐ開く人、全然大丈夫な人、いろいろいらっしゃいます。歯同士を直接当てない、特定の歯に力がかからないようにすることを目的にしていますから、穴が開くくらいはさほど気にされなくてよいです。早くに歯ぎしり用のマウスピースに穴が開くような方は普段作業に没頭されている時に噛みしめている癖があることが多いので気をつけてください。そういうことをしないよう常に気をつけてください。

口腔内スキャナーは楽です。

口腔内スキャナーで型取りすると、口は大きく開けていただかないといけませんが口の中の異物感はかなり軽減されます。柔らかいものが固まるのを待ちません。その材料がのどの方に落ちて、飲み込むということもありません。細かい連続した写真を小さなカメラで撮影しているのですから。それをとてもたくさん撮影して、合成して立体画像にしていきますから少し時間はかかります。上あごと下あごの撮影とかみ合わせの撮影で約5分くらいとみてください。

不得意な場所はあります

ただし撮影しづらい場所(特に奥歯)や、口の開きずらい方、唾液が多く出る方(唾液で光が跳ね返される)などありますから一概にそうとは言えず、撮影時間が延びることがあります。撮影をしなおすことになっても部分的に取り直せますし、すべて取り直しても従来の型取りよりも苦しさはほとんどないです。口を大きく開けていただかないといけませんけれど。

宇治市 歯医者 itero なかむら歯科医院

資料はいっぱい要ります

矯正治療ではレントゲン撮影、CT撮影、口腔内スキャン(型取り)顔貌撮影、口腔内撮影(従来のカメラでの撮影)など資料を沢山採取させていただきます。その上で診断、治療計画を立案します。これはワイヤーでの矯正も、マウスピースでの矯正も同じです。ただ従来のワイヤー矯正と違ってマウスピース矯正(インビザライン矯正)は、そのゴールがどうなるかを目視化してその手順を決めていくことができます。

ゴールが見える

ニッケルチタン製の形状記憶のワイヤーを用いる矯正は、歯が正しく並んでいる位置を元に(正常歯列)歯の種類毎にワイヤーの通り道を歯に設定し、ブラケットを歯に接着します。ゴールは通常の型取りをした模型を分割してそれらを再構成してゴールの歯並びをつくって一つの模型に戻します。それをセットアップ模型といいます。歯並びのよくない歯に、正しい歯並びにあったワイヤーを付けて、ワイヤーの元に戻ろうとする力を利用して歯を移動させていきます。

ワイヤー矯正

顎の大きさは決まっていますからその中にすべての歯が収まらなければ抜歯ということになります。収まったとしても歯を動かす移動量が大きければ時間はかかります。ワイヤーの戻る力が強いと歯は大きく引っ張られますから痛みを感じます。ワイヤーも太さや形状がいろいろあります。細いワイヤーは軟らかいですし、太いと硬くなります。軟らかいとかかる力は小さいですし、太いと大きくなります。かかる力の大小で移動量は変わりますし痛みも違います。ですからワイヤーによる矯正はワイヤーと歯に付けるブラケットの位置がとても重要です。ある程度ワイヤーの形がゴールと言えます。

宇治市 歯医者 model なかむら歯科医院

マウスピースの治療計画

マウスピース矯正は3Dに収まっている模型でゴールを決めます。シュミレーションをPCの中で行います。ゴールを幾種類か考えてその比較検討をして最善と思われるものを選択します。ゴールが決まったらそのゴールを達成するのにどのように歯を動かすのか、を検討します。歯には色々な種類があります。前歯、奥歯、それぞれ大きさ、形が違います。上と下でも違います。それぞれの歯の周りの骨の厚さも違います。動かせる力、動く量も違います。それらを検討し更に動かす順番なども決めていきます。

抜歯すると難しいです

抜歯が組み込まれた計画になると、それはワイヤーであっても同じなのですが難易度は上がります。抜歯したところは骨が一時的になくなっていますからそこへ向かって歯は移動しやすくなります。でもそれは倒れていくのです。歯の軸を変えずに、平行に歯を移動させるのはとても難しいのです。それは抜歯していなくても同じなのですが、特に抜歯して矯正治療を行うときには難しいです。それらをいかに計画通りに動かすか、動かすためにどのような力をどのような方向からかけるか、なるべく矯正治療の期間を短くするためにできることは何か、効率的に行うにはどうするかを考えます。

親知らず

親知らずはできる限り、年齢にもよるかとは思いますが矯正治療を行う際には抜いておく方がよいです。親知らずは生えようとする力、真っすぐ生えていても顎が小さいところに生えているのですからきゅうくつになって、歯を押してしまい歯並びを崩してしまう原因になっていくことがほとんどだからです。若年であれば少し先になってもよいのですが、早めに越したことはないです。

自分で管理

ワイヤー矯正と違って24時間装着ではありません。食事や歯ブラシなどの時に外してもらうので口腔内を清潔に保ちやすいという利点がありますが半面、歯を動かす時間がワイヤー矯正に劣ります。22時間装着していただいても2時間外しているので20時間しか歯に力がかかりません。ワイヤーは外せませんから24時間しっかり力がかかります。自分で外せますから自ら律していただかなくてはなりません。また所定の位置までしっかり装着していただかないとこちらの意図する方向に歯が動かないということも起こりえます。チューイーというものを装着時にはしっかり噛んでもらいしっかり装着することが大切です。

作用反作用

みなさん、過去に作用反作用を習ったことがあると思います。例えば小舟から水の中に落ちて舟に反動を使って乗り込もうとすると自分は上へ起き上がりますが、舟は下の沈む方向に行こうとします。同じだけの力がかかります。歯も同じで前に出る力をかけると隣や他の歯に後ろへ押す力が同じだけかかります。それをできるだけ分散させて影響のないように考えた治療計画を立てるのですがマウスピースだけでは難しいこともあって、上と下のマウスピースに小さな輪ゴムみたいなのをマウスピース装着時に使ってもらうことがあります。

共同作業

歯を目的地まで動かすために患者さん自身に行ってもらうことがあり、それらをしっかりしていただくことを前提にして治療計画を立てることが多いです。歯科医と患者さんのまさに共同作業で矯正治療は行われるのです。口腔内スキャナーを用いることで患者さんは苦しい型取りがほぼ無くなり、治療計画を立てるのにより精密に設計できるようになりました。技術の進歩はすごいですね。

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