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神経を取った歯が痛むのは、なぜ?

2024年6月27日

神経を取った歯のはずなのに、痛みが何で出るのでしょうか。考えられるのは、

・歯が割れているか(神経を取ると歯が弱くなって、歯にヒビが入ったり割れたりします。)

・歯周病で歯を支える骨が減って腫れてズキズキする(神経が無くても歯周病になります。)

・感染(神経が無くなっても虫歯になります。虫歯が進行すると感染します。)

のいずれかが多いのではないかと思っています。

歯周病で腫れたり噛むと痛む

神経があってもなくても、歯は歯に変わりはありません。歯茎に炎症が起きれば歯を支える骨が減って、歯がグラグラして噛んだ時に痛みが出たり、歯茎が腫れて痛むことがあります。腫れがきつい場合、切開することもあります。ご本人のセルフケアとこちらのプロフェッショナルケアで歯周病対策していくとよいでしょう。

歯が割れていて痛む

歯の神経が失われると歯の寿命が短くなるということを一度や2度はお聞きになったことがあるかと思います。木から伸びている枝を折ろうとしてもなかなか折ることは難しいと思います。でも折れた木の枝は容易に折ることができます。折れてから時間が経てば経つほどです。歯も同じで神経を取ってから時間が経てば経つほど歯は瑞々しさを失い、割れたり折れたりしやすくなります。歯の中には神経の他に、血管が通っていてそこから歯に栄養が供給されているとお考え下さい。栄養供給が絶たれるのですから、人で言うとミイラみたいになって外的な力に対して弱くなるのです。

痛いままでいるのか、抜歯するのか

完全に割れてしまうとレントゲンに映るようになりますが、ヒビが入ったくらいでは映りません。そうすると歯茎が腫れたり、噛むと痛んだりします。特に噛み合わせが深い方や前歯が噛んでいない方で奥歯に神経の無い歯がある場合は、ヒビや破折を起こしている可能性があります。噛まないようにすると痛みはありませんが、機能は果たせません。痛みはあっても現状のままでいくのか、抜歯するのか、その方の希望に合わせることになります。

根の先の痛み

神経治療をすると神経や血管の入っていた歯の中の部分が空洞になります。その隙間を埋めておかないと僅かなところから細菌が侵入してしまいます。口の中には唾液1gで1億個の細菌がいます。細菌の侵入を許すと神経部分を伝わり、根の先の骨にまで侵入していきます。そこを住処とします。人間にはバランスを保とうとする機能が備わっていてそれを恒常性と言います。免疫の力で細菌の活動を抑制しているのです。

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バランスが崩れると急性化する

感染をしていても免疫の力で押さえつけている状態は慢性的に感染している状態です。そのバランスが崩れた時に痛みが現れます。急性的な症状が出現するのです。何がそのきっかけになるかは様々です。ストレス、全身的な身体のバランスの不調、硬いものを噛んだ、などなど。

歯の根の先はどこにある

歯の中の神経部分の細菌感染が原因で痛みがでると、ズキズキします。根の先で炎症が起きます。体は炎症が起きると血液に乗って免疫細胞が送り込もうとします。しかも大量輸送しようとしますから、ズキズキするのです。根の先はどこかと言えば、上の前歯は鼻の下や横鼻のあたり。上の奥歯だとほほ骨の下。下の前歯は下唇の下、下の奥歯だとエラの前あたりになります。

根の先が痛む理由

細菌にとって根の先は非常に住みやすいところです。血液から栄養をもらえる、唾液で流されない、温度が36~37度。労せず生きていけます。でも体も負けていません。急性化しないように免疫細胞も仕事していて、症状は出さないようにしています。細菌と免疫は戦ってもいて、その戦死者たちは老廃物としてその場を立ち退かされます。バランスが崩れた時に戦いは拡大していきます。そうすると老廃物も増えます。血液という交通手段を使って老廃物を立ち退かせるのですが、それが追いつかないくらい増えてしまうと溜まる一方です。行き場のなく老廃物がその場で溜まっていくので腫れるのです。内側から早く出したいという内部圧力が腫れを引き起こします。

 症状

道路を拡げて免疫細胞を送り込みと内部から老廃物を出したい圧力の高まり、がズキズキと腫れの原因です。歯の根の先のからの圧力の高まりが、歯を中から外へ押し出す力にもなります。歯が浮いたようになり噛むと痛むのはそういう理由です。浮いたようになっていますから歯は揺れます。叩くとその歯が痛みます。急性期にはその前後の歯にも痛みを感じることがあります。原因歯を特定できないと治療に踏み込めないこともよくあります。

 レントゲンで黒く映る

慢性的な根の先の感染は、レントゲン写真で確認することができます。骨は通常レントゲンでは白めに映ります。根の先が感染していると黒く映ります。黒くなっているということは骨が少なくなっているということです。骨密度を薄くしてでも老廃物を貯めているのです。一部骨が失われていると言ってもよいのですが、感染源を取り除くと骨は回復します。歯が割れている場合も似たような部分が黒く映りますが、割れている部分の感染源の除去は出来ないので、骨の回復は見込めません。

感染源の除去するのが治療

歯の中の神経を取った部分は血管もありません。ということは免疫細胞がやってきません。細菌がいたとしても免疫でやっつけることはできません。細菌が巣くっていると考えられるのは、神経が入っている部分の周りの壁です。血管を想像してもらえるとよいのですが、血液の通っているところが歯の神経があったところ。血管壁に相当するところに細菌が巣くっていると思ってください。ちなみに、血管壁にコレステロールなどがへばりついて血管を狭小化して血圧が高くなります。根の中の壁の細菌を除去することが治療となります。

根の中の治療は難しい

歯は硬く、骨より硬いです。根の中の壁にいる細菌を取り除くには、機械的、化学的な方法を使います。簡単に言うと、硬い壁をやすりで細菌がいなくなるところまでこすり取っていくのです。乾燥した状態だと削り滓で目づまりを起こすかもしれないので、水や細菌の嫌いな次亜塩素酸を用いながら擦りとっていきます。感染している歯の根の色はやっぱり虫歯と同じく比較的茶色いです。こすり取った歯の色や術者の指で感じる歯の硬さ、症状の有無、歯茎の腫れの無さ、噛み合わせた時の痛みなどで根の治療の終わりを決めていきます。はっきりといついつに終わりますと言えないのは、そういった理由があるからなのです。

骨は感染源が無くなれば回復する

感染により失われた骨は感染源が無くなれば少しずつ回復します。レントゲンで骨が映るようになってから詰めたり被せていると、仮詰めで待っている時間が長くかかります。ですからレントゲンでなく先ほど述べたところを基準にして終わりを決めています。

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上の写真 下の奥から2本目の歯の根の先の骨が少し黒く映っています。治療期間も長くなっていたそうですが慢性的な痛みと歯茎の腫れが引かないでいました。他院では抜歯を勧められたそうです。通法に従い根の治療を行いました。

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約6ヵ月後のレントゲンでは根の先の失われていた骨が回復しました。歯茎の腫れもなくなり、痛みもなくなりました。

根の治療はすべて上手くいくわけではありません。

口腔内に存在している細菌は千差万別です。根の中へ感染していった細菌の組み合わさり方によっては、同じ治療をしても治りの良い悪いが出てきます。早く治療が終わるか、長くかかるか、とかですし、治療が終わっても何か違和感が消えないとか、という後遺症的なものも出てしまうということです。こちらとしては全力で治療をしていますが、不快症状が残るようなら歯の根の治療の専門医がおられるのでそちらで治療されることをお勧めしています。

神経治療は敗戦処理です。

一生懸命根の治療をしても神経が戻ることはありません。再生治療ではありません。元通りになる、ということはありません。延命治療をしているという認識が正しいです。再感染を防ぐには

・適合のよい貴金属やセラミックによる被せ物で僅かなギャップを無いようにする。

・就寝時にマウスピースをして、噛みしめによる力を歯にかけないようにする。

ことが肝要です。それでも歯が割れるリスクは神経の残っている歯に比べてとても高いものになっています。

 

 

ティーンの八重歯を抜かずに治すには

2024年6月20日

成長が終わる前に急いで取り組む

歯並びがガタガタになる兆候は乳歯の歯並びの時から表れていて、乳歯と永久歯の混合している時期に治療に取り組む方がよいとお話をしてきました。それは頭部の成長のピークが10歳を境にぐっと低下するからです。全くなくなるわけではありません。体は思春期に成長がありますからその時期に背が伸びますよね。上顎と下顎、同じ頭についていますが、上顎は頭に近い成長曲線、下顎は体に近い成長曲線と少し成長のピークがズレます。

歯列不正のすべては、上顎が大きくないことが原因

上顎の成長発育に問題があって歯列不正は起こります。下顎が原因であることはあまりありません。遺伝的傾向による受け口もありますが、受け口も上顎が正しく前に成長しないことで起こっていることが結構多いのです。(幾度となくコラムで述べていますが、大元を辿れば哺乳の仕方、離乳食の与え方などが原因だったと考えられます。)乳歯列期から混合歯列期、永久歯列完成期にかけての歯列不正、噛み合わせの不正の原因は上顎の劣成長によるものです。

こんなことも口腔が狭いことで起こりえること

睡眠時無呼吸症候群

歯並びが良くないと口腔が狭くなっています。狭くなっていると睡眠時無呼吸症の発症が早くなると言われています。子供なのにいびきをかく、上を向いて寝れない状態は将来睡眠時無呼吸になりやすい一つの兆候です。横寝、うつぶせ寝などで無呼吸を回避しているのです。舌は下顎の中にありますが、下顎が小さかったり、体の癖(頬杖、横寝などの態癖)で歯が内側に向かって倒れてくると、舌を持ち上げて口の中に収めておけないので下か奥に行かざるを得ません。そのため舌で気道が塞がれるのです。気道が狭くなると呼吸ができなくなりますよね。

偏食

歯並びが良くないと噛んだ時に上下の接触面積が、通常の歯並びに比べると少ないです。よく噛めないでいると偏食になる傾向、あるいは噛み砕くところまでいかず、丸飲みとか傾向になることが考えられます。食事に時間がかかると周囲の目を気にして、早く食事を済ませないと、などと子供心にそんなこともありそうです。味を感じ取る細胞である味蕾細胞は唾液で反応します。噛まない食事では唾液が出ません。味蕾細胞は唾液で湿らされることで機能します。味が感じられないから、濃い味の物しか好まなくなる、ということにもつながります。唾液は噛むことによる唾液腺への刺激で分泌が促進されます。噛むことをしてこなかった子供に味覚障害の起こる可能性が出てきます。ですから噛める環境を整えることが大切です。

柔軟な15歳までに機能、姿勢、形態を整える

盆栽は本来大きくなる木を小さな鉢に入れて、小さな世界観の中で美を追求するものかと勝手に想像しています。経験したことはないのですが、見ているとそれなりに色々なことが考えられます。小さな構図で独特の美を追求するので木に無理に力をかけて直角に曲げたり、また真っすぐにしたりすることもあるように思います。でもそれは木の本来の姿ではないのではないかと思います。北欧の針葉樹林は光を求めて真っすぐ伸びます。木にとってはどちらが自然でしょうか。成長期に成長を阻害する外的な力が加わらないように、加わっていたら取り除く対応が必要だと考えます。

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令和元年の平均寿命(健康寿命)

男性 81,41歳(72、68歳) 女性87,45歳(75、38歳)

自分の歯で食事できていると認知症になる確率がぐっと下がり健康寿命が延びます。健康寿命が延びると誰かにお世話になる期間が減ります。8020達成者のほとんどが正常咬合で、八重歯や出っ歯、受け口は2割くらいに減ります。これからもまだ寿命ものびますから子供たちには正常咬合で健康に長生きしてもらえるようにしてあげたいものです。

鼻呼吸できているか

歯並びを治す前に、口呼吸の問題があります。上顎が劣成長ということは、鼻にも何かしらの問題を抱えていることがあります。上顎は鼻を構成する骨の一部です。鼻の通りが悪いと鼻呼吸しづらいですから、歯並びを治す前に耳鼻科で治療してください。実はとても大切なことで予後にも影響します。

基本的には抜歯せずに八重歯を治すことをまずは目指す

ティーンにはマウスピースの特性を活かして、まず抜歯しない方向で考えています。抜くのはあとからでもできると考えるからです。抜いてしまうと元に戻せないからです。歯を並べるために顎の骨を大きくすることを主に考えますが、成長が終わりかけているので歯が全て並ぶだけ大きくできないことがあります。抜歯せずに並べるために、歯を少し削ることも検討します。抜歯せずに治療が済むものなら、そちらの方が良いと思うからです。むやみに削るのではなく、日本人の平均に比べて大きさはどうか、左右の同じ歯の幅に差があるかどうかなど診断します。

上顎骨の成り立ち

上顎骨ですが、大きな左右2つの骨の塊が一つになって構成されています。また他の骨とも接合しています。上顎の前と奥も厳密には発生時は分かれていて大きくなると共に接合して成熟した骨になっていきます。その接合部を縫合と言います。治療で考える必要のある上顎の縫合は3つあります。

横口蓋縫合

正中口蓋縫合

切歯縫合

成熟すると写真にある縫合部(筋)は消えていきます。特に切歯縫合は(前歯と奥歯の境)永久歯になると結合して最初になくなります。本当はこれが無くならないうちに前方へ顎を大きくできるということがありません。ですがティーンになると消えかかっています。でも成長があるうちはその縫合を矯正力で開く可能性が少しあります。そこを拡大できると上顎の骨を前と横に拡げられる可能性が出てきます。矯正力はさほど大きいものではありませんから痛みはほとんどありません。縦の筋は正中口蓋縫合です。ここを左右に力をかけて拡げます。開いたところは骨で埋まっていきます。拡げるのも無限ではありません。成長は終わりかけているので限度がある。だから少し歯を削ることと組み合わせる必要も考えないといけないのです。また成長は一般的に女子15歳、男子18歳で止まるとされていますから待ったなしです。早く取り組むに越したことはないのです。個人差はもちろんあります。

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経過観察は成長の終わる18歳まで続く

上顎の治療が思うようにいったとしても、下顎の成長はそれからしばらく続きます。下顎が上あごよりも前に成長する可能性があります。成長はどんなに頑張っても予測できません。成長ホルモンはコントロールできません。下顎の成長を見越して治療しておきたいところですが、上あごの成長が終わりかけから治療しているので難しいのです。ただできることをできる時期にやる、成長期は二度とないと考えてください。成長期が終わる18歳までは定期的な観察が必要で、経過に応じて再度介入しないといけないことも頭の片隅に入れておいてください。

リスク

元の骨の構造を理解した上で行う顎の拡大ですが、思うように行かないことも考えておかないといけません。治療途中での痛み、CTなどでの確認などで思うように拡大できないこともあるかもしれません。その場合は無理をせず抜歯を組み込んだ治療に変更しないといけなくなるかもしれません。

親知らずは時期が来たら抜く

治療が済んだら、良い時期に親知らずは抜歯しておいた方がよいです。せっかく綺麗に並んだのに歯並びを崩す原因になるからです。長い休みなどを利用して抜歯されることをお勧めしています。

治療方針は医院によって異なります。

治療方針は医師一人一人違いますから、医院ごとに治療方針は異なります。ある医院では抜歯しない、ある医院では抜歯、という診断が出るのはよくあります。ゴールは同じでも辿り着くルートは複数あります。マウスピース矯正の利点を最大に活かして成長期には出来るだけ抜歯を避けた治療をしたいと考えています。ただし成長の個人差があるので、抜歯するという治療計画に変更する可能性はどうしてもあり得ることなのです。

 

八重歯を抜歯せずに並べたいなら、10歳までに治療を開始しましょう

2024年6月13日

12人掛けのシートに14人座ることはできますか?

電車に乗ると、横に長いシートがありますよね。14人が掛けられるシートは現実の電車にはないですが、歯は上顎14本、下顎14本あるので、例え話をするのにそんなシートをイメージしてください。(親知らずがあれば16本ですが、それはこの際置いておきましょう。)大人14人掛けだったら大人14人座ることはできます。

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1人1人の横幅が大きいと座れないかもしれません。

歯の大きさも大きい人、小さい人、個人差があります。14人掛けでも大きい人ばかりだと14人座れないかもしれません。ちょっと前に座ったり、ズラしたり、はみだしたら全員座れるかもしれません。でもちゃんと座れていないですよね。みんなスリムになれば座れるかもしれません。平均的より大きな歯であれば、平均的な大きさにすれば並ぶかもしれません。

全員子供なら座れる

数名だけ子供がいたら少し余裕ができるかもしれません。座れます。14人とも子供なら隣との間隔が空きますよね。これがすきっ歯です。すきっ歯でもう一つ考えられるのは、もともと16人掛けのシートだった場合です。もともとのシートが大きいので14人ゆっくり座ることができるのです。隙間を埋めたいのなら詰めればよいので比較的治療は難しくありません。ただし人間キチキチはいやで、余裕を持ちたくなるので、少しずつ間隔が空いてくることが多いです。後戻りへの対処が重要となってきます。

12人掛けのシートにきちんと座りたい。

きちんと座るにはどうすればよいでしょうか。ひとつの方法は先ほど述べました。ダイエットにも限界があります。無制限に歯を削ることはできません。では何ができるか考えてみます。

方法1

14人のうち、2人別の車両に移ってもらう。シートの大きさは決まっていますからやむを得ませんよね。歯の場合は抜歯することで並べていくということになります。それでもキチキチであればダイエットも取り入れることと組み合わせることが必要になります。逆に余裕ができ過ぎることもあります。

方法2

補助椅子を探してくる。普段はテーブルの下に格納してあって、スライドさせると必要な時にテーブルの面積を増やせるものがありますよね。あんな感じですかね。簡単に言えば、顎を全部の歯が並べるくらいに大きくすれば並びます。ただしこれは成長が見込める時期限定です。成人では基本的にはできません。

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MSEという手立て

成長の終わった成人の上顎を、横方向に拡げる裏技があります。上顎限定です。上顎に4本の小さなインプラントを装置と組み込んで左右に拡げていくものです。上顎の骨の厚さなどで結果は左右されます。残念ながら当院ではまだ取り組めていません。12人掛けのシートの真ん中を切ってスプリングを使って左右に拡げて14人座れる幅を確保します。空いたところには骨が少しづつ出来ます。簡単に言えば、上顎の骨の成り立ちから上顎にのみ適応できます。

成長期の抜歯矯正は避けたい

出来る限り抜歯をせずに歯並びを改善していくような計画をあれこれ考えて治療するのですが、誰にも予測できない成長の結果やむを得ず、途中で抜歯になることもあるとお考えください。できることできないことがあります。とはいえ、上下の顎のバランス、顔貌のバランスを考えると抜歯はせずにいきたいものです。

顎を正しく成長させておけば抜歯は回避できます。

12人掛けのシートを14人掛けに出来ていれば、問題なかったのです。正しい成長ができていれば歯の数余裕をもって並べます。上顎の成長のピークは10歳前後です。下顎はそれから少し後がピークになります。乳歯だけの時の歯並びは、すきっ歯で、上下の前歯の先端同士がぴったり噛んでいるのが正しい噛み合わせで正しく成長している証拠です。乳歯の段階で歯並びが悪い、キチキチに生えている、噛むと下の前歯が見えない、という状況では、様子を見ていっても変わりません。永久歯に生え変わっていっても歯並び、噛み合わせは悪いままです。

乳歯列のうちに既に歯並びが決まっている

子供のうちの歯並び、噛み合わせは上顎が正しく成長していないことが原因です。(劣成長)上顎が小さいから下顎が上にブロックされて大きくなれないのです。上顎の上には鼻があります。上顎が小さいと鼻も大きくなっていませんから、鼻詰まりや口呼吸の原因になります。鼻で空気をろ過して感染を防いでいるのですが、口にはろ過する機能がありませんから、扁桃腺がその機能を少し代行しますから、本来の機能ではありませんから口呼吸していると扁桃腺が腫れたりします。

上顎の成長のピークは10歳前後

上顎の成長は、頭蓋と同じように成長します。 産まれた時の頭位の平均は33cm、半年で48cmになります。半年で1,5倍です。メチャメチャ大きくなります。3歳で50㎝ほぼ完成に近くなります。 頭とか神経の成長率はとんでもないくらいロケットスタートがかかり、どんどん率は下がっていきます。上顎は下顎と違って頭に近いですから10歳くらいでおよそ完成します。10歳を越えると背がぐんぐん伸びていきます。下顎は頭というより体幹と同じ成長に近いです。下顎は上顎と違って、10歳からまだ成長します。上顎と下顎の成長のピークは異なります。

小学校4年は区切りの年

10歳までに、上顎にすべての永久歯が並ぶくらいの大きさにしておくべきという趣旨で述べてきました。またその兆候は乳歯だけの歯並びの時からあるともお話しました。いつから始めるか、という問いには、気づいたらその時から、というのが本当のところです。顎を大きくすることが大切です。まずは

鼻の治療

食育

MFT

トレーナー矯正

鼻の治療は

鼻の中の通りが良くないと鼻呼吸できません。ですから小さいうちに、鼻に起因する疾患を取り除き鼻呼吸できる環境を親として整えてあげることが大切です。

食育

前歯を使って噛む食事をすることで、前歯周辺の骨に刺激が与られて、その刺激が上あごの成長を促すことにつながります。前歯の上に当たる脳は前頭前野と呼ばれていて、考える力、コミュニケーションを司っています。前歯の刺激がその部分の活性化につながります。絶えず刺激を与えることで脳も活性化されるのです。食事はとても重要なファクターです。

MFT

哺乳の仕方 離乳食の与え方が口腔、鼻腔の成長の方向、機能の獲得の有無を決めています。何度かコラムで記載しているところですが、その時期に戻ることはできません。口ポカンを無くし、正しい舌の使い方、適切な唇の使い方などを、口の周りの体操を取り入れて獲得しなければなりません。その訓練のことをMFTといいます。家で毎日する訓練ですからついついサボってしまいがちですが、獲得できなかった機能を取り返すと思って頑張りましょう。

トレーナー矯正

T4Kとかプレオルソといった、夜間と家にいる時の2時間口に装着する装置です。この装置を用いることで鼻呼吸を覚え、舌の定位置を体得し、嚥下訓練になります。鼻に問題がないことが前提です。ある程度顎も大きくなります。歯並びを整えるというよりは、機能回復のための装置です。

乳歯や乳歯と永久歯の混在する時期にいわゆるワイヤーによる矯正器具を用いることはなかなか難しいと思います。小さい子供のうちに出来るだけのことをやっていきましょう。

10歳は過ぎている場合はどうするのか。

ピークは10歳と書きましたが、女子は15歳、男子は18歳くらいまで僅かではあるが成長はまだあります。顎を少し大きくできる可能性があります。萌出している歯に矯正力を加えることで骨に刺激を与え、前方と側方に拡げるという意図をもって矯正治療を行うようにしています。ガタガタな歯並びでも、まずは抜歯を避けるための方策をとるべきかと思っています。時期が遅れているので、拡げるのにも限度があります。先ほど述べた歯のスリム化(歯の両端を少しづつ削ること)と合わせてガタガタな歯並び(イメージ的には八重歯)を治していきたいと考えています。

思い通りにいかないのも治療です。

こちらの描いた絵の通りに治療が進むとは限りません。思い通りにいかない場合には抜歯して治療しなければならないことも当然あります。成長にも個人差がありますから。きれいな歯並びをリスクなく獲得するには、10歳までに永久歯が並ぶくらい顎を大きくしておく矯正治療を早くにしておくとよいかと思います。

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シーラントした方がよいのか、しなくてよいのか

2024年5月16日

以前にシーラントの是非についてコラムを書いたのですが、虫歯の予防、特にシーラントについて思うところをつらつらと書いてみようかと思います。

奥歯の形

虫歯になりやすい場所はどこかと言えば、噛み合わせる面、前の歯と後ろの歯が接触している歯と歯の間、それから歯の根の付け根。この三か所になります。奥歯の歯の噛む面はツルツルの平面ではなく、歯の中央に前後と頬舌方向に溝があって外側に向かって高くなっています。山奥の渓谷に当たる部分が溝に相当します。

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噛み切るのに平面は不利

何故真っ平らでないかというと噛み切るのに不便だからです。角材を二つ上と下にして、その間に軟らかいものを挟んで摺りつぶそうとすると、切れずに伸びますよね。切れないと思います。杵と臼、餅つきの映像で見たことあるかと思います。臼に軟らかいものを入れて、臼で叩く、前後左右にこねる、ことをすると、さっきよりは切りやすく早く細かくできると思います。奥歯は臼と杵の関係を具体化した形なのです。

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前歯の形

ちなみに前歯の形はシャベルのような形になっています。前歯は摺りつぶすという機能は備えておらず、切る、噛み切る、といった機能に特化されています。奥歯が失われて、入れ歯やインプラントなどが入っていないとヒトは前歯で摺りつぶそうとします。でもそのような機能はありませんから食材を小さく噛み砕くことはできません。そのまま胃に流し込むことになりますから胃にも負担はかかるし、上手く栄養を取り入れられないのは自明の理ですよね。前歯には奥歯のような溝はほとんどありません。

凸凹あると磨きにくい

ツルツルの平面であれば汚れが付いていてもふき取りやすいですよね。逆にふわふわの絨毯だと、奥に入った汚れを取り切るのはとても大変だと想像がつくと思います。ちょっと極端な書き方をしていますが何となくご理解いただけるでしょうか。凹凸のある方が平面よりも掃除はしにくいのです。歯でいうと頬側や舌側のツルっとした面は清掃しやすく、溝のある面は清掃しにくいのです。

歯は不完全な状態で萌出する

歯は萌出時、完成された状態で生えてきません。大きく見れば歯の根っこは完成していません。萌出してからだんだん根は成長して完成します。小さくみれば、歯の結晶は歪んでいて、口腔内の劣悪な環境の中で鍛えられて、結晶は正しい形になっていきます。その時に有用なのがフッ素ですね。それは後述します。結晶が歪んでいるとは、外部に対して抵抗力が低いということです。

劣悪な環境とは

唾液1gには1億~10億個の細菌が、歯垢1gには1000億個の細菌がいます。ちなみに糞便には100億~1000億個です。歯垢の菌濃度は糞便に匹敵するわけです。歯垢は食事を摂取する以上、どうしても産生されます。砂糖や調味料を使わない、原始時代の食事、あるいは野生動物と同じ食事をすれば歯垢の産生量を抑えられるでしょうけれど、机上の空論です。口腔内細菌は身体にとって良くない影響を少なからず及ぼしますが、共存してくれることで、それ以上に悪さをする細菌の侵入を防いでくれているのです。まあ必要悪みたいにお考え下さい。

虫歯になりやすい場所は奥歯

萌出直後は歯の結晶が歪んでいて壊れやすい

凸凹になっていると磨きにくい。汚れをとりにくい。(歯垢が残りやすい)

小さいお口の中で奥歯は磨きにくい場所にある

これらのことから、奥歯は虫歯になるリスクが高いのです。前歯は構造的に歯の形は平らな面で構成されていて、前にあるので磨きやすいです。虫歯になるリスクを軽減するのが予防処置で、代表的な二つがフッ素とシーラントです。

シーラントとは

簡単に言えば、深い溝に材料を入れて浅い溝にして、歯垢を取り除くのに磨きやすくすることです。溝が虫歯になっていたら虫歯を取り除いて治療して、詰め物をします。当然その詰め物は取れないようにします。シーラントで溝を埋める場合は虫歯ではありませんから削りません。すぐ取れても困るので、削りませんが歯の表面に化学的処理をして、溝に薄く材料を入れます。しばらくしてから取れることもありますが、取れても問題はありません。萌出したての、虫歯になりやすい時期を越えていて、きちんと磨けるようになっていればシーラントとしての役割は終わりだからです。

温室育ちと野生育ち どちらで育てるか

先程記載しましたが、口腔内は決して歯にとっても良い環境ではありません。ですがお手入れをきちんと出来る状態を続け、萌出したての虫歯のなりやすい時期を乗り越えると、耐う蝕性が増し虫歯になりにくくなります。年齢を重ねると歯茎が減って歯の根っこが出てきます。出てきて間もない部分は虫歯になりやすいとお話ししましたが、高齢者の虫歯は大抵は歯の根っこです。噛む面はあまりみかけません。シーラントしてある部分、溝の深い部分はシーラントで保護されているのでなかなか鍛えられません。それでも年数が経っていれば徐々に周囲の歯質から鍛えられていくように思います。

唾液緩衝能

食べたら歯を磨きなさい、と言われたことは皆さんあるのではないでしょうか。食事をすると口腔内のphは中性から酸性に傾きます。酸性になると歯の表面が粗造になります。粗くなります。これを脱灰と言います。脱灰した状態が長く続いて、歯垢が歯の表面に付着していると、虫歯菌が更に脱灰を進行させるとお考え下さい。火に油を注ぐイメージですね。唾液には脱灰した状態を元に戻す力があって、食後に歯垢をきちんと取り除くことが出来れば虫歯になることを防いでくれます。口腔内のPhを中性に戻してくれます。

唾液の能力差

唾液の力にも個人差があって、酸性を中性に戻す能力の高い低いがあります。時間をかけないと戻らない場合、間食が多かったりすると口腔内が酸性に傾いている期間が長くなります。そうすると虫歯になりやすくなります。唾液の能力が高いと、多少磨き方が甘くても虫歯になりにくいのです。

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仕上げ磨きはいつまで

基本的に乳歯だけの歯並び、前歯が永久歯に生え変わって、少しづつ永久歯の本数が増えていく、早くても小学校低学年まではしっかりと保護者の方が仕上げ磨きされた方が良いと思っています。歯と歯の間は面になっていて溝はありません。ですが顎の成長もあり、歯と歯の間が空いてきて物が詰まりやすくなって、そこが虫歯になりやすくなります。歯と歯の間は歯ブラシの先が届きにくく子供に任していると磨けていないことがほとんどです。その部分にフロスを使って仕上げ磨きしてあげてください。フッ素入り歯磨剤を付けてフロスするとバッチリです。

個人差を診断する

遺伝的な歯の強さ、唾液の能力、口腔内細菌の種類などは変えることは出来ません。先天的な要因ですね。仕上げ磨きしている、していない、どのような食事(軟食か伝統食か)、口への摂取回数など、後天的な要因、これら総合的に判断してシーラントをするしないを決めるようにしています。フッ素も同様です。

全く虫歯の無いお子さんがおみえになって、シーラントをしてほしいと言われたら、

仕上げ磨きの有無、

染め出し液を使って歯ブラシを使った清掃能力がどれくらいあるか

を確認した上で、おそらくシーラントは不要ではないでしょうかとお伝えするでしょう。これから萌出してくる歯に対してはフッ素塗布やフッ素洗口による予防で十分ではないでしょうか、とお伝えするでしょう。

乳歯に治療した箇所が何か所もある方が、シーラントを希望されたら

虫歯になるリスクが高いと判断できますから、保護者の方には仕上げ磨きの徹底をお願いすると共に、シーラントをお勧めすると思います。

何でもそうですが、物は使いよう

シーラントがよいとか、よくないとか一概には言うことはできません。その方に必要であると判断したならシーラントをお勧めしますし、必要ないと判断したなら、必要ないのでは、とお話するでしょう。シーラントについて、私はそのように考えています。

構音障害への歯科的な対応

2024年5月9日

音はどこで作られるのでしょうか?

耳に入ってきた音を、側頭葉のウェルニッケ野というところで脳は理解します。ウェルニッケ野が得た情報が、一旦前頭葉のブローカー野に入ってから運動野に行きます。そこから音を作る構音器官に指令を送ります。音を作る筋肉に指令が行きます。

構音器官はどこになるのか

1 声帯

肺から送られる息の流れが声帯を振動させて音が作られます。

パ と バ、カ と ガ、タ と ダ の違いを作り分けているのは声門です。声門の使い方で使い分けています。パ、タ、カ は無声音 バ、ダ、ガ は有声音です。

無声音と有声音

例えば「ス su 」のsは無声音、uは有声音です。スを長く引きのばしてみて、ウーを長く続けると震えるのがわかると思います。

2 咽頭

上咽頭と中咽頭(のどは便宜上、上中下に分けられます)を分けているのは軟口蓋です。上あごの奥の部分です。(のどちんこのあたりで鼻と口の交わるところ。)

「ナ行」 「マ行」 「ン」 「ガ行」は軟口蓋が下がって、息が鼻に抜けて作る音です。開鼻音です。

これら以外の音では口に息を通して発音します。軟口蓋が上に上がって息が鼻にいかないようにしています。

「あ行」は口を通して作ります。あ い う え お は鼻をつまんだままでも発語ができます。あ行の音がおかしくなることはありません。

3 舌

舌は前から、便宜上、舌先、前舌、中舌、奥舌に分けます。

舌を構音点(例えば歯や歯茎など)につけたり(破裂音)、近づけたり(摩擦音)、弾いたり(弾音)して音を作ります。結構微妙な舌使いが必要です。

4 口唇

口唇を閉じた後、上下の唇を破裂させて「パ行」「バ行」をつくります。

唇を閉じたまま鼻を開いて作る音が「マ行」

上下口唇を近づけて音を出すのが「フ」

構音点とは

呼気(息)が声帯から口唇、鼻までの通り道のどこかを狭くして音を作ります。その狭くなった部分が構音点です。

構音点は

1 口唇

2 舌先と歯

3 舌先と歯茎

4 前舌と硬口蓋

5 中舌と硬口蓋

6 奥舌と軟口蓋

7声門

になります。

例えば さかな が たかな になるのは

「さ」は舌先と上の前歯の歯茎が構音点になります。低位舌という、本来あるべきところになく下に下がった状態だと舌先が「さ」の音を作る舌先が歯茎に行かず、上の前歯の先端にいって音を作るので「た」になります。これを歯間化構音と言います。

構音点を狭くする方法は3つ

1 声門の開閉

2 舌の上方運動

3 口唇の開閉

歯並びや上顎骨の成長具合にも左右されます。つまり、顎が正しく大きく成長して歯並びよくて、哺乳や離乳の時に舌の使い方の訓練が出来ていないと、構音点を上手く使って発音できないということです。

お い お い とゆっくり言ってみてください。い では口唇は平らですが、お では丸くなりますよね。あ い あ い と言ってみてください。 あ ではのどまで見えるくらい顎が大きく開きます。い は舌の前方がせりあがって奥の方は見えません。口唇、顎、舌の微妙な協力関係で音を区別しています。

母音に問題が出ることは、ほとんどありません。

日本語の子音を分類すると

1構音点(音のつくられる位置)

2構音様式(音の作られ方)

3声の有無 (有声音、無声音)

です。この子音の発音で問題が出ます。正しく発音できない時は1~3のどこかに問題があります。

1破裂音

呼気の流れを止めて勢いよく息を出す音です。頬に息を貯めて指でつつくと“ぷっ”と音が出ます。息が口唇で破裂されてできた音です。ぱ行 ば行 た行 だ行 か行 が行 がそうです。

2摩擦音

狭い隙間に呼気を通すことで摩擦が起こります。上口唇と下口唇を近づけて隙間を狭くします。その隙間に軽く息を通すと摩擦された音が出ます。“ふ”を発音してみてください。さ行と は行は構音点の違いはありますが、無声の摩擦音です。

3破擦音

一度息の流れを完全に止めた後、摩擦しながら息を出してみてください。

ゆっくり“つ”の音を言ってみてください。舌先が上の前歯の付け根に押し付けられて隙間が無くなります。そこで溜められた息が破裂して「t」の音、直後に「s」の音が風のように続きます。ち つ ちゃ ちゅ ちょ は破擦音です。

4弾音

舌先を上の前歯の付け根で弾いて作られます。“ら”です。巻き舌の時の音です。「こるぁ~」  こらー ですね。

5鼻音

息が鼻腔を通って共鳴する音です。 ま行 な行 にゃ行 など

宇治市 歯医者 dysarthria なかむら歯科医院

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構音障害の種類

1置換 さかな が たかな   らっぱ が だっぱ

2省略 ラッパ が アッパ コップ がオップ たいこ が あいお

3歪み ( これは日本語で表記できないので説明は省きます、すみません。)

になります。

大きな原因の一つとして考えられるのは舌の成長不足です。

ハート舌はご存じですか。舌の下に付いている筋です。哺乳期にしっかり哺乳を通した舌の訓練が出来ていないとその筋が短くならず、舌の自由な動きの妨げになります。少し大きくなると自然に短くなりませんから口腔外科で切ってもらうことになります。

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舌の機能低下

舌先や前舌の機能が不十分だと、中舌や奥舌を使って代わりの機能を果たそうとします。奥舌が上に挙がらないと息が鼻から漏れます。私でも難しい領域になりますので、端折ってしまいますが、結局のところ哺乳期、離乳期における舌の訓練が十分に出来ていなくて、舌の機能が発揮できていないことが構音障害の大きな原因になっているということです。

哺乳は筋トレ

哺乳期間は世界平均で4年超、WHOの推奨期間は2年とされています。日本ではどうでしょうか。半年~1年で離乳に移行しているようです。口の周辺の筋肉つまり口、唇、頬、舌をフル稼働させないと哺乳できません。哺乳瓶で吸ってみてください。(出の良いものはよくありません。)かなりの力を使わないと中の物を吸えません。赤ちゃんは生きるために必死に筋肉を使います。そして筋肉を上手に使って吸い方、飲み方を覚え、口腔周囲の筋肉トレをして筋肉の使い方をマスター、つまり機能獲得していきます。

筋トレ不足が招く弊害

吸いやすいと筋肉を使いませんから筋肉は発達せず、機能をフルに使うことを知らないまま大きくなるということになります。特に舌を上あごに付ける訓練が出来ていない低位舌になり、上あごを大きく成長させる刺激になりませんから顎が大きくなりません。当然歯並びが悪くなります。上顎が大きくならないとそれにブロックされて下あごもおおきくなれません。唇の筋肉も弱いので口ぽかんになります。

早く離乳したら、保護者が口腔機能の筋トレをしてあげないといけません。

哺乳中は赤ちゃんが勝手に筋トレしてくれますが、離乳したら食事を保護者が与えることになります。その与え方一つで機能獲得できるかできないかが決まります。歯並びにも大きく影響します。責任重大です。女性の社会参画の面から断乳時期が早くなるのも仕方ないところもあります。離乳食の与え方は妊婦健診の時に当院ではお知らせしています。

舌の機能訓練を行うには

とはいえ哺乳、離乳時期に戻れません。構音障害の対策として何が出来るかと言えば、食育、筋機能訓練(MFT)、矯正治療になるのではないかと考えています。

MFT

舌の機能が獲得できていないのですから舌の筋トレを地道にしていく他ありません。口腔機能育成のページにありますが、当院では家でも取り入れやすい3つのMFTを推奨しています。あいうべ体操、ブクブクうがい、カミカミトレーニングです。他にもありますが多くなると続きません。まずは3つをルーティンにしてください。

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矯正治療

舌の機能が乳児期に発揮できていないと顎が正しく成長出来ていないことが多いです。舌が上あごを前方、上方に押すことが刺激になって上顎を大きくさせています。その刺激がないと乳歯のうちから歯並びが悪いか、キチキチに乳歯が生えている、受け口、噛むと下の前歯が見えない出っ歯になってしまっていることが多いです。舌の訓練をするにも小さい空間ではあまり意味がありません。正しい大きさにした上で機能訓練することが望ましいと言えます。

食育

顎に噛むという刺激を与えて正しく成長を促すという意味から、保護者のしてあげられる食育はとても大切です。前歯に刺激を与える、前歯がぶりできる食材を食事の一品に加えていただくことで機能訓練できるのです!ポイントは細かく切らないことです。

ノーリスク

構音障害は、歯科的な対応だけで必ず治るとは言えません。しかしデメリットは何一つありませんから、言語療法だけでなく、歯科治療に取り組むことも検討してみてはいかがでしょうか。