テレビやゲームしている時や何気ない時のお子さんの顔を見た時、口がポカンと開いていませんか?最近のお子さんは結構口ポカンが多いです。大型ショッピングセンターに行ったときや電車に乗った時など、年齢にかかわらず口元を見てしまいます。職業病みたいなものですかね。
口ポカンが良くない理由
ヒトは1日2万回以上呼吸をしています。呼吸しないと生きていけないのですが、すごい回数ですよね。呼吸のメカニズムは、息を吐く(呼気)時は横隔膜と外肋間筋が弛緩し肺が狭くまる。息を吸うときは逆に2つの筋が収縮して肺が下方向に拡がります。心臓とは違い筋肉を使って空気の入れ替えをしています。ですが、姿勢が悪いと肺が下に拡がらず上に拡がります。そうすると横隔膜や外肋間筋を使わずに首と肩で呼吸することになります。(それは運動した後と同じ)早く楽に空気を取り込もうと口呼吸を繰り返すことになるのです。姿勢が悪いことの弊害です。妊娠中から子供の姿勢が決まりかけています。
妊娠中に気をつけること
妊娠期を通して椅子にはもたれない
椅子にもたれると子宮の形に変化が起きやすくなり、胎児の姿勢に変化が起きやすくなる。
座る時は浅く足指に体重をかけてやや前傾姿勢をとる
妊娠中期以降、寝る時はシムスの体勢がよい。たまに変えるとよい。
枕の高さは首に皺ができないくらいにする
ホルモンバランスの変化で体温調節が上手くできないから、からだの冷えに注意する。
おおまかなところですが、できることをしてもらえるとよいかと思います。
鼻呼吸がよいのはなぜか
鼻呼吸だと、外気が鼻の中で温められ加湿された空気を体内に入れることができます。口呼吸だと冷たい空気が異物と共に直接体内に入ってきます。口には異物をろ過する機能がありません。口呼吸だと口腔内が乾燥して身体が冷えます。冷えると免疫力が低下し、内臓機能も低下します。鼻づまりなどの問題がないことと、適切な大きさに鼻腔が成長していないと鼻呼吸できません。鼻の問題は耳鼻科で対応していただかなくてはなりません。鼻の成長については、その真下にある口の成長と直接関係しています。口が大きくならないと(上顎)鼻も大きくなれません。
口(上顎)はどうやって大きくなるのか
歯はどこに並んでいるかと言えば、舌と頬、唇の筋肉が収縮した時でも出来る隙間に並んでいます。舌、唇、頬に挟まれた空間に歯が並んでいるということです。具体的には舌が(内側から)500g、唇や頬が(外側から)300gの力がかかります。それらの筋肉の力が均衡している隙間です。少し力に差があります。この差が外側へ顎を成長させる力になります。(唇と頬は外側への力のストッパーになります。)下顎は上顎より内側にあります。上顎が大きくなれないと下顎も大きくなれません。ですから上顎が大きくすることが大切です。何もしていない時、舌の先はどこにありますか?
舌の定位置
舌先は上の前歯の歯と歯茎の境目あたりに付くのがノーマルです。(少し下がって上と下の前歯の間に舌先を入れ込んでいくと、上と下の前歯が噛まなくなってしまいます。)この舌の定位置をインプットして覚えておくことが顎の成長に重要です。この位置をスポットといいます。その位置に舌があることで、舌の筋力が上顎の前方、側方にかかり、顎と鼻を成長させることになります。舌の定位置を覚える訓練が哺乳です。哺乳の仕方、授乳の方法、哺乳の期間、哺乳瓶の選び方、離乳食の与え方とその方法を通して赤ちゃんが覚えていくので、どこかで間違えるとスポットの位置を間違えてインプットすることになり、後から治すのが大変になります。
低位舌
スポットを覚えないと、舌を持ち上げることを覚えません。舌を持ち上げるには筋力を必要とします。舌を持ち上げておくことで、舌は後ろにいかないので気道が狭くなりません。狭くならないので鼻呼吸しやすいです。もちろん顎が大きくなっているので鼻も大きくなっていますから、鼻呼吸しやすい環境が整います。舌が持ち上がらないことの弊害の一つが無呼吸症候群です。気道が狭くなるのでいびきをかいたりします。また、気道を確保するため、歯ぎしりしてでも(前に出すのに邪魔な歯を削ってでも)顎を前にもってこようとしてするのです。
夜型のこども
夜の10時以降に寝る5~6歳児は何%くらいいると思いますか?1980年では10%だったのが2000年では52%です。だいぶ古い資料ですから、そこから20年以上経っていますからおそらくもっと増えているでしょう。睡眠リズムの乱れた子供は三角形を、睡眠の規則正しい子供に比べて5.6倍上手く描けないそうです。三角形を描かせてみて正しく描けて安心するのではなく、成長期において良くない習慣であることと認識して、しっかり睡眠させるようにしなければなりません。
睡眠障害
小児の睡眠障害が増えていますが、それは寝ている時に上気道の空気抵抗が増大して何度も覚醒してしまうからです。睡眠が分断され昼間の眠気も生じたりする睡眠時無呼吸症候群の前駆症状です。鼻づまりや口腔が正しく成長せず鼻が大きくならなかったことが原因として考えられます。鼻の治療と共にお口を正しく大きく成長させることが解決策なのです。
頭と足は筋膜でつながっている
話を姿勢に戻します。そりゃそうだと思われるでしょうが、頭と足は筋膜を通してつながっています。わかりやすい例で、口から肛門までが繋がっている消化器官をイメージしてみてください。口、食道、胃、小腸、大腸と途切れなくつながっています。筋肉も同じで全身の筋肉は繋がっています。筋膜というのが筋肉の周りにあって、舌を起点にすると足の先まで一つの筋膜でつながっています。また別ルートで、おでこの筋肉が頭頂部を経由して背中の筋肉、太ももの裏、アキレス腱、足裏から足指までつながっています。これをスーパーフェイシャルバックラインと言います。(SBL)
全身の筋肉を使ってバランスを保つ
姿勢を保つのに必要な筋肉を抗重力筋と言います。全身の筋肉を使って立っていると言ってしまえば、そうなのですが大きく関与してるのは、前面で言うと、首の筋肉(胸鎖乳突筋、舌骨上筋群、舌骨下筋群)腹筋、太もも(大腿四頭筋)、すね(前脛骨筋)、後面でいうと背中から腰にかけての脊柱起立筋群、お尻(大殿筋)、太もも(ハムストリングス)、ふくらはぎ(下腿三頭筋)です。これらを抗重力筋と言います。重力に対抗して直立しているのです。
足は姿勢を保つのに重要な働きをしている。
足は身体の土台です。足の崩れは姿勢の崩れにつながります。姿勢が崩れると真っすぐを保とうと左右前後均等に筋肉が働かず、収縮のきついところは凝りなどが出ます。足が良くないと下から上に向かってバランスが崩れます。顎のズレも同じで、ズレを補正するために首が傾く、その傾きの逆に背骨が傾くなどやはりバランスを保つために姿勢が崩れていきます。
足のトラブル
代表的なもので、外反母趾、O脚、偏平足などは姿勢が崩れて起こった症状です。その姿勢の崩れが足から起こったものか、遠く離れた口から起きているのか、またはその両方なのかをみていかないといけません。正しい姿勢でいられるためには、
正しく口腔の成長させることと、顎のズレがあれば噛み合わせの治療(下行性運動連鎖からアプローチ)
体重を受け止める足のズレを起こさないようにすること(上行性運動連鎖からのアプローチ)
が必要になります。