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詰めた物が取れてもすぐ着けられないのは何故なのか

2023年9月28日

取れたから来たんだけど

診療所を訪れてくださる理由に詰め物、かぶせ物が取れた、ということがあります。定期的にお口のメインテナンスをしていただいていても、残念ながらそのようなことは起こりえます。詰めたものが取れただけなので、セメント着けて戻せばいいだけだから時間はかからないだろうし、すぐ診てもらえるだろうとお考えのことかと思います。

付け直すにも手順とチェック事項がありますから、1分2分で終わりません。連絡なくお見えいただく方もあるのですが、事前にご予約していただいている方の治療の時間を削る訳にいきません。お待ちいただくことになります。時間を取って治療に当たらないといけない診療が続く予約だった場合、当然待ち時間が長くなります。待ち時間が比較的少なくなる日時を提案してお帰りいただくこともあります。

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横入りされて気分いいですか

詰め物やかぶせ物がとれて不便であることは承知しておりますが、皆さんも横入りされるのは嫌ですよね。自分の予約した治療時間が少なくなるのは気分のよいものではないと思います。なるべく早く対処はしたいと思いますが、早くを希望されれば早いほど、ご希望の時間になりにくいことをご承知おきくださると助かります。

事前に電話一本

また事前に電話で、当院にかかられている方であれば、上か下か右か左か、詰め物かかぶせ物か、などわかる範囲でご連絡いただくと、カルテやレントゲンからどんなものが取れたかを類推し、着け直すだけですむなら、その治療時間の見当をある程度つけることも可能です。もちろん着け直すことができない場合も多々あります。当院へかかられたことのない方も同様になるべく詳しくご連絡いただけると診療の一助になります。

着け直すことができない場合、限られた時間で拝見させていただいていますので、改めて後日時間をお取りして治療させていただくことになります。不便の解消にはできるだけ早く対処できるよう取り組んでいます。なるべく早く折り合える日時を提案しますのでご協力ください。

なんで時間が必要なのか

取れたには理由があります。その原因を確認します。

虫歯

詰め物やかぶせ物は歯と材料との間にセメントを言われる接着剤で引っ付けています。歯と詰め物は硬く、硬いもの同士を接着剤でとめています。虫歯が出来るとその部分の歯は軟らかくなります。硬いものが軟らかくなるのでそこに隙間ができて接着剤の効力が失われるのです。なかなか上手く例えられないのですが、木片と木片を接着剤でくっつけたら付きます。片方の木片が腐敗してぼろぼろになってくると外れてくる、みたいにイメージしてもらえるとよいかと思います。

虫歯を取り除く

軟らかい虫歯の部分を取り去り、硬い健全な歯質と詰める材料で修復するようにします。被せるのも同じです。詰めたり、かぶせてあるものが取れるくらいですから虫歯は進行しています。ですから神経を残す材料を補填したり、神経が無い場合は土台を補強したりしなければなりません。神経のない場合は痛みがありませんからかぶせ物が取れた時には元に戻すことができなくなっている、なんてこともあります。それは抜歯を意味します。一番極端なことまで述べていますが、これらのことを僅かな時間で処置することはできません。合間の時間ではとても対応できません。

レントゲンで映らない虫歯もある

定期的にメンテナンスに来ていただいていても虫歯のチェックをしきれないことがあります。レントゲンで金属は真っ白に映ります。金属でないところはその陰影で虫歯かどうか診断することはできます。金属の中、かぶせ物のなかを確認することは難しいです。メンテナンスにお越しいただいたときにはかぶせ物の金属やセラミックの境目のチェックは密に行っています。それくらいしかできませんが、怪しいときには角度を考えてレントゲン撮影することもあります。

残っているセメントの除去

取れた、外れた時にはこのように、まず虫歯があるかないかのチェックを行います。次に歯に残っているセメントをすべて除去します。セメントの下に虫歯がないかを診ることと、幸い何も問題がなくて詰め物を再装着した時にセメントの厚みが増えてしまって高さが変わらないようにするためです。神経が残っている場合にはセメントを取り除く時に歯がしみることもあります。

適合はよいのか

歯の方に問題がないと確認できたら取れたものを歯に合わせてみます。噛みしめのきつい方は歯が欠けていたり、金属の薄いところが変形しているかもしれないからです。

歯の薄い部分がかけていたり、金属の薄いところが欠けていたりしているとその部分からセメントが溶解しやすくなるので再治療が必要となります。特に噛みしめの力の強い方はその傾向が高いです。また外れた時に詰め物が薄いと変形することがあります。そうするとやはり再装着はできません。

外れやすい詰め物かぶせ物

薄い詰め物、背丈の低いかぶせ物は接着する面積が、厚みのある詰め物、丈のあるかぶせ物に比べると少なくなりますから外れやすいです。外れにくくするには接着面積を増やす必要があります。それが難しい場合には力学構造を考えた形態を設計します。それでも歯ぎしり、噛みしめの強い方はどうしても外れやすいです。

噛み合わせのチェック

歯やインプラントは縦方向にかかる力には強いのですが、横揺れにはそれほど強くないのです。奥歯を守るために犬歯は存在しています。犬歯がちゃんと機能していると歯は横揺れから守られます。詰め物、かぶせ物も同じで、横からの力がかかりすぎると外れる原因になります。ですから、取れた詰め物やかぶせ物を再度装着した後、必ず噛み合わせのチェック、必要なら調整を行います。セメントも僅かですがその厚みがありますから噛み合わせのチェックは必要になります。

土台ごと取れた場合

被せが土台ごと取れてくることがあります。土台がついているので神経が無いことがほとんどです。その場合まずチェックするのは歯がわれていないか、ヒビが入っていないかを確認します。割れていたり、ヒビが入っていたらその部分からセメントが壊れていきますから外れやすいです。というかそのヒビ、割れている部分から細菌感染を引き起こし腫れたりします。そんな状態ですから、もちろん外れたかぶせものと歯の適合がよいことはあまりありません。無理に付けてもすぐに取れることが多いです。長くもてばそれはラッキーです。神経のない歯は神経のある歯に比べて栄養供給が絶たれるのでいわゆる“しなり”が無くなり、割れるのです。そこへもってきて噛みしめが強いと更に割れるリスクが高まります。

歯が割れたままだと骨に影響する

割れたりヒビが入っていたら基本的には抜歯です。今まで痛くないから付けてくれればいい、とおっしゃる方が大半です。長く割れている状態のままだと歯を支える周りの骨が少しずつ失われます。痛みはありませんが、腫れたり痛んだらおそらく完全に割れています。そうなると先ほど述べたように抜歯なのですが、骨が失われているのでインプラント希望されてもできない、あるいは人工の骨を使ってある程度骨を修復する、あるいはどこからか骨を持ってきて移植するなどすることになります。一旦失われた骨は容易に回復しません。

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隣の歯が虫歯

取れた歯の隣の歯が虫歯になっていることもあります。その治療を行うと、外れた詰めものをきちんと合うように調整しないといけなくなりますから時間がかかります。外れた詰め物を先に付け後日治療となると、治療範囲が広げないといけなくなることもあります。取れたものが付けられたとしても、それを活かすために後日の治療になることもあります。

ちなみにですが

もう何年も経ってるから詰め物、かぶせ物をやり替えた方がよいですか。と聞かれることがあります。保険診療で用いている金属には多くの銀、銅、ニッケルなどが含まれています。唾液の性状もありますが、口腔内は湿っていますから銀や銅は錆びやすい環境にあります。錆びてくるとセメントが崩壊しやすく外れたり、隙間から虫歯になりやすいのです。やり替えせずに済ませるには貴金属、すなわちゴールドとかセラミックを用いたものを使用されることをお勧めします。

いや、保険で、

ということでも構わないのですが、やり替える度にご自身の健全は歯が少しずつ失われる、虫歯になるリスクは変わらないということは頭の片隅に入れておいてください。長い目でみれば体に為害性のない材料を用いて健康を保持する方がよいとは思います。

なるべく早く対処するよう努力します

詰め物、かぶせ物が取れてもすぐ着けられるだろうと思われても、虫歯のチェック、セメントの除去、歯の欠けが無いか、詰め物、かぶせ物の適合具合、歯にヒビが入っていないか、噛み合わせのチェック、装着後のセメントの取り残しはないか、隣の歯の虫歯はないか、セメントの硬化時間待ち、などなどいろいろ医院側ですることがあります。簡単そうに思われるかもしれませんがきちんとした時間が必要な治療なのです。

 

人類史上最大の感染症はコロナではなく歯周病です

2023年9月21日

こう書くと、そりゃ歯科に関係があるものだろうと思いますよね。だとしたら虫歯か歯周病の二択になりますよね。治りにくいのはどちらかと考えると、そうです、歯周病なんです。ギネスブックで歯周病について人類史上最大の感染症と紹介しています。歯周病は予備軍含めて日本国民の約80%、20代でも約半分が罹患しているとされています。口腔内に常在している歯周病菌によって歯を支える歯槽骨が溶けて歯を失う病気です。歯槽骨が失われていくにつれそれに合わせてその上に乗っている歯肉が下がっていきます。歯茎にも骨にも血管から栄養が供給されています。小さく細いものですから血管内の血液の色が透けているので歯茎はピンク色に見えます。それくらい薄いものですから歯周病菌は炎症部の毛細血管に入り込み、そこから体全体に回り免疫力を下げて様々な生活習慣病の発生を助長します。

疾病リスクを引き上げる口腔内細菌

長らく口腔内のトラブルとして認識されてきた歯周病ですが、最近の研究で歯周病が心臓疾患、脳卒中、糖尿病などと関係していることがわかっています。歯周病菌が血管を通して全身にひろがることで全身疾患を引き上げています。歯周病が引き起こす病気として他に動脈硬化、肺炎、がん、骨粗しょう症、認知症、早産低体重児があります。

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メタボリックドミノ

メタボリックドミノとは河川の上流で放流される汚染物質が下流域の汚染原因になっていることを、上流に歯学、下流の医学としてドミノで例えたものです。歯周病になると生活習慣病が知らない間にドミノ倒しのように進み人命に関わるような疾病を引き起こします。ですから、上流の口腔でケアすることで多くの生活習慣病を未然に防ぐことができます。

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低体重児、早産のリスク

歯周病はそうでない人に比べ低体重児や早産のリスクを高めます。早産は2,27倍、低体重児は4,03倍にも上るというデータがあります。妊娠前から口腔ケアを行うことがとても重要です。

歯の残存歯数と医療費の関係

65歳の人12000人を対象に行われた調査で一回当たりの医科での医療費で

残っている歯の数

20本以上   19750円

0~4本   29350円

(この途中の本数もあるのですが割愛します。)

歯の残存歯数が少ないほど医療費が高くなっています。口腔内の健康が全身の生活習慣病に関係していることがわかります。

このようなことがわかってきて政府も医療費削減のために国民皆歯科検診で口腔の健康増進を図ろうとしているのです。そりゃそうですよね。人口は減り、歳入を増やすのが難しいのですから。国民にとっても死ぬまでおいしく食事できる確率が高くなるのですからそれに越したことはありません。

1本の歯の価値

永久歯は一度失ってしまうと二度と生えてきません。日本では一本の歯の価値は100万と言われていますが、アメリカでは何と一本500万!とされています。親知らずを除いて全部で28本ありますから日本では2800万、アメリカでは1億4000万が歯の価値とされています。大事にしないといけませんよね。口腔ケアの意識を高めて一本でも歯を残していきましょう。

口腔ケアは健康への投資

口の中だけの問題と思われがちな歯周病ですが様々な感染症とも密接に関係しています。

歯周病のない人に比べてある人のリスク

新型コロナウィルスの重症化リスク  5倍強

人工呼吸器使用の可能性  4,57倍

集中治療室に入院する可能性 3,54倍

合併症発症の可能性  3,67倍

(Journal of clinical periodontology 2021 2 より)

インフルエンザウィルスによる学級閉鎖率が学校での歯磨き習慣をしたことで半分くらいになったという報告もあります。細菌感染、ウィルス感染とも効果的な歯磨きや医院でのプロフェッショナルケアすることで清潔な口腔環境を維持していくことで感染予防にもなります。生活の質も上がりますし長く健康的な生活を送っていくコツかと私は考えます。

4人に1人が知覚過敏

2023年9月14日

食事中に前触れもなく起こる“ズキン”としみるような痛みの原因は知覚過敏であることが多く、日本人の4人に1人が悩まされていると言われています。

口の中に風が吹き込むと痛みを感じる

硬いものを噛むと刺すような痛みがある。

酸っぱいものが滲みる

冷たいもの、熱いものが滲みる  などなど こんなことが知覚過敏の症状です。

象牙

歯の一番外側はエナメル質、その下が象牙質、更にその下が歯の神経すなわち歯髄になっています。3層構造です。一番ボリュームがあるのが象牙質、エナメル質はそんなに厚みはありません。歯の根の部分の一番外側はエナメル質でなく、エナメル質に相当する部分はセメント質になります。セメント質はエナメル質よりも更に厚みが薄く、エナメル質とセメント質は組織構造が違います。象牙質は通常口の中に露出することはありません。加齢と共に、あるいは歯ぎしりなどで同じ硬さの歯をすり合わせているとエナメル質が削れてきます。

歯は硬い、だけど

歯より硬いセラミックや金属とエナメル質の組み合わせでもエナメル質は削れてきます。削れてくるとエナメル質で覆われていた象牙質が口の中に出てきます。象牙質は象牙細管と呼ばれるとても細かい管でできていて、その管は歯髄すなわち歯の神経とダイレクトにつながっています。その管を通して刺激が歯髄に伝わります。しみるのはそのせいです。それが滲みる痛みとなります。エナメル質にはそのような管は無く、外からの刺激をブロックしています。エナメル質は骨よりも硬く、ダイヤモンドでなければ削れません。セメント質はエナメル質に比べると硬さはぐっと落ちます。

適度の力

研磨剤のいっぱい入った歯磨剤で歯と歯の境目を歯ブラシの毛先が2、3週ほどで開いてくるくらい力いっぱいゴシゴシ磨き続けていると、セメント質が削れて象牙質が露出してくることがあります。噛みしめ、磨きすぎの他に食習慣、というのもあります。柑橘類や酢の物、などの酸性の強い食品、炭酸飲料などを頻繁に、あるいは長時間にわたって飲食すると歯の表面のエナメル質が溶けることがあり象牙質が口腔内に露出することがあります。飲食だけでなく洗口液の中にも酸性の強いものがあります。そういったものでもエナメル質の構造は弱まっていきますから用心してください。なるべく中性に近いものを選択するとよいでしょう。

虫歯とどう違う

虫歯と知覚過敏は似て非なるものです。エナメル質が失われて口腔内に象牙質が露出して滲みるのは同じですが、虫歯はいわゆるミュータンス菌が糖分を元に強酸の分泌物を出してエナメル質を溶かすのです。脱灰というのですが、知覚過敏の場合はエナメル質が溶けるのではなく削れていく、という認識でよいと思います。虫歯を予防するには糖分の摂取を控える、あるいは食事の後にブラッシングしてミュータンス菌の活動の足掛かりとなる糖分を一掃することが大切です。

唾液のチカラ

すこし話は逸れますが唾液の中にはリン酸やカルシウムなどエナメル質を再石灰化する成分が含まれています。市販の歯磨剤に含まれるフッ素に比べて濃度は低いものの口の中で24時間ケアできているということでもあります。そのためにもエナメル質表面が清潔でなければなりません

自然に治ることは、、

知覚過敏や初期の虫歯は条件が整えば自然治癒することがあります。

 正しい歯の手入れ

できるだけ毎食後に歯を磨く 無理なら口をすすぐ

力を抜いて磨く

適切な歯磨き法で磨く

 歯磨剤を選ぶ

研磨剤を含まないもの

洗浄力の高いもの(バイオフィルム、歯の表面に付いているヌメリのようなものを除去できる   もの薬効成分のあるもの酢酸トコフェロール、IPMP LSSなど

アルカリ系のもの(口腔内は酸性に傾きがちなので、中性になるように)

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 日常生活

酸性の食品を摂取したら、なるべくそれが長く残らないようにする。歯磨きできなければゆすぐのも一法です。酸性の食品のダラダラ食いをしない(ウメボシ、酢の物、柑橘系果実など)

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ストレス

セルフケアや歯磨剤で改善することもありますが、先に述べた原因が一つでなく色々混ざって症状が出ていることもあります。その場合は一つの原因の除去だけでは改善しません。歯ぎしりもストレスが原因になって起こっていることがあります。ストレスは現代人誰もが抱えていて一朝一夕に解決するものでもないのではと思います。歯ぎしりを止めるものではないですが夜間にマウスピースをすることで上下の歯同士をすり合わせないようにしてエナメル質が削れることを防ぐことも有効な治療です。スポーツ用ではありませんからとても薄いものです。セルフケア、削れた部分の修復、マウスピースの使用などで知覚過敏の改善を目指すのですが、治す、治るのが難しい疾病であるのは確かです。

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前歯がガタガタになるのは何故でしょう

2023年9月7日

若い頃は

高齢の方から時折、前歯がガタガタになってきているので治してほしいと言われることがあります。若いときはきれいに並んでいたんだけれど、と言われます。程度は様々でしょうけれどおそらくそうだったんだと思います。

歯は動く

歯を一本失うとその両側の歯と向かい合う反対側の歯が、失われた部分に向かって歯は倒れたり、伸びたりします。倒れた歯を元のように傾けて起こすとなると元々生えていた位置より高くなりますから骨の中にめり込ませるような力をかけないといけません。伸びている歯も元に戻すのも骨の中にめり込ませないといけません。歯をめり込ませる力を加えるのはとても難しいのです。また歯を骨の中にめり込ませるには相当の力が要りますから歯にダメージを与えることになります。自然に元の位置に戻ることはありませんし、矯正すれば出来なくもありませんがそれ相当な時間と費用がかかります。

失われたら早く処置をしましょう

ですから歯を不幸にして失うことになったら必ずその部分をどのような方法でもよいので早期に治してください。具体的には入れ歯、ブリッジ、インプラントなどです。残っている歯を守るという観点からはブリッジはあまりお勧めはしません。入れ歯もいわゆる金具のかかっている歯に、昔あった栓抜きのような力が毎日かかりますから揺れてくる可能性が高くなります。いろいろな条件が合致しないとできないこともありますが可能ならインプラントがベターなのかと思います。

骨は減る

前歯がガタガタしてくるのは加齢により歯を支える骨が減ってくるから歯が動きやすくなるのです。歯周病なら加齢は関係ありません。歯を支える骨が加齢でなく、歯垢の付着による炎症で減っていくのです。歯周病になればより歯は動きやすくなります。歯は身体の真ん中、前歯の真ん中に向かって寄りかかっていると考えてください。後ろによりかかっていくことはありません。歯が動きやすくなっている状況で歯が真ん中に寄りかかろうとするから前歯がガタガタになってくるのです。加齢や歯周病で歯を支える骨が少なくなっていても歯茎の炎症がなければ歯の揺れは最小限に抑えられますからぜひ効果的な歯ブラシをしていただきたく思います。

親知らず

もうひとつ大きな原因と考えられるのは親知らずです。親知らずが横を向いていて、それが生えようとするとその前の歯を前の方に押そうとする力が働きます。それが順繰りに力が伝わり前歯を動かす力になります。前歯だけにかかわらず奥歯も傾いたり回転したり倒れたりします。真っすぐ生えていてもすべての歯が並ぶだけの顎の大きさがなければやはり親知らずより前にある歯を前に動かすことになるのです。ですから矯正治療を行うにおいて親知らずを抜くのですが、わずかな歯列不正、ちょっと傾いているとか倒れているのも親知らずの抜歯でよくなる可能性もあります。矯正治療における親知らずの抜歯はそれだけでなくて、歯を後ろに移動していくことになったときに親知らずがあると後ろに動かないから、ということでもあります。

抜くか抜かないか

歯を移植するときに必要となる親知らずではありますが、矯正治療には不要であることが多いです。矯正治療で歯並びだけでなく噛む力や健康が取り戻せるようになれば、歯を失うことも少なくなると考えられますから親知らずの抜歯は身体への侵襲もそれなりにありますが、特に若いうちに検討されるとよいかと思います、もちろん年齢は関係ありません。若いうちの方が腫れることは多いですが、抜いた後に治りがよいのです。年齢が高くなると歯と骨が癒着してなかなか抜きずらくなっていくからです。特に噛むという機能を果たしていないと癒着する傾向にあります。

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よい出っ歯があるって本当?

2023年8月31日

乳歯は20本

人間は産まれてから大きくなるのですが、顎も同じように大きくなります。そこに歯が生えてきます。前歯から順に後ろに向かって上10本、下10本計20本の乳歯が生えてきます。 永久歯でもそうなのですが、乳歯でも歯の数の足らないこともあります。2つの歯が一つになった癒合歯というのがあります。前歯に多いです。前歯は通常4本ありますが2本や3本のこともあります。乳歯の前歯が1本ないというケースもあります。乳歯の奥歯はそういうことは少ないです。

上と下の顎の発育はピークが違う

顎は上あごと下あごで成長するピークが違います。上あごは頭と同じ成長曲線になります。6歳でおよそ80%成長が終わっています。下あごは身体と同じような成長をしていくので遅ければ18歳くらいまで続きます。

歯の大きさは変わりませんから、成長途中、永久歯が生え揃うまでどんどんすきっ歯になっていくのが通常です。霊長空隙、成長空隙と呼ばれる空隙ができてくるのがノーマルですが、乳歯なのにキチキチに生えている、あるいは歯並びがよくない、のはよくありません。前歯は乳歯より永久歯の方が大きいですから、乳歯がキチキチに生えていると永久歯の歯並びは悪くなります。成長につれ顎が大きくなるので歯も並ぶだろうと思われるかもしれませんが、そんなことはないと言われています。歯の数が少ないと、それにおおよそ合った分しか顎は大きくなることがないので、永久歯になっても歯が並ばないことが多いです。乳歯の歯並びがキチキチになるのは、哺乳の仕方の誤りや離乳食の仕方、が原因とされています。それについては以前のコラムにありますのでご参照ください。

受け口は早く キチキチも早く

受け口については気づいたら早めに治療しないといけません。先ほど述べたように上あごの成長が先に終わり、下あごの成長が続くので、取り掛かるのが後になればなるほど治療に時間がかかり、負担も大きくなっていきます。早くに下あごよりも上あごを大きくしなければなりません。顎を拡大するのです。

乳歯の歯並び、永久歯に生え変わりつつある歯並びで、キチキチに生えている、あるいはガタガタに生えている、あるいは生えそう、八重歯になりそう、という感じ、雰囲気、家族に歯並びの悪い人がいる、場合にも上あごを大きくしてあげないといけません。それも早く。頭の成長、上あごの成長は6歳で80%、12歳でほぼ100%終わるからです。その間に歯が並ぶだけの大きさにしなければなりません。ちょっと難しくなりますが12歳を過ぎていても個人差がありますから諦めないでトライした方がよいです。

出っ歯の良し悪し

その意味で歯がガタガタでない多少の出っ歯で、下あごの成長が考えられる年齢であればあまりナーバスにならなくてもよいです。もちろん程度もありますけれど。今は出っ歯でも後から下あごが大きくなると前後的な関係がよくなる可能性が高いからです。下あごの成長が思うほどでなくても、あとから比較的対応しやすいです。下あごを前に出したり成長が終わったら抜歯して並べるという手立てもあるからです。顎を大きくすることは成人でもできるといえばできますが、成長期に比べると制限もあります。時期を逃さず取り組むのが大事です。6歳からお子さんの歯並びは特に注視してあげてください。

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歯がキィーンとする原因は知覚過敏だけではありません

2023年8月24日

歯ブラシをしていると歯がしみる、キィーンとする時がある。甘いものを食べるとしみる。歯ブラシをして口をゆすぐときにしみる、などが気になって受診される方が少なからずいらっしゃいます。いわゆる知覚過敏の症状なのですが、原因がなんだろうといろいろ考えます。

虫歯?

一番わかりやすいのが虫歯です。虫歯になると歯の神経までの距離が短くなっていくのでしみるのです。歯の神経はエナメル質、象牙質という硬い組織の内部にあります。硬い組織で覆われていますからその組織が崩れていくと知覚が反応しやすくなっていきます。はじめは一過性に感じていたものが、抗組織の崩壊が進むと、常時感じるようになっていき、ズキズキするというふうになります。レントゲンなどで確認して虫歯を除去して詰めればよくなります。ただ虫歯が大きくて、すべて取り切ったときの神経までの距離が短いとしばらくしみることが続くこともよくあります。お一人お一人の神経のバイタリティーも違いますから全くしみない人、しみるのがよくなるのに長くかかる方、いろいろです。あまりにしみるようなら神経処置しないといけない場合もあります。

虫歯のできる位置によってもよくなり方が違います。噛むところの虫歯は比較的治りやすく、歯の付け根や歯と歯の間の虫歯は治りにくい傾向にあります。定期健診で虫歯のチェックはマメにされるとよいかと思います。

歯周病?

歯周病で歯茎がやせて、歯の根っこが出てくることで歯がしみることもあります。歯の根っこはエナメル質と呼ばれる組織がなくてセメント質に変わります。知覚を神経に伝えやすくなるからです。歯の根っこが出ているだけでなく歯周病の原因である歯垢が付着している、または付着し続けていると歯垢の中、表面にいる歯周病菌により知覚過敏を引き起こします。この場合には歯垢を除去することが原因を取り除くことになりますから、私共の治療と共に毎日のブラッシングというご自身によるケアが大切です。ただ歯ブラシするだけでなく歯間ブラシなどで、歯茎の下がった歯と歯の間の清掃が重要です。歯と歯の間の隙間は場所により異なることが多いので複数の歯間ブラシが必要なことが多いのですが、道具が増えると面倒になり続かなることもよくあります。そうなってほしくないので、衛生士さんから少ない清掃器具を上手に使いこなせるようになってもらいたいと思います。

噛みしめでは?

一番難しいのが噛みしめ、歯ぎしりによるものです。歯の付け根がすり減っている場合も、すり減りのない場合もあります。歯にヒビが入っている場合もあります。そのヒビも目視できるものもあればできないものもあります。ヒビくらいではレントゲンには映りません。歯が割れていれば映りますし、診てもわかります。もちろん本人も噛むと痛いとか、ぐらぐらするとか、わかります。

その中でも対応しやすいのは歯の付け根が削れている場合です。強い力でゴシゴシ付け根を磨いて歯が削れるケースもありますが、そういうことはあまりなくて噛む力が強いとその力が付け根に集中して削れます。歯は骨より硬いですが自分の噛む力で歯を削り取っているのです。原因は噛む力ですからそちらをコントロールすることが重要なのですが、それはとても難しいです。仕事している時、作業している時に噛みしめていることはありませんか。起きている時にそういうことのないよう意識することで寝ているときの噛みしめをコントロールできるという論文があります。起きている時より寝ている時の噛みしめ、歯ぎしりが歯を削っているのです。

対症療法として歯ぎしり用のマウスピースがあります。これで歯ぎしり、噛みしめが良くなる訳でなく、歯同士の接触を無くすということで力を少なくできないかということです。すり減った歯の部分を樹脂で埋めて直接歯に刺激がいかないようにすることもします。ただ自分の歯も削れるくらいの力がかかるのですから詰めた樹脂も取れやすいです。

ひびは困るのです

いままで述べてきたいずれでもなく、歯にヒビが入っていることが原因であると考えられる場合が一番困ります。何かで埋められればよいのですがそれも難しく、知覚過敏用の薬剤の塗布とマウスピースの使用になります。虫歯などと違って即効性がないのが実情です。年齢が上がると歯の色が黄ばみますが、歯にヒビが入ることで黄ばんでいきます。加齢と共に歯にヒビが入っていきます。だからといって高齢者が皆さんしみているわけではありません。

磨き過ぎで歯茎に傷があってしみているのなら自然に治りますし、塗り薬で早く治りますから簡単でよいのですけれど

 

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下あごを前に出すには訳がある

2023年8月17日

すり減るもの

人間は年齢を重ねると少しずつかみ合わせの高さが低くなっていきます。同じ硬さの歯で噛んでいるからすり減ってくるからです。そうすると下顎がだんだん後ろの方に下がっていきます。後ろへ下がっていくと顎の関節も後ろへ押しやられますから、そのせいで変形が起こっていきます。それは少しずつ起こりますから気づかないうちにおこります。加齢によるものですからやむを得ないことではあります。治療を行った歯は金属やセラミックに置き換わることが多いです。歯でない材料ではありますが歯とすり合わせていくと削れて行きます。

加齢でなくてもかみ合わせが原因で顎が奥に押しやられることもあります。両方のことも片方のこともあります。症状として出るときもあるときもあれば出ない時もあります。

噛み癖もあります。よく使う側のかみ合わせの高さも減りやすいです。減っていくとそちら側の顎の関節が奥に押しやられて、関節の変形などを起こしやすいです。顎を開け閉めするときにカクカクなったり、痛みが出たりします。いびきをかいたりするのもその一つです。それは顎が後ろにいくことで舌も後ろにいき、気道が狭くなるから口で呼吸するのでいびきになるのです。かみ合わせの高さが低くなることでよくなることはありません。元の高さに戻すには色々な手立てがあるのですが、なかなか症状がないとそうしない方が多いのです。

さあどうしよう

すり減ったかみ合わせを元に戻していく手順として、まず元々あったであろう位置を探すことになります。たいていは前方にあります。そうすると顎を前に出すことになるのですが、奥歯が噛まなくなりますよね。2つの手立てが考えられます。一つは空いたところにかぶせ物をしていく方法、もう一つは矯正で歯を浮き上がらせていく方法です。

2つに1つ

歯のほとんどがかぶせてあれば、かぶせ物のやり代えをしていけばよいのです。ただ治療していない歯を削るのには抵抗があります。この方法はほとんどの歯が治療している場合に用いるとよいでしょう。

ほとんどの歯を治療していない場合には矯正治療で上下の歯を噛ませるようにするのがよいと考えます。いわゆるハリガネを使った矯正ではなく、マウスピースを使った矯正で対応することが可能です。というかそちらの方がよいです。

マウスピースを使うと歯にはめることでかみ合わせると高さは当然上がります。あがることで奥に押しやられていた顎が前に出やすくなるからです。顎が楽な、元の位置を決めやすくなるからです。長年押しやられていると元に戻ることができなかったり、顎の変形が戻らないこともありますがこれはやってみないとわからないところでもあります。マウスピースで治ります、とは言い切れませんが、よくなる傾向にあると言われています。かぶせ物が多い状態でもマウスピースによる治療は可能です。その治療するのにかぶせ物を外さないといけないこともありますのでご留意ください。

骨に埋まっている歯と骨から出ている歯の比率を大きく変えることはしない方がよいです。歯を浮き上がらせると、それにつれ骨もついてくると言われています。かぶせ物ではそうはなりません。その点を考えるとどちらがよいかはご理解いただけるのではないでしょうか。

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顎先に、にきびはできませんか

2023年8月10日

下唇の下の部分が化粧のノリが悪いとか、顎先にニキビができやすい、ほうれい線に左右差があるなど、女性の方はよくお顔をみられるので気になったことはありませんか。これにはかみ合わせが影響していることがあります。本当?って思われますよね。

顎関節

人間の歯は骨よりも硬く、むしばの治療の時に歯を削るときに切削器具につける材料は、ダイヤモンドを細かく砕いたものを成形したものです。ざっくり言えばダイヤモンドで歯を削っています。そればかりではありませんが、たいていはそうです。それくらい歯は硬いです。上下の歯をかみ合わせると接触面積が最大になるところでかみ合わせていきます。しっかり噛もうとすると体重分くらいの力がかかります。前歯だけでしっかり嚙み切ることはできません。やっぱり最大接触面積になるところで噛みます。その最大接触面積でかんでいるところの顎の関節の位置と、噛んでないときの顎の関節の位置がずれていると、関節に負担がかかります。一番良いのは一致していることです。その状態だと関節に負担はかからないので問題は起きることは少ないです。一致していないとどうなるのか、ということですが最初のうち問題はないのです。特に若年者には適応能力が高く症状はなかなかでません。でませんがレントゲンなどにその兆候が表れてきます。症状としては口を開けるときに顎がカクカク鳴る、とか口を長く開けてられないとか、口を開けると痛みを感じるとかです。噛んだ時と噛んでない時の顎の関節の位置にズレがあると顎の関節に一部が変形してきます。通常は手の親指のような形ですが足の小指くらい小さくなったり、尖ったりしてきます。

血流量

噛んだ時と噛んでない時の顎の関節の位置を一致させるようにすると顎の関節は少しずつ元の形に戻っていくことが多いです。年齢やダメージを受けた期間、個人差などもあるのですべてではありません。顎の位置のずれがあると関節内のどこかが押されます。押されたところの血管は流れが悪くなります。わずかながらも左右対称でなくなります。末梢の部分の血流ではありますが、心臓から送り出される血流量にも左右差が表れます。血管の走行は必ず左右対称ではありませんからの顔の中を流れる血流量も左右で変わってきます。わずかな顎の関節の血流ですがこのことで他の部分の血流量に影響を及ぼし、顎先の血流の悪いところにニキビができます。顎の関節のことがすべてではありません。顎の関節に問題がある場合にそれを改善するとよくなることがある、ということです。

噛み癖

顎の関節に問題があると噛み癖が顕著になってきます。誰にでも噛み癖はあります。痛くない方、あるいは逆のこともあります。噛み癖のある方の歯のすり減りがきつくなっていきますからかみ合わせの高さに左右差が出てきます。そうすると顔をみると目の開き具合に左右で違っていたり、肩の上がり方が左右で違っていたりします。写真撮るときにカメラマンからどちらかの肩を上げてくださいと言われたことはありませんか?自分では普通にしているつもりなのに。噛み癖があると癖のある方の筋肉が発達してきますから正面から見たときに首の太さに左右差が出てきます。そうです。ほうれい線にも左右差がでてきます。上唇に付着している筋肉は鼻の横あたりにまでつながっているのです。

どう治す

顎の関節をかみ合わせで治したり、かみ合わせのズレを治すことで顔の感じが変わることがあります。治し方には2つあって、一つはかぶせ物をやりなおすことでかみ合わせをよくすることです。ほとんどの歯がかぶせてあると適応になります。ほとんど治療していない歯だと歯を削ることになりますからお勧めできません。もう一つが矯正治療でかみ合わせをよくすることです。治療していない歯が多い場合にはこちらを選択することになります。特にマウスピースによる矯正だとかみ合わせの高さが一時的に高くなるので治療効果が比較的得やすいとされています。

プライスレス

どちらになるにせよ、顎の関節にとってどの位置が負担が少ないかをある程度知ることからになります。また治療の期間や費用はそれなりにかかります。でもそれに対して得られる恩恵、健康は何にも代えがたいのではないでしょうか。

宇治市 歯医者 nikibi なかむら歯科医院

マウスピース矯正の3つの掟

2023年8月3日

昨今よく耳にするマウスピース矯正ですが、世に出た当初は賛否両論ありました。ワイヤーに比べると適応症が限られるとされていましたが、今では適応される症例はワイヤーによる矯正とほぼ変わらないくらいになっています。どんな治療でもそうですが長所短所があります。ワイヤー矯正と違いマウスピースを取り外して口腔内を清掃することができるので虫歯になりにくいです。見た目もパッと見では付けているのか付けていないのかがわからないほどです。半面ワイヤーに比べ歯面との密着度が劣ります。自分で取り外しができるくらいですから。素材の特性もあって歯の軸を回転させるのが比較的苦手とされています。

後ろや前に動かすことはワイヤーと比べても遜色ありません。

時間厳守

ワイヤー矯正は自分で取り外すことはできません。つまり24時間歯に力がかかっています。24時間力をかけることができます。マウスピース矯正は先ほど述べたように自分で外すことができます。24時間装着していればもちろん24時間力をかけられます。

20-4=16

20時間装着し、食事や歯ブラシなどで4時間外していると歯にかかる力は16時間ということになります。12時間装着して12時間外していると12時間分力がかかって動きますが12時間分元に戻ろうとします。ですからほとんど動かないのと等しいのです。マウスピースによる矯正を行うにはせめて日に20時間できれば22時間装着することが大前提なのです。それが一つ目の掟です。

きっちり嵌める

ワイヤー矯正は

ワイヤー矯正(ハリガネによるもの)は歯にブラケットと呼ばれる装置を付けてワイヤーと歯を一体化させます。今のワイヤーは形状記憶のものが多く、理想的な歯のならびになっています。ブラケットは歯の軸に対して垂直に付け、ワイヤーはそれに対して十字の方向に収まります。ワイヤーが元の形に戻ろうとする力が矯正力になります。ワイヤーとブラケットが外れないようにゴムかものすごく細いワイヤーでとめます。ワイヤーによる矯正は概ね一か月毎に交換することが多いです。ブラケットにワイヤーを通す空間、それをスロットルというのですがスロットルに対してワイヤーの接触面が多いと強い力を歯にかけられます。少ないと力が伝わりにくいです。

ワイヤーの形

スロットルは断面にするとコの字になっていて、ハリガネの断面が丸型より方型の方が、接触面が多くなります。はじめからスロットルに対してキチキチのワイヤーだとすごい力が歯にかかりますからとても痛いです。通常はスロットルに対して余裕のある細めの丸型ワイヤーからはじめていき、少しずつ大きくし、更に方型ワイヤーに変えていきます。ワイヤーをはじめて入れたり、形状の変わったものに交換すると歯に力がかかるので痛みを感じます。時間が経つにつれ歯が動きが少なくなるので痛みが軽減されていきます。歯の動きを見ながらワイヤーのサイズ交換やブラケットとワイヤーの一体化具合の確認のため、月に一回診療所へ来ていただくことになります。

マウスピース矯正

マウスピースの矯正は歯の形そのものでは歯に力をかけづらいので、歯の表面に様々な形の出っ張りを付けます。虫歯の治療で詰め物をするときに用いる白い材料があるのですが、それを設置し歯とマウスピースを一体化させます。適当につけるのではなくてどの方向に歯を動かしたいかを考えて一番力のかかる形と方向を1歯ずつ考えてつけていきます。1歯ずつ方向、形の違う出っ張りがあることでマウスピースと歯を一体化します。マウスピースの着脱にかなり苦労するくらいです。

痛みは少ない

マウスピースは最終の位置、ゴールの歯並びまで最初に作ります。一つのマウスピースで動かせる移動量は最大0.25㎜とされています。最初のマウスピースと次のマウスピースで同じ歯でも0.25㎜ずれたマウスピースになっています。1枚のマウスピースで移動させる歯は、すべてか、1本か、何本かは治療計画で異なります。5~7日毎に交換することが多いのです。交換するマウスピースの枚数も治療により異なります。ワイヤーよりも交換時の痛みは少ないとされています。

チューイー

マウスピース矯正ではマウスピースと歯の適合がぴったりしていることが前提で治療計画が策定されていますからマウスピースが浮き上がっていたり、出っ張りが外れていると予定通りの動きになりませんから治療がうまく進みません。悪い方向に進むこともあります。しっかり嵌めていただくために、噛み噛みしていただく材料があるのですが、マウスピースを装着していただくときにそれを必ず用いていただかなくてはなりません。

脱着には気をつけて

また出っ張りが取れていないかの確認も必要です。マウスピースを外した時にその内面についていないかを確認してください。特に外しにくい場合には。ワイヤー矯正でも歯からブラケットが外れていれば力はかかりませんし、ワイヤーが外れていたら力はかかりません。これは同じことです。しっかり装着する、これが2つ目の掟です。

 

ゴムの使用があれば必ず使う

歯を効率的に動かすため、力をかけると必ず出る反作用を打ち消すために小さなゴムを口の中で使っていただくことがあります。これはワイヤーでもマウスピースでも同じです。

力をかけると必ず同じだけの反作用の力が出ます。それを打ち消すために用います。

ワイヤーやマウスピースの力だけでは動かせない場合に用いることもあります。

治療計画上必要とされたら必ず使ってもらわないと上手く治療が進みません。

これが3つ目の掟です。

3つの掟

もちろん定期的に受診していただかなければなりませんが、マウスピース矯正の場合3つの掟を守っていただき、マウスピース交換毎にお口の写真を撮影していただき専用のアプリでこちらへ送信していただく遠隔のモニタリングをしていただければ2か月くらいの受診になることもあります。治療していることがわかりにくい矯正治療は歯でお悩みの方にとっては大きな福音であることは間違いないと思います。宇治市 歯医者 mouth piece なかむら歯科医院

歯は浮いてるものです。

2023年7月27日

歯は動きます

歯は顎の中に植わっているのですが、骨と一体化しているわけではありません。乳歯はぐらぐらして抜けてきます。永久歯も歯周病になるとぐらぐらしてきますよね。歯をかみ合わせてグッと噛むと歯が沈み込むのがわかると思います。また指で歯を掴んでゆすると動くのがわかると思います。炎症などが起きていなければ歯根膜という組織を介して骨と歯が強固に結合しています。歯の周りの骨が少なくなってきたり、歯に力が強くかかると歯がゆれてきます。

インプラントは動かない

インプラントには歯根膜がなく骨と直接結合させているので、グッと噛んでも沈み込みはありません。ですからかみ合わせの調整はインプラントと天然の歯で違ってきます。天然の歯は同じ硬さ同士の上下で噛んでいるとすり減ってきます。毎日研いでいるようなものです。インプラントの部分はセラミクスなどでかぶせ物がしてあります。ほとんどが歯より硬い材質であることがほとんどになりますから噛む相手が天然の歯であれ別の材質のものであれ、すり減り方が天然の歯同士の場所とは異なってきます。ですからインプラントされていると、長く使っていただくためには定期的なかみ合わせの調整が必要です。全部が自分の歯であっても顎の関節に近いところと離れているところでも歯のすり減り方は変わってきますから、定期健診でかみ合わせのチェックは必ず必要になります。

歯は伸びる、倒れる

歯が一本抜けてそのままにしておくと、後ろ側の歯が前に倒れてきます。前の歯が後ろに倒れていきます。反対側の歯が伸びてきます。骨とがっちり結合しているとそのようなことはありません。インプラントはそのようなことはありません。歯は連続してきちんと並ぶことで均衡を保っています。一本抜けると歯並びに大きな影響を及ぼします。歯並びは唇、頬、舌の筋肉の均衡のとれるところに並んでいます。舌の力が強ければ歯並びは外に大きくなります。唇や頬の力が強いと歯並びは小さくなります。弱いと外に広がります。仮に頬がなくなると舌の力で歯並びは外へ広がっていきます。

無くて七癖

このように歯はわずかな力だけでも動きます。生活習慣でも歯並びは崩れます。わかりやすいのは頬杖や横向き寝、うつぶせ寝です。左に手を当て書き物するとか、左向きに寝るときに枕を顔全体に当てて寝る習慣があると奥歯の歯の軸が舌側に倒れてきます。頭の重さはボーリングの玉くらいの重さがあります。その反作用として同じ力が加わるのです。うつぶせ寝は下あごに奥に押しやる力が加わります。人工的に出っ歯を作るようなものです。弱い力であっても慢性的に何年も続けば元に戻ることはありません。上あごと下あごの中に舌は収まっています。歯が内側に倒れてきたり下あごが後ろに押しやられることで舌が下や奥に押しやられます。そうすることで気道が狭くなり寝るときにいびきをかく原因になったり歯ぎしりする原因になります。普段の生活でも歯並びを悪くする習慣がそこここにあります。無くて七癖、自分では気づくことがなかなかありません。家族の方に注意してみて指摘してもらうことも大事なことです。

宇治市 歯医者 cheek habit なかむら歯科医院