浮指とは
浮指(うきゆび)は、足の指が地面にしっかり接地せず、宙に浮いた状態になる現象です。歩行時や立位時に指先をうまく使えない状況を指します。浮指があると、足のアーチ機能や体の安定性が損なわれます。この浮指は、不正咬合(噛み合わせの悪さ)と密接に関係している場合があります。
偏平足とは
偏平足(へんぺいそく)は、いわゆる足の土踏まず(アーチ部分)が縮小しているか、消失している状態のことを言います。通常、足には内側縦アーチと呼ばれる弓状の構造があり、歩行時の衝撃吸収や身体のバランスを保つ役割を果たします。このアーチが平らになり、足底全体が地面に接触することで、いろんな問題が生じます。
浮指や偏平足があるとどんな問題があるのでしょうか。
人間の身体は、足から頭まで一つの連動したシステムとして機能しています。足の指が地面に接触しないと、体を安定させる力が弱くなります。身体の重心が前後や左右に偏ることになるので姿勢が崩れます。そのバランスを取るために足首や膝、骨盤の歪みを生じます。足の指が機能しないと、歩行時にかかとや足の付け根(母趾球や小趾球)に負担がかかりやすくなります。骨盤のズレや歩行パターンの変化により、膝や股関節の負担が増加します。外反母趾やX脚、O脚もどこかに何かの原因があるのです。
逆の影響で噛み合わせが偏平足や浮指を引き起こします。
噛み合わせが悪いと首や肩、骨盤に負担がかかり、足元にも影響を与える可能性があります。咬み合わせや歯並びが良くないと、顎の位置のズレを引き起こします。そのズレにより頭の位置が変わり、姿勢が崩れ、背骨、骨盤が歪みます。当然体重のかかり方もバランスを欠くので足への負担が偏ります。結果として、足裏のアーチが崩れたり(偏平足)、浮指が起こります。体の重心を安定させバランスを取ろうとするので慢性的な腰痛、首の凝りや肩の凝りなども起こるのです。靴底の片減り(特に内側が減りやすい)や長時間歩いたり立ったりすると、土踏まずやかかとの内側に疲れや痛みを感じます。
足の問題の改善方法には何があるのか
口に問題があると足に何か症状が出ます。足に症状があると体幹に問題が出ています。ですから口のことだけ治療するのではなく、足や背骨のバランスの崩れも治していかなければなりません。具体的なアプローチ方法についてお話していきます。
噛み合わせの改善
歯科で不正咬合を治療することで、顎の位置が正しくなり、全身の姿勢やバランスが改善します。特に、マウスピース矯正装置を使用した咬合治療が効果的です。顎の位置が正しい位置で安定し、全身のバランスが自然と整うからです。噛み合わせを矯正し、姿勢や筋肉のバランスを整えることで、足や体全体の負担を軽減できる可能性が高まります。
筋力トレーニングとストレッチ
首、肩、腰、股関節、ふくらはぎ、足裏の筋肉を柔軟にすることで、各部位の筋肉の緊張が緩和されます。また骨盤底筋や体幹(コア)を鍛えることで、骨盤と全身の安定性が向上します。正しい立ち方・歩き方を身に付けることで、足の指が地面にしっかりつくようになります。デスクワークの多い方は、椅子に深く腰掛け、足を床にしっかりつけた正しい姿勢を保ちましょう。具体的なエクササイズやストレッチなどは多種多様あります。自分に合うものを見つけ無理をせず、痛みが出ない範囲で行いましょう。過度の体重増加を防ぐために、適度な運動と食事管理を心がけることも密かに大切です。
足のトレーニング
足にはなかなか意識が向きませんが、大人のみならずお子さんの身体のバランスを整えるのに有効です。その簡単にできる改善方法をいくつかご紹介します。足の指を動かし、筋力と柔軟性を向上させるために行うトレーニングになります。
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タオルギャザー
足の指でタオルを掴む練習をすることで、指の筋力を強化します。床にタオルを敷き、その上に裸足で乗りましょう。そして足の指を使ってタオルを手前に引き寄せます。10回繰り返したら、逆の足でも行う。両側同時に行ってもよいです。慣れてきたらタオルの端に軽い重りを置いて負荷をかけていきましょう。
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足指グーパー運動
いわゆる足指じゃんけんです。足を床につけて座るか、床に座って足を伸ばす。足の指を大きく開き(グー)、次に指を曲げて閉じる(パー)。これを20回繰り返す。慣れてきたら、足指でペンやビー玉を拾う練習も追加すると効果的です。
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つま先立ちエクササイズ
両足を腰幅に開いて立ちましょう。それからゆっくりとかかとを上げて、つま先立ちになる。2~3秒キープした後、ゆっくりとかかとを下ろす。10~15回を1セットとして、1日2セット行ってください。安定しない場合は壁や椅子に手を添えてもらって大丈夫です。
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ヒールウォークとトーウォーク
ヒールウォーク(かかと歩き)
つま先を浮かせた状態で、かかとだけで歩く。それを10~15歩を2セット行う。
トーウォーク(つま先歩き)
つま先立ちの状態で歩く。10~15歩を2セット行う。
ただそれだけではなかなか続かないので、昔ながらの雑巾がけで掃除を行うことが趣味と実益を兼ねることになるでしょう。
適切な靴を選びましょう。
靴の選び方も重要です。足にフィットする靴を選ぶこと。足指が自由に動く、幅広の靴を選びましょう。特に長期間履く靴は、快適さと健康を優先して選ぶようにしてください。また足裏のアーチをサポートするインソールの活用が足への負担を軽減に寄与しますから、立ち仕事や運動時には適切なインソールを活用することもご検討ください。
小さな子供の靴選び
小さな子供の靴選びは、足の成長をサポートし、正しい歩き方を促すためにとても重要です。子供の足はまだ柔らかく発達途中なので、不適切な靴を履かせるとそれだけで偏平足や浮き指、外反母趾などの原因になることがあります。子供の靴選びの基本ポイントを記載します。
1.正しいサイズ
靴のサイズは足の長さより1cm程度余裕を持つこと。これは、つま先の成長スペースと歩く際の足の動きを考慮しています。子供の足は早く成長するため、特に成長著しい小さな時期は2~3ヶ月ごとにサイズを測定して靴を見直すとよいでしょう。サイズ確認のポイントは
足を靴に入れた状態でつま先部分に1~1.5cmの余裕がある。
靴の中でかかとが動きすぎない。
足幅(ワイズ)も合っていること。
この3点になります。
2.軽量で柔軟性がある
子供の足は筋肉が未発達のため、軽くて柔らかい素材の靴が理想的です。靴底は適度な柔軟性があり、足の動きにしっかりと追従するものを選びましょう。
3.かかと部分がしっかりしていること
かかとをしっかりホールドする部分が硬めで、安定性のあるデザインを選びましょう。かかとが固定されると、足首が正しい位置に保たれ、歩行のバランスが改善されます。
4. 足指が動かせる大きさ
足指の動きはバランス感覚や足の筋力を発達させるために重要なので、つま先部分が広く、足指が自由に動かせるデザインを選ぶとよいでしょう。
5.滑りにくい靴底
靴底に適度なグリップ力があり、滑りにくい素材を使用していることが大切です。特に小さな子供は転びやすいため、安全性を高める靴底を選びましょう。
年齢別の靴選び
1.よちよち歩きの時期(1歳前後)
足の骨が未発達で柔らかい時期ですから、この時期の靴は「保護」と「柔軟性」を重視します。
靴底は薄く柔らかいもの。
靴全体が軽量で足にフィットするもの。
足首を支えるデザイン(ハイカット)
が適しています。
2.歩き始め~活発に動き回る時期(2~3歳頃)
歩行が安定してくるため、安定性と耐久性を重視する時期です。
かかと部分がしっかりしているもの。
クッション性のある靴底で、衝撃を吸収するもの。
足指が動かしやすく、つま先が自由に広がるもの。
がよいでしょう。
3.幼児期以降(4歳~小学生)
活動量が増え、走る・飛ぶなどの動きが増えるので、衝撃吸収と足の保護が優先事項になります。
つま先部分が補強されているもの(つま先をぶつける機会が多い)。
通学や運動に適した靴(運動靴など)
を選びましょう。インソールが交換可能な靴も便利です。
靴選びの注意点
成長に合わせて定期的に靴を交換しましょう
子供の足は成長が早く、半年から1年でサイズが変わることがあります。小さい靴を履き続けると足の変形や成長障害の原因になるため、定期的に確認した方がよいです。
古い靴の使用は避ける
靴底がすり減った靴や、兄弟のお下がりは形が変わっているため、体のバランスが崩れてしまう可能性があります。
靴の履きやすさ
子供が自分で脱ぎ履きしやすいマジックテープ(ベルクロ)やゴムバンドタイプが簡単に着脱でき便利です。きちんと履いているかのチェックは小さいうちは必要です。
新しい靴に交換する時は靴を履いた状態で歩かせ、足が靴の中で滑らず、安定して歩けているかを確認しましょう。