来院される方のご要望に全て応えるようにしたいのですが、その方にとって快方へ向かう最善の方法が当院でない場合には他院や病院歯科の受診を勧めるようにしています。私の持ちうる手立てすべて用いて症状が改善すればいうことないのですけれど。
目次
顎関節症
顎がカクカク鳴る場合、口を大きく開けられない場合など、噛み合わせに問題のあることが多いです。通常、原因が噛み合わせかどうか、マウスピースを用いて調べます。改善傾向にあれば、噛み合わせを修正するために矯正治療(歯並びで噛み合わせを変える)や補綴治療(被せ物で噛み合わせを変える)で整えるようにしていきます。マウスピースで改善しないとなると、顎関節そのものに問題の可能性があるので病院歯科口腔外科の受診していただきます。その場合、外科的な治療になることもあるそうです。
顎の急な痛みの対応は難しい
また急で鋭利な顎の痛みが起こった場合、マウスピースを作る猶予はありません。ご紹介状を作成、お渡しして病院歯科の受診していただくことになります。口を開けると顎がカクっと鳴るとか、顎の症状が元からある方は痛みが急性化する前に治療されておく方が良いでしょう。
舌小帯の切除(および上唇小帯の切除)
舌の下に筋があります。舌の先端近くまで伸びて付いていると舌を前方に出し切れないので発音の障害になります。舌足らずな発音ですね。また上唇をめくると、上の真ん中の前歯の間に大きな筋があると、前歯が大きく離れてスキッ歯になります。このように、筋が悪さをしている場合、小さいうちに切除しておくとよいです。特に舌の筋は発音に大きく関与しますので大切です。現在では全身麻酔して切除するのが一般的で、病院歯科口腔外科で行ってもらいます。押さえつけて治療はできないですし、暴れると予期せぬ事態を招来することにもなるからです。子供の成長発育に関与することなので重要です。
過剰歯の抜歯
上顎の真ん中の前歯が空いたままの場合、過剰歯という要らない歯が原因のことがあります。これはレントゲンを撮るとわかります。もし過剰歯があれば、成長期に摘出しておくとすきっ歯がよくなります。(顎が大きくてすきっ歯になることもあります。)親知らずと同じで埋まっているのと、大きめの神経が近くにあります。この場合も口腔外科での治療をお勧めしています。イラストでは歯が出ていますが、埋もれていることの方が多いです。
難易度の高い矯正治療
どの治療もそうなのですが、矯正治療にも難易度があります。簡単なケース、難しいケース、いろいろな資料採取して分析するのですが、
極度に審美的な要求が高い場合 (顔貌からも、レントゲンから診ても突出感はないのに口元を下げたいとか)
重度の不正咬合 (上顎と下顎の大きさがアンバランス)
前歯の噛んでいない受け口
上と下の前歯の先同士が前後的にぴったり合わせられない受け口(下顎を後ろに下げることができない)
など、これらは一部分ですが、診断して一般開業医では難易度が高いと判断したら矯正専門医の受診を勧めています。また他院で矯正治療されていて途中から、ということも難しいです。元の診断が違うからです。
粘膜疾患
口内炎、磨き過ぎ、熱い物による火傷などの口腔粘膜は、時間が経つと自然に良くなることが多いです。早く良くするには、口内炎のお薬や控えめな歯磨きは必要です。長く口腔粘膜が赤みを帯びていたり、白かったりすると、それら以外の原因が考えられます。水疱、潰瘍、腫瘤、など長い期間消失しないようなら組織検査した方がよいでしょう。そのような場合には病院歯科口腔外科を受診していただくようにしています。痛みがなければ本人で気づくことは無いことの方が多いです。健診でわかることもあるので定期健診は重要です。悪性でなければ経過観察になりますが、原因がわかると安心ですよね。早期発見早期治療です。
顔面神経麻痺や三叉神経痛など
レントゲン写真を撮っても、歯の状況を診ても、口や口の周り、顎に痛みなどの原因が特定できない場合が残念ながらあります。その場合病院歯科口腔外科の受診を勧めます。抗生剤や鎮痛剤などの投与で一時的に症状が改善しても、原因がわからないままだと再発する可能性があるからです。見出しの疾患は抗生剤では改善しません。口腔周囲に症状が現れることがあっても、原因が歯ではないこともあります。その疾患に合った治療が必要です。
治療台に1人で座れないお子さんの治療
小児の治療は基本的にチェアに座って1人でもらえないとできません。親御さんの膝の上、体の上に乗せた状態では体が不安定で安全に治療することが難しいからです。小さい虫歯であれば歯が黒くなりますが、虫歯の進行止めで対処します。1人で座れず、痛みがある、腫れたなどの時は小児歯科学会の認定医さんのところをご紹介しています。小さいうちから歯科に慣れておく、仕上げ磨きを励行する、など痛みのないうちに出来ることをしておきましょう。押さえつけて診療することは当院では行いません。2度くらいで慣れるようになれば診療していくことが可能かもしれません。
診療ユニットを倒した状態で治療できない方
腰に痛みのある方や腰が曲がった方で診療台をフラットに倒せない場合、私の姿勢や削合器具の長さの問題で治療ができないことがあります。お口の中を覗き込めない、道具が届かないということです。出来る限り努力はしますがどうしても難しい場合、ポータブルの可動式の治療器具をお持ちの診療所の受診をお勧めします。気持ちはあっても物理的に対応できないのはとても心苦しいです。
義歯で何度調整しても痛みの取れないケース
噛み合わせや残っている歯の上下左右の位置関係、顎の土手のボリュームなどで、私の持つあらゆる手立てを尽くしても義歯の痛みが取れない場合、他の先生に診ていただくことを推奨しています。押してもダメなら引いてみて、です。痛みを取れないのはとても心苦しいです。
ドライマウス
唾液量の減少を補う手立てとして、口腔周囲筋のマッサージをご指導させていただくのですが、改善が認められない場合、口腔外科の受診をお勧めしています。
突然の来院
当院は予約をいただいて治療しています。基本的に歯科は外科処置の範疇になります。事前に予約されている方の外科処置を行っているとお考えください。前からご予約いただいている方の時間を削って突然来られる方の診療はできません。こちらの指定した時間に来ていただけるなら、僅かな時間になりますが拝見させていただくことは可能です。ただ処置に取り掛かることは難しく、後日予約をいただいて治療になります。
=他の方の時間を削ってでも診て欲しい、ということです
今しか来れない(あるいは、この日のこの時間しか行けないとか)
一回で痛みを無くすようにしてほしい。
というご要望には、偶然キャンセルが重なり、処置する時間が十分取ることができる時以外はお応えできません。
取れた物付けるだけ、とおっしゃっても、時間はかかります。
例えば詰め物が取れただけだし、すぐ出来るでしょうとお考えかもしれません。
虫歯で取れたかもしれませんから付けられないかもしれません。(治療が必要になります。)
歯が一部欠けているかもしれません。(治療が必要になります。)
そのまま付けられたとしても、歯に残っているセメントを取り除かないといけません。
再度装着するのにセメントが硬化する時間を待たないといけません。
付けた後、噛み合わせに問題ないかチェックし、高いなら調整しないといけません。
これらのことを1分2分で終わらせることはできません。事前に連絡いただき、対応できる状況で対応できるならよいのですが、突然の来院で対応することは難しいです。
2回にわたり、よくあることについて書いてきました。こういったことがあるのだとご理解いただけると幸いです。