鼻は何故あるのでしょうか。
それは息をするため、と答えますよね。全くその通りです。呼吸をするためです。その通りなのですが、みなさんはちゃんと鼻で呼吸していますか。出来ていますか。目はものを見る。耳は音を聞く、胃は消化をする、腸は栄養を吸収する、とその役割はだいたい一つです。呼吸は鼻だけしかできない、ことはないですよね。そう、口でも呼吸はできるのです。
口の機能は何でしょうか。
本来は消化器系の一部ですよね。食べ物を摂取し栄養を取り入れるため、消化しやすいようにある程度小さく粉砕する、というのが本来の役割です。動物が歯を失うとどうなるでしょうか。食べ物を摂取しづらい、あるいはできなくなる。消化もしにくくなる、十分な栄養を取れなくなり、すなわちそれは死に直結します。マウスの実験で噛めなくすると、普通に噛めるマウスに比べると十分発育しないばかりか脳の機能に影響を及ぼし認知機能がかなり低下することがわかっています。審美的な側面ももちろんありますが、これは極端に言えば人間だけです。
鼻は呼吸のためにある。
鼻の役割は
- ゴミや塵、アレルゲンなどの除去、ろ過
- 加温、加湿、など外気の調節、調整
- 細菌やウィルスを不活化する
- 肺の水分調節
大きくはこれらです。取り入れる空気をきれいにするいわば加湿機能付き空気清浄機ですね。これらを口で代行できません。口から入った空気はダイレクトに咽頭、喉頭、気管支、肺に行きます。身体に悪い汚れた空気を丸のみです。
一日の呼吸回数は2万回
オリンピックに出ている選手のぜんそくの割合はわかりますか?一般人は4%です。協議によって差はもちろんあります。スピードスケートで12%、競泳や自転車競技で17%、トライアスロンではなんと25%です。メダリストになると更にその割合は高くなります。理由はわかりますよね。いっぱい空気をとり入れたいからです。鼻だけでは追いつかないからです。射撃やアーチェリーなどは口を閉めていますからその割合は低下します。何が言いたいかというと口呼吸だとぜんそくになりやすい、ということです。
読解力と算数
口呼吸している子供は、鼻呼吸している子供に比べて読解力と算数が劣ると2014年の研究で明らかになりました。7歳児5000人を対象にして習慣的にいびきしている割合は6%、口呼吸している割合は18%でした。いびきの常習者のうち80%は口呼吸しています。口呼吸している子供は耳感染症や副鼻腔炎になる頻度が鼻呼吸している子供に比べて約2倍になっています。その治療に抗生剤を用いますから、その使用も2倍になります。よくはないですよね。
あいうべ体操
口呼吸がよくないことはおわかりいただけたかと思います。ではどうするのか。お金をかけずに手軽にできるのが、あいうべ体操です。テレビなどのメディアでもよく取り上げられています。あいうべ体操の詳細については当院に名刺サイズのリーフレットを置いていますし、以前にもコラムに記載していますのでご一読ください。一日、あ、い、う、べ と口回りの筋肉をおおげさに使いながら30回音を立てなくてよいので動かすだけです。マスクの中でもできます。べ、だけはマスクの中でできませんから、上唇、下唇と歯の間の隙間に舌を入れて左右から一周ずつ10回ずつ舌を回してください。最新のやりかたです。また、い、の時は歯と歯を合わせないようにしてください。
マウステープ
起きている時は何とか意識をすれば口を閉めておくことができます。では寝ている時のいびき対策は?と思われることでしょう。原始的ではありますが、口にテープを貼ってねてください。何だか原始的ですよね。でもそれだけに誰にでもできることです。皮膚の弱い方にはハードルが高いですけれどトライしてみてください。アトピー性皮膚炎などに対しても効果があるかもしれません。世界一簡単な驚きの健康法 マウステーピング という本があります。あいうべ体操を考案された今井一彰先生が書かれています。お時間のある方は是非。