哺乳期に上手く口腔機能を獲得できなかったらどうすればよいのでしょうか。じゃあ諦めるのか、といえばそうもいきません。では何をすればよいのでしょうか。自然に獲得できるのは難しいわけですから教育していかなくてはならないのです。食育です。噛む食育です。
前歯でかぶりつく食材を
乳幼児期は脳が一口量を覚える時期です。一口大ではありません。調理する人の考える一口大は大き過ぎます。大き過ぎると噛まずに飲み込む可能性があります。処理できない大きさのものを子どもは丸飲みをしてしまいます。小さすぎても飲み込んでしまいます。
スプーンを子供の口にもっていって食べさせているシーンがありますが、ダメです!飲み込んでしまいます。スプーンが大きいと噛みません。食塊ができず水で流し込みます。
一口量を自分で覚える時期ですから自分で食べさせてください。手やテーブルが汚れるからといってやめさせないでください。手づかみOKで。口に入れて大丈夫なものを与えてください。食べられなくてもいいのです。口の機能を発達させるためです。スティック野菜、きゅうりやセロリ、ニンジンなど。リンゴ丸かじりもよいです。
巻きずし、アスパラベーコン、ちくわの中にウインナー、混ぜご飯、ハンバーグでなくトマトやレタスを入れたハンバーガー、細かいものなら春巻き状にするなど、複数の食感が味わえるようにすると噛む回数も増えます。これらを食べることで自分の一口量を覚えていきます。一口大ではありません。奥歯はなくても奥歯の歯茎で食べます。前歯しかなくても心配無用。たまに義歯を入れずそのまま食べている方がいらっしゃるくらいですから大丈夫です。
足底接地
足を床に着けるか、正座して食べましょう。2歳からでも。噛む力が増します。これを覚えることで誤嚥予防ができると言われています。足ぶらぶらはダメです。
水やお茶は食後に
飲み物があると噛まずに流し込んでしまいます。噛まないと飲み込めない食材を出してください。噛み応えのある食材はかみごたえ食材表などを検索していただければ出てくると思います。よくかまないといけない食材の代表は生野菜です。栄養価だけでいけばスムージーも同じじゃないかと思われますが、それは大人になってからでもいいのです。食育の一環と考えれば子供にとってどちらがよいかは自明ですよね。私は古い人間かもしれませんが、食事が終わった後にお茶碗にお茶を入れて一服します。洗い物しやすくする面もありますが、途中でお茶を飲まないという日本の伝統ですよね。
しっかりした嚥下をしていくことで歯並び(歯列)が改善します。舌が上あごを押して飲み込むのですが、水分があると舌を使わなくても飲み込めてしまい、上顎骨の前上方への成長を阻害してしまいます。
子供は1日何回飲み込んでいるか
600~2000回とされています。飲み込むたびに舌圧が上あごにかかっているということです。口ぽかんでは十分な舌圧がかかりません。よく噛み、しっかり飲み込む。そうして口と鼻腔を含めたその周りが育っていきます。水分で流し込む食事では感受性期で獲得できなかった口腔機能の回復が見込めません。ストローは特にダメです。