少し大きなお子さんが初めて来院、診療できた場合にご褒美としてフーセンガムをお渡しすることにしています。2個入りの小さなガム、オレンジ、グレープなどありますよね。
皆さんはガムをふくらませることができますか。
最近ではガムを嚙む人はずいぶん減ってきているようです。噛み続けるのが面倒くさいのでしょう。柔らかくて食べやすいものが増えて、よく噛むことが無くなっているのでしょう。
子供さんに渡すのにも訳があって当院ではご褒美にしています。
口呼吸の予防になる
口呼吸は歯並びだけでなく、全身の健康に悪影響があります。今の子供の半分は口呼吸をしています。ガムを噛む時はしっかり口を閉じて鼻で呼吸しなければなりません。味がしなくなるまでの5分でも鼻呼吸の良い訓練になります。
くちゃくちゃ音がしているのは口のどこかが開いているのでしょう。マナー的にもよくありませんよね。口の周りの筋肉も鍛えられます。
バランスよく嚙む
利き手があるように、片側で噛む傾向にありますができるだけ左右均等に使うことが望ましいので、ガムを噛む時にその訓練をするとよいでしょう。具体的にはよく噛まない方を意識して噛んでみてください。
ちなみにですが人間のあごは少し右にずれていることが多いそうです。
筋機能訓練になる
歯は筋肉の均衡の上に並んでいます。外は唇、頬、内は舌です。それらの均衡が崩れて歯並びは悪くなっているのです。もちろん歯と顎の大きさの不均衡もありますから全てではありありません。
舌で前歯を押していたり、常に口が開いて口呼吸になっている人は歯並びが悪くなります。バランスを少しでも改善するのにガムを使うトレーニングは有効とされています。一回2粒くらいがよいので、フーセンガムがちょうどよいのです。
そのトレーニング方法とは
1 必ず口を閉じて噛む
ガムのあじがしなくなるまで口を閉じて噛み続けてください。クチャクチャと音は立てないように気を付けてください。左右交代させるのがポイントです。少なくとも3分は続けてください。
2 ガムを舌で丸めてください。
ある程度やわらかくなっていたらガムを舌で丸めてください。お子さんにはある程度丸めるの に集中するように仕向けてください。舌を上手く使う練習になります。
3 ガムをうわあごに押し付けて押しつぶします。
丸くしたガムを上の前歯の付け根からうわあごに舌でもっていき、その場所で一気に押しつぶしてください。べたっと広げるような感じです。一発でできるようにしてください。舌を上方へ持ち上げる筋力を鍛える訓練になります。舌がきちんと持ち上がらないとガムがくっつけられなかったり、前歯の裏にくっつきます。
4 ガムをつけたまま唾液を飲み込んでください。
舌を持ち上げたまま溜まっている唾液をそのまま飲み込んでください。その時必ず姿勢を正して顎を引くように筋肉を使ってください。難しいかもしれませんがこれが訓練です。
トレーニングはこれだけですが、子供さんはできるようになったらフーセンガムをふくらませるよう遊び感覚で誘導してみてください。それに関しては色々と検索などしてみてください。舌や唇を複雑に使わないとできません。子供も頑張るでしょうし、楽しくトレーニングもしてくれるでしょう。そして舌を上方に置くという習慣が付き、鼻呼吸ときれいな歯並びを獲得できる権利を勝ち得るのです。当院でのご褒美には訳があるのです。