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下がった歯茎は戻りません

2026年6月25日

歯ぐきが下がったのが気になります、何とかなりませんか?

宇治市 歯医者 old age なかむら歯科医院

よく聞かれます。結論を先に言うと下がった歯茎は元に戻りません。物が歯と歯の間によく詰まる、ということもこれにリンクします。隣り合う歯と歯は通常であれば50μmで接触しています。歯が揺れてくると噛むたびに歯の接触が少し開くのでそこに食片が入り込んで詰まることがあります。それ以外に物が詰まるのは、歯茎が下がることで歯と歯の間に隙間ができて、そこに食べ物などが詰まるのです。

歯ぐきが下がる理由

歯ぐきが下がる理由の主たるもの3つ述べます。

加齢

宇治市 歯医者 aging なかむら歯科医院

加齢によりはを支える骨、歯槽骨が少しづつ減少します。歯槽骨の上に歯茎が乗っています。0.8㎜~2.0㎜と部位により異なります。歯周病に罹患しておらず咬み合わせが安定している生理的な加齢変化で年間約0.05㎜~0.1㎜歯槽骨は吸収します。つまり10年で約0.5㎜~1.0㎜ 程度です。20歳を超えると老化が始まります。50歳になると20歳の時に比べると3㎜下がるということです。加齢を重ねる度に歯槽骨は吸収していくわけですから、その上に乗っている歯茎も下がっていきます。

下がった骨を増やすことはできるのか?

吸収した歯槽骨が自然に造成されていくことはありません。では人工の骨を添加すれば戻るでしょうか?歯茎を切開して歯の周囲の歯槽骨に人工の骨を振り撒いて歯茎を閉じたとしても、歯槽骨は戻りません。ある特定の限られた条件の場合、歯槽骨が回復することがあります。全体的に下がった歯槽骨を数ミリ造成させることは今のところ難しいと言ってよいでしょう。

多数歯が失われた部分に骨を移植することで歯槽骨を回復させることができることもある。

イメージしやすいようにお伝えします。例えば右下の犬歯より後ろの歯が全て失われた状態があると仮定しましょう。その部分にインプラントしたいが、植立するだけの骨の量が足らない時、身体の他の部分から骨を削って持ってきて、接合させるということもあります。具体的には下顎のオトガイ、前歯の下の部分や腸骨(腰骨)から持ってくるようです。大きな骨であれば骨移植することで骨を増やすことが可能です。少し大掛かりな処置になるので専門医での治療になります。

歯周病

宇治市 歯医者 p なかむら歯科医院

歯周炎が存在すると歯槽骨の吸収速度は大きく増加し、年間で約0.2㎜~0.5㎜になり、急性期の活動期には年間1㎜以上の吸収も起こり得ます。単純に5年で5㎜です。5㎜と聞くと大したことないように思いますが、定規で5㎜を見てください。結構な長さです。歯周病は歯茎を大きく下げてしまう原因になります。歯槽骨の吸収した量が増えれば増えるほど歯を支える力が急激に低下します。

歯の形も色々ありますが単純な形をした歯で1㎜歯槽骨が減る毎にどれくらい歯を支える力が減っていくかを記載します。

骨吸収1㎜で支持量が約10~15%低下、骨吸収2㎜で約25~30%低下、骨吸収3㎜で約40~45%低下、骨吸収4㎜で約55~65%低下、骨吸収5㎜で約65~75%低下します。つまり、4㎜歯槽骨吸収が起こると、歯根支持量はおおよそ半分以下になります。奥歯は複雑な形態なので同じ4㎜の吸収でも支える力は30%未満になることもあります。そうなると歯はグラグラです。

歯周病で歯茎を下げないために何をすべきか

1に歯ブラシ2に歯ブラシ、3、4が無くて5に歯ブラシ。歯ブラシに尽きます。毎日時間をかけてやっている、とおっしゃる方もあると思います。適切に歯垢を落とせていますか?やっているのと出来ているのは違います。特に歯茎が下がってくると歯と歯の間が空いてくるので、歯ブラシだけで歯間部の清掃することはかなり難しいと言ってよいでしょう。歯垢染色液は歯に付着した歯垢を染めだすものです。ドラッグストアでも歯垢染色液が売られています。歯ブラシされた後で染め出してみて下さい。ご自身のブラッシングが適切にできているかどうかわかります。染まっている個所が歯のすべての面にほとんどなければ完璧です。言うことありません、ぜひそのまま続けてください。目につくところがあればそれは磨き残しです。磨き癖は人により違います。自分のウィークポイントを知り、磨いて下さい。毎日、毎回です。

治りにくい歯周病がある

歯周病は、歯周病菌が歯と歯肉の境目にバイオフィルムという基地を足掛かりに定着し、炎症を起こして歯肉と歯槽骨を破壊することで生じます。歯周病菌は1種類ではなく、数百種あります。互いに助け合いながら病原性を高めています。基本的にはバイオフィルム(歯垢)を取り除き続けることで炎症と組織破壊を防ぐことが歯周病治療となります。歯周病菌の中でもAggregatibacter actinomycetemcomitans(AA菌と略します)が優勢の方はブラッシングだけでは治りにくい難治性の歯周炎です。進行が速く骨吸収が急激な方に多いです。残念ながら通常のプラークコントロールやスケーリングなどの歯周病治療を行っても再発を繰り返すので治癒が難しいです。

歯周病がよくなると歯茎は下がる

歯周病では、歯垢の付着により炎症が起きて歯肉が腫れています。一方その炎症で歯槽骨が下がります。ブラッシングにより歯垢が取り除かれ、炎症が収まると実際の骨の位置に近づいていきます。歯茎が下がるということです。歯茎は下がりますがそれは歯周病が良くなった証拠でもあります。ある程度ブラッシングで炎症が収まっても、歯周ポケットが残り、奥深くに歯石が残っている場合外科的な処置を伴った歯石除去を行うことがあります。きれいに歯石や感染組織を除去することができるので、炎症が消え、歯肉は本来あるべき歯槽骨の高さ近くまで下がります。下がりますが、腫れていた歯肉が治ったからです。歯周病がよくなると歯茎は下がります。病的に腫れていた歯肉が正常な位置に戻ったといえます。

歯ぎしり 噛みしめ

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噛み締めや歯ぎしりでは、歯に本来の生理的範囲を超える持続的な横方向の力が加わります。過剰な力が集中すると、歯槽骨は防御反応として微小破壊を起こし吸収していきます。特に唇側や頬側の骨は薄く、横方向の力に弱いため、骨が下がりやすくなります。歯槽骨が下がると、それに付着している歯肉も下方に移動つまり歯茎が下がります。噛み締めや歯ぎしりのある方は口腔内に特徴が現れます。歯槽骨の盛り上がりや歯の咬耗です。全体的、局所的に滲みることがあるということもあります。なかなかご本人は認めない傾向にあります。このことによる歯肉退縮は意外に多いです。

対応方法

寝ている時の噛み締めや歯ぎしりを無くすことはできません。ですから歯同士を直接当てないようにして横方向にかかる力を和らげるためにナイトガード(マウスピース)を装着することが比較的多いです。素材は歯よりも柔らかいので横方向への力が緩和されます。起きている時、集中して作業していると噛み締めていることがあります。これは意識してもらう他ないのですが、唇は閉じていて鼻呼吸していても歯は噛み合わせないようしてください。唇をしっかり閉じるようにしている癖による過緊張があれば緩和し、嚥下時の噛み締めしている癖があれば取り除くよう訓練してください。猫背の是正など姿勢を意識することも大切です。

加齢による歯肉退縮は受け入れましょう

これまで述べたように、下がった歯茎を戻すことは基本的にできません。これから少しでも歯肉の退縮を少なくするために、歯周病対策すなわち毎日の適切なブラッシングと定期健診による歯石の除去と噛みしめなどの力のコントロールをしていくことを考える方がよいと思います。

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