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薬で歯周病は治るのか?

2025年6月12日

虫歯も歯周病も細菌感染による感染症です。歯周内科治療とは、歯周病を細菌感染症として捉え、薬を用いて歯周病菌を叩いていく治療のことです。直接菌にアプローチすることは当たり前といえます。従来の歯周病治療では、歯石除去や歯周ポケットの清掃(スケーリング・ルートプレーニング)が主流ですが、歯周内科治療では、細菌の除去とバランスを整えることを目的に治療が行われます。

歯周内科治療のメリット

歯石除去などの物理的治療が苦手な人でも取り組みやすい。

初期の歯周病に対して効果的で、進行を食い止められる。

細菌バランスが整うことで、再発のリスクが低下。

と言われています。

歯周病が飲み薬だけで治らない理由

薬を服薬するだけで歯周病菌が根絶するかと言えば、答えはNOです。歯周ポケットには細菌が多く存在します。抗生剤だけではすべての細菌を除去することはできません。抗生剤を服用して一時的に細菌が減少させることはできても、毎日口腔内で産生されるプラーク(歯垢)を歯磨きやデンタルフロスなどのセルフケアで取り除き続けず、不十分な状態だと歯周病菌は再び増殖します。

歯垢は毎日産生される

歯垢や歯石(硬化したプラーク)は細菌が蓄積する足掛かりになります。歯垢や歯石を産生させなくすることは抗生剤を用いてもできません。歯垢は日々のブラッシング、歯石は物理的な手段(スケーリングやルートプレーニング)でしか取り除けません。歯垢を産生させなくする唯一の方法は砂糖を一生涯摂取しないことです。おそらく現代生活でそれは不可能だと思います。

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歯周病の進行は多因子性

歯周病は細菌だけでなく、患者の免疫力、喫煙、糖尿病などの全身状態にも影響を受けます。服薬ではこれらの因子を直接コントロールすることはできません。

歯周病は服薬だけで完全に治るものではありません。

歯周病治療には歯石の除去と、感染した細菌のコントロールが必要です。服薬は補助的な役割を果たしますが、物理的治療やセルフケアとの併用が不可欠です。先程も述べましたが歯周病は細菌による感染症であり、歯茎や歯を支える骨(歯槽骨)が徐々に破壊される進行性の病気です。一度破壊された歯槽骨は基本的に再生しません。

歯周病治療における基本アプローチ

歯周内科治療は適切な診断の下必要に応じて行う歯周病治療の一つであって、それで歯周病治療が完結するものではありません。あくまでもセルフケアが歯周病治療の基本です。

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)

歯石やプラークを除去して細菌量を減らします。プラークはご家庭で、歯石は歯科医院で取り除くという認識をお願い致します。完璧なブラッシングをされると歯石は基本的に産生されませんが、どうしても磨き癖などで磨き残しが出ます。それが固まり歯石になるのです。宇治市 歯医者 pmtc なかむら歯科医院

口腔ケアの徹底

毎日の歯磨き、デンタルフロス、歯間ブラシの使用が必須です。出来れば毎食後のブラッシングを推奨します。口の中に入れたものに糖があれば、それが歯垢を発生させる元になります。補助的清掃具の使用も推奨します。

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生活習慣の改善

禁煙、糖尿病の管理、健康的な食生活などが治療をサポートします。

定期的な歯科メンテナンス

数カ月ごとに歯科医院でのクリーニングを行い、歯石を除去し、歯の表面をツルツルにして歯垢、歯石が付着しづらい環境を整え、再発を防ぎます。

歯周内科治療が有効なケース

抗生剤などの薬を使うことで、歯周病の進行を一時的に抑えたり、治療効果を早く得るために使用することは可能です。私の考える具体的な歯周内科治療のケースとして以下が挙げられます

原因菌が特定されている場合

細菌検査で特定された病原菌に効果のある抗生剤を用いることで、短期間で細菌の活動を抑制します。活動が抑制されているうちに短気集中で全顎の歯石を取ることがあります。

全身疾患を持つ患者の場合

糖尿病や免疫力低下がある患者に対して、感染コントロールのために服薬を行います。

歯周内科治療の注意点

服薬するだけで歯周病を治すことはできませんが、抗生剤は炎症を抑え、治療のオプションとして補助的な役割を果たすと私は考えています。皆さまご存じの通り抗生剤は適切に使用しないと、耐性菌が発生するリスクがあります。必要な時に使用したい時に効果が出ないことのないようにしないといけないのです。私は歯周内科治療で抗生剤を使用するには1回だけ(急性の痛みのある場合を除き)と決めています。抗菌薬には適切な使用が求められ、過剰使用を避ける必要があるからです。また重度の歯周病には、歯周内科治療を行ったとしても、外科的処置が必要になる場合があります。タバコを呑まれている方は歯周内科治療でも治りは極めて良くないです。

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アジスロマイシンを用いた歯周内科治療の流れ

歯周内科治療の流れについて具体的に説明していきます。

  1. 初診と診断

症状や口腔内の状況を確認します。歯茎の腫れ、出血、歯周ポケットの深さ、骨吸収の有無などを検査します。そして細菌検査(PCRや顕微鏡観察)を行い、歯周病の原因菌(主に嫌気性菌)を特定します。主な歯周病の原因菌としてポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)やトレポネーマ・デンティコラ(T. denticola)があります。

  1. アジスロマイシンの処方

アジスロマイシン(Azithromycin)は、歯周内科治療において、特に歯周ポケットの深部にいる嫌気性菌やグラム陰性菌に効果的な抗生剤と言われています。その優れた抗菌作用と炎症抑制効果により、歯周内科治療の薬として使用されます。通常1日1回500mgを3日間服用します。長い半減期を持つため、3日間の服用で効果が約7~10日間持続します。作用のメカニズムは、細菌のタンパク質合成を阻害し、細菌の増殖を抑制するとされています。また、免疫細胞を調整することで炎症を抑える働きもあります。

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  1. 物理的治療との併用

アジスロマイシンによる効果(薬が効いて細菌が減っている状態)があるうちに物理的な歯周治療、すなわち全顎の歯石の除去を行います。服薬して1週間以内に行います。事前に適切な歯磨きやデンタルフロス、うがい薬の使用法を指導します。治療を行ったとしても適切な歯磨きができないと薬が切れたら元の木阿弥です。

  1. 治療後のフォローアップ、メンテナンス

抗生剤服用後から1~2週間後に歯周ポケットの改善状況や炎症の軽減を確認します。それから数カ月ごとにクリーニングと細菌検査を行い、再発を防ぎます。これは一生続きます。お口のお手入れがきちんとできないと再感染のリスクが絶えずあるからです。

アジスロマイシンの副作用

消化器症状(下痢、吐き気など)が発生することがあります。肝機能障害がある場合は使用を避けなければなりませんから歯周内科治療の対象外となります。

歯周内科治療と併用できない薬があります。

ワーファリンは血を固まらせないようにする薬です。血液さらさらにする薬ですが、アジスロマイシンと併用するとその作用が強化されるので服用されている方は歯周内科治療の対象外となります。制酸剤(水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム)を服用されている場合、アジスロマイシンの効果を下げてしまうのでこれも対象外となります。他にシクロスポリン(免疫抑制剤)、メシル酸ネルフィナビル(抗エイズ薬)を服用されている場合も同様です。

再感染のリスク

歯周内科治療を行い、メンテナンスをしっかり行っていたとしても、歯周病の再発は起こり得ます。それは性感染や唾液感染、清掃不良、適合の良くない詰め物や被せ物、免疫の低下がその原因として考えられます。清掃不良や適合不良の被せ物や詰め物は対応することは可能です。パートナーや家族の歯周病治療もリスクを下げる重要なファクターです。

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