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歯並びは良いのに、噛み合わせが悪いってどういうこと?


自分で見ても歯並びは悪くないのに、歯医者で噛み合わせが良くないと言われたことはありませんか。写真をみても、上下それぞれはきれいに並んでいます。学校検診でも、“歯並び”には問題がありません。でも口は上下一対で“噛み合わせ”ます。この噛み合わせに問題のある方が多いのです。
前から見てもおかしくないけれど

この写真をみると、何がよくないかわかりませんよね。上の前歯で下の前歯を少し隠れるくらいが噛み込み具合としては普通です。下の前歯の隠れ具合がこの状態よりもきつくなると噛み合わせとしてはよくないです。見えなくなる程度がきつくなればなっただけ良くなくて、噛みしめや歯ぎしりが症状として現れるようになります。それについては後ほど述べます。話は戻りますが、前から見てこの写真のような状態でも良い噛み合わせと良くない噛み合わせがあります。


上の写真2つを見比べてください。前歯が噛んでいるか、噛んでいないかの違いがあります。上と下の前歯が噛んでいるのが正しい噛み合わせでグッと開いているのはあまりよくありません。もちろん下顎を前にずらせば上と下の前歯同士当たると思いますが、普通にしていて隙間が出来ているのは、前後的開咬という状態です。縦方向に力がかかるのには歯は上手く抵抗するように出来ています。ただ横方向に力がかかるのは特に奥歯は得意ではありません。横方向に力がかかった時、犬歯、またはその前後の歯が協調して奥歯にかかる負担を減らすようにします。奥歯で摺りつぶしをして食事をするのですが、この噛み合わせでは奥歯に負担がかかるのです。負担がかかり続けると、歯がすり減るか歯が揺れてきます。歯のすり減りが続くと神経までの距離が持続的に短くなっていくことと、歯にヒビが入っていきますから知覚過敏の原因になります。歯の付け根に応力が集中するので、磨き過ぎではなく、歯の付け根が削れてきます。これをくさび状欠損といいます。虫歯は無く、特定のところではなく全体的に滲みるという方は奥歯へ過重な負担がかかっていることが多いです。また横方向に力がかかり続けると歯を支える骨が減っていくため、歯が揺れてきますし、歯茎も下がっていきます。
前歯を機能させないと奥歯に影響する
上下の前歯が少し噛み合っているのが良い状態ですが、噛み合い過ぎているのもよくありません。強く当たっていると下顎を奥の方に押し込めてしまいますから、歯ぎしりや噛みしめを助長してしまいます。適度な前歯の噛み合い具合があります。では前歯で噛むようにすればよいですか、と聞かれます。そう出来ればよいですがずっとそうしていられるでしょうか?前歯は食材を切るという機能で、磨り潰すという機能を持っていません。前歯だけで食事を数回はできても、ずっと続けていくのには無理があると思います。美味しく食事したいですよね。成長期では、上顎の後に下顎が成長して前に出てくるので、成長が終わるまでこのような状態で様子を見ることがあります。でも成長期が終わってもこの状態ならば治療した方がよいでしょう。
下の前歯が見えない咬み合わせ(過蓋咬合)

さきほど述べた噛み合わせると下の前歯の見えない咬み合わせです。色々な程度があります。下からのぞくようにしてみると、下の前歯が上の前歯の裏の歯茎と噛んでいたり、上の前歯の歯と歯茎の付け根当たりで噛んでいたりなど。もちろん上下の歯同士で噛んでいることも。この場合も前歯が機能していませんから、奥歯に過重な負担がかかります。知覚過敏、歯の動揺、歯の破折など引き起こします。下顎が奥に押しやられているので、顎の関節にもよくありません。下顎に問題があるのではなく、上顎が正しく成長しておらず、後から成長する下顎が前に成長できなかった、ということが原因であることが多いようです。成長期に改善しておくことをお伝えするのはこういった理由です。いつでも治療は可能ですが、年齢が上がるにつれ使える手札が少なくなるのも事実です。
分かりやすい不正咬合 受け口


受け口はわかりやすいですね。顔貌からも、いわゆるしゃくれという状態であることが多いからです。受け口は遺伝的な傾向があることも確かです。成長期には上顎が先に大きくなって、後から下顎が大きくなります。上顎が大きくなり切れないと、下顎が普通の成長であったとしても受け口になります。このパターンが日本人には多いようです。下の写真のように、1本、または2本だけ逆になることもあります。これも綺麗に歯が並ぶだけ顎が大きくなれなかったのです。永久歯であれば様子を見ても前歯は前に出てきません。このままだと逆になっている部分の歯が上下とも他の歯よりも噛み合わさるので、揺れやすくなります。揺れなければ、噛み合わせが歯でロックされるので、顎の位置がズレる遠因になります。
見えない不正咬合
鋏状咬合 (シザースバイト)


上の写真の一番奥の噛み合わせをみてください。上の奥歯が外側に出ています。下の写真が普通の噛み合わせです。上下の歯の噛む面が見えないのが良いのですが、上の写真の一番奥の歯では丸見えです。これを鋏状咬合と言います。鋏状咬合があると顎が右か左にズレて咬み合わせることになります。咬み合わせがズレると、顎の関節に影響が及びます。顎の開け閉めでカクっと鳴ったり、顎が開けづらくなったりすることがあります。顎の関節の後ろには血管や神経が走行しているので、噛み合わせで左右の顎の関節にズレが生じると偏頭痛などの原因にもなることもあります。正しく生えるだけのスペースがなかった、つまり適切に成長出来ていなかったことが原因です。この歯で言うと、14歳臼歯と言います。年齢的には親が知らない内にこうなっていることもあるということです。
交差咬合 (クロスバイト)


上の歯が、下の歯よりも少し外側にあるのが普通ですが(下)、上の写真では上の歯が下の歯よりも内側にあります。この噛み合わせを交差咬合と言います。今までと同じく、先に成長する上顎が適切に左右方向に成長しなかったために、普通に成長した下顎との噛み合わせに問題が出たと考えられます。奥歯すべて起こる訳ではありません。一番後ろの歯だけで起こることもありますし、犬歯の後ろの歯や6歳臼歯でも起こります。一番後ろの歯だとお年頃に生えてくるので、やはり親が気づかないこともあります。よく見ないとわかりません。
様子を見ても咬み合わせは良くならない

咬み合わせは顎の関節と上下の歯と顎の骨の大きさ、舌、唇、頬に筋肉などで決まります。食事の時だけ前歯で食べるとか、成長を待つだけで噛み合わせを変えることはできません。咬み合わせが良くないと何がよくないでしょうか。咬み合わせがズレると、下顎の位置が前後左右複雑に僅かにズレます。そのズレを補正するために、筋肉に要らない力がかかります。もちろん前か後か左か右か、あるいはその組み合わせか。全部のこともあるでしょう。筋肉は全身つながっています。全身タイツをイメージすると分かりやすいかもしれません。ストッキングやタイツを穿いた時に。ぴったり穿ければ問題ないですが、どこか引っ掛かってしまうと気持ち悪いし、そのズレを治そうとするととても大変ですよね。筋肉もズレた状態のままでいると、使い過ぎる筋肉ができるのでそれが偏頭痛や肩の凝り、腰痛、偏平足、などを引き起こすということも言われています。だから根本の噛み合わせを良くすることが体のバランスを整えることになるのです。
八重歯だけが不正咬合ではありません。
分かりやすい八重歯や前歯のがたつきだけでなく、歯並びは良くても上下噛んだ時の噛み合わせが良くないことがあります。これら不正咬合を正していくことは身体に取って良いことです。いつ治療に取り掛かってもよいのですが、できれば成長期に治療しておけば最も効果的といえるでしょう。ぜひお子さんの噛み合わせをみてください。



