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思春期の口臭と歯周疾患

2025年1月16日

すこし硬い話から今回は話をしていきます。メインの話は少し後になりますがご容赦ください。米国小児歯科学会では米国歯周病学会による分類を元に小児に認められる歯周疾患として

1 プラーク性歯肉疾患

2 慢性歯周炎

3 侵襲性歯周炎

4 全身疾患関連歯周炎

5 壊死性歯周疾患

の5つを挙げています。このうち小児において遭遇する歯周疾患の多くは1のプラーク性歯肉炎で乳歯列における歯周炎は極めて少ないです。逆に言えば乳歯列なのに歯周炎症状が現れる場合には全身的な疾患と関係あると考えないといけません。

乳歯列期に歯周炎が少ないのは何故か

永久歯と形態が異なり凹みの部分が少なく、歯垢の蓄積が起こりにくい。

歯周ポケットが浅くて歯周病菌が生息しづらい

虫歯菌の方が優勢となりやすい

唾液量が多いので本来舌の上に生息する歯周病菌が洗い流されて、繁殖しづらい

などの理由から歯周病にはなりにくいのです。

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歯肉炎と歯周炎の違いは何か。

歯肉炎は、歯の周りの歯肉(歯茎)のみが炎症を起こす状態です。症状としては歯茎が赤くなり、腫れたり、出血しやすくなったりします。通常、痛みはそれほど強くありません。歯周炎は、歯肉だけでなく、歯を支える骨(歯槽骨)や歯根膜(歯の根に付着する組織)にも炎症が及びます。進行すると、歯槽骨が溶けていきます。歯茎が赤く腫れるだけでなく、歯がぐらつくことがあります。悪化すると、口臭や膿が出たりします。

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歯肉炎、歯周炎の原因は何か。

歯垢の蓄積が長期間続くことで、歯肉に炎症が起きるのです。簡単に言うと、歯肉炎は初期の炎症で、歯周炎はより深刻な状態であり、歯を支える組織全体に影響が出ます。適切な口腔ケア(歯磨きやデンタルフロスの使用)で比較的簡単に改善するのが歯肉炎で、更に歯石除去や歯根の表面を滑らかにして歯垢の除去とセルフコントロールしやすい環境つくりをする処置まで必要になっているのが歯周炎です。共に歯垢(プラーク)の蓄積が原因です。歯磨きや口腔ケアの不十分が要因ということですね。歯周病が進行すると、外科的処置が求められることもあります。

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10代でも歯周病になります。

思春期はホルモンバランスの変化などにより歯茎の腫れや出血などの歯肉炎が起こりやすくなります。これを思春期性歯肉炎といいます。歯磨きの時に血が出たり、歯茎が赤くぶよぶよしているところがあれば要注意です。

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思春期性歯肉炎とは。

大人になってからの歯肉炎は歯周炎に進行して、歯を支える骨まで影響することがあります。しかし若い人の歯肉炎が重度の歯周炎にまで進行することはほぼありません。しかし歯肉炎はお口の中の歯周病菌に感染することで起きるためお口の中が清潔に保たれていないと再発しやすいのです。将来本格的な歯周炎にならないためにも定期健診と毎日の磨き残しのないブラッシングが必要です。

中高生の生活習慣と歯肉炎

中学生、高校生になると部活や受験勉強などで食生活が不規則になりがちです。近年ではメールやゲームする時間が長いと歯肉炎が発症しやすくなるという報告がされています。自分の歯で一生美味しく食べるために、日々の歯磨き、定期健診、そして生活習慣の見直しも必要です。夜食を摂って寝落ちするなどはよくないですよね。

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侵襲性歯周炎

中年以降に多い一般的な歯周病と異なり、10~30代で発症し、急速に歯周病の進む侵襲性歯周炎という疾患があります。歯周炎は先ほど述べた通り歯を支える骨が吸収していきますから若くしても多くの歯を失ってしまう恐れがあります。原因は歯周病菌なのですが、歯周病菌にも多種あります。侵襲性歯周炎はある特定の歯周病菌の割合が高くなっています。発症や進行には遺伝的な要因が関係していると考えられていますが詳しいことはまだ解明されていません。毎日できる手立ては、しっかり歯垢を除去すること、生活習慣の見直しと、通常の歯周病治療と同じです。残念ながら今のところそれしかないです。

歯周炎を伴う遺伝疾患

家族性および周期性好中球減少症

ダウン症候群

白血球粘着不完全症候群

パピヨン・ルフェーブル症候群

チェイディアック・東症候群

組織球症候群

小児遺伝性無顆粒球症

グリコーゲン代謝疾患

コーエン症候群

エーラス・ダンロス症候群

低フォスフォターゼ症

などが挙げられます。これらの遺伝疾患に該当する小児は特に歯周疾患対策が必要です。

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思春期性口臭について

思春期には成長期特有の様々な要因で口臭を感じることがあります。

思春期におけるホルモンバランスの変化、生活習慣の変化、ストレス、などにより唾液の分泌や口腔内の環境に影響を与え、口腔内が乾燥しやすくなることがあります。乾燥した口腔は口臭を悪化させ、口臭の原因となることがあります。仕上げ磨きの時期を大きくすぎているので自己管理によるブラッシングとなっています。つい面倒になり歯磨きなどが不十分であると、歯垢や食べかすがたまりやすくなります。スナック菓子や甘い飲み物、ファストフードの摂取が増えると、口腔内に悪化をもたらす可能性があります。親の管理の目が行き届かないことで食生活をコントロールできないこともよくあります。

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思春期性口臭の対策は

歯磨き

毎日2回、フッ素入りの歯磨き粉を使用して歯を磨きます。親知らずの前の、第二大臼歯が萌出してきます。萌出直後が一番フッ素を取り込みますからフッ素入りが効果的です。細菌活動の活発となる夜間を挟んだ寝る前と朝起きた後に磨くことが特に大切です。

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フロスなど

歯と歯の間のプラークを取り除くために、デンタルフロスや歯間ブラシを使用することをお勧めします。面倒くさがって三日坊主に終わるかもしれませんが、ここで身に付けておくと一生の習慣になります。

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舌の清掃

舌の表面にも細菌がたまりやすいため、舌専用のクリーナーで掃除するのも効果的です。毎日でなくても構いません。週一回でもよいと思います。

十分な水分摂取と健康的な食生活

水を十分に摂取することで、口腔内の乾燥を防ぎ、唾液の分泌を促します。果物や野菜を多く摂取し、糖分や脂肪の多い食品を控えます。特に青リンゴやセロリ、パセリなどは口臭を軽減するのに役立つと言われています。よく噛むことが唾液分泌の促進に繋がります。

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鼻や喉の問題は密接につながっています。

ヒトは普段、鼻から呼吸しています。鼻が、細菌などの異物が体内に入ってくることを防いでくれています。いわばマスクの働きをしてくれています。口呼吸だと口の中が乾燥して歯周病菌や虫歯菌が活動しやすくなり、口臭発生の原因になります。外来の細菌も口に定着してしまいます。副鼻腔炎や扁桃腺炎などの喉や鼻に問題があると口呼吸になりますから、口臭の原因になることがあります。

口ポカンは早期に治しましょう。

小さいうちから口ポカンのまま口呼吸になってしまうと、鼻呼吸をしません。乳歯で上の前歯に着色があるのは口ポカンであることが多いです。口呼吸だと鼻呼吸に比べて顎が大きくなりませんから歯並びもガタガタになります。顎が小さいと舌の置き場が狭いので、奥に行くか下にいきます。舌が気道を狭くしてしまいます。呼吸しづらくなりますから体全体にも良い影響はありません。副鼻腔炎や扁桃腺炎などの関連する健康問題がある場合、小さいうちに適切な治療を受けて、鼻呼吸を獲得しておくことが必要です。思春期でも遅くありません。

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小児口腔育成のページ

定期的な歯科検診:が大切

難しい年齢ではありますが、学校検診やご家族のさりげない誘導で、定期的に歯科医院を受診するきっかけをつくることが大切です。回数を増やすのは難しいと思うので、せめて年2回くらいを目標にしてはどうでしょうか。そうすることで、思春期性口臭を改善し、口腔内の健康を保っていくことができるのではないかと考えます。

予防歯科のページ

 

 

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