小児の時期に矯正することは、お子様の将来の歯の健康や美しい笑顔を保つためだけでなく、全身の健康にとっても、実はとても効果的なのです。
目次
小児矯正のメリット
小児矯正は、子どもの成長期に行えることが最大のメリットです。子どもの歯並びや噛み合わせの問題は上顎に問題のあることがほとんどです。早期に発見し、適切な時期に治療を開始して上顎を大きくすることで、将来的な口の健康リスクを減らすことができます。
小児矯正には多くのメリットがあります。以下にそのいくつかを紹介します。
早期治療することで自然な成長曲線に戻す
子どもの成長期に問題を発見し、治療を開始し解決することで、歯並びや噛み合わせの問題を早期に改善できます。自然な成長を妨げることなく、美しい歯並びと健康を獲得する下準備ができます。上顎が先に成長が終わり、下顎が後から成長します。上顎が大きくならないと下顎が大きくなれません。上顎は10歳が成長のピークです。下顎はもう少しあとです。
将来的な治療を軽減
子どものうちに矯正治療を行うことで、成人後の矯正治療の必要性が減少します。成長後の治療となると顎が大きくなることがありませんから、抜歯が必要になったり、理想的な治療が難しくなります。成長を使って少しでも顎を大きくしておきたいところです。
健康な口腔環境を整備する
歯並びが良くなることで、歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクを減らすことができます。また顎の関節への負担が減ります。歯ぎしりや噛みしめの予防にもなります。
小児矯正治療の方法
ブラケット矯正
ブラケット矯正は、歯の表面にブラケットと言われる装置を付けてし、ワイヤー(いわゆる細い針金)を通して歯を動かす方法です。伝統的な方法であり、確実な治療効果が期待できます。舌側にワイヤーを通す方法もありますが一般的には唇側に通すことが多く、審美性に欠けることもあります。装置は24時間つけっぱなしです。ワイヤーがあるので、歯磨きしづらく子供だけに、虫歯のリスクが高くなります。(当院では対応していません。)
マウスピース矯正(インビザラインファースト)
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを使用して歯を徐々に動かす方法です。歯の表面に歯と同じ色の小さなポッチを付けます。歯を動かす装置になるのですが、見た目が気になりません。人から指摘されづらいので、人気のある方法です。22時間以上装着しなければなりませんが、食事や歯ブラシの時は外していただきます。
マウスピース矯正(ムーシールド、T4K)
夜間と、起きている時の1~2時間に装着します。3~8歳くらいに用いることが多いです。個々の歯並びを治す、というよりは上下の顎の関係を大まかに整えることが目的です。特に3~5歳の受け口の改善、6~8歳の出っ歯(噛むと下の前歯が見えない症例)に有効です。小さいだけに口の中に入れてられるか、という問題もあります。装着することで鼻呼吸の訓練にもなります。
一般的な小児矯正の費用について
小児矯正の費用は治療方法や期間によって異なります。平均的な費用を以下に示します。
– マウスピース矯正:30万円〜60万円
– ブラケット矯正:40万円〜80万円
費用は治療の内容や期間、使用する装置の種類によって異なります。治療方針、治療方法、費用、は各医院のHPや医院での相談時に確認してください。矯正治療は自費治療になります。転医になると費用は新たに発生します。充分納得されてから治療を決められるとよいでしょう。
小児矯正の治療期間
小児矯正の治療期間は、お子様の歯の状態や成長具合によって異なります。一般的には1年から3年程度が目安となります。治療期間中は定期的に歯科医師の診察を受ける必要があります。当院で行うインビザラインファーストの治療期間は18か月です。小児矯正の目的は、上顎を大きくすることで下顎の成長を促し、永久歯の萌出スペースを確保することにあります。それを1期治療といいます。永久歯にすべて生え変わった後、下顎の成長が少なかったり、細かなガタガタがあったりする場合に行う治療が2期治療です。必要なければ2期治療は行いませんが、ある、と思っていただいた方がよいでしょう。
よくある質問
ここでは、小児矯正に関して保護者の皆様からよく寄せられる質問です。
Q 子どもの歯並びが悪い理由は?
A 子どもの歯並びが悪くなる原因は様々です。遺伝的要因、哺乳の仕方、離乳食の与え方、口呼吸、指しゃぶり、舌の癖などが挙げられます。早いうちから訓練や治療に取り組むことが大切です。
Q 小児矯正は何歳から始めるべきですか?
A 一般的には、乳歯が永久歯に生え変わる時期(6歳〜7歳)に矯正歯科での初診を受けることが推奨されます。しかし、個々のケースによって適切な開始時期は異なりますので、診察を受けることが重要です。乳歯のうちから歯並びがよくないと、永久歯もよくないことがほとんどです。気になったら、年齢にかかわらず早めにお越しください。
Q 小児矯正の治療は痛みがありますか?
A 矯正治療に伴う痛みは個人差がありますが、多くの場合、装置の調整後に一時的な違和感や軽い痛みを感じることがあります。ただし、数日で慣れることがほとんどです。
小児矯正歯科を選ぶポイント
矯正治療は自費治療です。一般的な治療と違い途中で医院を変更することは基本的にありません。変更されると診断も一からになりますし、装置などもすべて変わることになります。治療を決める前にはよく検討されて、十分納得されてから治療を受けるようにしてください。
専門的な知識と経験
小児矯正の専門知識と経験を持つ歯科医師を選ぶとよいでしょう。成長の終わった高校生以降と違い、成長を考慮した治療になるからです。疑問があればよくお話をお聞きになってください。
最新の治療技術
最新の治療技術や知見を導入している。でもそれはあくまでも一つの目安です。スタンダードな治療で問題なく治療が終わることの方が圧倒的に多いです。
口コミや評判
他の保護者からの口コミや評判を参考にすることも一考です。同級生が行ってるから、だと子供さんの矯正治療への敷居が低くなり、モチベーションが上がったりします。治療に実際行かれているママ友からの情報を参考にされるのもよいでしょう。ただし主観的な意見だけでなく、ちょっと引いた観点からも考えてみてください。
取り組む前に鼻の治療を
お口が小さいことで歯列不正が起こっていることがほとんどなのですが、口が小さいとその上にある鼻腔も小さいです。鼻が悪い、鼻の通りが悪くなっていることとセットになっていることが多いです。矯正治療を行う前に鼻の治療をお願いすることがあります。鼻が悪いことで口呼吸になっていることも多いです。口ポカンなど、口呼吸は小さいうちに直しておくことが大切です。
一度診てもらいましょう
お子様の将来の口の健康や美しい笑顔を保つために歯並び、噛み合わせは非常に大切です。問題があれば、早期に適切な治療を受けることで、多くのメリットを享受できます。治療方法や費用、期間については、歯科医院で詳しく相談し、お子様に最適な治療を選んでください。治療方針は医院ごとに異なりますから、一医院だけで決めるのではなく、複数の意見をお聞きになった上で納得される医院を選ぶことをお勧めします。当院でも皆様が安心して小児矯正治療を受けられるよう、取り組んでまいります。お子様の歯並びや噛み合わせにお悩みの方は、ご相談ください。美しい笑顔と健康な口を一緒に育んでいきましょう。