乳歯を英語にするとMilk toothです。そのままですね。乳歯は永久歯に比べて色が白いです。永久歯が萌出すると乳歯に比べて歯の色がくすんで見えます。歯の色が周りに比べて黒い歯があります、ということでお見えになることも過去にありました。
目次
知らないときにぶつけていることもある
転んだり、ぶつかったりして歯に衝撃を与えることがあります。上手く受け身を取れないからなのですが、最近ではバランスが取れなくて頭から倒れてしまう傾向があるようです。子供のことですから、大人の目に入らないところでふざけていたり遊んでいる時に、友人の頭や物にぶつけていたりすることもあるようです。歯に衝撃が加わると、その中に入っている神経や血管にも衝撃が加わって切れてしまうことがあります。歯が割れてしまうこともあります。その方がはっきりとぶつかったことがわかるのですが、見た目は何の変わりもないこともよくあります。もし神経が切れていても、その場で症状や所見がないこともよくあることです。レントゲンを撮ってもわかりりません。期間はそれぞれなのですが、神経がきれてしまうとしばらくして歯の色が茶色くなってきます。明らかに色が隣の歯と違うのが分かるようになります。そのようになると歯の神経の治療をすることが多いです。
歯の色が黒い、との連絡を受けると歯の神経がダメになったか!と想像するのですが、実際に拝見すると永久歯のナチュラルな色のことをおっしゃてることもあります。そちらの方が何もなくてハッピーなのですがちょっと身構えてしまいます。
乳歯の虫歯になりやすいところ
一番虫歯になりやすいのは下顎の奥歯です。小さい顎で奥歯は磨きにくい、舌があるので舌側の歯と歯の付け根などが磨きにくい、などの理由があるからです。噛む面が黒くなっているのは気づきます。仕上げみがきでもわかると思います。すべてを削って治さないといけないかと言えばそうでもなく、虫歯の進行が止まっていることもあります。虫歯検査機器を使って問題無ければ、溝が黒くても経過を診ていくことがよくあります。再度虫歯が進行することもありますから定期健診が必要です。
歯と歯の間にご用心
虫歯になりやすいのは噛む面もそうなのですが、歯と歯の間が一番なりやすく治療も難しいです。永久歯と同じく乳歯の中には神経と血管が内蔵されています。その部分を歯髄と言います。乳歯や生えたての永久歯の歯髄は大きいです。加齢と共にその歯髄は狭小化していきます。乳歯は基本的に生え変わりますから狭小化する前に抜けてしまいます。乳歯の虫歯は比較的進行が早くて、穴が開いた、とおみえになるときには結構大きな虫歯になっていることがよくあります。
穴が開いてなくても虫歯
いきなり虫歯が出来るではありません。歯と歯の間は、歯ブラシだけでは歯垢の除去は難しくそれが虫歯の原因になっています。仕上げ磨きでも、歯ブラシだけでなく糸ようじも使うことをお勧めします。歯と歯の間の虫歯の治療は、歯も小さいので溝だけの虫歯に比べると難しいです。虫歯にならないように定期健診と家でのセルフケアをお願いします。
小さな虫歯と思っても神経まで距離が短い
小さな虫歯と思いきや、意外と大きくなっていて神経処置になることもあります。痛みはなくてもです。子供は意外と痛みに強いです。神経は取りたくないので、神経を保護するお薬を貼付してから詰めることもよくあります。ただ、出来るだけの処置をしても、後々神経がダメになることもあります。乳歯の神経がダメになったら永久歯と同じく神経処置を行います。乳歯の神経処置をしても永久歯の神経が無くなる訳ではありませんのでご安心ください。
神経を取ると歯の寿命が短くなってしまう。
乳歯は歯が小さいですが、歯の根も短いです。神経の治療も永久歯に比べて難しく予後は不良のことが多いです。中学生くらいまでに乳歯の根が少しずつ溶けていき、永久歯に生え変わります。その根の吸収が神経処置を行うことで促進されるように思います。まだ生え変わる時期でないのに根の吸収がされて抜けてしまうと、永久歯の生えてくる隙間が無くなります。抜けた歯の前後の歯が抜けた隙間に寄ってくるからです。歯並びが悪くなる原因になります。
乳歯が全て抜け変わるのは中学生くらい
一番最後に乳歯が抜けるのがだいたい中学生になる前か、入学してしばらくしてからかと思います。6歳臼歯の一つ前の歯に関しては後継永久歯が無いこともあります。その場合はその乳歯をずっと使っていただくことになります。歯の根の長さは乳歯なので永久歯に比べると短いです。ですから歯周病になると他の永久歯よりも早くグラついてきます。そうならないようにセルフケアをよりしていただかないといけません。
前歯の本数が足らない子供もいます。
原因はわかりませんが、先天的に歯の数が足らないこともあります。癒合歯というのがあります。2つの歯が一つになっているのです。乳歯でも永久歯でもあるのですが、乳歯の場合その癒合歯の後継永久歯、本来2つあるのですが、一つしかないこともあります。本来歯が並ぶだけの大きさに顎は大きくなるのですが、それは歯があってこそです。歯が全て並ぶだけの大きさに成長していないと歯並びは悪くなります。(歯そのものの大きさ、横幅が大きいこともあります。)軟食や口呼吸の問題なども大きく関与しています。歯の数が足らないと、歯が並ぶだけの大きさでよいので、すべて歯がある状態よりも顎は小さくなります。
歯の数が上と下で違うと
綺麗な歯並びでも歯の数が違うと顎の大きさが上下で異なるので、前後的な噛み合わせが正しくなくなります。いわゆる出っ歯、受け口の可能性につながります。先天的にないものは仕方ないのですが、将来成人した時にインプラントなどで本来あるべき歯数になるように、子供のうちに顎を大きくしておくとよいでしょう。その分空隙が出来てしまうのがデメリットですが、不正咬合による弊害を予め取り除いておくことは将来起こり得る不定愁訴の予防になるのではないかと考えています。
子供のすきっ歯、大歓迎
乳歯列、乳歯だけの歯並びの時、特に前歯の歯と歯の間が空いていないと永久歯の歯並びが悪くなります。顎がそのうち大きくなるから大丈夫だろう、という考えは禁物です。小さいうちから歯がキチキチ、あるいは歯並びが悪いと大きくなっても歯並びは改善しません。乳歯の前歯は当然永久歯の前歯よりも小さいです。歯と歯の間が空いていないと永久歯が真っすぐ生えてくるだけのスペースがありませんから歯並びは悪くなります。八重歯とかガタガタな歯並びになります。乳歯列の時の前歯のスペースを発育空隙、成長空隙といいます。(厳密にはその部位によりそれぞれの名前になります。)その空隙が出来る子供と出来ない子供の何が違うのでしょうか
口呼吸は良くない
簡単に言えば、口呼吸をしていると、舌や唇の筋肉よりも頬の筋肉が優勢になります。その作用で歯並びがU字からV字になって歯が並ぶスペースが小さくなってしまうのです。唇、頬、舌の筋肉の動きが協調して歯の並ぶスペース、顎が大きくなるのですが、それが出来なくて歯並びが悪くなってしまうのです。また口呼吸していると前傾姿勢になるので見た目もよくありません。集中力がなかったり運動能力もよくないことにもつながります。
歯並び、噛み合わせの治療と口の周辺の筋肉の訓練
原因を突き詰めると哺乳や離乳食まで遡ることになりますが、これからできることは、口腔周囲筋の適切に使えるような訓練を自宅でしていただくことと、歯並び、噛み合わせを治していくこと、になります。鼻に問題がないかを確認してからになります。