子供さんのお口と歯に関して気になることについて、調べるのもなかなか煩わしいと思うので、Q&A形式にして記載しました。こればかりでなくまだあるかと思いますが、第一弾です。
目次
妊娠中の歯や口の中の状態が悪いと、赤ちゃんに影響しますか?
影響はあります。妊娠中の母親が歯周病に罹患していると早産や低体重児出産で生まれてくるリスクが高くなると報告されています。
早産や低体重児で生まれてくることのリスクには何が考えられるか?
赤ちゃんの健康状態によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあるとされています。
呼吸器の問題
早産児は肺が完全に発達していないことが多く、呼吸器疾患の原因となる可能性があります。
発達の遅れ
脳や運動機能の発達に影響することがあります。運動能力の問題や学習・行動の遅れなどが含まれます。
視覚や聴覚の問題
早産児は視力や聴力に問題が出る可能性があると言われています。
細かく調べると他にもあります。
歯周病対策は必須です。
健康ですくすく育ってもらうためにも、生まれる前から母親の歯周病対策はとても重要です。歯周病は感染症です。産道を通ってくる時に口腔内の細菌感染するのですが、厳密には、生まれた後も食事の時の口移しなどでも感染の可能性はあります。(歯周病の夫婦間感染もあります。)妊娠の有る無しに関わらず歯周病治療、定期的な予防処置はとても大切なことです。
妊娠中のお口のケアに関して注意しておくことは何かありますか?
妊娠中はつわりやホルモンのバランスが崩れることで虫歯や歯肉炎に罹患しやすいので普段以上に気をつけないといけません。つわりがきついときには、できるだけ気分の良いときにブラシ部分の小さい歯ブラシを使って歯磨きを行ってください。それでも磨けない時にはブクブクうがいしてください。ゆすぐだけでは歯垢の除去はできませんが、できるだけのことはしていきましょう。間食など食事回数が増え、しかも磨けていないと歯茎に炎症が起こるリスクが高くなります。食べれないストレスもよくないですが、食べたら磨くことを念頭においてください。
赤ちゃんが生まれた後に注意することはありますか?
哺乳をしっかりしてください。哺乳期間は半年から2年くらいが一般的です。哺乳がその子の歯並び、口腔機能を決めてしまいます。後戻りできない成長のゴールデンタイムです。母乳が出やすかったり、ミルクの出やすい哺乳瓶では機能獲得できません。正しい知識で哺乳してください。
乳歯の生えてくるタイミングが兄弟で違うので不安です。歯の生え方の目安はありますか?
生後6か月くらいで乳歯は生えてきます。多くは下の真ん中から、次にその横、上の真ん中という順番です。順番は個人差があるので必ずこの順番、ということではありません。1歳頃には前歯が全て揃って、上下それぞれ4本ずつ計8本生えていることが多いです。その後奥歯が順次萌出し、2歳半くらいにはすべて揃い、上下それぞれ10本、合計20本生えます。萌出には個人差があるので生え揃うのに半年くらい前後することもよくあります。成長のスピードは子どもによってそれぞれです。兄弟のみならずお友達とも比較してしまいがちですが、心配しても仕方ありません。個人差もありますが、ご心配なら定期健診されていると思うのでその時に遠慮せず聞いてくださいね。
歯磨きの習慣づけはいつからしますか?
乳歯が生え始めたら歯磨きの習慣付けを始めましょう。子供を仰向けにして、頭を保護者のひざの上に乗せて行ってみてください。初めから歯ブラシを使わず、ガーゼや綿棒で拭き取る、みたいな感じで良いです。最初は前歯しかありませんから、拭きやすいと思います。手づかみ食べできるようになったら、歯ブラシを渡してみてください。磨くのが目的ではありません。自分で歯固めして食べ物ではないことを認識しますが、飲み込んでしまうほど小さくはありませんが、目の届く時にしてください。遊び感覚で、歯ブラシを口に入れることへの抵抗を無くすためです。
最初はどのように磨けばよいですか?
慣れてきたら乳歯用の歯ブラシに替えて、歯ブラシの毛先で歯に1~2回触れるところから始めてください。歯ブラシを口の中に入れることに慣れていたら難しくはないと思います。完璧にしようと思わなくてよいです。歯ブラシの刺激に慣れてきたら歯を一本づつ優しく磨いてください。お互い嫌にならないように気を付け、上手にできたら褒めてあげてください。多少大げさになっても構いません。
最初のうちは1日1~2回磨いてください。
就寝時は唾液が出にくく、自浄性が低くなるので寝る前は必ず磨くようにしてみてください。歯ブラシに慣れてきたらミルクや離乳食を与えた後にも磨いてみてください。回数が増えるので大変かと思います。この時期に習慣づけしておくのが一生の習慣になります。三つ子の魂百までです。嫌がっても、です。
乳歯は抜けるので虫歯を放置してもよいですか?
乳歯が虫歯になると永久歯に比べて進行は早いです。放置しておくとあっという間に神経近くまで進行します。永久歯よりも小さいので外から神経までの距離も短いからです。根の先が膿んでしまうと、次に生えてくる永久歯の形がいびつになったり、歯が変色したりします。また、乳歯の神経を取ると早く抜けてしまう傾向にあります。次に生える永久歯がすぐ生えてくれればよいですが、しばらく生えてこないと両隣に歯が倒れてきて、永久歯の生えてくるスペースが小さくなって、きちんと真っすぐ生えてこなくなるなどの悪影響が出る可能性が高くなります。
歯が黒いのはすぐ治さないといけないですか?
歯と歯の間が黒くなっていて、穴が開いている。これはむし歯です。早期に治療した方がよいでしょう。仕上げ磨きをしていて、ある特定の部位ばかりしょっちゅう物が詰まっているような気がする、ちょっとそこだけ白すぎる。こういう時は虫歯になっていることが多いです。医院で確認してもらった方がよいでしょう。歯の溝の部分が黒い。この場合、虫歯は虫歯ですが、進行していて治療した方が良い場合と、進行が止まっていて経過をみればよい場合もあります。保護者が診断せず、医院で診てもらった方がよいでしょう。
歯の色が全体的に茶色いのは虫歯ですか?
一部だけでなく歯全体が茶色いのは次のようなことが考えられます。
着色
歯の表面に茶渋みたいにステインが付着している状態です。歯ブラシでこすり落とすことはできません。医院で器具を使えば取り除くことができます。虫歯ではありませんから治療は不要です。でも気になるなら、診療台に座れるようになってから取り除くとよいでしょう。
歯をぶつけた
転んだり、ぶつかったりして歯を打ち付けていると、時間の経過と共に歯の色が茶色くなります。好発部位は上の前歯です。歯の付け根が腫れたり、痛みがあれば歯の神経の治療をすることになります。色が変わっただけなら経過を見ていくこともよくあります。乳歯の神経を取ることになっても永久歯の神経が無くなることはありません。
神経の治療をしている
虫歯で歯の神経を取る治療をしていると、時間の経過と共に歯が茶色くなります。それは乳歯に限らず永久歯でも同じです。歯茎が腫れておらず症状もなければそのままでよいです。
歯の形成不全
歯が作られる段階でトラブルがあった場合、完全でない状態で歯の成長が止まることがあります。これを歯の形成不全といいます。エナメル質が無かったり、象牙質が茶色いということが多いです。虫歯になりやすいので注意が必要で、他の歯以上に気を付けないといけません。奥歯に多いです。虫歯でなければ形態にもよりますがそのままにしておくこともあります。