癖でかみ合わせが変わります
学童期の歯並びについては気を付けて拝見するようにしています。正常咬合といわれる非の打ちどころのない噛み合わせがよいに決まっていますが、そんな人はかなり限られます。その人その人にとって、問題のない噛み合わせであればよいと思っています。顎の関節に問題なく、歯垢を除去しやすい歯並びで虫歯や歯周病になりにくい歯並び、噛み合わせがあり、これを個性咬合といいます。
遺伝もありますから、受け口傾向や出っ歯傾向にある人もいます。そのような状態でも顎に負担がかかってなくて、歯垢除去しやすい環境なら健康の維持がしやすいのです。
唾液の性状、歯みがきの習慣、ブラッシングの仕方、歯ぎしりの傾向の有無、などもありますからそれだけで健康維持できるものではありません。それは成長してみないとわからないのです。ですから個性咬合があるから大丈夫、と思わないでください。子供のうちにできることをやってあげることは価値のあることです。
後天的原因が癖です
指しゃぶりが長く続くと、奥歯が噛んでいても前歯が噛まずに上と下の歯の間に隙間ができてしまいます。こうなってしまうと食べ物や飲み物を飲む時に、その隙間に舌先を入れないと飲み込むことができません。常にそういう状況になりますから永久歯になっても前歯が閉じることはありません。根気強く専門医のところで舌の位置を覚える訓練をし、毎日自宅で30分ほどその訓練を何年も続けていかなくてはなりません。初歩の段階から5~7ステップ進んでいかなくてはなりません。
ストレスもありますからあまりにも小さいうちは無理ですが、3歳から4歳の間には辞めるよう仕向けないといけません。爪や指先に食品添加物の苦み材料を塗るなどの方法もありますが、保護者の愛情で止めることがなによりです。
うつぶせ寝もよくありません。頭はかなり重くて大人でボーリングの重さがあります。
子供はそれほどではありませんが、体重に占める頭の重さはそれなりです。うつぶせ寝すると下あごが奥に押しやられますから、いわゆる出っ歯状態になります。顎にも負担がかかりますからよいことは一つもありません。あおむけ寝はなかなか難しいですが、せめて横向き寝になるように見てあげてください。毎日の持続的な悪習慣が不正咬合への一歩になるのです。
口ポカンもよくありません。一番よくないです。
人は本来鼻呼吸する生き物です。口は食べる、発音する器官であって、呼吸する器官ではありません。鼻で外気を取り入れますが、同時に細かい異物を排除するようにできています。フィルター機能ですね。
でも口にはフィルター機能はありません。細菌やウィルスをダイレクトに体内に取り込んでしまいます。感染対策の機能が鼻ほど備わっていないのです。
歯は口、唇、頬、舌の筋肉の間に並んでいます。ですから口を開けっぱなしにすると唇の力が働きませんから舌の圧力に押されて前歯が前に出てきます。また唇の厚みが強調される顔貌になります。また唇は乾燥します。乾燥すると歯の表面が着色しやすくなります。
何に気を付ける?
これらのことから、小さいうちに家庭でできることは、うつぶせ寝をしない、常に口は閉じる、指しゃぶりは早くやめる、などです。寝る時に布団を少し咥えるとか、下唇を上と下の歯で咥えるというのも一種の指しゃぶりです。ゲームしているときの顔みてください、口が開いていませんか。寝ているとき手を頬に当てていませんか。他の病気で鼻が詰まっていませんか。
改善できることは早く改善した方があとで困りません。