AEDとはなんぞや
過日午前の診療終了後に院内でAEDの勉強会を行いました。AEDはよく聞く言葉ですが、日本語で自動体外式除細動器と言います。自動で心臓の状態を判断し、心臓がけいれんした状態(心室細動など)と認めると電気ショックを流して心臓の状態を正常に戻すための医療器械です。
よくドラマなどで心電図が平らになった状態(心停止)で心臓に電気ショックを与えている描写がありますが、その状態で用いるのは意味がありません。全身へ血液供給する心臓のポンプ機能が著しく弱っている時に用います。
使用率4.5%しか使われていない
心臓がけいれんを起こしている状態では、脳を含む全身に血液が正常に循環しないため失神を起こし死に至ります。心臓がけいれんした状態になると1分毎に7~10%ずつ救命率が低下しますので一刻も早く心臓の状態を正常に戻す必要があります。救急車の到着時間は全国平均8分です。救命率は20%になりますよね。そのため速やかにAEDを使用した方がよいのです。
でも使ったことがないとか、自分がしたことが後で責任を問われるのは嫌だなと、思うことが使用率4.5%にとどまっていることがそれを示しています。
2004年の法律の改正で、AEDを使用して救命活動を行った結果その人が命を落とすことになっても罪には問われないことになりました。民法第698条がそれです。
心臓マッサージも必要です
屋外で発見した場合にはまず安全に心臓マッサージを行える場所を確保します。道路の真ん中では安全が確保できません。多少のリスクはありますがやむを得ません。AEDがすぐに見つけられることは少ないでしょうから心臓マッサージがまず行います。
その前に意識があるかどうか、呼吸をしているかの確認をします。両肩をゆすり大きな声掛けをします。屋外はいろんな音がしますから。両肩というのは麻痺の有る方もいるからです。呼吸は口に手を近づけます。耳ではありません。マスクをしていることが多いので外さないといけません。
心臓マッサージは心臓の上を押しません。
心臓の上に手を当てて直接刺激を与えたいところですが、それはダメです。心臓マッサージは実際にはとても強い力が必要で、女性が行う場合には全体重をかけるくらいの力です。心臓の上は肋骨です。肋骨にそれほどの力をかけると折れてしまいます。
ではどこか?みぞおちの少し上を目標にします。そこは胸骨という比較的大きな骨ですから力をかけることができます。1秒に2回が目安です。かなりの頻度でかなりの力をかけますから相当くたびれます。それゆえ協力してくれる人を多く確保しなければなりません。
心臓マッサージしてくれる人、AEDを取りにいってもらう人、救急車を呼ぶ人、それぞれに責任をもって行動してもらわなければ命が救えないのです。
今では、人工呼吸はしません
AEDが到着したらそれを用いるのですが、操作は開始のボタンを押せば、AEDが音声で指示してくれますからそのとおりやるだけです。
何でもかんでも進むわけではありません。まず心電図を取ります。そのために上半身を脱がせないといけませんから、これがハードル高いです。特に女性の場合ですね。
心停止と判断すれば電気ショックはありません。電気ショックはなしです。心臓マッサージで救急車を待つことに。心室細動ならAEDが近くの人は遠のく指示を出して電気ショックを行います。そして意識の回復や呼吸の有無の確認をします。
このご時世ですから、人工呼吸というのはしないです。気道の確保は行います。
このようなことがない、または出くわさなければよいのですが、定期的に研修しておくことは大切ですね。