ハーバード大学のダニエル・リーバーマン教授によれば、歯科疾患の原因は人類が美味しさを追求した食文化が原因とおっしゃっています。
オーストラリアやニュージーランドの先住民で、その方たちの従来の食べ物と近代化された食べ物(加工食)を主食にした2つの集団に分けた人類学的な研究があります。
加工食の集団では、むし歯や不正咬合がかなり発現したそうです。
縄文時代ではいわゆる狩猟生活でいたが(肉食)、マンモスなどの大型草食動物が絶滅すると、そのマンモスなどが主食としていたイネなどを人類が食べるようになっていったそうです。
肉食の時にはむし歯はなかったそうですが、イネを美味しく食べるように工夫していった結果むし歯の発現率が高くなっていったと考えられています。
(最初は生米のまま食べていたそうです。)
でんぷんのままでは美味しくなく、加熱して糊化したでんぷんに変えて食するようになったそうです。煮炊きすることで美味しさが引き出されるのです。
少し前の研究です。4週間の旧石器時代人の生活を歯ブラシなしでしてもらったところ、歯磨きができなくても歯肉出血と歯周ポケットの深さは減少したそうです。
またインディアナ大学の研究ですが、通常の生活で3週間歯磨きを中止するとエンドトキシン血症(細菌毒)を発症するそうです。う蝕、歯周病、歯原性菌血症が生じるとのこと。もちろん歯磨きを再開すると正常に戻ります。
人類の進化と食生活の変化で口腔内の細菌叢は変化しています。
また成長と老化によっても口腔細菌叢も変化します。
乳児と歯のある幼児でも細菌叢は違います。歯面にバイオフィルムが出来、有害な菌が多くなります。一度定着した菌を交代させることはとても難しいそうですが、栄養指導や食事指導などと組み合わせて細菌置換療法を行うことで虫歯や歯周病に対応していきたいと思っています。