健康寿命を延ばすことがアンチエイジング
「ピンピンコロリ」という言葉をご存じですか?よく使われますよね。頭文字からPPKなどとも言われます。日本人は省略するのが好きですよね。健康で元気なまま長生きし、最期は突然穏やかに亡くなるという、理想的な老後の過ごし方を指します。私もそうありたいと思っています。
健康寿命と平均寿命
寿命にも色々あってよく引き合いに出されるのが平均寿命と健康寿命です。平均寿命は生まれてから亡くなるまでの平均年齢を示しますが、健康寿命は病気や介護が必要になることなく健康で過ごせる年齢を指します。平均寿命の方が当然長いのですが、この差が短ければ短いほど人様にお世話にならないで過ごせるわけです。男女で違いはありますが10年前後の差があります。健康寿命と平均寿命の差を縮めるためには、生活習慣や予防策を通じて、健康で活動的な年齢をできるだけ長く保ち、老後の質を向上させることが重要です。
健康寿命を延ばすには
バランスの取れた食事
何と言っても食事が大切です。栄養価の高い食品を摂取し、過剰なカロリーや加工食品を避けることで、心臓病や糖尿病などの慢性疾患のリスクを低下させます。糖質を避け、良質なタンパク質を摂る、添加物の多いものは避ける、ことです。
適度な運動
中程度の有酸素運動や筋力トレーニングを行い、心肺機能や足腰だけでなく全身の筋力を維持し、機能的な自立を保つことが目的です。難しく考えず、日に20分くらいのウォーキングくらいをイメージすると続くのではないでしょうか。ちょっと早歩きで近所を歩くのなら3日坊主にならずに続けられそうですかね。
ストレス管理
趣味などを通じてストレスを軽減しメンタルを保つ。実はこれがとても難しいです。健康寿命を延ばす助けになるのはよくわかるのですけれどね。喫煙をやめ、アルコールを適量に抑えることも有効とされていますが、逆にストレスになることも考えられます。適量、いい言葉ですね。
社会的なつながり
高齢になると出不精になっていきます。社会的な交流を持っておくことで、精神的な健康を維持し、孤立感やストレスを減らすことも出来ます。また外へ出ていくきっかけになりなすから適度な運動も兼ねることになります。
定期的な健康チェック
定期的な健康診断や検査を受け、早期に疾患を発見し、適切な治療や予防策を講じることが重要です。生活習慣病、歯周病、などの慢性炎症を伴うものには有効です。
老化とは何か
健康で充実した老後を迎えるためには、早期からの予防と日々の健康管理が重要です。細胞レベルで言うと、細胞の老化により正常な機能が失われていくのが老化です。細胞が老化すると、がん化リスクが増し、老化細胞は周囲の細胞を傷害していきます。また慢性炎症を引き起こす引き金になります。体の老化は身体的にも精神的にもマイナスです。
老化現象のサインとして
肌のたるみ
しみや皺
白髪
抜け毛
ホルモンの乱れ
骨量低下
筋力低下
血管年齢
基礎代謝の低下
太りやすい
が挙げられます。
老化は3つのトライアングルから成る
それは酸化、糖化、炎症です。それぞれが相互に影響しあって老化が進行します。成長も一種の老化です。
酸化
すなわち錆びることです。難しくいうと、酸化は体内で生成される活性酸素種(ROS)やフリーラジカルが過剰になることから発生します。これらは不安定な分子で、他の分子と反応しやすく、細胞膜やDNA、タンパク質にダメージを与えることがあります。簡単に言うと、活性酸素による細胞障害ということです。
酸化による悪影響
細胞膜の損傷
活性酸素種は細胞膜の脂質を酸化させ、細胞膜の構造や機能を損ないます。これにより、細胞の柔軟性が失われ、細胞の死や機能低下を引き起こすことがあります。
DNAの損傷
活性酸素種はDNAに直接損傷を与えることがあり、これが突然変異や細胞の老化、がんのリスクを増加させる可能性があります。
タンパク質の変性
酸化はタンパク質にも影響を及ぼし、機能不全や変性を引き起こすことがあります。これにより、酵素の活性が低下し、細胞の機能が損なわれます。
抗酸化システムの衰退
加齢に伴い、体内の抗酸化物質(ビタミンCやビタミンEなど)や抗酸化酵素(カタラーゼやスーパーオキシドジスムターゼなど)の働きが低下します。これにより、酸化ストレスに対する防御が不十分になり、さらなるダメージが進行します。
糖化
すなわちこげる、ということです。老化における糖化は、体内の糖分(グルコース)がタンパク質や脂質と反応してAGEs(終末糖化産物)という有害物質を生成します。これが細胞や組織にダメージを与え、老化や慢性疾患の原因になります。
糖化による悪影響
コラーゲンの劣化
糖化によってコラーゲンが硬化し、弾力性が失われるため、肌のしわやたるみが進行します。
血管の損傷
AGEが血管内皮に蓄積し、動脈硬化や高血圧を引き起こす可能性があります。
細胞の機能低下
糖化により細胞内のタンパク質が変性し、細胞の正常な働きが損なわれます。
炎症の促進
AGEが体内で炎症反応を引き起こし、慢性的な炎症状態を引き起こすことがあります。
炎症
いわば火事になる。免疫という消火作業をずっとし続けることです。過剰に免疫作用が働くとアレルギーを引き起こします。体内の慢性的な炎症状態が加齢とともに進行します。
炎症の悪影響
組織の損傷
慢性的な炎症が細胞や組織を攻撃し、老化を加速させることがあります。
免疫機能の低下
炎症が免疫システムを過剰に活性化し、正常な免疫機能を損なう可能性があります。
慢性疾患のリスク増加
炎症が心血管疾患、糖尿病、アルツハイマー病など、さまざまな慢性疾患のリスクを高めることがあります。
身体の酸化についてフォーカスしていきます。
先程述べたように、身体の酸化には活性酸素が大きく関与しています。活性酸素はタンパク質、脂質、核酸などと反応して変性させてしまいます。酸化≒老化といってもよいでしょう。抗酸化対策は、老化・疾患の予防・治療になります。酸化ストレスと疾患、の論文数は世界的にすごい数です。気になる方は調べてみて下さい。
活性酸素は老化に対して以下のような影響を及ぼしていると考えられています。
細胞の酸化的損傷
活性酸素は細胞内の脂質、タンパク質、DNAなどと反応し、酸化的損傷を引き起こします。これにより、細胞膜が破壊されたり、タンパク質が変性したり、DNAに突然変異が生じたりします。
ミトコンドリアの機能低下
ミトコンドリアはエネルギーを生産する細胞の部品で、活性酸素によって損傷を受けると、その機能が低下します。これがエネルギー不足や細胞の老化を促進します。
抗酸化防御システムの疲弊
活性酸素が増えると、体内の抗酸化物質や酵素(例:ビタミンC、ビタミンE、グルタチオンなど)が過剰に消費され、酸化的損傷に対する防御が不十分になります。
細胞の老化と死亡
活性酸素による酸化的損傷が蓄積すると、細胞の老化が進み、アポトーシス(プログラムされた細胞死)が促進されます。これにより、組織の機能が低下します。
炎症の促進
活性酸素は炎症反応を引き起こし、慢性的な炎症状態を誘発することがあります。慢性炎症は老化のプロセスを加速し、さまざまな疾患のリスクを増加させる可能性があります。
活性酸素は老化のプロセスにおいて重要な役割を果たし、その影響を軽減するためには、抗酸化物質の摂取や生活習慣の改善が有効です。
活性酸素を無毒化するのに注目されているのが水素
呼吸によって使われなかった酸素のうち2~3%が活性酸素となり体内に留まってしまいます。これはどんな人でも逃れられないことです。できるだけ要らない活性酸素を取り除きたいところです。良い所取りしたいですよね。活性酸素を無毒化する抗酸化作用を持つことで注目されているのが水素です。酸化ストレスの元となる活性酸素を水素と反応させると水になるからです。
選択的な抗酸化作用
水素は、体内の有害な活性酸素(例えばヒドロキシルラジカル)に特異的に反応し、それを中和します。一方で、体に必要な酸素や抗酸化物質には影響を与えません。水素は悪玉活性酸素のみを都合よく除去してくれる。
細胞保護
水素は、細胞内の酸化的損傷を軽減し、細胞の健康を保つのに役立ちます。これにより、老化や病気のリスクを減少させる可能性があります。
炎症の抑制
水素は炎症反応を抑える効果があり、慢性的な炎症を軽減することで老化の進行を遅らせる可能性があります。
エネルギー代謝の改善
水素がミトコンドリアの機能を保護することで、エネルギー代謝が改善され、細胞の健康が維持されます。
水素は分子が小さいので毛細血管、脳まで届く
活性酸素を水に変えるスピードが早い
これにより、全体的な健康の維持や老化の進行の抑制に寄与する可能性があります。決して水素を推奨している訳ではありません。全身のアンチエイジングとして出来る対策を最近のトピックも交えて今回はお話してきました。
お口のアンチエイジングはまたの機会に
加齢に伴うお口の中の変化と、それに対して出来るアンチエイジングがあります。それについてはまたの機会にお伝えします。