ちょっと大きくなってきた時に悩ましく思う問題について述べていきます。
目次
- 1 指しゃぶりがやめられません。どうしたらよいですか?
- 2 おしゃぶりしてよいですか?
- 3 子供なのに歯ぎしりがひどいです。大丈夫ですか?
- 4 乳歯なのに、もう歯並びが悪いです。何をすればよいですか?
- 5 見た目は悪くないのに歯並びが悪いと言われました。何がよくないのですか?
- 6 すきっぱがあります。大丈夫ですか?
- 7 乳歯が抜けていないのに、永久歯が後ろから(または横から)生えてきました。どうすればよいですか?
- 8 全然乳歯が抜けません。大丈夫ですか?
- 9 生えたての永久歯は虫歯になりやすいと聞きましたが、どうすればよいですか?
- 10 虫歯になるリスクを減らすには何をすればよいですか?
- 11 仕上げ磨きはいつまでするのがよいですか?
- 12 健診はいつから行けばよいですか。どのくらいの期間でいけばよいですか?
指しゃぶりがやめられません。どうしたらよいですか?
指しゃぶりするには理由があります。呼吸しづらいから指を入れて呼吸路を確保しているのです。呼吸しづらいのは鼻の通りが悪い。鼻の下の上顎が小さいから鼻も大きくなれなくて通りが悪い。上顎が大きくなれてないのは、哺乳の仕方、離乳食の与え方に問題があったから。離乳食期なら、まず与え方を改善してみましょう。済んでしまっているなら食育、前歯がぶりなどで大きく口を育てることをしてみましょう。耳鼻科も受診して問題ないか確認してください。
褒める、悲しむ
子供は親に褒めてもらいたい、と本能的に思っていますから、吸ってなければ大げさに褒める。吸っていたら、めちゃ悲しそうな顔をする。~ちゃんが指をすっているとママはとても悲しい、と言ってみましょう。無理やり辞めさせることはできません。3歳までを目途にお母さん、頑張ってみてください。解決しないと歯並び、噛み合わせが悪くなります。
おしゃぶりしてよいですか?
おしゃぶりは鼻呼吸を獲得するのに有効です。欧米ではよく用いられています。でも、きちんと哺乳、離乳食ができていれば不要です。母乳が出やすかったり、ミルクの出やすい哺乳瓶だと口腔が正しく成長できません。口腔周囲筋の訓練不足になってしまい、不正咬合や正しい嚥下機能が獲得できません。そういった場合おしゃぶりを使うことは有効です。個人的な感想ですが、ヌークというメーカーのおしゃぶりはかたくて筋機能訓練するのに適していると思います。指しゃぶりと同じで、3歳までにおしゃぶりもやめるようにしましょう。おしゃぶりをやめて、口ポカンになっているようなら鼻の問題がないか、耳鼻科で確認されるとよいでしょう。
子供なのに歯ぎしりがひどいです。大丈夫ですか?
原因はストレスも考えられてもいますが、呼吸に問題があると私は考えています。上顎が正しく大きく成長できないと、下顎も大きく前に成長できません。下顎が前に出ない、後ろに押しやられると気道が狭くなります。そうすると呼吸するために下顎を前に出さないといけませんが、歯が邪魔です。だから歯ぎしりするのです。鼻に問題があっても呼吸できませんから鼻の通りが悪くないか、耳鼻科受診をお勧めします。上顎が小さいことは機能的矯正装置を用いて早めに大きく成長させることが必要です。大人が歯ぎしり用に使うマウスピースでは改善しません。
乳歯なのに、もう歯並びが悪いです。何をすればよいですか?
乳歯の歯並びはすきっぱであること
噛みあわせた時に下の前歯がほぼ全部見える
これが理想です。乳歯でキチキチに生えていたり、程度の差があれガタガタになっているのは正しく顎が成長できていません。永久歯になってもそのままガタガタになる可能性が高いです。離乳食に戻れない時期なら食育と機能的矯正装置で正しい成長曲線に戻してあげることが必要です。具体的な食育については口腔育成のページをごらんください。
見た目は悪くないのに歯並びが悪いと言われました。何がよくないのですか?
上、下、それぞれの歯並びがきれいにならんでいても噛み合わせがよくないことだと推察します。上顎に対して下顎が奥にあれば出っ歯です。
上と下の前歯が噛んでいないと開咬という状態で、そこに舌を差し込んで飲み込む(嚥下)癖がつきます。これが異常嚥下癖で治そうとしても小さいうちから癖付けあると大人になっても治りません。矯正治療と別に舌の訓練が必要になります。
すきっぱがあります。大丈夫ですか?
乳歯のうちは、前歯がすきっぱの方がよいです。ただ永久歯のなっても隙間が残ったままだと自然に閉じることはありません。矯正治療で閉鎖することになります。ただし過剰歯といわれる要らない歯が原因で空隙が閉じないこともありますから、レントゲン写真で確認しましょう。もし存在があれば、口腔外科などで埋もれた過剰歯を抜歯することで解決できるもしれません。
乳歯が抜けていないのに、永久歯が後ろから(または横から)生えてきました。どうすればよいですか?
めちゃめちゃグラグラなら自然に抜けるのを待ってもよいです。抜歯を嫌がる子供もいますし、私は無理をしません。そうでなければ、永久歯を乳歯のある正しい位置に誘導するために早めに抜歯することを勧めます。顎の大きさによってはその位置に永久歯が収まらないこともあります。顎を大きくしつつ歯並びを良くするための矯正治療が必要になります。
全然乳歯が抜けません。大丈夫ですか?
個人差があります。生え変わることがほとんどですが、永久歯の生える方向がおかしかったり、先天的に永久歯が無い先天欠損の場合もあります。歯ごとに平均的な抜け変わる年齢はありますから、私が診て違和感があればレントゲン撮影して確認します。もしどちらかに該当すると簡単には済まないかもしれません。
生えたての永久歯は虫歯になりやすいと聞きましたが、どうすればよいですか?
萌出してくる歯は極端に言えば少し不完全な状態で生えてきます。歯の表面にエナメル質の構造が若干歪んでいます。口腔内という劣悪な環境で、食品や歯磨剤などに含まれるフッ素を少しずつ取り込んで、歪が修正されていくとお考えください。その期間が虫歯になりやすいのです。ですから生え始めのときは特にしっかりブラッシングには気を配ってください。歯の歪を正していくのにフッ素を用いるのは有効です。医院でのフッ素塗布よりは、ブクブク出来るようなら、歯磨き後に行うフッ素洗口液の洗口を毎日励行してもらう方がよいと私は考えています。小学校に入るか入らないかで洗口液の濃度は変えるとよいでしょう。使い方は医院でお聞きになれます。飲み込んでしまっても大丈夫な濃度ではあるのですけれど。
虫歯になるリスクを減らすには何をすればよいですか?
食事するたび口腔内が酸性に傾き唾液の力で中性に戻っていくのですが、戻り切らないうちにまた食事して酸性になると口腔内が中性に戻る期間が短くなり虫歯になりやすくなります。ダラダラ食べを無くす。間食の回数を減らすこれが大事です。虫歯は糖が原因です。その糖分のコントロールが重要です。そして虫歯菌の温床となる歯垢の除去、すなわち歯垢を取り切るブラッシングが大切です。ブクブクでは取り除けません。食事したら磨くことを習慣づけさせてください。
仕上げ磨きはいつまでするのがよいですか?
出来るだけ長い期間仕上げ磨きをしてもらいたいです。親子関係もありますから一概に何歳までとは言えません。顎の成長で歯と歯の隙間は開いてくることもあります。歯と歯の間に物が詰まりやすかったりしてそこから虫歯になったりします。歯ブラシだけでは取り除くことが難しい歯と歯の間の汚れを、フロスを使って仕上げ磨きをしてほしいです。それが当たり前になれば、フロスを使うことが当たり前になる習慣づけにもなります。
健診はいつから行けばよいですか。どのくらいの期間でいけばよいですか?
健診はいつからでもよいですが、前歯が上4本、下4本生えてからくらいからが一番早いくらいです。この時期は哺乳や離乳食についてのお話になるので本人の検診は少しくらいになってしまいますけれど。少し大きくなってきたら、3~4か月くらいでしょうか。春休み、夏休み、冬休み、みたいなサイクルでもよいでしょう。慣れてもらうこともあります。痛くない時に歯科に行く、という習慣がつけばいいですね。