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妊婦健診を受けましょう
妊婦健診にお越しになったときに、口腔内の健診を行うだけでなく出産後の赤ちゃんへの哺乳や離乳食についてのお話もさせていただいています。大変な時期ではありますが子育ての一助となればと思っております。その内容を一部記載していきたいと思います。
食事は大切です
母親が食べたものが血液を通してそのまま胎児に届きます。母親が摂取したものは胎児に移行しますから食品に入っている化学物質も胎児に届きます。その化学物質は胎児に蓄積していきます。とはいえ、化学物質の入っていないものはなかなか無いのが実情です。身体に良いものを摂取することはもちろんわかっておられると思います。何が良くないでしょうか?
農薬や化学肥料を使用した農作物(これはわかりますよね)
食品添加物(化学物質)
コンビニ弁当やファーストフード
食品添加物
日本では食品添加物の認可数が年々増加しています。日本は約1600品目 イギリス21品目 フランス32品目 ドイツ64品目です。あのアメリカでも実は133品目しか認められていません。日本の1/10しかです。口に入る物の基準をヨーロッパでは厳しくして管理されています。身体に良くないからですよね。日本は飛び抜けて多いそうです。賞味期限を延ばしたり、購買意欲をそそる色使いなどを考えてのことなのですかね。そのあたりはよくわかりません。
トランス脂肪酸
ほとんどのパンやケーキに使われるマーガリンやショートニングにはトランス脂肪酸が含まれています。アメリカでは2018年6月からトランス脂肪酸は使用禁止になっています。トランス脂肪酸は体内に入ると有毒なアルデヒドとなり長期間排出されません。
トランス脂肪酸が多く含まれている食品
マーガリン、ショートニング
ケーキ用小麦粉
カップラーメン
フライドポテト
冷凍チキン
ドーナツ、パウンドケーキ
ポテトチップス
オートブラン
チョコレートクッキー
ホイップクリーム、コーヒーフレッシュ
なかなか魅力的なラインナップです。アルデヒドは心筋梗塞、アレルギー、うつ などに関与していると言われています。
他に食品添加物として有名処
加工肉には亜硝酸ナトリウム、リン酸塩、
飲み物にはスクラロース、アセスルファムK、アスパルテーム、カラメル色素
そうは言ってもすべてを0にすることはできません。
砂糖の採り過ぎにもご用心
砂糖はむし歯の原因、もうそのことは皆さんおわかりですよね。砂糖を摂取すると脳が快楽を覚えた時に放出されるドーパミンを放ちます。ドーパミンは脳の前頭前野、側坐核を刺激して高揚感を感じさせるようにします。ギャンブルにはまるとそれにのめり込む、みたいなのと同じようです。カジノなどのIR構想の議論で、ギャンブル中毒についても話があったかと思います。
砂糖を摂取すると
血糖値が上がります。そうするとそれを抑えるためにインスリンが分泌されます。それで血糖値が下がるのですが、アドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。アドレナリンはイライラや怒りをノルアドレナリンは不安や恐怖を呼び込みます。血糖値が乱高下すると、血糖値を安定させるためのインスリンやアドレナリンなどのホルモンを作るためにアミノ酸ミネラル(亜鉛やマグネシウム)を使います。これらを十分に摂取していないと隠れ栄養失調にもなりますし、マタニティーブルーを引き起こす要因にもなり得ます。
便秘は砂糖の摂り過ぎからも起こります
糖を摂取すると数分から1時間くらい胃の働きが止まります。これを糖反射と言います。胃が働かないので腸の動きも止まります。摂りすぎなければよいのです。砂糖なしという生活はこの現代においてはなかなか難しいことです。栄養素のない白砂糖ではなくて、無精製糖を使うことや控えめに摂取するなどの対応が現実的ではないでしょうか。
コンビニ弁当の研究
名古屋市立大学では10万組の親子を対象にした研究を行いました。妊婦の時期に、週に1回以上コンビニ弁当、インスタント食品、レトルト食品、缶詰食品をそれぞれ摂取した頻度と死産、早産、低体重出産の関連です。それによると市販の弁当と冷凍食品の週一回以上の摂取と死産が関連しているとのことです。またこれまでに妊婦のカフェインを含む飲料の摂取頻度と死産、早産、低体重出産は関連ありとされているそうです。統計的な結果がわかっているだけで、特定の物質とかメカニズムはわかっていないとのことです。
何を食べればよいのか
基本的には生鮮食品ですが、なかなか難しいですよね。できる範囲で生鮮食品を摂るとして、なるべく伝統的な和食を中心とした食事がよいかと思います。1970年代のアメリカでマクガナンレポートが発表されました。全世界で一番バランスの取れた良い食事は何かを研究したものです。ズバリ元禄時代以前の和食、と明記されています。50年前にもう研究されていたのです。何がよいのかといえば、発酵食品(味噌、漬物、納豆など)や和食に含まれる様々な酵素が良い働きをするのです。
食べ物の消化、吸収を助ける
解毒作用(農薬、添加物、活性酸素の分解除去)
腸内環境を整え、免疫力をアップしてくれる
からです。
野菜はしっかり摂りましょう
野菜に含まれている色素やにおい成分にはポリフェノール、ベータカロチン、リコピンなどが含まれています。これらをファイトケミカルと言い、
抗酸化作用
解毒作用
免疫力向上
に役立っています。ただしファイトケミカルは熱に弱く電子レンジで調理すると97%破壊されます。せっかく摂取するのであればその点を留意して調理していただきたいです。
離乳食の始め方
哺乳の重要性や意義については過去のコラムに何回か記していますので今回は離乳について述べようと思います。日本は極端に哺乳期が世界に比べ短いです。もう少し長くてもよいかと思っていますが、現在日本で一般的な期間で記します。離乳食にも段階があります。
離乳初期(5~6か月)
自座りが5秒以上できるようになってきたらが一つの目安です。一日一回食で、母乳やミルクは飲みたいだけ与えてください。滑らかに摺りつぶした、つぶがゆのような状態にして与えてあげてください。卵は卵黄だけです。
離乳中期(7~8か月)
母乳は飲みたいだけ与えますが、ミルクは1日3回です。離乳食は1日2回食です。舌と上あごで潰せる固さがよいです。卵は卵黄から全卵に変えていきます。魚も白身魚から赤身魚、そして青魚を食べてもよくなります。
離乳後期(9~11か月)
この時期になっても母乳は飲みたいだけ与えてください。母乳には活性酸素消去能力があります。ミルクは1日2回に減らし一日3回食にします。歯茎でつぶせる固さにします。スプーンは下唇につけて、上唇が閉じるのを待ってください。下唇です。これはとても大事です。上唇を使って捕食する習慣が前歯を使って食事をする基礎訓練になります。その習慣が顎の成長を促し、適正な方向に向かわせることになるからです。上唇にスプーンをつけたり、スプーンを奥に入れて斜め上方向に引き抜いたりしない方がよいです。口唇のセンサーや舌の機能成長が望めず、噛まずに丸飲みしてしまうようになるからです。
離乳完了期(12~18か月)
一日3回の食事で、1食80gを目安としてください。食事のリズムを作りましょう。歯茎で噛める固さのものにします。汚れることを厭わず、食べる意欲を削がないように手づかみ食べさせてあげてください。エネルギーと栄養素の大部分を食物から摂取する時期です。この時期に一口量を子供は覚えます。一口量がわからないと、口に食べ物を貯め込んで食べたり(いつまでもモグモグ)窒息する原因にもなりかねません。手や口を使えば使うほど脳にも刺激が行き、成長していきます。
一意見として
専門とは少し離れた内容になるので、自信のないところもあります。時間の関係もあり健診時にお伝え出来ないことを中心に記載してみました。1つの意見としてみていただければと思います。