猿は虫歯になるか知っていますか?野生のサルは虫歯がありません。飼われているサルは虫歯だらけです。野生の犬に虫歯や歯列不正はありません。飼われている犬には虫歯や歯列不正の治療が必要になっています。野生の動物と飼育された動物の一番の違いは食事です。野生ではペットフードはありませんよね。薄切りの肉はありませんよね。火は通っていませんよね。よく噛む食材なら食べるときに唾液があふれ出て口の中のプラークを洗い流してくれます。噛まない食事では唾液は減少します。
目次
唾液の役割には
虫歯予防
消化を助ける でんぷんを分解します
消毒(リゾチーム、ペルオキシダーゼ)
食塊形成 細かくなった食べ物を塊にして飲み込みやすくする
抗がん、抗アレルギー作用(ペルオキシダーゼ、ラクトフェリン、SOD、カタラーゼ)母乳と同じ
感染症予防(免疫グロブリン、リゾチーム)細菌やウィルスが体内に侵入することを防ぎます。
脳の成長因子(BDNF、NGF)記憶力を高め脳神経細胞の合成を助ける成分
があります。
噛む刺激
噛むことで唾液腺を刺激します。日本人の咀嚼回数は弥生時代3990回、鎌倉時代2654回、江戸時代1465回、戦前1420回、現代620回と著しく減っています。そんな中でも包丁で切る回数を減らす、一口では入らないものを各食事に一品でも入れるなどの工夫をしてもらい、噛む回数を増やすようお願いします。やわらかいハンバーグでもハンバーガーにする、ロールキャベツにする、などすれば前歯を使います。また具材にレンコンを大きめにして中に入れて複数の食感にするなどの工夫してもらえたらと思います。
脳へ一直線
よく噛むことは脳への刺激に直結します。前頭葉、運動野、側頭葉などへの刺激となっていきます。歯をすべて失って総入れ歯を入れた人、入れない人で認知症になる割合で有意に差があるそうです。噛む刺激が脳にいってるかいってないかの証左かと思います。
おもしろい実験
おもしろい実験があります。スティック菓子を前歯で噛むことによる脳活動活性化効果という論文です。プリッツとかポッキーとかのスティック菓子ですが、それをそのままの長さにして前歯でかじって噛むのと、小さくして奥歯だけで噛むのとで、脳活動に変化があるのかという実験です。長いスティックの方が脳活動、特に前頭前野の活動が高まったそうです。長いのと短いのとの最大の違いは前歯を使うかどうかです。前歯で噛むことがいかに大事かということがわかりますね。前頭前野は 考える、やる気、コミュニケーション、感情のコントロールに関係しています。そのうちのブローカ野は言語中枢、音声言語を司っています。
ホムンクルス
脳に影響を与える部位の大きさを図式化したホムンクルスの図では、口と手に集中しています。つまり手を使えば使うほど、口を使えば使うほど脳は成長するのです。脳の発達には大脳皮質への刺激が大切です。
脳をダメにする3つの習慣
ADHA(注意欠如、多動症を中心とした発達障害)の症状の一つ カッとなるなどは前頭前野の未成熟が原因ではないかと言われています。前頭前野は30歳くらいまで成長可能ともいわれています。この前頭前野など大脳皮質が脳幹をコントロールしています。ストレス、スマホ、ゲームにより前頭前野の機能を低下させています。前頭前野をダメにする3つのことは
スマホ、SNSのやりとり
ゲーム、テレビ
噛まない食事 です。
前頭前野を活性化させる3つのことは
顔を見て会話する、笑う
外遊び(自分で遊びを創る)
前歯がぶり(手づかみ) ということになります。
子供は自分で環境を選択できません。スマホも、やわらかい食事も、ゲームも保護者が全部与えています。時代の趨勢もありますが、子供への対処はよく考えないといけませんね。子供と言わず、大人もこれらのことに気をつけて生活するべきでしょう。
噛むことは目にも影響している
目のことは専門外ですが、噛む筋肉は目の水晶体を調節する毛様体筋に大きく影響していて、よく噛んでいないと子供たちの視力低下を引き起こすそうです。子供の視力低下が近年世界でも社会問題となっています。アジアではこの60年で近視人口が4倍で、すでに世界人口の約三分の一が近視だそうです。よく噛むことが近視にならない第一歩とも言えるそうです。
味覚異常
3人に1人
東京医科歯科大学の研究で、酸味、塩味、甘味、苦味、いずれかの味覚を認識できない子供が30%超いるそうです。よく噛んでいないと偏食になります。味を感じ取る細胞を味蕾といいます。味蕾は唾液で反応します。噛まない食事では唾液が出ません。そうすると濃い味のものしか好まなくなります。大量の調味料や味の濃いケチャップなどを好むようになると将来の成人病を招く可能性があります。味覚は3歳までに決まります。三つ子の魂百までと言いますがまさにその通りです。3歳までに自然の味付けが当たり前になるような食事を考えてあげてください。ヒントになることがあればまたコラムに記載していきたいと思います。
脳の快楽物質、それは砂糖
砂糖は麻薬と同じ快感。カリフォルニア大学デイビス校の研究で、麻薬と同じメカニズムで脳に快楽を与えて体に刷り込みを与えていることを明らかにしています。街中にある自販機の多くは砂糖とカフェインが入っていませんか?2大中毒物質を販売している自販機大国、売り上げは世界一。どこだと思いますか?そう、日本です。
血糖値とも関連しています
砂糖は血糖値上昇を招きます。それを鎮めるためにインスリンが分泌され血糖値は低下します。血糖値が乱高下するとアドレナリン、ノルアドレナリンが生成、分泌されます。アドレナリンは攻撃、怒り、イライラの、ノルアドレナリンは不安、恐怖、うつの、原因となります。その生成に亜鉛やマグネシウムを消費します。隠れ栄養失調の原因にもなります。食事で摂れないようならタブレットで摂取することを考えてもよいと思います。
虫歯と骨折
血液中の糖分は酸性です。それを中和するために歯や骨に含まれるアルカリ性のカルシウムを大量に消費するので虫歯や骨折の要因になっているという説もあります。白米や砂糖の消化に大量のビタミンB群が必要となります。これが足らないと手足が痺れたりむくんだりします。砂糖の摂りすぎは胃の働きを数分から一時間くらい止めてしまします。これを糖反射と言います。腸の動きもストップします。それが便秘につながるとも。甘いものは別腹、これかもしれませんね。
白砂糖はカロリーのみで、栄養はありません。
玄米は必須アミノ酸が入っています。玄米をルーティンにすることは難しいかもしれませんが時々そうするとか、五穀米にするとか、出来る範囲でトライしてみてください。子供の好きなものには砂糖がいっぱい入っています。原材料に入ってなくても、その原材料に入っていることもあります。蛇足になりますが、乳歯は生え替わるので虫歯になっても大丈夫かといえば、正しくありません。乳歯の虫歯が永久歯に悪影響を与えることがあります。永久歯が虫歯や歯周病になりやすくなります。山火事があったところに新しい家を建てても再び燃えてしまうのと同じです。
乳歯のうちが大切
乳歯の虫歯が進行することで永久歯が変色したり、もろくなったり、歯並びが悪くなったりすることもあります。また、咀嚼、発音、審美障害を起こすこともあります。これらは成長期において発達や成長の遅れ、偏食などの全身的な問題だけでなく、笑えない、などの心理的な問題もおこしかねません。乳歯だからといっても虫歯にならないように気をつけてあげましょう。砂糖の使い方、食品の選び方、大人の責任は計り知れません。