何らかの理由ではじめて歯を失ったとき、もっと早くに治療しておくべきだった、言う通りにしておけばよかった、定期的に通っておけばよかった、タバコやめとけばよかった、甘いものばかり食べなきゃよかった、など様々な思いが頭の中をよぎると思います。親からいただいた、あって当たり前のもので、失われてはじめてありがたさがわかります。
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歯1本の値段は140万円!
プロ野球チームが優勝したら、~億の経済波及効果があると秋口にテレビでやったりしていますよね。詳しい計算は存じませんが今の大学教育では、そういう観点からみて、天然の歯は1歯約140万円の価値があると教えているそうです。すごいですよね。親知らずを除くと28本ありますから、全てだと3960万円の価値があるわけです。口に一軒家くらいの価値がついているのですね!親からいただいたありがたいプレゼントです。
適切な時期での治療を勧めます
理由は様々でしょうが、不幸にして抜歯して空いてしまった部分をどうするかを決めていかなければなりません。痛くないし不便も無いからと放っておくとよくないことが起こります。失った歯の前後の歯が失われた部分に向かって傾斜してきます。時間が経てば経つだけ傾斜はひどくなります。さぁやるか、となった時に隙間が狭くなったり、それらを土台に使おうと思っても傾いているのでその前後の歯の治療を先立って行わなくてはならず治療期間が延びます。
ウサギの歯
また失われた歯と噛んでいた反対側の歯がウサギの歯のように少しずつ伸びてくるので、そちらの歯も前もって処置しなければなりません。前後、反対の歯の処置は最悪虫歯でないのに神経の処置をしなければならないこともあります。一本失った時を想定して話を続けます。複数歯失われた時は少し変わってきますが基本的に大きく変わりません。
選択肢は3つ オプション1つ
失われた歯の前後の歯を小さく削って前後ろをつないで固定式でかぶせるいわゆるブリッジ前後の歯に金具を使って固定する義歯、いわゆる部分入れ歯。これはと自分で取り外しして管理します。失われた歯の部分にチタン製の歯に代わる土台を埋め込んで、その部分だけ被せ物をするインプラント場合によっては歯の移植という手段もありますが、年齢、歯の大きさ、失われた理由、部位などから適用はかなり限定され、どれだけもつかは不確定な面が大きいです。大抵は移植を除く3つの選択肢から選択していくことになります。どれも一長一短あります。
ブリッジ
前後の歯を削って固定式の被せ物をセメントで接着する方法です。神経があろうがなかろうが、少なくても2本は被せ物しても今の大きさになるだけの金属やセラミックのスペースを確保できるくらい歯を小さく削らないといけません。奥歯のブリッジは保険では銀歯になります。
義歯
いわゆる部分入れ歯です。固定式でなくてご自身で取ったり外したりしていただきます。前後の歯に金属の金具をひっかけて入れ歯が外れないようにします。金具で外れないようにしていますから金具のかかっている歯に負担がかかります。昔ながらの栓抜きをイメージしてください。固定式ではないので大きく感じます。慣れていきますが、異物感は最初のうちはあります。
インプラント
失った部分に処置を行います。抜いた部分に十分骨が回復していることが前提になります。その部分にチタン製のインプラントを埋入します。オッセオインテグレーションと呼ばれる、骨とインプラントの結合を得られたらその部分に土台を作って、最終のかぶせ物を装着します。前後の歯には何もする必要がありません。固定式のかぶせ物で、取り外す必要はありません。前後の歯はそのままですから、残っている歯の寿命をのばせるのではないかと思います。
おすすめは
最初の一本となると、おすすめはインプラントになります。とても価値があります!なぜインプラントなのか。
一番よくないのはブリッジです!
両側の歯を削らないといけないからです。特に小さな詰め物をしてあるくらいで、神経も残っていてほぼ自分の歯の形のまま、あるいは何も削っていない状態である場合です。
痛くも何もない綺麗な歯を削りたいですか?
削った歯は元には戻せません。神経にもダメージを与えます。最悪は神経処置につながりかねません。神経処置すると歯の寿命は短くなります。あと何年自分の寿命があるかも考えてくださいね。一本のために両隣2本の寿命を短くしてしまう可能性があります。そうなると3本分悪くなっていく方向に振れ、もし連続した三本失われると固定式の選択はないので、義歯かインプラントになってしまいます。
両側の2本で3本分の噛み合わせという体重くらいの咬合力を受けるのです。
削った上に過大な力も受けなければなりませんから、今まで何ともなかったのに歯の寿命を縮めることにつながります。歯の神経が取ってある歯が、土台となるとなおさらよくありません。生きた木の枝は折れませんが、折れて時間が経っている枝はパキパキ折れちゃいますよね。ブリッジは可能な限り避けた方がよいと思います。
義歯はどうか
義歯は両隣の歯を削る量はブリッジと比べて格段に少なくて済みます。いわゆる部分入れ歯ですが、歯茎方向へかかる咬合力により沈下する義歯のストッパー部分だけ削合すればよいのです。両隣に金具をかけて義歯を安定させます。自分で取り外しをしなければならないこと、食片が入れ歯と歯茎の間に挟まりやすいこと、金具がゆるんでくること、少し大きいので違和感が最初あること、金具が前歯だと目立つことなどの欠点があります。
あまり削らないけれど
あとブリッジと同じで両隣の歯でない部分を支えるので、金具の掛かっている歯に過大な力がかかります。そうなるとその両隣の歯が揺れてきます。虫歯は治しやすいですが、歯の揺れはほぼ治ることがありません。ブリッジよりも歯を削る量は著しく少なくて済みますが、歯にかかる負担はあまりかわりません。
インプラントがベター
骨さえあればインプラントが一番よいです。失われた部分に土台を入れ、そこだけ被せることができます。両隣の歯に負担をかけず、その寿命に影響を及ぼしません。その部分の治療だけで完結するからです。審美的にもよく、取り外しする必要もありません。
定期的な噛み合わせ、インプラント周囲炎(歯の歯周炎、歯槽膿漏と同じと考えてください)のチェックが必要です。定期健診はどのような状態でも必要です。長く持たせたいなら天然の歯以上に意識していただかなければなりません。初めの一本の処置で他の歯の寿命をも左右します。初めの一本を上手くすれば大きな処置をせずに済むかもしれません。
一食100円貯金
一食100円貯金して一日300円、一月9000円、一年108000円 4年くらいでインプラントの経費は回収できます。何より健康維持への投資でないかと思います。あと何年生きますか?効果はとても高いと思います。
同じ車を20年乗っていますか?
インプラント自体はきちんとケアしていただければ20年はもつとされています。もちろんもっとインプラントの寿命がもっているケースもあります。日本での歴史がないからこれくらいとされています。先ほども述べましたが、定期健診無しではダメです。車検なしで車に乗っていますか?車検で安全を担保していますよね。車検においくらかかっていますか?車にお金をかけるのもよいとは思いますが、健康を長く維持するために少し振り分けてもよいのではないでしょうか。
失くしてわかる歯のありがたみ
何でもですけれど、残念ながら人間は失ってその大事さがわかる生き物です。上の前歯の一本が半分欠けたとしましょう、どんな不具合が考えられるでしょう?
笑いづらい(みっともない)
しゃべりづらい
食べづらい
飲みづらい
舌で触ると尖っている
などなど少し歯が失われただけで色々な不具合が生じます。1本無くなれば不具合の程度が増します。
奥歯は見えないから治さなくていい?
そんなことはありません。
前後の歯が無くなったところに向かって傾斜してくる
反対の歯が少しづつ伸びてくる
舌、頬がそこを埋めようと肥大してくる
そこをかばうような舌の動きになる。
食べ物の流れが変わる
などが考えられます。不具合なく最後まで快適に食事はしたいですよね。
残っている他の自分の歯に負担をかけないのはインプラントだけです。
ブリッジや義歯は前後の歯に、その歯本来の仕事だけでなく失われた歯の分の仕事が課されるので負担がかかります。それらの歯が抜けるか、死ぬまでです。自分の歯が1本失われたら、140万無くすことになります。抜いてしまった歯以外の、残った歯を守るためには何がベターかをよく考えて治療法を選択してください。毎食100円貯めるつもりでいてくだされば4年でインプラント1本分になるのですから。