義歯にも定期検診は必要です。歯の多くが失われてしまって、歯の数が少なくなってしまって比較的大きな義歯が入っている場合でも定期検診は必要だと思います。総義歯でも。チェックするところはたくさんあるのです。
目次
義歯の入っている場合のチェックするところ
金具のかかる歯が虫歯になっていないか。
金具のかかっている歯の揺れはどうか
金具が緩んでいないかどうか
義歯の噛み合わせの状態
義歯で覆われるところの内側、歯茎の部分で強く当たるところはないか
義歯にヒビが入っていないか 欠けていないか
舌の色 頬を噛んでいないか
などをチェックします。総入れ歯の場合は歯が無いので、金具に関する部分はチェックしませんが、それでもそれなりのチェック項目の数となります。
かみあわせ
義歯の人工の歯同士でも、人工の歯と自分の歯でも噛んでいるうちに人工の歯は摩耗で削れてきます。自分の歯同士でも削れてきますものね。削れてくると噛み合わせが変わってきますから調整が必要になります。噛み合わせの高さがかなり低くなってしまうと、部分的に上下が噛み合わなくなっていることもあります。あまりに空いていると義歯の新製する必要が出てきます。残っている自分の歯だけが当たるようだと、その歯に過剰な力がかかり揺れがきつくなります。人により義歯を新製する時期は様々です。しなくて済む場合も噛む力によってはあります。合わない噛み合わせだと顎の骨が吸収してきますから噛み合わせは重要です。
金具の調整
義歯の着脱をするものですからどうしても金具が緩んできます。歯は円柱みたいな形ではなく、簡単に言うと樽のような形に例えれると思います。一番出ているのは中央で、上下にいくにつれ細くなります。一番張り出しているところから少し下にいったところで挟むように金具をつくれば、それを外そうとすると一番出ているところにひっかかって外れないですよね。開かないと外せないですよね。それを繰り返していると金具は一番広いところまで広がります。義歯がゆるくなります。緩んだままだと食べたものが義歯と歯茎の間に挟まりやすくなります。その状態のままではあまりよくありません。ですから金具が緩んだら締めるようにしないといけません。定期検診までに揺れてくることがあれば、それまで待たずに金具を締めるようにした方がよいです。
金具のかかっている歯の虫歯、揺れ
義歯を支えている歯、金具のかかっている歯は、力がかかりやすく歯が揺れてきます。そのことは変えられないですが、できるだけ噛む力を均等化することで力を分散させるようにします。噛み合わせの調整が必要ということです。どうしても義歯との境目になりますから物が停滞しやすく、虫歯になりやすいです。ですからご家庭ではブラッシングを励行していただきたいです。もし大きな虫歯になってしまうと、治療の過程で歯の形が変わってしまう可能性があります。詰め物したり被せ物になると金具が入らなくなりますから義歯自体を新たに作製しなければなりません。
義歯で擦れているところはないか
入れ歯を入れると当たるところがあれば、そのままにしていてもよくなりません。擦れるところは早めに削って無くさないといけません。そのままにしておくと滅多にはありませんが悪ければ癌化することもあります。こういった時には定期検診を待たずに調整にお越しください。歯の数が少ないとか、無くてもこのようにチェックするところは満載です。ぜひ定期健診にお越しください。
義歯が割れていることもある
人工の歯と自分の歯で噛んでいる場合には、自分の歯の方が強いですから人工の歯や入れ歯の歯茎の部分の方が割れてくることがあります。見えないようなヒビも入っていることがあります。そういうことがあれば修理ですむこともありますが、新製しておいた方がよいこともあります。義歯を作製するのに少なくても3~4回くらいかかりますから、予兆があれば早めに作製しておいた方がよいこともあります。このように、歯の数が少ない場合でも定期検診は必要です。
インプラントにも当然検診は必要です。
インプラント治療は被せるところまでいったら終わり、ではないです。
検診来ずに悪くなったら自己責任ですよ
インプラント治療するにあたり事前に考えられるリスクなどの同意書を記載、捺印をいただくのですが、その中の項目の一つに必ず三ヶ月に一度定期検診に来ていただくことを条件にさせていただいています。定期検診に来ていただけない場合には、その後に起こる不具合の責任を負えません。この一項を入れていますが、応じていていただけない方も少なからずいらっしゃいます。とても悲しく思います。定期健診に来られず期間が空いてしまって不具合が起きてしまったら、その責任はこちらでなく、患者さんにあります。不具合が出ても対処できませんので悪しからずご容赦ください。
費用かけたものを長くもたせたいなら定期的なメンテナンスが必須なのです。
極端に言えばインプラントは異物です。インプラントはチタンで出来ていて、生体為害性はありません。しかし 歯 とは違います。歯は歯を支える歯槽骨の中に植わっています。いますが、がっちり癒着している訳ではありません。力を入れて咬みこむと、歯が沈むのを感じられると思います。簡単に言うとほんの少し浮いているような感じです。(ちなみにですが、抜歯は歯と骨のそのわずかな隙間に器具を入れて抜歯術を行います。)
インプラントは歯ではない
インプラントは骨と結合させて、失われた部分に固定性の被せ物を装着していきます。ですから噛みこんだ時に、沈む、感覚はありません。インプラントは歯の代わりに機能するものですが、歯ではありません。あくまでも代用品です。
自分の歯でも抜けるのに
歯周病は歯を支える歯槽骨が歯垢や歯石の付着による炎症により失われていく疾病です。歯周病の治療は、炎症を引き起こす原因である歯垢や歯石の除去になります。取り切れない歯垢や歯石の除去を定期検診にきていただき、プロフェッショナルケアを行うのですが、ご自分で毎日行っていただくブラッシングが最も大切です。自身でしっかり行っていただければよいのですが、なかなかそうはいかず歯が揺れてきて歯周病が進行して抜歯に至ることがあります。
インプラント本体は悪くなりません。でも
インプラントを支える歯槽骨も同じように炎症があれば失われていきます。骨が失われたならインプラントは揺れてきて、抜けてしまいます。インプラント本体は問題なくても、定期的なケアを怠ればインプラントは抜けます。インプラント本体と被せ物の形態は天然歯の形態と異なりますから、ブラッシングもなかなか難しいです。インプラント部分のセルフケアだけでは炎症のコントロールが難しいので定期的なプロフェッショナルケアが必要なのです。
噛み合わせのチェックが必須です。
天然の歯同士かみ合っていると、少しずつすり減ってきます。被せ物は歯より硬い材料であることが多く、かみあわせは一定ではなく、ほんの少しずつ変化しています。それに加えてインプラントは天然の歯と骨への結合具合が違いますから定期的に咬み合わせも調整していく必要があります。ずっと強く当たっていると、インプラントを支えている骨が減ることも多々あります。そうなるとインプラントが揺れてきます。大枚をはたいたのに。被せ物の破折や脱落などにもつながりますから必ず噛み合わせの定期的なチェックと調整が絶対必要なのです。インプラントしたらもう大丈夫、というのは定期的な検診と適切なセルフケアが出来ているのが大前提のお話です。