あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。
診断、治療技術の更なる向上、皆様に気楽に来院していただける環境整備に努めて参りたいと思います。コラムもあわせてご覧いただけると嬉しいです。
新年早々明るいお話を長くならない程度に
不幸にして歯を失い、歯を失ったままでいると、咀嚼機能の低下、片側噛みからの顎関節症、審美障害、長期に渡ると認知機能の低下まで引き起こしかねません。失った部分は、ブリッジ、義歯、インプラントなどで代償して機能回復していくのですが、代わりの歯が生えてこないものかと思われたことは一度や二度、ないでしょうか?
歯生え薬
新たに自分の天然の歯を生やす“歯生え薬”の実用化に取り組んでいるベンチャーが京都にあります。もしそれが実現すればすごいことですよね。でもどういった機序なのでしょうか。ヒトには乳歯、永久歯とは別に新たな歯になり得る芽のようなものがあるが、通常は生えずになくなるそうです。
サメの歯は抜けては生えてを繰り返し、2~3日おきに交換して鋭い状態を保つのだそうです。生きていくためですね。ヒトもそうあれば歯医者は要らなくなりますね。ちなみにリスやネズミが前歯でガリガリするのは、そのままにしておくと歯が伸び続けるからです。そうなると自分に刺さって自傷してしまうからなのです。
歯の成長抑制するものがある
歯の成長を抑制するタンパク質“USAG-1”というのがあるそうなのです。そのタンパク質によって新たな歯の芽が摘み取られているが、その働きを無くす抗体薬を用いて、新たな歯になり得る芽を育て成長を促すのだそうです。それも静脈注射で薬を1度投与するだけだそうです。
先天性無歯症
先天性無歯症という病気があります。生まれつき歯がありません。あっても歯の数が極端に少ないです。この病気の治療のために研究が始められ、治験の段階まで進んでいます。もうすぐ2~6歳の子供を対象とした治験が始められる予定です。そういった子供たちにとっては大きな福音です。小さいうちから入れ歯を入れないといけないのは何とも切ないですよね。
大人にも
虫歯などで歯を失った成人の治療も視野に入れているとのこと。令和6年7月ころから健康な成人で薬の安全性を確かめる臨床試験を始めて令和12年頃の実用化を目指しているそうです。まだマウスやフェレットでの段階で、どの時期に治療すると一番よいとか、成人に適応できるのかとか、道のりは険しそうですが実現すれば本当に素晴らしいことだと思います。
でも、もともとご両親からいただいた歯を大事に使うのが一番です。そのために定期健診でプロケア、早期発見早期治療、毎日のセルフケア、これが何より大切です。